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第1章 幼年期
13.お散歩
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ノエル達は花束を作るための花を選ぶため、庭を散歩していた。
「るーにぃに、僕ね、あの…ちっちゃいやつがいいと思う…!」
そう言ってノエルは綺麗に咲き誇っている、アネモネの花を指さした。
「そうか、じゃあきっとそこの温室にいると思うから、庭師にこの花で花束を作ってくれるように頼んでみようか。」
「いーぼししょーのとこだ!」
ノエルと、庭師であるイーヴォ・オランドは顔見知りである。
「ノエルはイーヴォ知ってたんだね。師匠ってのはよくわかんないけど……」
「あのね、いつも僕がお庭を歩いてると沢山お花のこと教えてくれるんだよ!だから、お花のししょーなの!」
ノエルはイーヴォのことを自慢するかのように生き生きとルーベルトに語った。
庭をしばらく歩いて行くと、そこには立派な温室と大柄な男の影があった。
「あぁ、これはどうも。今日はなんの御用で?」
「えっと、アネモネを使った花束を作って欲しいんだが。」
「お安い御用で。…では少し時間を頂いても?」
「勿論。」
ルーベルトは花束の約束を取り付けるとノエルの手を引き、また散歩に戻って行った。
♢♢♢
「ルーベルト様よ、花束完成したぞ。」
「あぁ、ありがとう。」
「わぁ、すっごーく可愛いよ!ありがとういーぼししょー!」
ノエルはそう言い放ち屈託のない笑みをイーヴォへと向けた。
イーヴォもそのノエルの笑顔に応えるようにわしゃわしゃとノエルの頭を撫でた。
空かさず、ルーベルトはノエルをイーヴォから取り上げるように彼らの間に割って入った。
「じゃあこれを持って謝りに行こうか?」
「ダメなの!にーにはお部屋に帰るの!」
そう言ってノエルはルーベルトの手を引いて、ルーベルトの自室まで連れ帰った。
「るーにぃに、僕ごめんなさいしたらすぐ戻ってくるからここでまってて!絶対だよ?」
「もちろん待ってるよ。」
そう言うとノエルはルーベルトの頬にちゅっと可愛らしいキスを落とした。
「いつもね、にぃにがちゅってするとね、嬉しい気持ちになるから!」
と言い残し、先程作って貰った花束とメッセージカードを抱え、部屋を飛び出して行った。
すると同時に床がドンッ!と鈍い音を上げた。
「…………可愛すぎだろ。」
そう呟きながら床に倒れ伏し、悶え苦しむルーベルトであった。
♢♢♢
そしてノエルはしばらく歩くと、一つだけ異質な重厚感のある扉の前、すなわちエルメンガルドの部屋へとたどり着いた。
『もう無駄に私に話しかけてこないで。あなたが嫌いなのよ。』
あの時の言葉が今でも鮮烈にその脳裏に焼き付いている。
「だ、大丈夫。るーにぃにがお部屋で待っててくれるもんね。僕は強い子だもん。だいじょーぶ。」
ノエルは1度、深呼吸をし扉をノックした。
「お、おかあさま。ノエル…です。」
「………………どうぞ入って来なさい。」
ガチャ。
「………しつれしいます。」
バタン。
「おかあさま、ぼ、僕ごめんなさいしに………」
そう言うと同時にエルメンガルドはノエルの持っていた花束を手から無理やり奪い取り、床に叩きつけた。
「ねぇ、ノエル?私言ったわよね?もう私の前に現れるなって。」
エルメンガルドは、怒りに震えた声でノエルにそう告げる。
「しかも、よりによってあの女が好き好んで育てていた花なんて持ってきて……。貴方は、私をどこまで貶めれば気が済むの?」
「い、ち…違いま…ただ僕は、えっと、な、なかなおりを…」
「ねぇ、私をそうやって貶めるのが楽しいの?やっと、やっとロイスと一緒になれたって言うのに……お前は邪魔なのよ!おまえなんてこの世に生まれて来なければ!!!」
「お、おかあさ……「黙れ!!!!!」」
バシンッ!!!
エルメンガルドは怒りが最高潮に達したのか、ノエルが全てを話終わらぬうちに、彼の頬に平手打ちを浴びせていた。
ノエルはその衝撃によろけ、後退した。
ゴンッ!!!!!!
部屋に鈍い音が響き渡る。
ノエルは叩かれた衝撃によろけてしまい、頭をテーブルの角にぶつけてしまった。
うぅ……、おかあさまは、どこ、、?
遠のいていく意識の中で顔を青ざめているエルメンガルドの顔がノエルの瞳に映る。
そ、んな顔し…ないで…。ぼ、僕がぜん、ぶ、ぜんぶ、わるいん、だか、ら_____
バタン!!!
「っく、早く彼女を捕らえろ!空いている部屋にでも隔離しておけ!!そこの侍女、父上に直ちに報告と医者を手配しろ。急げ!!」
「違う私は何もやってない!あの愚息が勝手に…」
「黙れよ!!!!」
奥から、るぅにぃ、にの声が聞える……。おへやで、まって…てっ、て、いった…のに。る、にぃに…にも嫌われちゃ、た…………か、な______。
そこでノエルの意識は途切れた。
「るーにぃに、僕ね、あの…ちっちゃいやつがいいと思う…!」
そう言ってノエルは綺麗に咲き誇っている、アネモネの花を指さした。
「そうか、じゃあきっとそこの温室にいると思うから、庭師にこの花で花束を作ってくれるように頼んでみようか。」
「いーぼししょーのとこだ!」
ノエルと、庭師であるイーヴォ・オランドは顔見知りである。
「ノエルはイーヴォ知ってたんだね。師匠ってのはよくわかんないけど……」
「あのね、いつも僕がお庭を歩いてると沢山お花のこと教えてくれるんだよ!だから、お花のししょーなの!」
ノエルはイーヴォのことを自慢するかのように生き生きとルーベルトに語った。
庭をしばらく歩いて行くと、そこには立派な温室と大柄な男の影があった。
「あぁ、これはどうも。今日はなんの御用で?」
「えっと、アネモネを使った花束を作って欲しいんだが。」
「お安い御用で。…では少し時間を頂いても?」
「勿論。」
ルーベルトは花束の約束を取り付けるとノエルの手を引き、また散歩に戻って行った。
♢♢♢
「ルーベルト様よ、花束完成したぞ。」
「あぁ、ありがとう。」
「わぁ、すっごーく可愛いよ!ありがとういーぼししょー!」
ノエルはそう言い放ち屈託のない笑みをイーヴォへと向けた。
イーヴォもそのノエルの笑顔に応えるようにわしゃわしゃとノエルの頭を撫でた。
空かさず、ルーベルトはノエルをイーヴォから取り上げるように彼らの間に割って入った。
「じゃあこれを持って謝りに行こうか?」
「ダメなの!にーにはお部屋に帰るの!」
そう言ってノエルはルーベルトの手を引いて、ルーベルトの自室まで連れ帰った。
「るーにぃに、僕ごめんなさいしたらすぐ戻ってくるからここでまってて!絶対だよ?」
「もちろん待ってるよ。」
そう言うとノエルはルーベルトの頬にちゅっと可愛らしいキスを落とした。
「いつもね、にぃにがちゅってするとね、嬉しい気持ちになるから!」
と言い残し、先程作って貰った花束とメッセージカードを抱え、部屋を飛び出して行った。
すると同時に床がドンッ!と鈍い音を上げた。
「…………可愛すぎだろ。」
そう呟きながら床に倒れ伏し、悶え苦しむルーベルトであった。
♢♢♢
そしてノエルはしばらく歩くと、一つだけ異質な重厚感のある扉の前、すなわちエルメンガルドの部屋へとたどり着いた。
『もう無駄に私に話しかけてこないで。あなたが嫌いなのよ。』
あの時の言葉が今でも鮮烈にその脳裏に焼き付いている。
「だ、大丈夫。るーにぃにがお部屋で待っててくれるもんね。僕は強い子だもん。だいじょーぶ。」
ノエルは1度、深呼吸をし扉をノックした。
「お、おかあさま。ノエル…です。」
「………………どうぞ入って来なさい。」
ガチャ。
「………しつれしいます。」
バタン。
「おかあさま、ぼ、僕ごめんなさいしに………」
そう言うと同時にエルメンガルドはノエルの持っていた花束を手から無理やり奪い取り、床に叩きつけた。
「ねぇ、ノエル?私言ったわよね?もう私の前に現れるなって。」
エルメンガルドは、怒りに震えた声でノエルにそう告げる。
「しかも、よりによってあの女が好き好んで育てていた花なんて持ってきて……。貴方は、私をどこまで貶めれば気が済むの?」
「い、ち…違いま…ただ僕は、えっと、な、なかなおりを…」
「ねぇ、私をそうやって貶めるのが楽しいの?やっと、やっとロイスと一緒になれたって言うのに……お前は邪魔なのよ!おまえなんてこの世に生まれて来なければ!!!」
「お、おかあさ……「黙れ!!!!!」」
バシンッ!!!
エルメンガルドは怒りが最高潮に達したのか、ノエルが全てを話終わらぬうちに、彼の頬に平手打ちを浴びせていた。
ノエルはその衝撃によろけ、後退した。
ゴンッ!!!!!!
部屋に鈍い音が響き渡る。
ノエルは叩かれた衝撃によろけてしまい、頭をテーブルの角にぶつけてしまった。
うぅ……、おかあさまは、どこ、、?
遠のいていく意識の中で顔を青ざめているエルメンガルドの顔がノエルの瞳に映る。
そ、んな顔し…ないで…。ぼ、僕がぜん、ぶ、ぜんぶ、わるいん、だか、ら_____
バタン!!!
「っく、早く彼女を捕らえろ!空いている部屋にでも隔離しておけ!!そこの侍女、父上に直ちに報告と医者を手配しろ。急げ!!」
「違う私は何もやってない!あの愚息が勝手に…」
「黙れよ!!!!」
奥から、るぅにぃ、にの声が聞える……。おへやで、まって…てっ、て、いった…のに。る、にぃに…にも嫌われちゃ、た…………か、な______。
そこでノエルの意識は途切れた。
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