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番外編
特別企画 バレンタインデー当日編 本命チョコ※ <sideヒジリ>
この世界にきて、初めてバレンタインデーをやってみたのはランハートと結婚して5年ほどすぎた頃だったかもしれない。
いつもお世話になっているお屋敷の人や、お店を守ってくれている騎士団の人、それにお父さまやお母さまとお兄さまに感謝の気持ちを伝えたいというのと、何より、本命チョコというものをランハートにあげたかったから。
それでも、最初の年は大変だった。
ランハートだけ特別仕様だというのは喜んでくれていたけれど、僕がみんなに、特に騎士団の人たちに手作りのお菓子をあげるというのをランハートが嫌がって……納得してもらうのに、三日位愛され続けたっけ……。
しかも配りに行く時はランハートに抱っこされたまま、手渡すのもランハートで……僕はお礼をいうだけ。
それでもみんな喜んでくれたから嬉しかったな。
それから何年か続けるうちに、ランハートの反応も少しずつ緩和してきて、抱っこされているのは変わらないけれど僕が手渡して声もかけられるようになったんだ。
すごい進歩だよね。
テオが生まれてから、より一層みんなにお世話になっているからその期間はお店もお休みして、バレンタイン用のお菓子作りにかかりっきり。
だって、お菓子作るしか僕にはお礼ができないから。
でも、テオが今日一緒にお菓子を作りたいと言ってくれたのは嬉しかった。
最近綺麗に書けるようになった文字で一生懸命クッキーに名前を書くテオはものすごくお兄ちゃんに見えた。
やっぱりランハートの子どもだな。
横顔を見ると時々ドキッとしてしまう。
ふふっ。ランハートに知られたら怒られちゃうかな。
僕は冷蔵庫のチョコレートケーキを見ながら、ランハートの嬉しそうな顔を想像していた。
翌日、テオには直径8cmくらいのチョコレートケーキを手渡した。
「わぁーっ! 美味しそうっ!! お母さま、ありがとう!!」
中にアプリコットジャムを塗ったザッハトルテは、テオ用に少し甘いチョコレートで作っているからきっと気に入ってくれるだろう。
ギュッと僕に抱きついて、
「ねぇ、お母さま、食べさせて」
と甘えてくるテオは本当に可愛い。
テオの隣に座り、あーんして食べさせる姿をランハートは何も言わずただじっと見つめている。
あーあ、このあとちょっと大変になりそうだな……。
そんな予感はやっぱり当たったみたいだ。
テオがケーキを完食すると、すぐに
「さぁ、ヒジリ。あとは夫夫の時間だ」
と僕を抱きかかえた。
「ええーっ、お父さまっ! ずるいっ! 僕もお母さまともう少し一緒にいたい!!」
「テオ、わがままを言うな。グレイグっ!」
ランハートの声に、グレイグさんがさっと近づいてきてテオに優しく声をかける。
何を言われたのかわからないけれど、テオはすぐに素直になり
「お母さま……寂しいけど、僕いい子だから……行ってらっしゃいする。お父さまと過ごしたら、また僕のところに来てね! 明日は一緒に出かけるんだからね!!」
と必死に訴えかけてくる。
「うん、わかったよ。テオ、ありがとう」
「テオ、さすが公爵家の跡継ぎだ。お父さまも嬉しいぞ」
ランハートはそういうが早いか、すぐに部屋を出て僕たちの寝室へと駆け込んだ。
「ヒジリ……昨夜は其方に触れるのを我慢した私を褒めてくれるか?」
「ふふっ。偉かったね、ランハート。今日はいっぱい愛して……」
「ああっ! ヒジリっ!!」
ランハートからの熱烈なキスを受けながら、僕はあっという間に一糸纏わぬ姿にされ、そのままベッドに押し倒された。
「ヒジリ……身体中、甘い匂いがする……。このまま食べてしまいたくなるな」
