イメケンスパダリ弁護士はようやく見つけた最愛と激甘な夫夫生活始めます

波木真帆

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俺が一生守る

安心しきったような顔で俺の腕の中で眠ってくれる理央への途轍もない幸せと同時に、理央を今まで酷い目に合わせてきた奴らへの怒りの感情が入り混じって、俺の心はなんとも言えないもので溢れていた。

理央の誕生日祝いでもしてあげたら喜ぶだろうと何気ない思いつきで父に連絡をした。

事情はこっちにきてから詳しく話すが、うちに酒を呑んで酔っ払ってしまった子がいること。
何かあってはいけないから診てほしいということ。
今日がその子の誕生日だから誕生日ケーキを買ってきてほしいこと。
その子が寝ているかもしれないから家に着いたらチャイムを鳴らさずに連絡してほしいこと。

それらをメッセージで送るとすぐに既読がつき、<わかった>とだけ返事が来た。

理央が寝ている間に来てくれればいいが……と思っていたが、俺の想像を遥かに上回るような速さでやってきた。

スマホに連絡がきてそっと理央のそばから離れ、鍵を開けに向かうとそこには父だけでなく母の姿もあった。

「はっ? なんで母さんまで?」

久嗣ひさつぐさんだけでケーキを選べるわけないでしょう? だから私のおすすめのケーキ屋さんに行ってきたのよ。わざわざ選んできたのに、私が来ちゃ迷惑だったのかしら?」

いろいろ面倒くさいから今日は父さんだけがよかったんだけど、確かに俺と同じ甘いものがあまり得意ではない父さんにケーキを選ばせるよりは、母さんの方がまだ理央の好みのケーキを選べるだろう。

「いや、そんなことないよ。ありがとう、母さん」

とりあえず礼をいうと、母さんはにっこりと笑顔になった。

「それでお前が酒を呑ませた子はどこにいるんだ?」

「父さん、言い方が酷いな。不慮の事故だって。2階の寝室にいるよ」

「なんだ、3階のお前の部屋じゃないのか?」

「父さんが入るかと思ってそっちにしといたんだよ。起きたら3階に連れてくよ」

父さんが何か言いたげな目で俺を見ていたけれど素知らぬフリして母さんから受け取ったケーキを冷蔵庫にしまい、理央が寝ている場所へと2人を連れていった。

「寝てるから静かにな」

そっと3人で部屋に入ると、父さんはすぐに理央の手をとって診察を始めた。

俺はその様子を目も離さずにじっと見つめていたが、診察はすぐに終わった。

父さんたちと部屋を出てリビングに案内し、診断結果を聞いたが特に異常はないとのことで安心した。

「だが、不慮の事故とはいえお前の不注意に間違いない。もっと気をつけてやらないと。あの子は酔う酔わないの問題じゃなく、痩せすぎだ。相当栄養状態が悪い。今までどんな食事をしてきたのか心配になるくらいにな。そんな身体にアルコールだなんてとんでもないことだぞ。今日は量も少なかったようだし大丈夫だったが、これからは特に気をつけてやるように」

「ああ、わかってる。今回は本当に俺が悪かったんだ。これからはしっかり気をつけるよ」

何年ぶりかもわからないほどの父からの真剣な説教に俺は頭を下げながら、理央のこれまでのことを両親に話した。

「――大人たちに食い物にされようとしてたところを運よく助け出せたんだ」

「そんなことが……」

母さんは俺の話を聞きながら涙を潤ませていた。
それくらい理央が受けてきたことは酷すぎた。

「それで、お前はあの子をどうするつもりなんだ?」

父さんの目が俺の心を見透かすように見つめてくる。
俺はここで嘘はつかない。

「理央と出会えたことは運命だと思ってる。もうあの施設に返すつもりは微塵もないし、俺が一生守る。
父さんたちはいつかは孫を見たいと思ってるかもしれないが、それは諦めてくれ。俺はもう理央以外とは一生を共に過ごすつもりはない」

キッパリとそう言い切ると、父さんはなぜかにっこりと笑顔を浮かべた。

「えっ?」

驚いて母さんを見ると、母さんもまた満面の笑みで俺を見ていた。

「あの……父さん、母さん……? 許してくれるのか?」

「お前が私たちに助けを求めてきた時点で、理央くんがお前にとって大切な人だとわかってたよ。
そして、ここに来てそれは確信に変わった。理央くんに対するお前の態度を見れば一目瞭然だ。お前が心から愛した子なら私たちが反対する理由もない。お前はとっくに大人なんだからな」

「父さん……」

「だが、今の思いを絶対に忘れるな。あの子を傷つけたり裏切ったりするようなことがあれば、私たちはお前を絶対に許さないぞ」

俺は真剣な表情で見つめる父さんから目を逸らすことなく、

「わかってる。理央が一生幸せに暮らせるよう全力で愛し続ける」

そう言い切った。

「ならいい。お前の愛した子なら私たちにとっても大切な息子だ。元気になったらうちに連れてきなさい」

「ああ、わかったよ」

「ねぇ、凌也。籍はどうするつもりなの?」

突然母さんが話に加わってきたが、そうだな。
それも考えておいた方がいいだろう。

「俺の籍に入れることになるだろうな……」

「えーっ、なんで? 理央くんは私たちの子どもにしたらいいじゃない!」

「母さんたちの? なんでだよ?」

「だって、凌也。理央くんを自分の籍に入れたら独占しそうじゃない。私たちの子どもにすれば、私も思いっきり可愛がれるし……夢だったのよ、可愛い子連れてお買い物行ったり美味しいもの食べに行ったりするの! 凌也はちっとも私に付き合ってくれないし……」

「そんなことで……」

「そんなことって! 私には重要な問題よ!!」

「まぁまぁ、麗花れいかの言い分はともかく……」

父さんが母さんを宥めながら、俺に話しかけてくる。

「理央くんを私たちの籍に入れるのは賛成だ。理央くんにとっても両親ができるのは嬉しいことじゃないか?
それに私たちの財産を理央くんに譲れるし、お前も安心だろう?」

そう言われればそうだ。
理央に俺以外の愛情も与えてあげたい。
それに俺に何かあった時に、理央がまたひとりぼっちになるようなことは避けないとな。
何より父さんがそこまで理央のことを考えてくれていることが嬉しかった。

「わかった。理央にも話をしてその方向で進められるようにしよう」

「きゃーっ! 嬉しいっ!」

ふふっ。一番喜んでるのは母さんだな。
早く対面させてやったら、理央も喜ぶだろうな。

父さんたちを見送って、理央の元へと戻るとまだすやすやと眠っているようだ。
起きたら父さんが置いて行ってくれた薬を飲ませるとしよう。

理央を起こさないように身体を滑り込ませ理央を抱きしめると、理央はふっと笑顔を浮かべ擦り寄ってきた。
ホッとした表情が本当に嬉しい。

こんなにも愛しい存在ができたことに幸せを感じながら、理央が起きるまで抱きしめ続けていた。
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