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【Cheminée en chocolat】に行こう! <side晴>

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隆之さんと教授との久しぶりの再会
そして、早瀬さんの話をゼミのみんなに聞かせたいっていう教授の気持ち
何より隆之さん自身が行きたい気持ちがあるかもしれないのに、
これを全部奪って僕の気持ちだけを優先させる……そんなことして良いわけない。

僕は何もいえずにただ黙ってしまった。

「じゃあ、今日思ったことを全部早瀬さんにぶちまけてみろよ」

「えっ?」

「香月は早瀬さんを絶対に連れて行くって教授に約束したわけでもないし、早瀬さんが行きたいって望んでるかなんてわからないだろ? 話をするだけなんだから、お前の思いも一緒に伝えたら良いじゃないか!」

そっか。
そうだよね。
思ったことはなんでも話して欲しいって言われたし、僕がいろいろ悩んだってわからないことだらけだし、隆之さんに話してみるのが良いのかもしれない。

「うん。ありがとう、前澤くん。今日早瀬さんに話してみるよ。もしかしたらモヤモヤした理由も分かるかも」

「ああ。分かると良いな。どっちにしても連絡してくれよ」

「わかった。ありがとう!」

前澤くんは僕に微笑みながら、家の方角へと歩いて行った。

僕は駅へと向かう道すがら、まず隆之さんにメッセージを送った。

《今さっきゼミの集まりが終わって、駅に向かってるところです。長谷川さんとの予定が決まったらまた連絡しますね》

これでよし!と。

僕はスマホをバッグに仕舞って、駅へと急いだ。

駅についてから、電光掲示板の時刻表を見ながら長谷川さんにメッセージを送ろうとスマホを見たけれど、さっき隆之さんに送ったメッセージの返事はまだ来ていなかった。
既読にもなっていないから、仕事中なのだろう。

《今、桜城大学前の改札にいます。待ち合わせ場所は何処にしますか?》

長谷川さんにメッセージを送ると瞬く間に既読になったかと思ったら電話がかかってきた。

ーもしもし

ーああ、香月くん。長谷川だけど、今電話いいかな?

ーはい。大丈夫です。今日はこれから何処に向かったら良いですか?

ーそうだな。俺ももうすぐ仕事が終わるからフェリーチェに来てもらってもいいか? ロビーで待っててくれたらすぐ行くから!

ーわかりました。

ー大丈夫? うちの会社の場所は覚えてる?

ーはい。京環けいかん線の御坂橋みさかばし駅の目の前でしたよね。

ーそうそう。そこからなら15分もあれば着くはずだから。気をつけてきてよ。

ーはい。ありがとうございます。着いたら連絡しますね。


ここ最近いろんな企業さんに伺う機会があったけれど、どの会社もロビーはその会社の顔というだけあって、特色がよくでている。
リュウールさんはロビー中が上品な香りが漂っていて、考えてみれば万人が不快に感じない香りってすごいよね。

フェリーチェさんのロビーにはパンの歴史館のようなものがあって、歴代人気のあったパンたちが並んでるんだって。
この前行った時は時間がなかったから見られなかったんだよね。

今日は長谷川さんを待ってる間に見られるかも……。

僕は隆之さんに対するさっきまでのモヤモヤした気分も忘れて、少しウキウキしてICカードでピッと当てながら改札を通った。

タイミングよく、御坂橋駅まで行く電車はすぐに来た。
ラッシュの時間より早い時間のせいか、席は空いていたけれどどうせたった3駅だし、こっち方面の電車に乗ることはあまりないから景色を眺めている方が面白い。

あっという間に御坂橋駅に到着した。
改札を通り、東口にでると目の前に大きなビルが現れた。

存在感はあるのに威圧感のない、そんな佇まいがさすが老舗だと思わせてくれる。

僕は導かれるようにそのビルに向かって歩いた。

ロビーに入ると、開放感のある大きな窓に目を奪われた。

鮮やかなグリーンの観葉植物もセンスよく配置され、アイボリーのソファーが柔らかな印象を与えている。

僕はそのソファーに腰を下ろし、まず隆之さんにメッセージを送った。
さっき送ったのはまだ既読になっていないけれど、連絡はしておかないと!

