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モブに女子の相手は重いです。
しおりを挟む「少しだけじゃないですか~♪」
「おいっ。さっきお前を襲っていた不良供と同じこと言ってるぞ香織。」
「えぇ~♪もしかして、徳君ってあの時の私みたいに襲われたいんですか♪可愛いところありますねぇ♪初めてですが、そこまで言うなら……」
「分かったから。はいっ。これっ。」
「もう素直じゃないんだから。よしっ。これで徳君と連絡先交換完了。ついに、イケメンとの連絡先を持てる日が私にも……」
「もういいだろ。そろそろタクシー来るから、玄関行くぞ。」
「は~い♪」
嬉しそうにジャージ姿でとことこと子動物のように歩く香織の後ろに付いていき、俺も玄関へと向かう。しかし、玄関へつく前に風呂場を通り掛かったのだが、風呂場を通りかかった途端、香織はそよそよと急に慌て始めた。そんな香織を見て、「まさか」と思いながらも香織の持っていた鞄を漁ってみると、考えたくはなかったが俺のまだ洗えてない下着上下二枚が、鞄に雑に入っていた。
これは、何だ?
テヘペロと、小悪魔的な顔で俺にウインクする香織の額に問答無用でデコピンをぶちこむと、俺は直ぐ様香織の鞄の中に入っている下着を元の下着置き場に戻す。
危なっ……
俺が気付いてなかったら、こんな物を使ってこいつは何をする気だったんだ?
香織に若干引きながらも重い足で玄関へ辿りつくと、玄関を開けた先にはもう着いていたのか、黄色いライトをチカチカと照らすタクシーの中に一人の女性の姿があった。
「今日はありがとうございました。助けて貰ったり、ご飯美味しかったです。」
「そうだな。じゃあな。」
「家帰ったら、私電話しますね?」
「止めろ。しなくていい。俺、誰かさんのせいで滅茶苦茶疲れたから、多分寝てる。」
「もう、そんなこと言って本当は寝てないんでしょ♪
?」
「タクシーの運転手のお姉さんが、お前のことをすごく妬ましく睨んでるぞ。てか、マジで寝てるからな。風呂入ったら、俺直ぐ寝る予定だし。」
「それじゃあ、風呂に入る前に……」
「すみませんお姉さん。待たせてしまって。」
「い、いえ。大丈夫です♪」
「ちょっと、無理矢理タクシーに押し込ま───」
全然タクシーに入ろうとしない香織を無理矢理タクシーに押し込むと、迷惑を掛けた二十歳くらいの運転手のお姉さんにすみませんとぺこりと頭を下げる。すると、お姉さんは全然迷惑がっておらず、何故か紅く染まった顔で嬉しそうに「大丈夫です。」と笑いながら許してくれた。
優しいなぁ……
こんな人居るのか。
こんなくだらないことに付き合わせられて、大切な時間を潰されているというのに、裏のないような優しい笑顔で許してくれる。
俺に優しくしてくる奴は、何か絶対に裏のある奴しか居なかった。
掃除当番を代わってくれなど、宿題をやってくれなど、好きな子がいるからその子と間を取り持ってなど、雑用だらけ。
今思えば、そんな茶番に付き合っていた俺を本当に馬鹿らしく思う。 だから、このような裏のないような笑顔を見れたことに、俺は感謝すら覚える。
笑顔を見せてくれた女性運転手の顔をマジマジと見つめていると、女性運転手は照れたような様子で、運転席に入っていく。運転席へ入り、ハンドルを握っている時の表情は、さっきの可愛い笑顔とは違い、キリッとした顔付きの真剣な表情をしていて、見ていて格好いい。そんなギャップを感じながら、タクシーの運転席を見つめていると、気付けばタクシーは暗闇の中へ走りさっていってしまった。
「……てか、これどうしよ?」
タクシーが居なくなった俺に残されたのは、この香織の連絡先が乗ったスマホ。軽く見てみると、もうチャットで「女運転手ジロジロ見てたけど、さっきの女運転手好きなの!!?」と、お怒りの様子だった。
あ~面倒臭い。
どうやって、返信しよ。
さっきとの香織のやり取りで火照った体を、そっと涼しく撫でているような夜の涼やかな風を感じを味わいながら考えていると、一ついいことを思い付いた。
「そういえば、確かこのチャットアプリってブロックすることが出来るよな?……モブなんかに、女子との連絡先なんているか?いらないよな。うん。そうだ。つまり俺のしていることは悪いことじゃない。なら、答えは一つ───」
軽くこれからする自分のことを肯定すると、さっそく香織をブロックすることにする。
あ~すっきりした。
これで、もう彼奴のような変態との繋がりも無くなるし、会うことも無いだろう。
俺は明日の分の小説がまだ書けていなかったので、軽く汗を書いた体をシャワーで流し、眠くなるまでベットの上で小説を書くことにした。
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