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番外編
瑞季の望み
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今日久々にオメガバースものの小説を読んだら、急に沸々と書きたい欲が出てきてしまったので、感情に任せて書いてみましたが、あまりオメガバース関係なかった気がします……。
でもとりあえず書いたので楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「瑞季、其方のおかげで仕事が捗るな」
先々の仕事まで済ませ執務室から自室に戻ったというのに、いつもよりまだ早い時間に驚く。
「そんな……私は隣で書類を整理したりして哉藍のおそばにいるだけですよ」
「いやいや、瑞季が私のそばにいてくれるだけでやる気がみなぎるのだ。瑞季の存在が私の活力を向上させてくれるのだぞ。 私のそばに瑞季がいてくれるようになってから、今までの三倍以上仕事の進みが早いと滄波も言っていただろう?」
中庭で昼寝をする瑞季の隣に寄り添い仕事をしていた時、とてつもなく仕事が捗ったことに気づき、翌日から早速執務室に瑞季を連れて行くようになった。
最初は邪魔にならないかと不安そうにしていた瑞季だったが、私が時折雑務を頼むと嬉しそうに働いてくれる。
その嬉しそうな表情が見たくて幾度も頼んでしまったのだが、瑞季はそれを嫌がるどころか、自分から進んで雑務をしてくれるようになった。
元々瑞季はΩとわかるまではこの天翠帝国で最古の家柄を持つ江一族の後継として育てられていた優秀な人間なのだ。
だから、少し働けば自分が何をどう動けばいいのかもすぐに理解し、こちらが頼まずとも先に動いてくれるのだ。
喉が渇いたなと思えばすぐに飲み物が置かれるし、出来上がった書類をあとでまとめようと思っていると、それも知らぬ間にできている。
私がしていた雑務を全て瑞季が担ってくれるばかりか、私が仕事をしやすいように準備も用意もしてくれるのだから、まさに痒い所に手が届く。
そんな状況ならば、誰だって仕事が捗るというものだ。
しかも愛しい瑞季とずっと同じ空間で過ごせるのだから、もう捗らないわけがない。
少し疲れを感じても、瑞季を抱きしめ口づけを交わせばすぐに力がみなぎる。
そう。
毎日がご褒美のような中で仕事ができるのだから、もう幸せ以外の何ものでもない。
滄波も私があまりにも仕事が早くなったものだから、瑞季に足を向けて寝られないというくらいだ。
「いつも私を支えてくれる瑞季にお礼がしたいのだが、何か欲しいものはないか?」
いつものお礼に瑞季の希望を叶えてやりたいと思ったのだが、
「私は哉藍のお役に立てることが何よりも嬉しいです。哉藍のおそばにずっといられることが私の望みですよ」
とそんなことを言ってくれる。
私に寵愛を受けているからと言って、決して驕り高ぶることなく、いつも慎ましく控えめな瑞季が愛おしくてたまらない。
だが、たまには瑞季のわがままを聞いてみたいのだ。
「私が瑞季の願いも聞き入れてやれない皇帝だと思われてもいいのか? 頼む、何か願いを言ってくれないか?」
そう頼むと、瑞季は少し悩みながらも、
「わかりました」
と言ってくれた。
「ああ、やっと私に瑞季の願いを叶えさせてもらえるのだな。なんだ、何が欲しい? 洋服か? 宝石か? なんでも叶えてやるぞ」
「私は日常の哉藍の時間が欲しいです」
「なに? 日常の私の、時間とな?」
「はい。ヒートの時は誰にも邪魔されることなくずっと哉藍と二人っきりですが、そうではなくて一緒にお散歩をしたり、お出かけをしたり楽しい時間を過ごしたいのです」
「瑞季……」
「やっぱり、だめ、ですよね……」
「そんなことあるわけないだろう!」
「わっ!! んんっ!!」
悲しげに俯く瑞季を腕の中に閉じ込めながら、一気に唇を奪った。
柔らかで形の良い唇を食み、舌を滑り込ませて瑞季の口内を余すところなく味わう。
クチュクチュとわざといやらしい音を立てながら甘い唾液をたっぷりと味わい尽くして唇を離した。
口づけだけでぐったりと力が抜けてしまった瑞季をギュッと抱きしめながら、
「これから三日間、ずっと二人で楽しい時間を過ごすとしよう。その間、私は瑞季だけのものだ。嬉しいか?」
というと、
「本当に、いいのですか?」
と目を丸くしながらも、表情には喜びが見える。
「ああ。瑞季のおかげで仕事も捗ったから、三日程仕事しなくとも問題はない」
「哉藍っ!! ああ、私は幸せです」
「ふふっ。私の方が幸せだよ。愛しい伴侶にこんなに嬉しいことを言ってもらえるのだからな」
「哉藍……私、哉藍とお茶をしに行きたいです……。城下にとても美味しい 甜品を出すお店があるそうなんです」
「ああ、一緒に行こう」
「わぁっ!! 嬉しいですっ!!」
実家ではずっと一人で離れに追いやられて、皇宮に来てからもずっと外に出たことがないのだから、外に行きたいと願っても当然か。
だが、一人で出かけたいのではなく、私と一緒に行きたい、一緒の時間を過ごしたいと言ってくれるのだから、この願いを叶えないわけにはいかないだろう。
美しい私の瑞季に良からぬものたちが近づかないようにしっかりと警備させておかねばならぬな。