《今、フェリーチェのロビーで長谷川さんが来るのを待っているところです。またあとで連絡しますね》

次は、長谷川さんだ。

《今、ロビーに着いてソファーに座っています。待っている間、パンの歴史館楽しませていただきますね!》

これでよし!と。

立ち上がって、歴史館のところへ行こうとすると、受付の方から大声が聞こえてきた。

んっ? なんだろう? トラブルかな?

“Spric誰かht irgendwerドイツ語を話せる Deutsch人はいないのか?”

あっ、あの人……ドイツの人なんだ。

受付の方たちも困っているみたいだ。
僕で役に立てるなら良いんだけど……と思いながら、僕は彼に近づいていった。

Halloこんにちは 僕で良かったらお話し聞かせていただけませんか?”

Oha! Engelおお、天使だ!! それに綺麗なドイツ語を話してる! 君は一体何者なんだ?”

“突然ごめんなさい。僕は桜城大学の学生です。ドイツ語が聞こえたのでつい……ご迷惑でしたか?”

“いやいや、声をかけてもらえて助かったよ!
実はここにパンの博物館とやらがあると聞いて来たんだが、勝手に入って良いものかわからなくてこの受付の子に聞いていたんだが、言葉が通じなくて困っていたんだ”

“ああ、そうだったんですね。ここのパンの歴史館は誰でも自由に入れることになっていますよ。僕もちょうど入ろうと思っていたので、よかったら一緒に見て回りませんか?”

“良いのかい? 是非頼むよ!”

さっきまでの困り顔が嘘のように、彼の顔は笑顔を浮かべていた。

僕は受付の女性に今の流れを手早く説明すると、彼女は『ありがとうございます!』と御礼を言って、僕たちをパンの歴史館の前まで案内してくれた。

彼女は一緒に回ろうとしていたけれど、彼の様子からゆっくりじっくり見たいというのが感じ取れたので、僕が説明するので大丈夫ですと声をかけ受付に戻ってもらった。

フェリーチェが国内で初めて作ったパンを模して作られた食品サンプルとその当時の写真、そして、完成までの道のりを説明してある文章をドイツ語に変換し説明していくのは、大変だったけれど彼の反応が真剣で一緒に見られてとても楽しかった。

他にも今までで人気があったものや、期間限定として売られていたもの、挑戦したけれどあまり売れ行きの良くなかったものまで並べられていて、とても満足できる歴史館だった。

“君のおかげでわかりやすくて楽しかった! ここで君に出会えたことは私の運を全て使い果たすほどの幸運だったよ、ありがとう!”

“いえ、僕もあなたと一緒に見られて良かったです! 僕こそ、ありがとうございます”

“そういえば、君の名前を聞いてなかったね! 私はテオドール、テオと呼んでくれ”

“僕は……”


「香月くん!!」

僕が名前を言う前にロビー中に長谷川さんの大きな声が響き渡った。

長谷川さんは足早に僕に駆け寄ってきて、

「香月くん、この方と知り合いなのか?」

と尋ねてきた。

この方って、テオさんのことだよね?

「知り合いというか、さっき、ロビーでお会いして一緒にこのパンの歴史館を拝見してたんですよ」

僕は隣にいるテオさんにも説明した。

“この方はこの会社の営業部長さんで、長谷川さんと仰います”

すると、テオさんは柔かな笑顔を浮かべ、

「君は本当に美しいドイツ語を話すんだな」

と滑らかな日本語を話した。

「えっ? テ、オさん……? もしかして、日本語話せるんですか?」

えっ? どういうこと?
さっきの受付では日本語わからないみたいだったけど……。

「香月くん、だったか? 騙すつもりはなかったんだが……結果として騙してしまって申し訳ない」

「い、いえ……それはお気になさらず」

と返しながらも、頭はまだよく働いていない。

長谷川さんはテオさんのことを知ってるみたいだった。
慌ててきたって感じだったよね?
もしかして、テオさんは取引先のお偉いさんとか?
僕が出しゃばったから迷惑かけたりしてないかな……。

