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<閑話> 私のヒーロー <中編>
やっぱりというかなんというか、楽しすぎて終わらなかったので3話にしました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「莉緒ーーっ! ああ、なんか買ってる! いいのあった?」
「うん。素敵なペンダント見つけたんだ!」
「ええー、すごい。高かったんじゃない?」
「うん。でも記念になると思って」
「そっか。莉緒が満足したならよかった。私も可愛いクリスマス飾り見つけたんだ! ほら」
嬉しそうに買ったものを見せてくる亜子を見ながら、さっきのことは何も言わずにいた。
だって、大切な思い出だし。
それに……彼らの邪魔をしたくない。
「ああー、買い物も満足したし、そろそろ何か食べない?」
「うん、いいねー。ずっといい匂いしてたからお腹空いてたんだ」
「ふふっ。私も。行こう! 行こう!」
フードエリアに行くと、そこかしこからいい匂いが漂ってきて、お腹もぐーぐー鳴ってしまう。
「ねぇ、やっぱりおっきなソーセージは欠かせないでしょ?」
「うん。でもちょっと外で食べるのは恥ずかしくない?」
「なーに言ってんの! そんなこと気にしてるの、莉緒だけだって。ほら、見てみなよ」
そう言って周りを見ると、綺麗な女の人も何も気にせず美味しそうにおっきなソーセージを頬張っているのが見える
「ほ、ほんとだ」
「でしょう? せっかく来たんだし。好きなものをいっぱい食べようよ」
確かに。
もう二度と会わないだろう人たちに遠慮することもないか。
そう思い直し、大きなソーセージが乗ったホットドックとたっぷりとチーズがかかったラクレット。
それにトマトやオリーブが乗ったプレッツェルを頼み、二人で両手に荷物を抱えながら席を探した。
「ああー、やっぱり席を先に確保しておくべきだったよね」
そう言いながらも、流石に日本のように荷物を席に放置して食事を選びに行くわけにもいかない。
そんなことをしたら数分も経たないうちに荷物が無くなるに決まってる。
「仕方ないよ。回転も早そうだし、ちょっと待ってれば席も空くって」
そう言いながら辺りを見回していると、少し離れた場所にキラキラしたオーラを放つ集団がいるのを見つけた。
「あ、あれ……」
「何? 莉緒、どうかした?」
「いや、あそこ」
私の視線の先には、さっき助けてくれたイケメンとその仲間たちが楽しそうに食事をしているのが見える。
「ええーっ、あの人たち? うそーっ、うちらめっちゃラッキーじゃん!!」
分かりやすく喜びを表す亜子を見ながらも、私はさっきの邪魔をしてはいけない雰囲気を思い出す。
昼間会った時はロレーヌ家の総帥とその人が連れていた可愛らしい男の子とイケメン日本人と可愛い男の子の二組ばかり目がいってたけど、さっきのでみんながカップルなんだって思い知らされたし。
本当に邪魔だけはしないようにしないと。
「ねぇ、あそこ二つ席が空いてるから行こうよ! あそこならあの人たち見ながら食べられるかも!」
「ちょっと待って、亜子!」
「何? どうしたの?」
「あの人たち、みんなカップルなんだってば。だから、せっかくのデート邪魔しちゃダメだよ」
「ええ? そんなのわかってるって」
「へ?」
「昼間のやつでわかってるってば。」
「えっ? なんで?」
「だって、あれだけイチャイチャしてたじゃん。それに周りに牽制しまくってたし。ロレーヌ総帥とその彼に夢中だった莉緒は気づいてなかったかもだけど、他のみんなもキスしたり、ハグしたりしてたよ」
「ええーーっ、ほんと?」
「うん、でもイケメンたちがイチャイチャしてるのって見てるだけでキュンキュンするじゃん。そういう空間にいられるだけで幸せっていうか……。だから、見てよ。みんな彼らの邪魔しないで楽しそうに見てるだけじゃない」
そう言われてみれば、誰も彼らの席に近づこうとする人たちはいない。
一定の距離を保って、その空間に居合わせたことを楽しんでいるみたいだ。
「だから、私たちもそのお裾分けもらおうよ」
「うん、行こう!」
私たちは彼らの視界に入らないようにこっそりと席に着き、彼らの楽しげな会話をそっと聞きながら、食事をとることにした。
「んっ! 美味しいっ! ねぇ、理央くん」
「んっ! すっごく美味しいっ!!」
可愛らしい声が聞こえてきて思わず頬が緩む。
私たちの周りに座っているフランス人たちには彼らの可愛い会話の意味はわかっていないだろうに、みんな笑顔になっている。
『あの……もしかして、日本語わかるんですか?』
気になって隣にいた人に尋ねてみたけれど、
『いいえ、わからないわ。でも、彼らの表情を見ているだけで癒されるの。言葉なんて必要ないって思えるくらいにね』
と笑顔で返ってきた。
ああ、確かにそうかも。
あれだけ嬉しそうな顔をしているのを見るだけで幸せだもんね。
自分の食事をとりながらも意識は完全に彼らに向いたまま。
それでも私と亜子から笑顔は消えなかった。
ロレーヌ家の総帥が仲間の一人にメルヴェイユを買ってくるように頼むのが聞こえた。
あんなに甘いものを総帥が? と一瞬思ってびっくりしたけど、どうやらあの可愛いコートを着ている彼らへの贈り物らしい。
すぐに用意されたメルヴェイユに可愛いコートを着た子たちが次々に手を伸ばす。
「んんっ!!! なに、これ! すごいっ! 美味しいっ!!」
「溶けて無くなっちゃったっ!!」
「ふふっ。本当に蕩けていきますね」
「うん、いちごすっごく美味しいっ!!」
きゃー、なにこの子たち。
すっっっごく、可愛いっ!!!!
