イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

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初めてのご馳走

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「――っ! すっごく美味しそうっ!!!」

「家にあった材料で適当に作ったから、そんなに大したものじゃないよ。
あ、苦手な食材とかアレルギーとかあったら、無理して食べなくていいからね」

「苦手なもの? アレルギー? わからないですけど、多分大丈夫です」

「ふふっ。なら、よかった。さぁ、どうぞ召し上がれ」

「はい。いただきます!」

テレビで見るようなキラキラと輝くものばかりでどれから手をつけようか迷ってしまう。
でも、やっぱりこれかな。
俺は目の前で美味しそうな匂いを放っているものに箸をつけた。

びっくりするほど大きくて分厚いハンバーグ!!!

その真ん中に箸を入れると、名からじゅわわっと透明な汁が溢れてきた。

「わっ! 何、これすごいっ!」

初めての感覚に驚きながら、箸で一口に切り分け口に運ぶとじゅわっと美味しい味が口に広がった。

「んんっ! おいひぃっ!!」

これって本当にハンバーグ??

俺が知ってるやつと全然違うんだけど!!

俺はあまりの美味しさにあっという間にハンバーグとご飯を食べ終えてしまった。
他にもスープやサラダまで。

ふぅーーっ。
こんなにお腹いっぱい満足して食べたの初めてだ!!!

「大丈夫? まだ足りないなら、何か作ろうか?」

「だ、大丈夫です。こんなにお腹いっぱい食べたの初めてでこれ以上食べたらお腹がびっくりしそうです」

「そうか、ならよかった。食器を片付けてくるから、理央くんはソファーでゆっくりしておいで」

「あ、俺が洗います。食事作ってもらったのに、何もしないなんて申し訳ないので……」

「大丈夫だよ。洗うのは食洗機がやってくれるしすぐに終わるよ」

そういうと、先生はさっと食器を機械に入れてボタンを押していた。

「ほら、もう終わったよ」

「すごいっ!!」

「ふふっ。私は今から下で仕事をしてくるから、ここでゆっくりしてていいよ。
まだちょっと話を聞きたいこともあるし、仕事が終わったらまた上がってくるから、勝手にどこかに行かないように。わかったかな?」

「はい。わかりました。あ、あの……食事代なんですけど……」

「んっ?」

俺はポケットに移しておいた5000円と残りの小銭を手のひらに乗せ、

「俺、これが全財産で……あんなに美味しいご飯を食べさせてもらったのに申し訳ないんですけど……、これ、受け取ってください」

と差し出すと、先生は俺の顔と手のひらのお金を何度もみて、

「さっきの食事は私が理央くんに食べさせたいと思って作ったものだから、お金なんていらないんだよ。
だから、それは大切にとっておきなさい」

と手をぎゅっと握ってそう言ってくれた。

ああ、本当にこの人優しい人だ。
こんな大人って本当にいるんだな。

先生はソファーの前にあるテーブルにさっきのクッキーやチョコレート、小さなケーキや一粒が大きな葡萄を並べて、

「お腹減ったら好きに食べていいから。飲み物が欲しくなったら冷蔵庫開けて好きなもの飲んでいいからね」

と笑顔で言ってくれた。

「ありがとうございます」

お礼を言うと、先生はにっこりと笑いながら俺の頭をポンポンと撫でて部屋を出て行った。

パタンと扉が閉まり、先生がいなくなると途端にこの広い部屋にいるのが心細くなってなんだか落ち着かない。
美味しそうなお菓子も果物も手を伸ばすのも気が引ける。
柔らかく座り心地の良いソファーも1人で座っているのが申し訳なくなって立ち上がった。

それにしても本当に広い部屋だ。
リビングだけで俺が子どもたちと一緒にいた大部屋くらいありそう。

すると、突然ピーッピーッという音が響き身体がビクッと震えた。
なんの音だろう?

気になってキッチンへ行ってみて、さっきの食器が洗い終わったんだとわかった。
ガチャっと重い引き戸を引くと、熱そうな湯気が出てきてその下には綺麗に洗われた食器があった。

「うわぁーっ、本当に綺麗になってる!!」

ピカピカになっている食器に感動しながら、扉を閉めるとすぐ近くに冷蔵庫が見えた。

喉が渇いたら飲んでいいよと言ってくれていたけれど、勝手に開けるのは気が引ける。
でも、こんな大きな冷蔵庫にどんな飲み物が入っているのかものすごく興味がある。
そんな興味本位で人様の冷蔵庫を開けたりしていいのかと悩んだけれど、見てみたい衝動を抑えきれない。

うん、ちょこっとだけ開けたらすぐに閉めよう。
ちょこっとだけ……。

そーっと扉を開くと、

「わ――っ!」

見たことのないものがいっぱい入っていて、冷蔵庫の中はまるで宝石箱のようにキラキラと輝いている。
その中でも俺の目に飛び込んできたのは一番下の段に置かれた桃やぶどう、リンゴの絵が描かれている小さな瓶。

「これ、綺麗だな」

その中から桃の絵が描かれたものを手に取って見てみたけれど、多分英語じゃないどこかの言葉が書かれている。
なんて書いてあるかは読めないけど、桃の絵が書いてあるからきっと桃のジュースだろう。

外国の桃のジュース……一体どんな味がするんだろう。

――飲み物が欲しくなったら冷蔵庫開けて好きなもの飲んでいいからね

先生もそう言ってたし、一つくらい貰っても大丈夫かな。

「先生、いただきます」

とお礼を言いつつ、俺は冷蔵庫の扉を閉めた。

ソファーに戻り、ドキドキしながら瓶のキャップを外すとフワッと桃の濃い匂いが漂ってきた。

美味しそう~!!

俺はあまりにも美味しそうな匂いにゴクリと喉を鳴らし、我慢ができなくなってそれを口に当て一気に傾けた。

ゴクゴクっと喉を流れていく。
甘い桃の味が美味しいと思ったと同時に、なんだか身体が熱くなっていく。

なに、これ?

俺は急に目の前がフラフラとし出して、そのままソファーに倒れ込んでしまった。
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