ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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ちょっと意外だな

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「はるかちゃーん! みてみてー!」

食事の支度も終え、あとはご飯が炊けるのを待つだけと思いながらテーブルに箸を並べていると、脱衣所から出てきた琳の声が聞こえてきて振り返った。

「すごいでしょー!」

得意げな様子の琳が嬉しそうに西条さんに肩車されている。
ただでさえ背が高い西条さんに肩車されている琳の目線が高くて思わず見上げてしまう。

めちゃくちゃ高いのに、琳は怖がる様子もなくむしろ喜んでいる。
多分目線は二メートルくらいになってそうなのに……。

ここの天井が高いからできるんだな……。

碧斗くんはパパの肩車を取られてショックを受けてないかなとそれだけが心配だったけれど、なぜか碧斗くんは嬉しそう。
琳が喜んでいるから、とか? すごいな……本当にお兄ちゃんの心理だ。

「本当、すごいね……」

僕にはできないことだから心からすごいと思う。
いや、頑張ればできるかもしれないけど、怪我させたくないから今までずっとできなかったんだよね。

でも二人で出かけている時、パパに肩車されている子を見かけて羨ましそうな顔をしていたのを知っているから琳が嬉しそうな姿を見られて素直に嬉しい。

「悠臣さん、大丈夫ですか?」

「これくらい大したことないよ」

余裕の表情にさすがだなと思う。

「もう食事かな?」

「あ、あと十五分くらいでご飯が炊けるので……」

「そうか、じゃあ碧斗。もう少しだけ二人で遊んでていいぞ」

ヒョイっと琳を肩車から下ろしサークルの中に入れると、碧斗くんを一旦肩車をしてからサークルの中に入れた。
二人は棚から絵本を取り出すと二人で一冊を広げて楽しそうに読み始めた。

その様子を微笑ましく思いながら見ていると、西条さんにソファーに座ろうと誘われる。

お風呂場で何かあったのかもしれない。
少し緊張しながらソファーに座ると、西条さんが真横に腰を下ろしてその距離の近さにどきっとしてしまう。

「あ、あの……」

「悪い、二人に聞こえないほうがいいかと思って」

その言葉にやっぱり何かあったんだと察した。

「何かありましたか?」

「この前、遥くんが碧斗の誕生日の話を出してくれただろう?」

「えっ? は、はい」

今朝の話のこともあったからてっきり悪い話だと思い込んでしまっていた。
だから誕生日の話題にちょっと反応が鈍くなってしまった。

「碧斗の誕生日の前日に琳くんの病院受診があるから、その時に一緒にプレゼントでも買いに行こうかと思っているんだが、どうだろう?」

「それって四人で行くってことですか?」

「ああ、碧斗と琳くんもずっと家の中にいるから少し外出するのもいいだろう。私が一緒なら奴も近づいてこないだろうし」

確かに僕と琳だけの外出なら怖いけど、西条さんが一緒なら安心だ。
もしあの元義弟に見られても、西条さんみたいに強そうな人が隣にいれば、西条さんのいうとおり近づいてこないはず。

「どこに行くか決めてるんですか?」

「ほら、病院の近くにショッピングモールがあるだろう? 子ども向けの店も結構入っているし、いいものが見つかるんじゃないかと思ってね」

ああ、あそこか。琳とも何度かいったことがある。

フードコートのご飯も結構美味しくて、子どもの遊び場もあるから碧斗くんも楽しめるかも。
琳の手もその時には治っているだろうから、久しぶりに思いっきり遊ぶ琳の姿も見られるかな。

でも、西条さんがショッピングモールって……何だかちょっと意外だな。

「じゃあその時、誕生日パーティーの食材も買って帰っていいですか?」

「もちろん。前日と誕生日当日は休むつもりで予定を入れているからどこにでもついていくよ」

「えっ、二日もお休みなんて……お仕事は大丈夫ですか?」

今日も僕のせいで仕事に戻れなかったのに……。
琳の受診にもついてきてもらって申し訳ない。

「大丈夫。私には優秀な秘書がついているからちゃんと調整してくれているよ」

「そう、なんですね……」

西条さんが優秀だっていうくらいだからすごい人なんだろうな。

「そういえばその秘書から遥くんを紹介してもらったんだよ」

「えっ? 僕を?」

西条さんの思いがけない言葉に驚いて聞き返すと、笑顔で教えてくれた。

「以前、三人の子どもがいる久瀬という家に行かなかったか?」

「久瀬さん……あっ! 双子ちゃんの?」

可愛い双子ちゃんが生まれて、奥さまを休ませたいということで月に何度かお邪魔したお家だ。
すごく優しそうなご主人だったけどあの人が西条さんの秘書さんなのか。

あの人が僕を西条さんに紹介してくれたんだ……。
今、こうして琳と安心して過ごせるのも、その人のおかげってことなのかな。
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