「いいよ。ランハート、いっぱいたべて……っ」
「ヒジリっ!!!」
「ああっんっ!!!」
テオに授乳してから大きくなってしまった乳首……ランハートは嫌がるかと思ったけれど、逆にお気に入りになったようでかなり執着している。
もうとっくに授乳も終わっているからミルクが出ることはない……と思うんだけれど、毎回甘くて美味しいと言いながら吸っているから、もしかしたら出ているのかも、しれない……わかんないけど。
僕はランハートに乳首を吸われるたびに僕のささやかなモノが熱を帯びてくる。
「ら、んはぁとぉ……っ、も、う……っ、ぼ、く……」
「ふふっ。感じているのか? 本当にヒジリは可愛い」
僕のおねだりに応えるように、ランハートが乳首から口を離して、僕のモノに触れてくれる。
「ひゃぁん……っん」
「もう、すぐにイってしまいそうだな」
「だ、ってぇ……っ、らん、はぁとのてが……きもち、いぃからぁ……」
「そうか。私の手が好きか」
「ちが――っ、らん、はぁとが……すきぃ……っ、だい、すきぃ……っ」
「――っ! ヒジリっ!!!」
「ひゃぁ――あっ!!!」
一気に激しく扱かれて、僕はあっという間に蜜を吐き出した。
ランハートはその蜜を手のひらに纏わせると、そのまま自分の大きなモノに擦り付けた。
「ヒジリ、挿入るぞ」
まだ解されてもいないけれど、僕のお尻はランハートのモノの侵入を拒むことはない。
だって、もうずっとランハートの大きなモノを受け入れているんだもん。
お尻の割れ目に擦り付けられるだけで、中がキュンキュンと疼く。
ランハートがググッと力を入れ、押し込むだけでスルスルとあの大きなモノを飲み込んでいく。
「ああっ……っ、きもち、いぃ……っ」
「ヒジリっ……ああ、最高だ! ヒジリの中が吸い付いてくる……っ」
「ら、んはぁとぉ……い、っぱい、うご、いてぇ……っ、お、く……こすってぇ……っ」
「ああ、いっぱい気持ちよくしてやる」
ランハートは僕の腰をしっかりと掴んで激しく腰を動かし、僕の最奥に何度も激しく突き入れる。
「ああっ、ああっ、き、もち、いぃ……ぁ……んっ」
「ヒジリっ! ヒジリっ!! ヒジリは私のものだ!!!」
「あぁっ、はげしぃ……っ、あぁっ、すごぃ……きもちぃ……っああっん、も、う……っ、イくぅ……っ!!」
何度も何度も激しく奥を攻められ、僕は二度目の蜜を放った。
「ヒジリ……心の底から愛してる……」
ランハートの甘い愛の言葉を聞きながら、僕は意識を手放した。
「ヒジリ……おはよう」
目を覚ました僕の目に飛び込んできたのは、嬉しそうなランハートの顔。
「もう、おきてたの……?」
「ああ、ヒジリが可愛くて寝顔を見ていた」
「いいかげん、あきない?」
「ふふっ。私がヒジリに飽きるなど、この世界が終わってもあり得ないな。わかっているだろう?」
「ふふっ。そうだね。ねぇ、ケーキたべない?」
「そうだな、そろそろヒジリの愛のケーキをいただくとしようか」
ちょっと待っていてくれと言って僕にキスをして、寝室を出たランハートはすぐにケーキを持って戻ってきた。
「私にももちろん食べさせてくれるのだろう?」
「ふふっ。あの時、テオに嫉妬してたの?」
「ああ、だが同じフォークは使わせなかっただろう? 同じのを使っていいのは私だけだからな」
そう。
フォークだけでなく同じカトラリーを使うのは身体の関係がある証拠。
それを知った日から、僕はランハートとしか同じものは使わない。
「ランハート、あ~んして」
子どものような笑顔を見せながら、口を大きく開けるランハートは本当に可愛い。
パクリと口に入れると、一気に破顔する。
「これはまた、美味しいな。甘すぎず、私好みの味だ」
