イメケンスパダリ弁護士はようやく見つけた最愛と激甘な夫夫生活始めます

波木真帆

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幸せをくれてありがとう

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部屋の前で悠木に声をかけると、出て来た瞬間ジトッと睨んできた。
ああ、もしかして邪魔したかと思ったが、もう教会に行く時間なのだから仕方ないだろう。

俺はちゃんと部屋を出る前に理央とキスしたから充電もバッチリだ。
ふふっ。
悠木は本当に言っていたように空良くんには奥手らしい。
昔のあいつを知っている俺から見れば信じられないな。

教会を前に理央は目を輝かせていた。
これほどの教会は日本中を探してもなかなか見つからないだろうな。

理央とここで挙式できれば一番だが、ここは今日しかあげられない特別な教会だ。
残念だが他の場所を探すしかないだろう。

理央にそういうと、さぞ残念がるだろうと思ったが、

「佳都さんの思い出のホテルなんですよね? 佳都さんも喜んでるだろうなぁ」

と自分のことのように喜んでいる。
そうだ、理央はこういう子だ。
人が喜んでいることをちゃんと祝福してあげられる子なんだよな。

俺たちは俺たちの思い出に残るような教会を見つければいいんだ。
それを探すのもまた楽しい時間になるはずだ。

中に入ると、正面に天井まで届きそうなほど大きなパイプオルガンが目に飛び込んでくる。
きっと晴れの日にふさわしい素晴らしい音色を奏でてくれるのだろうな。

悠木と空良くんは先に綾城の両親の元に挨拶に行ったのか。
俺たちも後で行くとするか。

挨拶を終えたらしい悠木が俺たちに声をかけて来たから、理央の手を引いて綾城の両親の元へと連れて行った。

両親とも晴れやかで嬉しそうな表情をしているところを見ると、佳都くんとの結婚を認めているというよりはむしろ歓迎しているのだろう。

だからこそ、俺や悠木が同じように男のパートナーを連れてきても非難されることもない。
ここでは何も気にせずに堂々と理央を愛でることができる。
俺たちは既に家族なのだから誰にどう思われようが俺は気にしないのだが、理央には受け入れられて祝福されるという場所があることを知っていてもらいたいんだ。

理央はみんなから祝福されて、照れながらも俺の手を離そうとしない。
そう、それでいいんだ。

綾城のお母さんは綾城が佳都くんを独占していると文句を言っているが、綾城の気持ちはよくわかる。
佳都くんにしろ、理央にしろ、母さんたちに奪われたら当分帰って来そうにないからな。

綾城の気持ちがわかる俺としてはとりあえず援護の声を入れておいたが、すぐにそれは綾城のお父さんにバレてしまったようだ。

君も溺愛しているんだろうと言われ、俺は綾城の両親に見せつけるように理央の腰に手を回し、理央が既に観月の籍に入ったと伝えた。

流石にそれには驚いていたが、綾城も同じように佳都くんをおそらく両親の籍に入れることだろう。

理央に挨拶を促すと今度はちゃんと観月理央だと名乗ってくれた。

ああ、やっぱりこの響き最高だな。
そうしみじみ喜びを味わっていると、

「僕……凌也さんのことが大好きです!」

理央はそう高らかに気持ちを伝えてくれた。
思いがけない理央からの愛の告白に頬が緩んでしまったのだが、それを綾城のお父さんにみられてしまった。
ニヤニヤと笑みを零すお父さんに、幸せだと言わんばかりに笑顔で返すと俺の肩をポンと叩きながら

「ご馳走さま」

と小声で返されてしまった。

俺たち3人が揃って男のパートナー、しかも可愛い子を見つけたことに綾城のお母さんは驚いていたが、そもそものきっかけは綾城が佳都くんを見つけたおかげだと話すと、嬉しそうにしていた。

ああ、うちの母さんと何かを企みそうな予感がする。
まずいことを話してしまったかと思ったが、もう後の祭り。
後で綾城たちと話をしておいた方がいいかもしれないな。


挙式が始まると声がかけられ俺たちは案内された席に腰を下ろした。
理央に二人が出てくる場所を教えると、嬉しそうにその扉を見つめている。

正面のパイプオルガンの音色が教会中に響き渡りそろそろかと思っていると、理央が不思議そうな顔でキョロキョロし始めた。
そうか、パイプオルガンの音が気になっているのか。

