14 / 121
楽しい昼食タイム
しおりを挟む
「平松くん、こちらにどうぞ」
「あ、はい。ありがとうございます」
名嘉村さんが部屋を出て行って、残された俺はテーブルに案内された。向かい合わせに座っている砂川さんの姿にちょっと緊張しながら、もらったばかりのお弁当箱をテーブルに置いた。
「お弁当楽しみですね」
「は、はい。まさかお昼までお弁当をいただけるなんて思ってなかったので、びっくりしました」
「お昼まで、ってことは……もしかして朝も?」
「はい。来たばかりで朝食がないんじゃないかって心配してくださったみたいでお弁当を持って家まで届けてくださったんです。すごく優しい人ですね」
パンイチで出てしまって醜態を晒してしまったことを思い出すと顔から火が出そうなくらい恥ずかしいけれど、八尋さんは本当に優しかったな。
「ええ、そうですね。でも、八尋さんがお弁当を作って届けたなんて話を聞いたのは初めてですよ」
「えっ、そうなんですか……。じゃあ、もしかして……俺が料理苦手だって気づかれてしまったかもしれないですね。やっぱり料理人さんってすごいですね」
見た目で料理ができるとかわかるのかもな。
俺はずっと自炊なんてしてこなかったし、そんな雰囲気が透けて見えるのかも。きっとそうに違いない。
俺がうんうんと納得しているのを砂川さんはなぜかにっこりと笑って見ていた。
「あ、あの……砂川さんのお弁当は、恋人さんが作ったって……」
「ええ、そうなんです。石垣に住んでいるので、泊まりに行った日は食事を作ってもらうんですが、今日は出勤だったので、お弁当にして持たせてくれたんですよ。たまのことなので、私も楽しみです」
心から幸せそうな表情を見るだけで、砂川さんがどれだけその恋人さんを愛しているかが伝わってくる。
こんなふうに人を好きになれるっていいなぁ。
俺もいつかそんな人と出会えたら……。
そう思った時に、ふと頭に浮かんだのは八尋さんの姿。
あれ?
どうして八尋さんの姿が浮かんだんだろう?
不思議に思っている間に名嘉村さんが戻ってきた。
「すみません。待たせてしまいましたね」
「いいえ、大丈夫ですよ。さぁ、平松くんの横に座ってください」
俺がぼーっとしている間に、砂川さんが温かいお茶を淹れて渡してくれた。
「すみません。上司の方にお茶を淹れていただくなんて……」
「そんなこと気にしなくていいですよ。手が空いている人が淹れた方が効率もいいですし。さぁいただきましょう」
そんな優しい言葉をかけられて、胸が熱くなってしまう。
ここは本当に玻名崎商会とは違うんだ。
あの辛い日々が浄化されそうだ。
隣の名嘉村さんがパカっとお弁当箱を開ける。
「えっ、すごいっ! これが手作りですか?」
「料理は得意なんです。といっても夕飯の残り物とか常備菜を詰めただけですけど。朝作ったのは、この卵焼きくらいですよ」
色とりどりのおかずが詰め込まれて、そのどれもが美味しそう。
別容器に入っているおにぎりも全て味の違う俵形で、中央には海苔も巻いてあって、売り物みたい。自炊のできない俺から見れば、ただただ尊敬しかない。
ポーッと見惚れていると
「そんな褒められると照れますよ。平松くんのお弁当も見せてください」
と声をかけられる。
「あっ、はい」
慌ててお弁当箱を開けつつも、俺もすごく緊張してる。
どんなお弁当なんだろう。
三段重ねになっているお弁当箱はおかずとご飯と汁物に分かれているみたいだ。それだけでもうすごい。
ドキドキしながらおかず箱を開ける。
「わぁっ! すごいっ!!」
あまりにも手の込んだ料理に驚いてしまった。
昨日食べて美味しかったものや、初めて見るものも入っているけどどれもが食欲をそそる。
「わぁー、美味しそう! さすが八尋さんですね」
「ええ、本当に。彩りも栄養バランスもバッチリですね。こちらの汁物は何が入っているんでしょうね?」
そんな砂川さんの声に押されるように汁物の容器を開けると、みたことのないスープに驚いてしまう。
「これは、なんですか?」
「これはもずくですよ。海藻なんですが、天ぷらにしたりスープに入れたり美味しいですよ」
「へぇー、知らなかった……」
ご飯を開けると炊き込みご飯が入っていて、それがジューシーと呼ぶことも教えてもらった。でもどれも美味しそうで涎が出てきそう。
「砂川さんのお弁当も見せてください。伊織さんの気になるなぁ」
伊織さんって、恋人の名前かな。
きっと可愛い人なんだろうな。
「きっと私の好きなアレが入ってますよ」
そう自信満々に開けた砂川さんのお弁当には可愛いオムライスがお弁当の半分を占めていて、残りのスペースには小さなハンバーグやエビフライなんかが入っていて、まるでお子様ランチのような可愛らしいお弁当だった。
「可愛いっ!」
「ありがとうございます」
思わず漏れ出た言葉に砂川さんは満面の笑みで答えてくれる。
「私、卵が好きなんです。だから、お弁当にはよくオムライスを入れてくれるんですよ」
「へぇー、お弁当にオムライスって手がこんでいて愛情感じますね」
「そうですね。じゃあ、いただきましょうか」
こんな和気あいあいと職場で昼食がとれるって……本当、最高だな。
俺は、八尋さんに感謝しながらお弁当に箸を入れた。
