イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

文字の大きさ
66 / 87
番外編

理央のドレス

しおりを挟む
他のお支度部屋の様子も書こうかなと。
まずは凌也&理央から。
このあとヘアメイク、お着替え編に続きます。


  *   *   *


「ミアさん、悪いがここでしばらく待っていてくれ。あとで声をかける」

「承知しました」

「理央、中に入ろう」

理央は少しミアさんのことを気にしながらも、俺と一緒に部屋の中に入った。

「わぁーっ! すごいっ! お姫さまのお部屋みたい!」

「ふふっ。そうだな」

元から花嫁のための部屋なのだ。
色合いも柔らかな絨毯やカーテンで揃えられたこの部屋は、まさにプリンセスの部屋といっても過言ではない。

ここで理央が俺の花嫁となる支度をするのか……。

ああ、最高だな。
出会ってからこの日をどれだけ夢に見たことか……。

「理央……今日の結婚式の日を無事に迎えられて、俺は嬉しいよ」

「凌也さん、僕もです……」

理央の目が訴えかけているのがわかる。
少し潤んだ瞳で俺を見上げるそれは、理央が俺とキスしたいサイン。

いつもなら焦らしてやるのもいいが、今日は理央が主役の日。
ここは甘く蕩けさせてやろうか。

「理央……」

顔を近づけると、俺の首に腕を回して抱きついてくる。
背伸びをして、目を瞑るその表情がなんとも言えないくらいに可愛い。
ピッタリと隙間なく抱き合いながら、理央の甘くて柔らかな唇に自分のそれを重ねる。

何度も何度も啄むと、当然のようにスッと理央の唇が開く。
そこにさっと舌を滑り込ませると、理央の方から舌に絡みついてくる。

ああ、なんと幸せなことだろう。

こんなにも理央が求めてくれるなんて……。
蕩けさせようと思っていたのに、俺の方が理央にやられそうだ。

でも、こんな日があってもいいのかもしれない。
理央からの愛をたっぷりと感じよう。

歯列をなぞり、唾液を絡め、舌先に吸い付く。

「んん……っん」

可愛い吐息混じりの理央の声にクチュクチュと甘い水音が絡み合う。
流石にそろそろ苦しそうか。

ゆっくりと唇を離すと、理央の目がゆっくりと開いて、恍惚とした目で俺を見つめる。

「理央……っ、愛してるよ」

「ぼくも……あい、してます……」


ああ、本当に俺は幸せだ。
こんなに愛しい相手と結婚できるなんて……

って、そうだ!
花嫁の支度をして撮影をするんだった。

つい、理央の可愛さにながされるところだった。
こんなの悠木に知られたら笑われてしまいそうだ。

理央にはあくまでも冷静を装いながら、

「じゃあ、先にドレスを見せておこう」

というと、恍惚とした目から一気に輝きを増した。

ふふっ。こんなところも実に可愛い。

奥の扉を開け中に入ると、片側の壁一面に大きな鏡が設置されているのが見えた。
これなら理央の可愛いドレス姿をいろんな角度から見ることができる。

ああ、そうだ。忘れないうちにスイッチを入れておかないとな。

ロレーヌ総帥に教えられていた通り、理央の支度部屋にあるスイッチを押すと一斉にカメラが作動したのがわかった。
もちろん理央は何も気づいていない。
この部屋の映像は全て俺だけに送られ、そのあとは全て完全消去となることになっているので問題ない。

ロレーヌ総帥はここで結婚式を挙げると決まってから、映像を残すということにかなりこだわってくれたようでその説明を受けたときには悠木と二人で驚いたものだ。
理央の支度の全容を全て映像として残せるなんて最高としか言いようがない。

「理央のためのドレスはこれだよ」

カーテンを開いて見せると、理央は

「――っ!!!」

言葉もなく茫然とドレスを見つめていたかと思ったら、突然その場に蹲った。

「理央っ!! どうしたんだ?」

いつものように大声をあげて、満面の笑みを見せてくれると思っていた。

――わぁーっ! 可愛いっ!! 凌也さん! ありがとうっ!!

そういって喜んでくれると思ったのに……理央は小さな身体をさらに小さく折り曲げて、身体を震わせ泣くばかり。

「気に、いらなかったか? 思い描いていたドレスと違ったか? ごめん、せっかくの結婚式なのに……」

ああ、俺はなんてことを……。
理央のドレスに対する想いを踏み躙ってしまった。

幼い頃から、いつか王子さまが……とそれだけをただひたすらに思っていただろうに……。

「理央、ごめん……」

「ち、ちが――っ、りょ、うやさん……っ、ちが、うの……ぼく、うれしく、て……」

「えっ? 嬉しい?」

「ぼくが、ずっと、ずっとみてきた、おひめ、さまと……おなじもの、が、めのまえに、でてきて……それ、で、びっくり、して……」

「理央……そうだったのか。ああ、よかった、本当によかった」

「りょう、やさん……あり、が、とう……ぼく、ほんとに……うれしぃ……っ」

理央がずっと大切にしていた絵本でお姫さまが着ていたドレスは、豪華なレースが首元を彩る、少し袖のあるドレス。
ビスチェタイプのドレスだが、それを覆うように上半身には首元までレースが施されているからいやらしさも何もない。
本当に可愛らしい印象のドレスだ。

スカート部分にはふんわりとしたフリルを幾重にも重ねて、まさにプリンセスのドレス。
後ろには腰部分に大きなリボンをつけ、後ろ姿も可愛らしい。
本当に理央にぴったりに出来上がっていたと思っていたから、理央の反応には驚いたが、言葉も出ないほど喜んでくれたのだと思うだけで嬉しくなる。

「これを着て、俺の花嫁になってくれ」

そういうと、理央はキラキラと光る涙をこぼしながら嬉しそうに頷いてくれた。
しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

夜が明けなければいいのに(洋風)

万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。 しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。 そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。 長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。 「名誉ある生贄」。 それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。 部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。 黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。 本当は、別れが怖くてたまらない。 けれど、その弱さを見せることができない。 「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」 心にもない言葉を吐き捨てる。 カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。 だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。 「……おめでとうございます、殿下」 恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。 その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。 ――おめでとうなんて、言わないでほしかった。 ――本当は、行きたくなんてないのに。 和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。 お楽しみいただければ幸いです。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

処理中です...