「ランハート用の特別だからね」
「そうか、特別か……。ふふっ、その響きはいいな」
「僕にも食べさせて」
「ああ、ヒジリ……あ~ん」
同じフォークを僕が口に入れると本当に嬉しそうに笑う。
ふふっ。ランハートが可愛すぎて困るな。
その日は夜まで、チョコレートケーキのような濃厚で甘い時間を過ごし、翌朝僕はランハートに抱きかかえられて部屋を出た。
「お父さま、お母さま。おは――あれ? お母さま、お熱があるの? 顔が赤いよ?」
「えっ、ううん。大丈夫、ちょっと暑かったからかな」
そう誤魔化したけど、多分グレイグさんには気づかれてそう。
だって、朝からランハートがイタズラしてくるんだもん。
危うくテオとの約束を破っちゃうところだったよ。
「今日、騎士団に持っていける?」
「うん、大丈夫だよ。お父さまもついてきてくれるって」
「本当? じゃあ、3人でお出かけだね」
嬉しそうなテオを見て、僕とランハートは顔を見合わせて笑った。
うちから騎士団の詰め所までは近いけれど、ランハートが心配してグレイグさんに馬車を用意させていた。
正直言って、昨日は久しぶりに激しかったから歩いて行くのが辛いなぁと思ってたんだよね……。
って、毎年言ってる気がする。
ランハートに抱っこされてるのもそのせいもあるんだもんね。
ランハートが僕を抱っこしてくれているから、騎士団の皆さんに贈るチョコレートマフィンはジョーイさんが大きな籠に入れてついてきてくれている。
騎士団の詰所に着くと、無条件で通してくれる。
一応騎士団長の職はフィンさんに譲ったのだけど、特別な時には呼び出されるし、まだ騎士団に籍があるから当然といえば当然か。
「団長! 団員どもが皆、ご到着をお待ちしておりました」
「やはりわかっていたか」
「もちろんでしょう。世に出ていないヒジリさまのお菓子をいただけるんですよ! 団員たちの中には毎年これを楽しみに訓練に励んでいるものもいるくらいです」
「ふふっ。そうか、ならば今年はもっと喜ぶだろうな」
「それは、どういう意味ですか?」
「いいから、早く団員たちに配らせてくれ」
「は、はい」
ランハートの指示にフィンさんは急いで僕たちを中庭へと連れて行ってくれた。
僕の手間を減らすようにといつもここに全員を集めておいてくれるんだ。
「わぁ、いつも思うけどこうやって騎士さんたちが並んでいるのを見ると壮観ですね。本当にカッコ良いです」
「ヒジリ、私はどうだ? かっこいいか?」
「ふふっ。ランハートが一番かっこいいよ」
そういうと嬉しそうに笑う。
本当にランハートは子どもっぽいところがあって可愛い。
「いつもお店を守ってくれてありがとうございます」
「怪我をしないように気をつけてくださいね」
「訓練頑張ってくださいね」
そんな声かけをしながら、マフィンを手渡していく。
騎士さんたちはみんな嬉しそうに受け取ってくれて嬉しい。
みんな何か返事をしてくれようとして急に黙るのが気になるけど……。
もしかしたら喋っちゃいけないルールとかあったりするのかなぁ……。
騎士団って大変だな。
全てのマフィンを渡し終えると、今度はテオの番。
一人一人名前を呼んで取りにきてもらうようだ。
騎士さんたちは自分の名前の書かれたクッキーに大喜びしてくれている。
テオもすごく嬉しそうだ。
あれ? 騎士さんたちテオにはいろいろ言葉をかけているみたいだな。
子どもだから特別なのかな?
まぁ、テオが喜んでいるからいいか。
あまりにも騎士団の皆さんが大喜びしてくれたから、翌年からバレンタインの贈り物にテオからの贈り物が追加されたのはいうまでもない。
Happy Valentine’s Day♡
* * *
読んでいただきありがとうございます!