「あ、はい。ありがとうございます」
名嘉村さんが部屋を出て行って、残された俺はテーブルに案内された。向かい合わせに座っている砂川さんの姿にちょっと緊張しながら、もらったばかりのお弁当箱をテーブルに置いた。
「お弁当楽しみですね」
「は、はい。まさかお昼までお弁当をいただけるなんて思ってなかったので、びっくりしました」
「お昼まで、ってことは……もしかして朝も?」
「はい。来たばかりで朝食がないんじゃないかって心配してくださったみたいでお弁当を持って家まで届けてくださったんです。すごく優しい人ですね」
パンイチで出てしまって醜態を晒してしまったことを思い出すと顔から火が出そうなくらい恥ずかしいけれど、八尋さんは本当に優しかったな。
「ええ、そうですね。でも、八尋さんがお弁当を作って届けたなんて話を聞いたのは初めてですよ」
「えっ、そうなんですか……。じゃあ、もしかして……俺が料理苦手だって気づかれてしまったかもしれないですね。やっぱり料理人さんってすごいですね」
見た目で料理ができるとかわかるのかもな。
俺はずっと自炊なんてしてこなかったし、そんな雰囲気が透けて見えるのかも。きっとそうに違いない。
俺がうんうんと納得しているのを砂川さんはなぜかにっこりと笑って見ていた。
「あ、あの……砂川さんのお弁当は、恋人さんが作ったって……」
「ええ、そうなんです。石垣に住んでいるので、泊まりに行った日は食事を作ってもらうんですが、今日は出勤だったので、お弁当にして持たせてくれたんですよ。たまのことなので、私も楽しみです」
心から幸せそうな表情を見るだけで、砂川さんがどれだけその恋人さんを愛しているかが伝わってくる。
こんなふうに人を好きになれるっていいなぁ。
俺もいつかそんな人と出会えたら……。
そう思った時に、ふと頭に浮かんだのは八尋さんの姿。
あれ?
どうして八尋さんの姿が浮かんだんだろう?
不思議に思っている間に名嘉村さんが戻ってきた。
「すみません。待たせてしまいましたね」
「いいえ、大丈夫ですよ。さぁ、平松くんの横に座ってください」
俺がぼーっとしている間に、砂川さんが温かいお茶を淹れて渡してくれた。
「すみません。上司の方にお茶を淹れていただくなんて……」
「そんなこと気にしなくていいですよ。手が空いている人が淹れた方が効率もいいですし。さぁいただきましょう」
そんな優しい言葉をかけられて、胸が熱くなってしまう。
ここは本当に玻名崎商会とは違うんだ。
あの辛い日々が浄化されそうだ。
隣の名嘉村さんがパカっとお弁当箱を開ける。
「えっ、すごいっ! これが手作りですか?」
「料理は得意なんです。といっても夕飯の残り物とか常備菜を詰めただけですけど。朝作ったのは、この卵焼きくらいですよ」
色とりどりのおかずが詰め込まれて、そのどれもが美味しそう。
別容器に入っているおにぎりも全て味の違う俵形で、中央には海苔も巻いてあって、売り物みたい。自炊のできない俺から見れば、ただただ尊敬しかない。
ポーッと見惚れていると
「そんな褒められると照れますよ。平松くんのお弁当も見せてください」
と声をかけられる。
「あっ、はい」
慌ててお弁当箱を開けつつも、俺もすごく緊張してる。
どんなお弁当なんだろう。
三段重ねになっているお弁当箱はおかずとご飯と汁物に分かれているみたいだ。それだけでもうすごい。
ドキドキしながらおかず箱を開ける。
「わぁっ! すごいっ!!」
あまりにも手の込んだ料理に驚いてしまった。
昨日食べて美味しかったものや、初めて見るものも入っているけどどれもが食欲をそそる。
「わぁー、美味しそう! さすが八尋さんですね」
「ええ、本当に。彩りも栄養バランスもバッチリですね。こちらの汁物は何が入っているんでしょうね?」
そんな砂川さんの声に押されるように汁物の容器を開けると、みたことのないスープに驚いてしまう。
「これは、なんですか?」
「これはもずくですよ。海藻なんですが、天ぷらにしたりスープに入れたり美味しいですよ」
「へぇー、知らなかった……」
ご飯を開けると炊き込みご飯が入っていて、それがジューシーと呼ぶことも教えてもらった。でもどれも美味しそうで涎が出てきそう。
「砂川さんのお弁当も見せてください。伊織さんの気になるなぁ」
伊織さんって、恋人の名前かな。
きっと可愛い人なんだろうな。
「きっと私の好きなアレが入ってますよ」
そう自信満々に開けた砂川さんのお弁当には可愛いオムライスがお弁当の半分を占めていて、残りのスペースには小さなハンバーグやエビフライなんかが入っていて、まるでお子様ランチのような可愛らしいお弁当だった。
「可愛いっ!」
「ありがとうございます」
思わず漏れ出た言葉に砂川さんは満面の笑みで答えてくれる。
「私、卵が好きなんです。だから、お弁当にはよくオムライスを入れてくれるんですよ」
「へぇー、お弁当にオムライスって手がこんでいて愛情感じますね」
「そうですね。じゃあ、いただきましょうか」
こんな和気あいあいと職場で昼食がとれるって……本当、最高だな。
俺は、八尋さんに感謝しながらお弁当に箸を入れた。
268
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる