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プロローグ
しおりを挟む「おお、流石徳だ。今回の全国学力テストも、十位以内に入っている。」
「やっぱり徳ちゃんは凄いねぇ。ボクシングで世界二位、美術の絵の世界コンテストで準優勝、それに百メートルだって十秒で走れちゃうしね。」
「また徳だぞ。」
「あいつ、どんだけチートなんだよ。」
「徳君凄~い♪」
「流石徳君ね♪」
「ジャニーズと同じくらい格好いいしね♪」
俺は、子供の頃から今の高校生に至るまで、神童としてチヤホヤされた。
奇才。
天才。
秀才。
何をしても、優れた成績を残した俺は、もう何度その言葉を聞いたか分からない。
そんなチヤホヤされた優れた才能を持つ自分を、俺は誇りに思っていた。
だって、何をやっても出来る天才。
自分に酔ってしまったって、仕方がないじゃないか。
だけど、俺は中学卒業間近にあることに気付いてしまった。
「俺って、何をやっても出来るところを除いたら何が残るんだって。』
俺は、深く考えた。
結果的に、何も残らないのではないかと。
だって親が話すことの全部は、俺が早く走れることやボクシングでの活躍の話など。それ以外の日常会話という物はほぼなくて、食事の時間は基本的に親と一緒に食べるのだが、そんな食事の時間も俺を褒めるかそれ以外は親同士で話をしていて、食事の時間俺はいつも無口で食べていた。
それに、学校でだって俺は何でも出来るから、知らない内に学級委員をやらされてたり、俺の実力に嫉妬する人が大勢居たため俺は嫌われていたし、俺の実力にすがって来る人や女子は結構居たが、本当の友達という者は居なかった気がする。
……あれ?
俺って、この何でも出来る力がなければ、全然残らないじゃないか。
俺は、近くにある全国屈指の名門校に行こうと考えていたが、これからは自分の力を制御して生活していきたかったので、近くの地元など俺の実力を知っている人が居そうなところに行くのは止めて、遠くの学校に行くことにした。
場所的に、家からは通えない。
その為、一人暮らしをする許可を親に求めたが、反対なんてされず「小さい時から、一人暮らしの練習なんて偉いねぇ。」と、反対されることは勿論それすらも褒められた時は、親の愛情とは何か死にたくなった。
俺にとって、実力を隠したらどうなるか本当の意味で知れる、自分の本当の価値を知る機会となる学校生活が始まる。
そんな学校の入学式は明日。
俺は、親の居ない家で期待を胸に眠りについた、
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