身体全身からおいしさ表現してるし、何より表情が可愛い!!!!
ってか、メルヴェイユってそんなに美味しいものだっけ?
「ねぇ、メルヴェイユ。食べたくならない?」
「私も今そう思ってた!」
「私ちょっと買いに行ってくる!!!」
そういうと亜子は一目散にメルヴェイユが売っている店に駆け出して行った。
私はその間もずっとCMのような可愛い食べっぷりに癒されながら、冷えてしまったプレッツェルを美味しく食べていたら、それからしばらくして髪も乱れてボロボロになった亜子が戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
「メルヴェイユのお店に、人が殺到してて……っ」
「えっ? じゃあ買えなかったの?」
「ううん、それは必死に死守した!!!」
そういうと上着の中から小さな紙袋を取り出して勝ち誇ったように見えた。
「おおー!! 亜子、やるじゃん!!!」
「ふふっ。食べよ、食べよ!!」
紙袋から出てきたのは少し崩れたメルヴェイユだったけれど、それも勝ち取ってきた証。
二人でそれを紙袋から摘んで取り出し、一緒に口に放り込んだ。
「んんっ! あま~いっ!!
「ほんと、溶けて無くなる~!!!」
本当に幸せのお裾分けをもらっちゃったな。
ああ~、本当に幸せ。
この幸運に感謝しながら、私はもう一つメルヴェイユを口に放り込んだ。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「莉緒ーーっ! ああ、なんか買ってる! いいのあった?」
「うん。素敵なペンダント見つけたんだ!」
「ええー、すごい。高かったんじゃない?」
「うん。でも記念になると思って」
「そっか。莉緒が満足したならよかった。私も可愛いクリスマス飾り見つけたんだ! ほら」
嬉しそうに買ったものを見せてくる亜子を見ながら、さっきのことは何も言わずにいた。
だって、大切な思い出だし。
それに……彼らの邪魔をしたくない。
「ああー、買い物も満足したし、そろそろ何か食べない?」
「うん、いいねー。ずっといい匂いしてたからお腹空いてたんだ」
「ふふっ。私も。行こう! 行こう!」
フードエリアに行くと、そこかしこからいい匂いが漂ってきて、お腹もぐーぐー鳴ってしまう。
「ねぇ、やっぱりおっきなソーセージは欠かせないでしょ?」
「うん。でもちょっと外で食べるのは恥ずかしくない?」
「なーに言ってんの! そんなこと気にしてるの、莉緒だけだって。ほら、見てみなよ」
そう言って周りを見ると、綺麗な女の人も何も気にせず美味しそうにおっきなソーセージを頬張っているのが見える
「ほ、ほんとだ」
「でしょう? せっかく来たんだし。好きなものをいっぱい食べようよ」
確かに。
もう二度と会わないだろう人たちに遠慮することもないか。
そう思い直し、大きなソーセージが乗ったホットドックとたっぷりとチーズがかかったラクレット。
それにトマトやオリーブが乗ったプレッツェルを頼み、二人で両手に荷物を抱えながら席を探した。
「ああー、やっぱり席を先に確保しておくべきだったよね」
そう言いながらも、流石に日本のように荷物を席に放置して食事を選びに行くわけにもいかない。
そんなことをしたら数分も経たないうちに荷物が無くなるに決まってる。
「仕方ないよ。回転も早そうだし、ちょっと待ってれば席も空くって」
そう言いながら辺りを見回していると、少し離れた場所にキラキラしたオーラを放つ集団がいるのを見つけた。
「あ、あれ……」
「何? 莉緒、どうかした?」
「いや、あそこ」
私の視線の先には、さっき助けてくれたイケメンとその仲間たちが楽しそうに食事をしているのが見える。
「ええーっ、あの人たち? うそーっ、うちらめっちゃラッキーじゃん!!」
分かりやすく喜びを表す亜子を見ながらも、私はさっきの邪魔をしてはいけない雰囲気を思い出す。
昼間会った時はロレーヌ家の総帥とその人が連れていた可愛らしい男の子とイケメン日本人と可愛い男の子の二組ばかり目がいってたけど、さっきのでみんながカップルなんだって思い知らされたし。