思いつきで書いてみましたバレンタインデー特別編。
楽しんでいただけてたら嬉しいです♡
いつもお世話になっているお屋敷の人や、お店を守ってくれている騎士団の人、それにお父さまやお母さまとお兄さまに感謝の気持ちを伝えたいというのと、何より、本命チョコというものをランハートにあげたかったから。
それでも、最初の年は大変だった。
ランハートだけ特別仕様だというのは喜んでくれていたけれど、僕がみんなに、特に騎士団の人たちに手作りのお菓子をあげるというのをランハートが嫌がって……納得してもらうのに、三日位愛され続けたっけ……。
しかも配りに行く時はランハートに抱っこされたまま、手渡すのもランハートで……僕はお礼をいうだけ。
それでもみんな喜んでくれたから嬉しかったな。
それから何年か続けるうちに、ランハートの反応も少しずつ緩和してきて、抱っこされているのは変わらないけれど僕が手渡して声もかけられるようになったんだ。
すごい進歩だよね。
テオが生まれてから、より一層みんなにお世話になっているからその期間はお店もお休みして、バレンタイン用のお菓子作りにかかりっきり。
だって、お菓子作るしか僕にはお礼ができないから。
でも、テオが今日一緒にお菓子を作りたいと言ってくれたのは嬉しかった。
最近綺麗に書けるようになった文字で一生懸命クッキーに名前を書くテオはものすごくお兄ちゃんに見えた。
やっぱりランハートの子どもだな。
横顔を見ると時々ドキッとしてしまう。
ふふっ。ランハートに知られたら怒られちゃうかな。
僕は冷蔵庫のチョコレートケーキを見ながら、ランハートの嬉しそうな顔を想像していた。
翌日、テオには直径8cmくらいのチョコレートケーキを手渡した。
「わぁーっ! 美味しそうっ!! お母さま、ありがとう!!」
中にアプリコットジャムを塗ったザッハトルテは、テオ用に少し甘いチョコレートで作っているからきっと気に入ってくれるだろう。
ギュッと僕に抱きついて、
「ねぇ、お母さま、食べさせて」
と甘えてくるテオは本当に可愛い。
テオの隣に座り、あーんして食べさせる姿をランハートは何も言わずただじっと見つめている。
あーあ、このあとちょっと大変になりそうだな……。
そんな予感はやっぱり当たったみたいだ。
テオがケーキを完食すると、すぐに
「さぁ、ヒジリ。あとは夫夫の時間だ」
と僕を抱きかかえた。
「ええーっ、お父さまっ! ずるいっ! 僕もお母さまともう少し一緒にいたい!!」
「テオ、わがままを言うな。グレイグっ!」
ランハートの声に、グレイグさんがさっと近づいてきてテオに優しく声をかける。
何を言われたのかわからないけれど、テオはすぐに素直になり
「お母さま……寂しいけど、僕いい子だから……行ってらっしゃいする。お父さまと過ごしたら、また僕のところに来てね! 明日は一緒に出かけるんだからね!!」
と必死に訴えかけてくる。
「うん、わかったよ。テオ、ありがとう」
「テオ、さすが公爵家の跡継ぎだ。お父さまも嬉しいぞ」
ランハートはそういうが早いか、すぐに部屋を出て僕たちの寝室へと駆け込んだ。
「ヒジリ……昨夜は其方に触れるのを我慢した私を褒めてくれるか?」
「ふふっ。偉かったね、ランハート。今日はいっぱい愛して……」
「ああっ! ヒジリっ!!」
ランハートからの熱烈なキスを受けながら、僕はあっという間に一糸纏わぬ姿にされ、そのままベッドに押し倒された。
「ヒジリ……身体中、甘い匂いがする……。このまま食べてしまいたくなるな」
「いいよ。ランハート、いっぱいたべて……っ」
「ヒジリっ!!!」
「ああっんっ!!!」
