イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

文字の大きさ
15 / 90

会いに行きたい!

「わぁーっ!! すごいっ!!」

俺の目の前に運ばれてきたのは、ご飯の上に大きなカツがドーンと乗せられた、お肉がゴロゴロ入ったカレー。
こんなの見たことない!!

「ふふっ。喜んでくれて嬉しいよ。さぁ、食べようか」

そう言われたけれど、凄すぎてどこから手をつけたらいいのかもわからない。
悩みに悩んでカレーに入っている大きなお肉をスプーンで掬った。

目の前に近づいてくるお肉がキラキラと輝いているように見えてゴクリと喉が鳴る。
思い切って口に入れると、あんなに大きなお肉がほろほろと口の中でほぐれていく。

「わっ、なに、これっ!! お肉がすっごく柔らかい!!」

お肉ってこんなに美味しいんだ! 
施設ではお肉なんて食べたこともなかったけど、給食では確かに食べてた。
でも全然違う!!

こんな食感始めてだ!

「カツも美味しいよ。食べてごらん」

そう言われて、フォークで綺麗なカツを刺したらサクッと美味しそうな音が響いた。
もうそれだけでよだれが出そうになる。

中が少しピンク色をしている大きな大きなカツに齧り付くと、びっくりするほど簡単に切れた。

「美味しっ!! 何これ、すごいっ!!」

「ふふっ。これは牛カツ。トンカツもいいけど、牛カツも最高なんだ」

すごい、これが牛カツ……っていうものなんだ……。
生まれて初めて食べた。

カツ自体初めてでずっと食べてみたいって思ってたけど、まさか夢が叶うなんて!
すごく美味しい!!
ああ、俺……幸せだな。

大きなお皿に盛られたカレーと牛カツはあっという間に俺のお腹の中に入っていき、俺の目の前には跡形もなく綺麗さっぱりなくなった空のお皿だけになっていた。

ああ、なくなっちゃった……。

美味しいものってなんでこんなに早くなくなっちゃうんだろうな……。

俺が未練がましく空のお皿を見つめていると、

「ふふっ。美味しかったか? 食べられるならもう一つ注文しようか?」

と凌也さんは言ってくれたけれど、さすがにもう一皿は入りそうにない。

「でも、残しちゃったら勿体無いから……」

「そうか、じゃあまた今度食べに来ような」

また今度……その言葉が俺にとってどれだけ嬉しいか……。
次の約束があるって本当に幸せなことなんだな。

食事を終え、凌也さんの家へと戻るとすぐに買い揃えてくれた教科書を本棚に並べ、パソコンをセットしてくれた。

「よし、これでいい。後で使い方はゆっくり教えるから」

「わぁーっ!」

こんなすごいパソコンが俺のだなんて!!
信じられないっ!

「いきなり根詰めて勉強すると疲れるから、少しずつやるんだぞ。まずはこの教科書からゆっくりみてみるといい」

「はーい」

「じゃあ、私は仕事してくるから」

そう言って凌也さんは俺のおでこにちゅっとキスをして部屋を出ていった。

凌也さんの唇が当たったところが熱い……。
ああ、もう本当に俺……凌也さんが好きなんだ……。



久しぶりに広げてみた教科書はまっさらでインクの良い匂いがした。
勉強できるって幸せだ。

俺は机に座って教科書を必死に読み続けた。
自分の頭の中に新しい知識が増えていくのが面白くて楽しくてたまらなかった。

「……お、理央」

「わぁっ!!」

「おっとっ!」

突然トンと肩に手を置かれてあまりの驚きに椅子から落ちそうになったのを受け止めてくれたのは凌也さんだった。

「ごめん、驚かせたな」

「いえ、俺の方こそ大きな声出しちゃってごめんなさい。それよりも凌也さん……何か忘れ物ですか?」

「んっ? いや、今日の仕事が終わったから上がってきたんだ」

「えっ? もうっ? ついさっき下にいったばかりですよ??」

「えっ? 理央、ほらみてごらん。さっきから3時間は経ってるよ」

「えーっ!!」

凌也さんの言葉に驚きすぎて、見せてくれた腕時計をもう一度確かめてみたけれど、本当に3時間半近く経ってる……。

「すごいな、それほど集中してたのか」

「久しぶりの教科書が楽しくてつい……」

「そうか。楽しかったならいいが、あまり無理はするなよ。父さんも言ってたぞ、理央は少し身体が弱ってるって。慢性的な睡眠不足に栄養不足、成長期の身体には相当の無理がかかってる。理央はもう慣れすぎて平気だと思っていても、身体が悲鳴を上げてるんだ。だから、少しずつゆっくり勉強していこう。それだけの集中力があれば、短期間でも十分学力はつくはずだよ」

凌也さんは俺の身体を心配して、こんなにも真剣に言ってくれるんだ。
俺のことこんなに心配してくれる人なんて今までどこにもいなかったな。

「はい。わかりました。俺、無理はしないように……でも精一杯頑張ります」

「ああ、理央。いい子だ」

そう言ってギュッと抱きしめてくれる凌也さんの温もりに俺はいつでもほっとするんだ。

「理央、明日の夜……父さんと母さんが理央に会いたいって言ってるんだけどいいか?」

「えっ! 明日の夜……」

「理央の気が進まないなら他の日にしようか?」

「――っ、ちが――っ! 会いたいです! 凌也さんのお父さんとお母さんにご挨拶したいです!」

「そうか、そう言ってくれて嬉しいけど……ちょっと違う」

「えっ?」

違う……ってどういうこと?

「本当の家族になろうって言ったろう? 私のじゃなくて、理央の父さんと母さんでもあるんだよ」

そう言い直されてじわじわとあったかいものが心に広がっていく。

「俺の……お父さんとお母さんに、会いに行きたいです……」

「ふふっ。よく言えたな。よし、じゃあ明日は家族で外食だな。美味しいものを食べにいこう。
理央は何食べたい?」

「えっ……俺、何も知らないから……」

「そうか、じゃあ肉と魚はどっちがいい?」

「えっ、どう、しよう……えっと、お、魚……食べてみたいです」

「わかった。魚だな。父さんに言っておけば、美味しいところ用意してくれるよ。
明日楽しみにしててくれ」

凌也さんはにっこりと笑って嬉しそうに俺を抱きしめてくれた。
感想 104

あなたにおすすめの小説

別れたはずの元彼に口説かれています

水無月にいち
BL
 高三の佐倉天は一歳下の松橋和馬に一目惚れをして告白をする。お世話をするという条件の元、付き合えることになった。  なにかと世話を焼いていたが、和馬と距離が縮まらないことに焦っている。  キスを強請った以降和馬とギクシャクしてしまい、別れを告げる。  だが別れたのに和馬は何度も会いに来てーー?  「やっぱりアレがだめだった?」    アレってなに?  別れてから始まる二人の物語。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。