欠陥品オメガが運命と出会って幸せになりました

波木真帆

文字の大きさ
8 / 17
番外編

瑞季の望み

しおりを挟む
今日久々にオメガバースものの小説を読んだら、急に沸々と書きたい欲が出てきてしまったので、感情に任せて書いてみましたが、あまりオメガバース関係なかった気がします……。
でもとりあえず書いたので楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *

瑞季ルェイジー、其方のおかげで仕事が捗るな」

先々の仕事まで済ませ執務室から自室に戻ったというのに、いつもよりまだ早い時間に驚く。

「そんな……私は隣で書類を整理したりして哉藍セイランのおそばにいるだけですよ」

「いやいや、瑞季ルェイジーが私のそばにいてくれるだけでやる気がみなぎるのだ。瑞季ルェイジーの存在が私の活力を向上させてくれるのだぞ。 私のそばに瑞季ルェイジーがいてくれるようになってから、今までの三倍以上仕事の進みが早いと滄波ソウハも言っていただろう?」

中庭で昼寝をする瑞季ルェイジーの隣に寄り添い仕事をしていた時、とてつもなく仕事が捗ったことに気づき、翌日から早速執務室に瑞季ルェイジーを連れて行くようになった。

最初は邪魔にならないかと不安そうにしていた瑞季ルェイジーだったが、私が時折雑務を頼むと嬉しそうに働いてくれる。
その嬉しそうな表情が見たくて幾度も頼んでしまったのだが、瑞季ルェイジーはそれを嫌がるどころか、自分から進んで雑務をしてくれるようになった。

元々瑞季ルェイジーはΩとわかるまではこの天翠テンツォイ帝国で最古の家柄を持つ江一族の後継として育てられていた優秀な人間なのだ。

だから、少し働けば自分が何をどう動けばいいのかもすぐに理解し、こちらが頼まずとも先に動いてくれるのだ。

喉が渇いたなと思えばすぐに飲み物が置かれるし、出来上がった書類をあとでまとめようと思っていると、それも知らぬ間にできている。

私がしていた雑務を全て瑞季ルェイジーが担ってくれるばかりか、私が仕事をしやすいように準備も用意もしてくれるのだから、まさに痒い所に手が届く。
そんな状況ならば、誰だって仕事が捗るというものだ。
しかも愛しい瑞季ルェイジーとずっと同じ空間で過ごせるのだから、もう捗らないわけがない。

少し疲れを感じても、瑞季ルェイジーを抱きしめ口づけを交わせばすぐに力がみなぎる。

そう。
毎日がご褒美のような中で仕事ができるのだから、もう幸せ以外の何ものでもない。
滄波ソウハも私があまりにも仕事が早くなったものだから、瑞季ルェイジーに足を向けて寝られないというくらいだ。

「いつも私を支えてくれる瑞季ルェイジーにお礼がしたいのだが、何か欲しいものはないか?」

いつものお礼に瑞季ルェイジーの希望を叶えてやりたいと思ったのだが、

「私は哉藍セイランのお役に立てることが何よりも嬉しいです。哉藍セイランのおそばにずっといられることが私の望みですよ」

とそんなことを言ってくれる。
私に寵愛を受けているからと言って、決して驕り高ぶることなく、いつも慎ましく控えめな瑞季ルェイジーが愛おしくてたまらない。

だが、たまには瑞季ルェイジーのわがままを聞いてみたいのだ。

「私が瑞季ルェイジーの願いも聞き入れてやれない皇帝だと思われてもいいのか? 頼む、何か願いを言ってくれないか?」

そう頼むと、瑞季ルェイジーは少し悩みながらも、

「わかりました」

と言ってくれた。

「ああ、やっと私に瑞季ルェイジーの願いを叶えさせてもらえるのだな。なんだ、何が欲しい? 洋服か? 宝石か? なんでも叶えてやるぞ」

「私は日常の哉藍セイランの時間が欲しいです」

「なに? 日常の私の、時間とな?」

「はい。ヒートの時は誰にも邪魔されることなくずっと哉藍セイランと二人っきりですが、そうではなくて一緒にお散歩をしたり、お出かけをしたり楽しい時間を過ごしたいのです」

瑞季ルェイジー……」

「やっぱり、だめ、ですよね……」

「そんなことあるわけないだろう!」

「わっ!! んんっ!!」

悲しげに俯く瑞季ルェイジーを腕の中に閉じ込めながら、一気に唇を奪った。

柔らかで形の良い唇を食み、舌を滑り込ませて瑞季ルェイジーの口内を余すところなく味わう。
クチュクチュとわざといやらしい音を立てながら甘い唾液をたっぷりと味わい尽くして唇を離した。

口づけだけでぐったりと力が抜けてしまった瑞季ルェイジーをギュッと抱きしめながら、

「これから三日間、ずっと二人で楽しい時間を過ごすとしよう。その間、私は瑞季ルェイジーだけのものだ。嬉しいか?」

というと、

「本当に、いいのですか?」

と目を丸くしながらも、表情には喜びが見える。

「ああ。瑞季ルェイジーのおかげで仕事も捗ったから、三日程仕事しなくとも問題はない」

哉藍セイランっ!! ああ、私は幸せです」

「ふふっ。私の方が幸せだよ。愛しい伴侶にこんなに嬉しいことを言ってもらえるのだからな」

哉藍セイラン……私、哉藍セイランとお茶をしに行きたいです……。城下にとても美味しい 甜品ティエンピンを出すお店があるそうなんです」

「ああ、一緒に行こう」

「わぁっ!! 嬉しいですっ!!」

実家ではずっと一人で離れに追いやられて、皇宮に来てからもずっと外に出たことがないのだから、外に行きたいと願っても当然か。

だが、一人で出かけたいのではなく、私と一緒に行きたい、一緒の時間を過ごしたいと言ってくれるのだから、この願いを叶えないわけにはいかないだろう。

美しい私の瑞季ルェイジーに良からぬものたちが近づかないようにしっかりと警備させておかねばならぬな。
今日、瑞季ルェイジーが寝たらすぐに滄波ソウハに話をしておこう。
瑞季ルェイジーに一切悟られずに、楽しい時間を過ごさせてあげよう。
それが私の使命だ。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

処理中です...