テオに授乳してから大きくなってしまった乳首……ランハートは嫌がるかと思ったけれど、逆にお気に入りになったようでかなり執着している。
もうとっくに授乳も終わっているからミルクが出ることはない……と思うんだけれど、毎回甘くて美味しいと言いながら吸っているから、もしかしたら出ているのかも、しれない……わかんないけど。
僕はランハートに乳首を吸われるたびに僕のささやかなモノが熱を帯びてくる。
「ら、んはぁとぉ……っ、も、う……っ、ぼ、く……」
「ふふっ。感じているのか? 本当にヒジリは可愛い」
僕のおねだりに応えるように、ランハートが乳首から口を離して、僕のモノに触れてくれる。
「ひゃぁん……っん」
「もう、すぐにイってしまいそうだな」
「だ、ってぇ……っ、らん、はぁとのてが……きもち、いぃからぁ……」
「そうか。私の手が好きか」
「ちが――っ、らん、はぁとが……すきぃ……っ、だい、すきぃ……っ」
「――っ! ヒジリっ!!!」
「ひゃぁ――あっ!!!」
一気に激しく扱かれて、僕はあっという間に蜜を吐き出した。
ランハートはその蜜を手のひらに纏わせると、そのまま自分の大きなモノに擦り付けた。
「ヒジリ、挿入るぞ」
まだ解されてもいないけれど、僕のお尻はランハートのモノの侵入を拒むことはない。
だって、もうずっとランハートの大きなモノを受け入れているんだもん。
お尻の割れ目に擦り付けられるだけで、中がキュンキュンと疼く。
ランハートがググッと力を入れ、押し込むだけでスルスルとあの大きなモノを飲み込んでいく。
「ああっ……っ、きもち、いぃ……っ」
「ヒジリっ……ああ、最高だ! ヒジリの中が吸い付いてくる……っ」
「ら、んはぁとぉ……い、っぱい、うご、いてぇ……っ、お、く……こすってぇ……っ」
「ああ、いっぱい気持ちよくしてやる」
ランハートは僕の腰をしっかりと掴んで激しく腰を動かし、僕の最奥に何度も激しく突き入れる。
「ああっ、ああっ、き、もち、いぃ……ぁ……んっ」
「ヒジリっ! ヒジリっ!! ヒジリは私のものだ!!!」
「あぁっ、はげしぃ……っ、あぁっ、すごぃ……きもちぃ……っああっん、も、う……っ、イくぅ……っ!!」
何度も何度も激しく奥を攻められ、僕は二度目の蜜を放った。
「ヒジリ……心の底から愛してる……」
ランハートの甘い愛の言葉を聞きながら、僕は意識を手放した。
「ヒジリ……おはよう」
目を覚ました僕の目に飛び込んできたのは、嬉しそうなランハートの顔。
「もう、おきてたの……?」
「ああ、ヒジリが可愛くて寝顔を見ていた」
「いいかげん、あきない?」
「ふふっ。私がヒジリに飽きるなど、この世界が終わってもあり得ないな。わかっているだろう?」
「ふふっ。そうだね。ねぇ、ケーキたべない?」
「そうだな、そろそろヒジリの愛のケーキをいただくとしようか」
ちょっと待っていてくれと言って僕にキスをして、寝室を出たランハートはすぐにケーキを持って戻ってきた。
「私にももちろん食べさせてくれるのだろう?」
「ふふっ。あの時、テオに嫉妬してたの?」
「ああ、だが同じフォークは使わせなかっただろう? 同じのを使っていいのは私だけだからな」
そう。
フォークだけでなく同じカトラリーを使うのは身体の関係がある証拠。
それを知った日から、僕はランハートとしか同じものは使わない。
「ランハート、あ~んして」
子どものような笑顔を見せながら、口を大きく開けるランハートは本当に可愛い。
パクリと口に入れると、一気に破顔する。
「これはまた、美味しいな。甘すぎず、私好みの味だ」
「ランハート用の特別だからね」
「そうか、特別か……。ふふっ、その響きはいいな」
