イメケンスパダリ弁護士はようやく見つけた最愛と激甘な夫夫生活始めます

波木真帆

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ロビーラウンジで

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そろそろ出かける準備をしようと声をかけ、昨日取りに行ってきたあのスーツを理央に見せた。
自分のスーツを嬉しそうに見つめる理央の着替えを手伝ってやる。

ネクタイは俺と同じ結び方にしてやろうか。
ああ、やっぱりこのスーツはよく似合ってる。

ジャケットを羽織らせると、理央は満面の笑みで鏡を見つめていた。

俺の支度も終え、二人で大きな姿見の前に立つと見る人が見ればわかる装いに思わず笑みが溢れる。

あのホテルだからおかしな奴はいないとは思うがこれなら理央が俺のものだとすぐにわかるはずだ。
あとは理央に一人で行動させないようにするくらいか。

理央の可愛らしい顔立ちと雰囲気は男を惑わすが、俺と出会ってから理央はさらに色香を纏うようになった。
俺が溺愛すればするほど理央は色気が増していくのだ。
とはいえ、俺の愛は止められないのだから守るしかない。

理央には俺のそばから離れるなと釘をさしておいたが、

「大丈夫です。僕、迷子になったりしませんから」

と笑顔で見当違いの答えが返ってきてしまった。

まぁいい。
俺が理央から離れなければいいんだ。


着替えを終え、リビングにいる父さんたちに声をかけていこうとすると父さんに呼び止められた。
母さんが理央と話をしてくれているならいいだろうと理央から離れ、

「何かあった?」

と尋ねると、父さんは手に持っていた分厚い御祝儀袋を渡してきた。

「これ、直己くんに渡しておいてくれ」

「ああ、わかった」

「それから、先日提案してくれた医療機器も御祝儀がわりに一新するからって言っておいてくれ」

「かなり大盤振る舞いだな」

「なぁに、理央くんにいい友達を作ってくれるんだから安いもんだよ」

ああ、なるほど。
前に佳都くんを紹介された時、良い子だって気に入ってたからな。

「そうだな、じゃあ、綾城にそう言っとくよ」

「あのホテルは警備も万全だから大丈夫だとは思うが、くれぐれも気をつけろよ」

「ああ、わかってる。父さん、ありがとう」

可愛い理央を心配してくれているのはよくわかってる。
父さんも母さん連れではかなり苦労してるからな。
本当に母さんと理央だけの外出なんて絶対に許すわけにはいかないな。

理央を連れ実家のガレージに行くと、相変わらず父さんのコレクションがたくさん並んでいる。
今ではかなり価値の高いものになっている旧車から最新の外車まであるとあらゆるものが並んでいるのだから車好きが見れば垂涎のお宝だろう。

俺は自分が乗ってきたシルバーの車の助手席に理央を乗せ、結婚式の行われる横浜のホテルを目指した。

綺麗なホテルに感激している様子の理央に、今日の結婚式をあげる教会が佳都くんの思い出のホテルだと教えてやると、なぜか大きな目をさらに大きく見開いて驚いていた。

んっ? 何かおかしなことを言っただろうか?

「佳都、くん?」

理央の口から佳都くんの名前が出て、ようやく理央が驚いている理由がわかった。

俺の親友の綾城は男だから、てっきり相手は女の子だと思っていたんだ。
だから今回の二人は男同士のカップルなのだと詳しく説明してやると、すぐに納得してくれた。
理央にとっては俺が初めての恋人だが、既に両親にも認められているし幸せそのものなのだから、男同士だからと言って嫌悪するはずもない。

それどころか自分達と同じ男同士のカップルだと知ってますます親近感を持ったようだった。
理央が素直な子で本当によかった。

ホテルに到着し、誘導の警備員に今日の結婚式の招待客だと話すと、奥の専用駐車場に入れてくれと案内された。

そこにはおそらく綾城と両親の車だろうか。
ここにもまた高級車が止まっている。
悠木はまだきていないようだな。

それはともかく、こうして専用駐車場が用意してあるのはありがたい。
しかもこの駐車場からロビーまではすぐだ。

指定された場所に車を止め、理央をエスコートしながら降ろしすぐに腰に手を回して抱き寄せた。
これなら誰が見ても俺のものだとわかるだろう。

ロビーに入った瞬間、俺たちに夥しい視線が注がれたことに理央も流石に気づき怯えた様子だったが、心配しないでいいと声をかけてやるとすぐにいつもの理央に戻ってホッとした。
それほど俺に絶大な信頼を持ってくれているのだな。

理央をロビーラウンジへと案内し、手渡されたメニューを理央に見せていると、ロビーの入り口に悠木の姿を見つけた。
隣にいるのが例の悠木の大切な子、空良くんか。
理央と同じようなタイプだな。
佳都くんと一緒に仲良くなれそうだ。

理央は悠木のことを覚えているだろうか?

挨拶するように声をかけると、理央は焦りながらもしっかりと挨拶していた。
あの一点を除いては。

「僕、木坂理央って言います。あの、この前はありがとうございました」

この前の礼が言えたのは偉かったが、名前を間違えたのが残念だったな。
ずっと木坂だったのだからつい口をついて出てしまったのだろうが、これからは観月と呼ぶように練習させておかないといけないな。
悠木の前で観月だと言わせて驚かせたかったのだが、まぁ次の機会にするか。

空良くんは理央が悠木と話すのを聞いて、自分がいた事務所の話だと気づいたようで

「観月先生のおかげで僕、本当に助かりました。ありがとうございました」

ときちんとお礼を言ってくれた。
隣で悠木が愛おしそうに空良くんを見つめている。

ああ、本当に空良くんを想っているのだなと思うと俺まで嬉しくなってしまった。
綾城に続き、俺も悠木もいい子に巡り会えたんだな。


二人をお茶に誘い、理央のためにミルク多めのカフェオレとケーキを頼むと悠木も空良くんのために同じものを頼んでいた。
どうやら空良くんも理央と好みは同じようだ。

ケーキはワゴンでお持ちしますというスタッフの言葉の意味がわかっていなかった理央に、好きなものを選んで良いんだぞと言ってやると空良くんと一緒に喜んでいた。

あの施設にいて満足に食べていなかった理央と、あの事務所でバイト代を搾取され食費を切り詰めていた空良くんならお互いに話も合いそうで一緒に楽しめそうだ。

ワゴンで運ばれてきた6種類のケーキを選べずにいた二人のために悠木がサラッと6種類のケーキ全てを小さなサイズにしてやってくれないかと頼んでやっていた。

ここのホテルならそんな頼みくらい聞いてくれそうだが、理央も空良くんもそんな提案をした悠木のことをキラキラとした目で見つめている。
なんとなく悠木に負けた気がして悔しくなった。
流石にそこは大人げないと思い自分の心の中だけにとどめておくことにしたが、悠木が俺を見て一瞬ニヤリと笑ったからきっと俺の思いに気づかれたかもしれない……。
まぁ、理央に対して狭量になっているのだから仕方ない。
そう思うことにした。
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