「あ、あの長谷川さん……。僕、もしかしてご迷惑かけてしまいましたか?」

「「そんなことはない!」」

「えっ?」

長谷川さんとテオさんの2人から同時に否定されて、思わず驚きの声が漏れてしまった。

「私は君の優しい声掛けが嬉しかったし、あの歴史館で君の話すドイツ語が美しくて説明を聞くのが楽しかったんだ。君と出逢えて幸運だと思っているよ」

テオさんは僕の手を握りしめて、そう話してくれた。

「香月くん、この方はあの【Cheminée en chocolat】のオーナーショコラティエがベルギーで修行したお店のトップショコラティエ テオドール・ボックマンさんだよ」

えーっ!!
トップショコラティエ?

僕は驚きすぎて言葉も出なかった。

目を見開いたままテオさんを見ると、彼は笑顔のまま『うん、うん』と頷いていた。

「そんなに驚いてくれているということは、君は【Cheminée en chocolat】を知っているのかい?」

「は、はい。何度かチョコレートやお菓子を購入したことがあります。とても滑らかで口溶けの良いチョコレートですね」

僕がそう言うと、テオさんは自分が誉められたかのように嬉しそうに笑った。

「いや、香月くんの家で食べさせてもらったあのクーベルチュールが忘れられなくて、
【Cheminée en chocolat】のオーナーショコラティエと話をしたくてアポイントを取ろうとしたんだが、彼の仕事が忙しくてなかなか約束が取り付けられなかったんだ」

そうか、長谷川さん……あの時感動していたもんね。

「ただ、その時に《その代わりと言ってはなんだが自分の師匠が近々来日する予定だから、良ければ彼に話をしてもらえないか。彼が乗り気なら私も考えることとしよう》と言って貰えてね。ただいつ来るかは教えて頂けなくて、お顔の写真だけ頂いていたんだ」

だから、長谷川さんはテオさんの顔だけ知っていたんだ!

「まさか、今日だとは思わなかったから……。でも、香月くんがロビーにいてくれて助かったよ。香月くんがドイツ語話せるなんて知らなかったな」

「僕の母方の祖父がドイツの人なんですよ。長期休暇になると、ドイツに遊びに行ったりしてたので日常会話くらいなら話せますけど、ビジネス会話だと難しいですね」

最近はドイツに行ってないし、日常会話力も落ちてるかもしれないけど……。

「いや、君のドイツ語は発音とアクセントは完璧だし、言葉遣いも綺麗だよ。お祖父さんに大切に育てられたんだね」

不意におじいちゃんのことを誉められて僕は嬉しかった。

「ところで、君は大学生と言っていたね。もしかして、ここに就職するのかい?」

「いえ、僕は長谷川さんに用があってここに来ただけなので」

そう答えると、テオさんはほんの少しガッカリしたように見えたけれど、何かいけないことを言ってしまっただろうか?

「あ、あの彼とは仕事上で偶然知り合いまして、今日は一緒に【Cheminée en chocolat】に食事に行こうと約束をしていたものでここまで来てくれたんです」

「そうなのか! じゃあ、私も一緒に行ってもいいかな? 今日は店を開けていると言っていたから、私も夜に行く予定だったんだよ」

「わぁっ! 良かったですね、長谷川さん。今日こそ【Cheminée en chocolat】のチョコもお料理も召し上がれますね」

「あ、ああ……そうだな」

僕はやっと長谷川さんの願いが叶うんだ! と嬉しくなって声をかけたけれど、何故か長谷川さんは複雑そうななんとも言えない表情をしていて、それがすごく気になってしまった。