「僕にも食べさせて」
「ああ、ヒジリ……あ~ん」
同じフォークを僕が口に入れると本当に嬉しそうに笑う。
ふふっ。ランハートが可愛すぎて困るな。
その日は夜まで、チョコレートケーキのような濃厚で甘い時間を過ごし、翌朝僕はランハートに抱きかかえられて部屋を出た。
「お父さま、お母さま。おは――あれ? お母さま、お熱があるの? 顔が赤いよ?」
「えっ、ううん。大丈夫、ちょっと暑かったからかな」
そう誤魔化したけど、多分グレイグさんには気づかれてそう。
だって、朝からランハートがイタズラしてくるんだもん。
危うくテオとの約束を破っちゃうところだったよ。
「今日、騎士団に持っていける?」
「うん、大丈夫だよ。お父さまもついてきてくれるって」
「本当? じゃあ、3人でお出かけだね」
嬉しそうなテオを見て、僕とランハートは顔を見合わせて笑った。
うちから騎士団の詰め所までは近いけれど、ランハートが心配してグレイグさんに馬車を用意させていた。
正直言って、昨日は久しぶりに激しかったから歩いて行くのが辛いなぁと思ってたんだよね……。
って、毎年言ってる気がする。
ランハートに抱っこされてるのもそのせいもあるんだもんね。
ランハートが僕を抱っこしてくれているから、騎士団の皆さんに贈るチョコレートマフィンはジョーイさんが大きな籠に入れてついてきてくれている。
騎士団の詰所に着くと、無条件で通してくれる。
一応騎士団長の職はフィンさんに譲ったのだけど、特別な時には呼び出されるし、まだ騎士団に籍があるから当然といえば当然か。
「団長! 団員どもが皆、ご到着をお待ちしておりました」
「やはりわかっていたか」
「もちろんでしょう。世に出ていないヒジリさまのお菓子をいただけるんですよ! 団員たちの中には毎年これを楽しみに訓練に励んでいるものもいるくらいです」
「ふふっ。そうか、ならば今年はもっと喜ぶだろうな」
「それは、どういう意味ですか?」
「いいから、早く団員たちに配らせてくれ」
「は、はい」
ランハートの指示にフィンさんは急いで僕たちを中庭へと連れて行ってくれた。
僕の手間を減らすようにといつもここに全員を集めておいてくれるんだ。
「わぁ、いつも思うけどこうやって騎士さんたちが並んでいるのを見ると壮観ですね。本当にカッコ良いです」
「ヒジリ、私はどうだ? かっこいいか?」
「ふふっ。ランハートが一番かっこいいよ」
そういうと嬉しそうに笑う。
本当にランハートは子どもっぽいところがあって可愛い。
「いつもお店を守ってくれてありがとうございます」
「怪我をしないように気をつけてくださいね」
「訓練頑張ってくださいね」
そんな声かけをしながら、マフィンを手渡していく。
騎士さんたちはみんな嬉しそうに受け取ってくれて嬉しい。
みんな何か返事をしてくれようとして急に黙るのが気になるけど……。
もしかしたら喋っちゃいけないルールとかあったりするのかなぁ……。
騎士団って大変だな。
全てのマフィンを渡し終えると、今度はテオの番。
一人一人名前を呼んで取りにきてもらうようだ。
騎士さんたちは自分の名前の書かれたクッキーに大喜びしてくれている。
テオもすごく嬉しそうだ。
あれ? 騎士さんたちテオにはいろいろ言葉をかけているみたいだな。
子どもだから特別なのかな?
まぁ、テオが喜んでいるからいいか。
あまりにも騎士団の皆さんが大喜びしてくれたから、翌年からバレンタインの贈り物にテオからの贈り物が追加されたのはいうまでもない。
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