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世間は狭いものだな
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約束の時間の少し前だがやはりホストとして先に行っておくべきだろう。
要さんを抱きかかえて特別ルームに向かうと部屋の前で人影を見つけた。
そのシルエットですぐに彼だとわかる。
「周平さん!」
その声に振り返った周平さんが要さんを抱きかかえた私の姿を見て笑った。それは自分も腕に大切そうに浅香さんを抱きかかえていたからだろう。
「あ、敬介さん……」
「ね、言ったでしょう? 浅香さんも同じだって」
要さんは最後の最後まで抱きかかえられて外に出ることに恥じらっていたが、浅香さんも自分と同じ姿で現れたことにホッとしているようだ。私の言葉に嬉しそうに頷いて、浅香さんに笑顔を見せていた。
浅香さんもまた私たちの姿に喜んでいるらしい。
きっと自分だけじゃなかったことにあちらもあちらでホッとしているのだろう。
周平さんと示し合わせたわけではないが、やはり愛しい人を前にすると同じなのだと思い知らされる。
「冬貴、いいタイミングだったな。もしかしたら今日は来ないか、遅れてくると連絡があるかと思っていたぞ」
「少し危なかったですが、なんとか大丈夫でしたよ。流石に周平さんと初対面の新海を放置するわけにいかないですからね」
「ははっ。可愛い部下のために頑張ったというわけか。お前もいい上司になったものだな」
私たちがこうして話をしている間にも同じ目線で抱きかかえられている要さんと浅香さんも楽しそうに会話をしている。
自分たちが同じだと知って嬉しいようだ。
中に入り、要さんと浅香さんをソファーに座らせて私たちは新海と舞川さんを迎える準備を整えた。
と言っても、時間に合わせてコンシェルジュがすでに準備してくれているから私たちはそれらを冷蔵庫から出したりするだけだ。
「豪華なスイーツですね」
物もさることながら、数もスイーツビュッフェばりに用意されていて驚いてしまう。
「ああ、敬介が要くんと舞川さんのためにいっぱい用意したいというからイリゼホテルから運んでもらったものもあるんだよ。余ったら持って帰ってもらうと言っていた」
それほど舞川さんに周平さんの会社に入って欲しいということか。
いや、単純に舞川さんと要さんと仲良くお茶がしたいだけなのかもしれない。
浅香さんはそんな人だ。
要さんたちが座っている目の前にあるテーブルにスイーツが載った大皿をいくつか並べているとコンシェルジュからの連絡フォンが鳴った。新海と舞川さんが到着したようだ。
すぐに部屋に通すようにいうとしばらくして部屋のベルが鳴らされた。
要さんたちにはそのまま座っていてもらうようにいい、私だけが扉へ向かった。
扉を開けると、流石に抱きかかえてはいなかったが、ピッタリと寄り添って立っている二人の姿が見えた。
舞川さんと会うのはあの事件の日以来だが、あの時より表情が明るく見える。
会社の件も氷室のおかげで無事に解決したし、何より新海がそばにいるから安心なのだろう。
「警視正。本日はお招きくださりありがとうございます」
「新海、今日はプライベートだから肩書はなしにしよう。そもそも私は今日はホストだから私のことは気にしないでいい。舞川さんも、今日は来てくれてありがとう」
「い、いえ。私のほうこそ色々とお世話になりありがとうございます」
「さぁ、みんな待っているからあとは中で話そう」
「は、はい。失礼します」
まだ緊張した様子の二人を招き入れ、リビングに通した。
「周平さん、新海と舞川さんです」
「えっ!!」
私の言葉に、周平さんよりも先に反応したのはまさかの要さんだった。
目を丸くしてその場に立ち上がった要さんは茫然とこちらを見ながら、
「歩夢、くん……っ」
と小さく呟いた。
「要くんっ!」
私の背後からも、驚きに満ちた声が聞こえる。
私は急いで要さんの元に駆け寄った。
「要さん、舞川さんと知り合いなんですか?」
「は、はい。高校の時……寮で同室ですごく仲良くしていました。高校を辞めてからは連絡先もわからなくなってましたけど……」
あの高校の寮で、同室……そんな接点があったとはな。
「そう、だったんですか……」
世の中こんなに狭いものなのかと、ただただ驚きしかない。
「えっ、じゃあ舞川さんも三十四歳なんですか?」
年齢のことについてどうこういうつもりはなかったが、舞川さんはどう見ても三十にもなっていないような見た目。
それどころか二十代半ばと言ってもおかしくない。要さんも三十四歳には到底見えないが、舞川さんはそれ以上だ。事件であったときも最初は新卒かと思ったくらいだ。周平さんから実力のあるジュエリーデザイナーだと聞いてもう少し上だったかと修正したくらいだったのに。
「あ、いえ。二歳下です。三年生は基本一人部屋なんですけど、あの時は一年生の寮生が多くて私は歩夢くんと同じ部屋だったんです」
なるほど。要さんとなら安心だからな