「君はもう出られるのかい?」

テオさんが長谷川さんに尋ねると、

「はい。すぐに支度をしてきますので、あちらでお待ちいただけますか?」

長谷川さんはさっきの表情とは打って変わって柔かな笑顔を浮かべソファーを指し示した。

「いや、急がなくても店の方で待ち合わせをしても良いよ。私は彼と一緒に向かっているから」

「いいえ! すぐに用意して参りますのでほんのしばらくだけお待ちください」

丁寧な言葉で笑顔なのに有無を言わさないような圧がかかってる気がする。

そっか……長谷川さん、そんなにみんなで一緒に行きたいんだ。

「じゃあ、テオさんとここで待ってますから長谷川さん行ってきてください。怪我をするといけないので、慌てないで大丈夫ですよ」

そう声を掛けると、

「ありがとう! 香月くん」

と言って足早に去って行った。

「ふふっ。長谷川さん、なんだか子どもみたいでしたね」

「いや、君を前にすればみんなそんな気持ちになってしまうさ」

「えっ? 僕が子どもってことですか?」

「いやっ、ははっ」

テオさんは楽しそうに笑っていたけれど、僕は何で笑っているのか全然分からなかった。

そのあとしばらくドイツの話で盛り上がり、すぐに長谷川さんがやってきた。

「お待たせ致しました。では行きましょうか」

3人で並んでフェリーチェをでてから、大通りの前で長谷川さんがテオさんに尋ねた。

「タクシーで10分ほどですが、タクシーで行かれますか? 歩きだと30分ほどかかりますが歩いて行かれますか?」

「せっかくだから日本を見てみたいし、歩いていくとするか。香月くんは歩きでも大丈夫かい?」

「はい。僕は歩くの好きなので嬉しいです」

笑顔でそう微笑むと、テオさんは嬉しそうに笑った。

「そういえば、ドイツの人ってお散歩好きですよね。僕の祖父も毎日散歩しててドイツに行った時はよく一緒に散歩しましたよ」

『懐かしいなー』と呟くと

「君のおじいさんは幸せだな。こんな可愛い孫と一緒に散歩だなんて、全ドイツ人の夢だよ」

と僕の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。

その大きな手の感触が少し隆之さんに似ている気がした。

Herrボック Bochmannマンさん、【Cheminée en chocolat】に着きましたよ」

長谷川さんの言葉に僕もテオさんも驚いてしまった。

あまりにも3人での会話が楽しくて、30分なんてあっという間だったからだ。

「もう着いたのかい! 君達と話しているとどこまででも歩いていけそうだよ。ははっ」

陽気なテオさんの笑いに僕も長谷川さんも笑ってしまった。

取引先になるかもしれない人の師匠だって言ってたから、最初は緊張していた長谷川さんだったけれど、何てったってあの桜木部長とやり合えるほどの腕の持ち主だもんね。

会話力やコミュニケーション能力が高くて、感動すらしてしまう。

不意に巡ってきた3人での食事会だけど、フェリーチェさんにとっても良い方向に進んでいったら良いな。

「ここに来るのは久しぶりだな。相変わらず、本人と一緒で格好良い店だ」

テオさんは外観を眺めながら、嬉しそうに笑っていた。

「さぁ、入ろうか」

いつ来てもここの扉を開けるのはドキドキしてしまうけれど、今日はテオさんがガチャリと開けてくれた。

そして、『さぁ、どうぞ』とエスコートされるように中に入ると、チョコレートの良い香りが漂っていた。

長谷川さんを見ると、初めての店内の様子に感動しているようだ。

大きく深呼吸したり、あたりをキョロキョロと見回したり大忙しだ。

「ソウスケ!」

テオさんが声をかけた先には、高さのあるコック帽と清潔感溢れる白のコックコートに黒のズボンに身を包んだ背の高い男性が立っていた。

「テオ! 来てくれてありがとう!」

あの人がここのオーナーショコラティエさんか……。
思ってたより、ずっと若そう。
それでこんなにすごいお店作ってるんだから本当驚きだよね。