今日、瑞季が寝たらすぐに滄波に話をしておこう。
瑞季に一切悟られずに、楽しい時間を過ごさせてあげよう。
それが私の使命だ。
でもとりあえず書いたので楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「瑞季、其方のおかげで仕事が捗るな」
先々の仕事まで済ませ執務室から自室に戻ったというのに、いつもよりまだ早い時間に驚く。
「そんな……私は隣で書類を整理したりして哉藍のおそばにいるだけですよ」
「いやいや、瑞季が私のそばにいてくれるだけでやる気がみなぎるのだ。瑞季の存在が私の活力を向上させてくれるのだぞ。 私のそばに瑞季がいてくれるようになってから、今までの三倍以上仕事の進みが早いと滄波も言っていただろう?」
中庭で昼寝をする瑞季の隣に寄り添い仕事をしていた時、とてつもなく仕事が捗ったことに気づき、翌日から早速執務室に瑞季を連れて行くようになった。
最初は邪魔にならないかと不安そうにしていた瑞季だったが、私が時折雑務を頼むと嬉しそうに働いてくれる。
その嬉しそうな表情が見たくて幾度も頼んでしまったのだが、瑞季はそれを嫌がるどころか、自分から進んで雑務をしてくれるようになった。
元々瑞季はΩとわかるまではこの天翠帝国で最古の家柄を持つ江一族の後継として育てられていた優秀な人間なのだ。
だから、少し働けば自分が何をどう動けばいいのかもすぐに理解し、こちらが頼まずとも先に動いてくれるのだ。
喉が渇いたなと思えばすぐに飲み物が置かれるし、出来上がった書類をあとでまとめようと思っていると、それも知らぬ間にできている。
私がしていた雑務を全て瑞季が担ってくれるばかりか、私が仕事をしやすいように準備も用意もしてくれるのだから、まさに痒い所に手が届く。
そんな状況ならば、誰だって仕事が捗るというものだ。
しかも愛しい瑞季とずっと同じ空間で過ごせるのだから、もう捗らないわけがない。
少し疲れを感じても、瑞季を抱きしめ口づけを交わせばすぐに力がみなぎる。
そう。
毎日がご褒美のような中で仕事ができるのだから、もう幸せ以外の何ものでもない。
滄波も私があまりにも仕事が早くなったものだから、瑞季に足を向けて寝られないというくらいだ。
「いつも私を支えてくれる瑞季にお礼がしたいのだが、何か欲しいものはないか?」
いつものお礼に瑞季の希望を叶えてやりたいと思ったのだが、
「私は哉藍のお役に立てることが何よりも嬉しいです。哉藍のおそばにずっといられることが私の望みですよ」
とそんなことを言ってくれる。
私に寵愛を受けているからと言って、決して驕り高ぶることなく、いつも慎ましく控えめな瑞季が愛おしくてたまらない。
だが、たまには瑞季のわがままを聞いてみたいのだ。
「私が瑞季の願いも聞き入れてやれない皇帝だと思われてもいいのか? 頼む、何か願いを言ってくれないか?」
そう頼むと、瑞季は少し悩みながらも、
「わかりました」
と言ってくれた。
「ああ、やっと私に瑞季の願いを叶えさせてもらえるのだな。なんだ、何が欲しい? 洋服か? 宝石か? なんでも叶えてやるぞ」
「私は日常の哉藍の時間が欲しいです」
「なに? 日常の私の、時間とな?」
「はい。ヒートの時は誰にも邪魔されることなくずっと哉藍と二人っきりですが、そうではなくて一緒にお散歩をしたり、お出かけをしたり楽しい時間を過ごしたいのです」
「瑞季……」
「やっぱり、だめ、ですよね……」
「そんなことあるわけないだろう!」
「わっ!! んんっ!!」
悲しげに俯く瑞季を腕の中に閉じ込めながら、一気に唇を奪った。
柔らかで形の良い唇を食み、舌を滑り込ませて瑞季の口内を余すところなく味わう。
クチュクチュとわざといやらしい音を立てながら甘い唾液をたっぷりと味わい尽くして唇を離した。
口づけだけでぐったりと力が抜けてしまった瑞季をギュッと抱きしめながら、
「これから三日間、ずっと二人で楽しい時間を過ごすとしよう。その間、私は瑞季だけのものだ。嬉しいか?」
というと、
「本当に、いいのですか?」
と目を丸くしながらも、表情には喜びが見える。
「ああ。瑞季のおかげで仕事も捗ったから、三日程仕事しなくとも問題はない」
「哉藍っ!! ああ、私は幸せです」
「ふふっ。私の方が幸せだよ。愛しい伴侶にこんなに嬉しいことを言ってもらえるのだからな」
「哉藍……私、哉藍とお茶をしに行きたいです……。城下にとても美味しい 甜品を出すお店があるそうなんです」
「ああ、一緒に行こう」
「わぁっ!! 嬉しいですっ!!」
実家ではずっと一人で離れに追いやられて、皇宮に来てからもずっと外に出たことがないのだから、外に行きたいと願っても当然か。
だが、一人で出かけたいのではなく、私と一緒に行きたい、一緒の時間を過ごしたいと言ってくれるのだから、この願いを叶えないわけにはいかないだろう。
美しい私の瑞季に良からぬものたちが近づかないようにしっかりと警備させておかねばならぬな。
今日、瑞季が寝たらすぐに滄波に話をしておこう。
瑞季に一切悟られずに、楽しい時間を過ごさせてあげよう。
それが私の使命だ。
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