あそこから出ているんだ、綺麗な音だろうというと、

「天使の声みたいです」

と可愛らしい反応が返って来た。

そんなふうに思える理央の方がよっぽど天使みたいだよと思いながら、俺たちの結婚式でも絶対にパイプオルガンのある教会を探そうと心に誓った。

厳かなパイプオルガンの音を背に綾城と佳都くんが入ってきた。

鼻の下をデレデレに伸ばして隣に立つ佳都くんばかりを見つめながら幸せそうな表情を浮かべる綾城の姿に、思わず笑みが溢れる。

あいつのこんな姿を見られる日が来るとはな……。

第二ボタンに群がる奴らから逃げながら、3人で本当に好きな人にボタンをあげようとかたく約束しあったあの日。
正直言ってそんな日が訪れるとは思っていなかった。
きっと綾城も悠木もそうだろう。

それでも俺はあのボタンに自分の運命を懸けたんだ。

自室の引き出しの奥に隠している小箱の中にあの卒業式の日から閉まったままになっているあのボタン。
忘れることは一度もなかったが、誰かに渡そうと思ったことも一度もなかった。

理央はあれを受け取ってくれるだろうか……。

俺は隣で幸せそうな笑顔で新郎新夫を見つめる理央に笑顔を送りながらギュッと抱きしめた。

綾城と佳都くんの式は人前式のようだ。
二人で夫夫の誓いを述べ、俺たちに永遠の愛を宣言する。

綾城の誓いの言葉はまぁ想像していた通り、佳都くんへの独占欲に塗れた言葉だったが、俺もおそらく人のことは言えない言葉になるだろう。

佳都くんから綾城への言葉は途轍もない愛に満ち溢れていて、ある意味佳都くんからのプロポーズとも言える文言だった。

そりゃあ嬉しいだろうな。
俺もあんなことを理央に言われたら……理央への思いが溢れてしまいそうだ。

俺たち3人はみんな揃いも揃って、イケメンと呼ばれる部類の顔をして、頭も良く、スポーツ万能で実家も金持ち。
そんな全てが揃ったような俺たちの外側だけを見て群がってくる奴らをたくさん見てきた。
俺たちの友達になれば、恋人になれば自分のグレードも上がったような気になっているような奴らにほとほと愛想がついていた俺たちはいつしか本気で好きになれる相手などいないだろうと諦めていたんだ。

誰にも本当の自分なんか晒すことができない。
そう思っていたのに、俺は理央と出会った。
俺の全てをかけて守りたいと思えるような子にようやく出会えたんだ。

ああ、幸せになれてよかったな。
そして、俺にも幸せをくれてありがとう。

そんな気持ちで綾城と佳都くんを見つめていると、そっと目に何かが当てられた。
びっくりして隣を見ると理央が優しい目で俺を見つめながら、涙を拭ってくれていた。

俺は知らない間に涙を流していたみたいだ。

そんな俺にそっと寄り添ってくれる理央の優しさに俺は心を打たれていた。

「理央、ありがとう」

心からのお礼を伝えると理央は嬉しそうに笑った。


その後、二人の結婚指輪の交換になり、理央は羨ましそうに左手の薬指を撫でている。

そうだ、指輪が必要だな。
理央の指に似合う細いリングでも探しに行こうか。

理央にそういうと、嬉しそうに抱きついてきて可愛かった。
ああ、早く指輪をつけさせて俺のものだと見せつけてやろう。

結婚証明書の証人欄に書く名前は悠木と空良くんが選ばれた。
先に結婚式への出席が決まっていたのだから、それでだろう。

理央は並んで名前を書いている二人を見つめている。
大丈夫、次は俺たちの番だ。
俺たちの挙式の時はやっぱり綾城と佳都くんに頼むことになるだろうな。

悠木と空良くんの時は俺たちがしてやろう。

俺たちみんなで幸せになるんだからな。


挙式後、披露宴代わりにみんなで食事をと誘われ、フレンチレストランへと向かう。
理央にとっては初めてのフレンチだな。

ナイフとフォークが心配だが、俺が隣で切り分けてやればなんの問題もない。
それよりも楽しく食事をさせられればそれでいい。

理央はガラス張りのエレベーターから見える景色に感嘆の声をあげているが、今日泊まる予定のスイートはこのレストランよりさらに上階にある。

その頃には日も落ちて夜景の美しさに今よりもっと喜んでくれることだろう。
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