2人は息も切らさない勢いで喋り続けていたけれど、
オーナーさんの目線が僕の方に向いて、ようやく僕と長谷川さんの存在に気づいたみたいだ。

最初は僕を見てテオさんの友達かと思ったようだけど、長谷川さんの顔を見てわかったみたい。

そういえば、オーナーさんと一度会ったことがあるって言ってたっけ。

「お越しいただきありがとうございます。今日はお食事を召し上がって行かれますか? それとも……」

「お料理をお願いします!」

長谷川さんが必死な形相でそういうと、オーナーさんは『ふっ』と一瞬笑みを浮かべて、

「こちらへどうぞ」

と案内してくれた。

さっきの笑顔……良い感じだったな。
もしかしたら、上手くいくかも!

僕はなんだか無性に嬉しくなって、誰にも気付かれないようにこっそりと小さくガッツポーズをした。

案内してくれた先は、この前隆之さんと食事をした広間ではなく、5名ほどが入れるような個室だった。

うん、ここならゆっくり話もできて良いね。

漏れ聞こえるテオさんとオーナーさんの話に耳を澄ました感じでは、料理はもうすでに決まっているようだった。

オーナーさんは案内をした後、ウェイトレスさんに飲み物の注文だけを取るように指示をして部屋を出て行った。


「香月くん、君は成人しているのかい?」

「はい。21歳です」

「21? 本当に?」

テオさんはよほど驚いたのか、長谷川さんにも本当かい? と尋ねていたけれど、本当だと分かると頭を抱えて驚いていた。

「アジア人は若く見えると言うが、君はその中でも群を抜いているな。見た目も肌もTeenagerティーンそのものだ」

確かに僕は童顔だけど、最近大人っぽくなったと思ってたんだけどな……。
今日の格好、隆之さんに選んで貰えば良かったかな。むぅ……。

まぁ、テオさんのような渋いおじさまから見れば、僕なんかは子どもに見えても仕方ないか……。

そう思いつつも、少し拗ねてしまった僕を宥めようと、テオさんは慌てたように

「あ、いや、君が可愛いからつい言ってしまったんだよ。機嫌なおして、一緒にシャンパンでも飲まないか?」

「あ、香月くんはお酒は……」

「成人してるから大丈夫だろう? 軽いのにしてやるから、一緒に飲もう!」

長谷川さんの制止を遮って、テオさんはさっさとシャンパンを頼んでしまった。

まぁ、軽いって言ってたし大丈夫だよね。

あっ! そういえば、隆之さんに連絡してなかった。

ちょっと席外してメッセージ送っておこうっと。

飲み物が届く前にと、席を中座して部屋を出た。

「すみません、御手洗いはどちらですか?」

近くにいた店員さんに声を掛けると、
『こちらでございます』と丁寧に案内して貰った。

中に入って、急いで隆之さんにメッセージを送った。

《連絡が遅くなってごめんなさい。あれからいろいろあって長谷川さんと、テオドールさんと言うショコラティエの人と一緒に3人で【Cheminée en chocolat】で食事をすることになりました。軽いシャンパンを頼んでくれたので、一杯だけ許してください》

これでよし、と。

スマホを鞄に仕舞って長谷川さんとテオさんの待つ部屋へと向かった。

メッセージを送った瞬間、既読が付いていたことに急いでいた僕は全然気づいてなかった。

部屋の前でちょうど飲み物を持ってきてくれた人とあったので、2人を待たせなくて良かったとホッとした。

シャンパングラスにトクトクと注がれるのがすごく綺麗でつい見入ってしまった。

「さぁ、じゃあ乾杯しよう! 日本での素敵な出逢いに乾杯!!」

テオさんの音頭で食事会が始まった。
なんだかテオさんがドイツの人だと忘れてしまうくらい、流暢な日本語で感激してしまう。

パチパチとグラスの中で弾けるシャンパンにそっと口をつけると、ほんのり洋梨や林檎のような甘味があって、本当に飲みやすい。

これは本当はジュースなんじゃないかと思ってしまうほどだ。
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