だからこそ、学校も二人を同じ部屋にさせたのかもしれない。
要さんを抱きかかえて特別ルームに向かうと部屋の前で人影を見つけた。
そのシルエットですぐに彼だとわかる。
「周平さん!」
その声に振り返った周平さんが要さんを抱きかかえた私の姿を見て笑った。それは自分も腕に大切そうに浅香さんを抱きかかえていたからだろう。
「あ、敬介さん……」
「ね、言ったでしょう? 浅香さんも同じだって」
要さんは最後の最後まで抱きかかえられて外に出ることに恥じらっていたが、浅香さんも自分と同じ姿で現れたことにホッとしているようだ。私の言葉に嬉しそうに頷いて、浅香さんに笑顔を見せていた。
浅香さんもまた私たちの姿に喜んでいるらしい。
きっと自分だけじゃなかったことにあちらもあちらでホッとしているのだろう。
周平さんと示し合わせたわけではないが、やはり愛しい人を前にすると同じなのだと思い知らされる。
「冬貴、いいタイミングだったな。もしかしたら今日は来ないか、遅れてくると連絡があるかと思っていたぞ」
「少し危なかったですが、なんとか大丈夫でしたよ。流石に周平さんと初対面の新海を放置するわけにいかないですからね」
「ははっ。可愛い部下のために頑張ったというわけか。お前もいい上司になったものだな」
私たちがこうして話をしている間にも同じ目線で抱きかかえられている要さんと浅香さんも楽しそうに会話をしている。
自分たちが同じだと知って嬉しいようだ。
中に入り、要さんと浅香さんをソファーに座らせて私たちは新海と舞川さんを迎える準備を整えた。
と言っても、時間に合わせてコンシェルジュがすでに準備してくれているから私たちはそれらを冷蔵庫から出したりするだけだ。
「豪華なスイーツですね」
物もさることながら、数もスイーツビュッフェばりに用意されていて驚いてしまう。
「ああ、敬介が要くんと舞川さんのためにいっぱい用意したいというからイリゼホテルから運んでもらったものもあるんだよ。余ったら持って帰ってもらうと言っていた」
それほど舞川さんに周平さんの会社に入って欲しいということか。
いや、単純に舞川さんと要さんと仲良くお茶がしたいだけなのかもしれない。
浅香さんはそんな人だ。
要さんたちが座っている目の前にあるテーブルにスイーツが載った大皿をいくつか並べているとコンシェルジュからの連絡フォンが鳴った。新海と舞川さんが到着したようだ。
すぐに部屋に通すようにいうとしばらくして部屋のベルが鳴らされた。
要さんたちにはそのまま座っていてもらうようにいい、私だけが扉へ向かった。
扉を開けると、流石に抱きかかえてはいなかったが、ピッタリと寄り添って立っている二人の姿が見えた。
舞川さんと会うのはあの事件の日以来だが、あの時より表情が明るく見える。
会社の件も氷室のおかげで無事に解決したし、何より新海がそばにいるから安心なのだろう。
「警視正。本日はお招きくださりありがとうございます」
「新海、今日はプライベートだから肩書はなしにしよう。そもそも私は今日はホストだから私のことは気にしないでいい。舞川さんも、今日は来てくれてありがとう」
「い、いえ。私のほうこそ色々とお世話になりありがとうございます」
「さぁ、みんな待っているからあとは中で話そう」
「は、はい。失礼します」
まだ緊張した様子の二人を招き入れ、リビングに通した。
「周平さん、新海と舞川さんです」
「えっ!!」
私の言葉に、周平さんよりも先に反応したのはまさかの要さんだった。
目を丸くしてその場に立ち上がった要さんは茫然とこちらを見ながら、
「歩夢、くん……っ」
と小さく呟いた。
「要くんっ!」
私の背後からも、驚きに満ちた声が聞こえる。
私は急いで要さんの元に駆け寄った。
「要さん、舞川さんと知り合いなんですか?」
「は、はい。高校の時……寮で同室ですごく仲良くしていました。高校を辞めてからは連絡先もわからなくなってましたけど……」
あの高校の寮で、同室……そんな接点があったとはな。
「そう、だったんですか……」
世の中こんなに狭いものなのかと、ただただ驚きしかない。
「えっ、じゃあ舞川さんも三十四歳なんですか?」
年齢のことについてどうこういうつもりはなかったが、舞川さんはどう見ても三十にもなっていないような見た目。
それどころか二十代半ばと言ってもおかしくない。要さんも三十四歳には到底見えないが、舞川さんはそれ以上だ。事件であったときも最初は新卒かと思ったくらいだ。周平さんから実力のあるジュエリーデザイナーだと聞いてもう少し上だったかと修正したくらいだったのに。
「あ、いえ。二歳下です。三年生は基本一人部屋なんですけど、あの時は一年生の寮生が多くて私は歩夢くんと同じ部屋だったんです」
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だからこそ、学校も二人を同じ部屋にさせたのかもしれない。
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