本当に邪魔だけはしないようにしないと。
「ねぇ、あそこ二つ席が空いてるから行こうよ! あそこならあの人たち見ながら食べられるかも!」
「ちょっと待って、亜子!」
「何? どうしたの?」
「あの人たち、みんなカップルなんだってば。だから、せっかくのデート邪魔しちゃダメだよ」
「ええ? そんなのわかってるって」
「へ?」
「昼間のやつでわかってるってば。」
「えっ? なんで?」
「だって、あれだけイチャイチャしてたじゃん。それに周りに牽制しまくってたし。ロレーヌ総帥とその彼に夢中だった莉緒は気づいてなかったかもだけど、他のみんなもキスしたり、ハグしたりしてたよ」
「ええーーっ、ほんと?」
「うん、でもイケメンたちがイチャイチャしてるのって見てるだけでキュンキュンするじゃん。そういう空間にいられるだけで幸せっていうか……。だから、見てよ。みんな彼らの邪魔しないで楽しそうに見てるだけじゃない」
そう言われてみれば、誰も彼らの席に近づこうとする人たちはいない。
一定の距離を保って、その空間に居合わせたことを楽しんでいるみたいだ。
「だから、私たちもそのお裾分けもらおうよ」
「うん、行こう!」
私たちは彼らの視界に入らないようにこっそりと席に着き、彼らの楽しげな会話をそっと聞きながら、食事をとることにした。
「んっ! 美味しいっ! ねぇ、理央くん」
「んっ! すっごく美味しいっ!!」
可愛らしい声が聞こえてきて思わず頬が緩む。
私たちの周りに座っているフランス人たちには彼らの可愛い会話の意味はわかっていないだろうに、みんな笑顔になっている。
『あの……もしかして、日本語わかるんですか?』
気になって隣にいた人に尋ねてみたけれど、
『いいえ、わからないわ。でも、彼らの表情を見ているだけで癒されるの。言葉なんて必要ないって思えるくらいにね』
と笑顔で返ってきた。
ああ、確かにそうかも。
あれだけ嬉しそうな顔をしているのを見るだけで幸せだもんね。
自分の食事をとりながらも意識は完全に彼らに向いたまま。
それでも私と亜子から笑顔は消えなかった。
ロレーヌ家の総帥が仲間の一人にメルヴェイユを買ってくるように頼むのが聞こえた。
あんなに甘いものを総帥が? と一瞬思ってびっくりしたけど、どうやらあの可愛いコートを着ている彼らへの贈り物らしい。
すぐに用意されたメルヴェイユに可愛いコートを着た子たちが次々に手を伸ばす。
「んんっ!!! なに、これ! すごいっ! 美味しいっ!!」
「溶けて無くなっちゃったっ!!」
「ふふっ。本当に蕩けていきますね」
「うん、いちごすっごく美味しいっ!!」
きゃー、なにこの子たち。
すっっっごく、可愛いっ!!!!
身体全身からおいしさ表現してるし、何より表情が可愛い!!!!
ってか、メルヴェイユってそんなに美味しいものだっけ?
「ねぇ、メルヴェイユ。食べたくならない?」
「私も今そう思ってた!」
「私ちょっと買いに行ってくる!!!」
そういうと亜子は一目散にメルヴェイユが売っている店に駆け出して行った。
私はその間もずっとCMのような可愛い食べっぷりに癒されながら、冷えてしまったプレッツェルを美味しく食べていたら、それからしばらくして髪も乱れてボロボロになった亜子が戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
「メルヴェイユのお店に、人が殺到してて……っ」
「えっ? じゃあ買えなかったの?」
「ううん、それは必死に死守した!!!」
そういうと上着の中から小さな紙袋を取り出して勝ち誇ったように見えた。
「おおー!! 亜子、やるじゃん!!!」
「ふふっ。食べよ、食べよ!!」
紙袋から出てきたのは少し崩れたメルヴェイユだったけれど、それも勝ち取ってきた証。
二人でそれを紙袋から摘んで取り出し、一緒に口に放り込んだ。
「んんっ! あま~いっ!!
「ほんと、溶けて無くなる~!!!」
本当に幸せのお裾分けをもらっちゃったな。
ああ~、本当に幸せ。
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