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悠臣さんからのお誘い
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「そう。その双子の父親が私の秘書なんだ。彼が、家事スキルもすごいし食事も美味しくて素晴らしいシッターがいると教えてくれてね。それで遥くんを指名させてもらったんだ。遥くんなら碧斗のことも任せられると思ってね」
なんだ……僕のこと、男だからってだけの理由で指名したんじゃなかったんだ……。
ちゃんと僕の仕事の内容も理解した上で選んでくれていたんだな。
なんか、すごく嬉しい。
「遥くんに実際に働いてもらって、本当に感謝してるよ。部屋は常に綺麗だし、子どもたちをのびのびと遊ばせながらもしっかりと見てくれているし何より食事が美味しい。遥くんの食事を食べるようになって身体も楽になった感じがするよ」
西条さんの場合、毎食外食だったからな。
できるだけ野菜やタンパク質を多く摂れるような献立にしているからそういう面では一番身体に出やすいんだろう。
「そんなふうに仰っていただけて嬉しいです。悠臣さんも碧斗くんもすごく美味しそうに食べてくれるので、作り甲斐がありますよ。僕も琳もそんなにいっぱい食べられないので……」
西条さんの食欲もだけど、碧斗くんは琳に食べさせながらも自分の分をちゃんと食べているから余計に驚くんだよね。
しかも絶対完食してくれるし……本当にすごいんだ。
「これからもずっと遥くんが作ってくれた食事を食べさせてほしい」
それって、専属でずっとこのまま僕を雇いたいってことだよね?
それくらい僕の食事を気に入ってくれたなら嬉しいことだ。
「はい。僕の食事でよければこれからもずっと作らせていただきますね」
「あ、いや……」
悠臣さんに気に入ってもらえたのが嬉しくて笑顔で返事をすると、なんだか少し悠臣さんが困った表情になったのが気になった。もしかして、これって社交辞令とかじゃないよね?
「あの……」
聞き返そうとした時、キッチンから軽快なメロディーが流れてきた。
どうやらご飯が炊けたみたいだ。
「はるかちゃーん! ごはん、できたよー!」
「たべよー! あおとー、おなかすいたー!」
炊飯器の音にすぐに気づいた琳と碧斗くんがサークルから大声を出している。
「悠臣さん、ご飯にしましょうか」
「そうだな。私が子どもたちを椅子に座らせるから遥くんはご飯を頼む」
そう言うが早いか、悠臣さんはさっと立ち上がって碧斗くんと琳の元に向かった。
そういえば聞き返せないままだったけど……また今度聞けたら聞いてみようかな。
みんなで食事を始めると、相変わらず琳はおかずのほとんどを碧斗くんにたべさせてもらって、自分はフォークで間にご飯を口に運ぶだけ。
碧斗くんも大変だろうに、ずっと笑顔で琳にご飯を食べさせている。
さっきの肩車の時といい、琳とここでお世話になってから、碧斗くんのお兄ちゃん力がぐんぐん上がっている気がする。
やっぱり子どもって順応性が早いっていうか、成長のきっかけになるものがあると著しい成長をするものなんだな。
食事も終わり、片付けを済ませるとお風呂に入っておいでと西条さんが言ってくれた。
その間、碧斗くんと琳と遊ぶみたいだ。
僕ばっかりのんびりさせてもらって申し訳ない気もするけれど、せっかくだからゆっくり入らせてもらおう。
今日は中で寝ないようにしないとな。
浴室に入ると、湯船に可愛いピンクの花びらが浮かんでいた。
これは桜?
優しい香りに思わず笑みが溢れる。
髪と身体を洗って艶々モチモチになって湯船に浸かると、花びらが少しずつ溶けていく。
と同時に香りが強くなる。
すごいな、この入浴剤。
だって、今までお湯に浮かんでいても溶けなかったのに、僕が入ったら溶け始めるなんて。
人の体温に反応する、とか? それだったら凄すぎる。
でも花びらが溶けるたびに、いい香りがするからついつい全部の花びらが溶けてしまうまで湯船に浸かってしまっていた。
身体もほかほかになった上に、まるで桜の精にでもなってしまったみたいないい香りに包まれている。
大満足で外に出て、自動洗浄スイッチを押すとお風呂が一気に掃除されていく。
本当にここのお風呂掃除は楽でいい。
着替えを済ませて、さっと髪を乾かしてから脱衣所を出ると、なぜかしんとしていることに気づいた。
どうしたんだろう?
そっとリビングに向かうと、西条さんがソファーに腰を下ろして仕事をしているのが見える。
サークルにはカーテンがかけられているようだ。
「あの……」
僕が呼びかけると西条さんがパッと僕を見た。
「遥くん。のんびりできた?」
「は、はい。あの子どもたちは?」
「二人とも眠いと言うからもう寝かしたんだ。ぐっすり寝てるよ」
時計を見れば寝るにはいつもより少し早い。
でも早すぎると言うほどでもないから夜中に起きてしまうことはないだろう。
「すみません、悠臣さんに寝かしつけを任せてしまって……」
「それは気にしないでいいと言っただろう? それより会社に報告書は送ったか?」
「あっ!」
昨日は西条さんが帰ってくる前にさっと送っておいたけど、今日は夕方まで寝ちゃってたからすっかり忘れていた。
急いでパソコンを出し、報告書をまとめて送った。
よかった、西条さんに言われなかったら送るの忘れてたな。
「まだ寝ないなら、少し飲みながら話をしないか?」
正直に言うと、夕方に寝ていたから全然眠くない。
これは社交辞令、じゃないよね?
西条さんのほうから誘ってくれたんだからと自分に言い聞かせて僕は笑顔を向けた。
なんだ……僕のこと、男だからってだけの理由で指名したんじゃなかったんだ……。
ちゃんと僕の仕事の内容も理解した上で選んでくれていたんだな。
なんか、すごく嬉しい。
「遥くんに実際に働いてもらって、本当に感謝してるよ。部屋は常に綺麗だし、子どもたちをのびのびと遊ばせながらもしっかりと見てくれているし何より食事が美味しい。遥くんの食事を食べるようになって身体も楽になった感じがするよ」
西条さんの場合、毎食外食だったからな。
できるだけ野菜やタンパク質を多く摂れるような献立にしているからそういう面では一番身体に出やすいんだろう。
「そんなふうに仰っていただけて嬉しいです。悠臣さんも碧斗くんもすごく美味しそうに食べてくれるので、作り甲斐がありますよ。僕も琳もそんなにいっぱい食べられないので……」
西条さんの食欲もだけど、碧斗くんは琳に食べさせながらも自分の分をちゃんと食べているから余計に驚くんだよね。
しかも絶対完食してくれるし……本当にすごいんだ。
「これからもずっと遥くんが作ってくれた食事を食べさせてほしい」
それって、専属でずっとこのまま僕を雇いたいってことだよね?
それくらい僕の食事を気に入ってくれたなら嬉しいことだ。
「はい。僕の食事でよければこれからもずっと作らせていただきますね」
「あ、いや……」
悠臣さんに気に入ってもらえたのが嬉しくて笑顔で返事をすると、なんだか少し悠臣さんが困った表情になったのが気になった。もしかして、これって社交辞令とかじゃないよね?
「あの……」
聞き返そうとした時、キッチンから軽快なメロディーが流れてきた。
どうやらご飯が炊けたみたいだ。
「はるかちゃーん! ごはん、できたよー!」
「たべよー! あおとー、おなかすいたー!」
炊飯器の音にすぐに気づいた琳と碧斗くんがサークルから大声を出している。
「悠臣さん、ご飯にしましょうか」
「そうだな。私が子どもたちを椅子に座らせるから遥くんはご飯を頼む」
そう言うが早いか、悠臣さんはさっと立ち上がって碧斗くんと琳の元に向かった。
そういえば聞き返せないままだったけど……また今度聞けたら聞いてみようかな。
みんなで食事を始めると、相変わらず琳はおかずのほとんどを碧斗くんにたべさせてもらって、自分はフォークで間にご飯を口に運ぶだけ。
碧斗くんも大変だろうに、ずっと笑顔で琳にご飯を食べさせている。
さっきの肩車の時といい、琳とここでお世話になってから、碧斗くんのお兄ちゃん力がぐんぐん上がっている気がする。
やっぱり子どもって順応性が早いっていうか、成長のきっかけになるものがあると著しい成長をするものなんだな。
食事も終わり、片付けを済ませるとお風呂に入っておいでと西条さんが言ってくれた。
その間、碧斗くんと琳と遊ぶみたいだ。
僕ばっかりのんびりさせてもらって申し訳ない気もするけれど、せっかくだからゆっくり入らせてもらおう。
今日は中で寝ないようにしないとな。
浴室に入ると、湯船に可愛いピンクの花びらが浮かんでいた。
これは桜?
優しい香りに思わず笑みが溢れる。
髪と身体を洗って艶々モチモチになって湯船に浸かると、花びらが少しずつ溶けていく。
と同時に香りが強くなる。
すごいな、この入浴剤。
だって、今までお湯に浮かんでいても溶けなかったのに、僕が入ったら溶け始めるなんて。
人の体温に反応する、とか? それだったら凄すぎる。
でも花びらが溶けるたびに、いい香りがするからついつい全部の花びらが溶けてしまうまで湯船に浸かってしまっていた。
身体もほかほかになった上に、まるで桜の精にでもなってしまったみたいないい香りに包まれている。
大満足で外に出て、自動洗浄スイッチを押すとお風呂が一気に掃除されていく。
本当にここのお風呂掃除は楽でいい。
着替えを済ませて、さっと髪を乾かしてから脱衣所を出ると、なぜかしんとしていることに気づいた。
どうしたんだろう?
そっとリビングに向かうと、西条さんがソファーに腰を下ろして仕事をしているのが見える。
サークルにはカーテンがかけられているようだ。
「あの……」
僕が呼びかけると西条さんがパッと僕を見た。
「遥くん。のんびりできた?」
「は、はい。あの子どもたちは?」
「二人とも眠いと言うからもう寝かしたんだ。ぐっすり寝てるよ」
時計を見れば寝るにはいつもより少し早い。
でも早すぎると言うほどでもないから夜中に起きてしまうことはないだろう。
「すみません、悠臣さんに寝かしつけを任せてしまって……」
「それは気にしないでいいと言っただろう? それより会社に報告書は送ったか?」
「あっ!」
昨日は西条さんが帰ってくる前にさっと送っておいたけど、今日は夕方まで寝ちゃってたからすっかり忘れていた。
急いでパソコンを出し、報告書をまとめて送った。
よかった、西条さんに言われなかったら送るの忘れてたな。
「まだ寝ないなら、少し飲みながら話をしないか?」
正直に言うと、夕方に寝ていたから全然眠くない。
これは社交辞令、じゃないよね?
西条さんのほうから誘ってくれたんだからと自分に言い聞かせて僕は笑顔を向けた。
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