男女比の狂った世界は、今以上にモテるようです。

狼狼3

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試合の応援②

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「それじゃあ、今から行くぞ。」

 俺はベンチに座る華に手を振ると、手に抱えていたサッカーボールを足元に置く。競技場には今現在、俺と華しかいない。現在の時刻は7:00過ぎ。休日ということで人が居ても可笑しくないが、こういう日もあるのだろう。感覚的に言えば……朝の公園だろうか。おじいさんやおばあさんが準備体操をし終えて、人気が無くなった公園に似ている。……まぁ、勿論規模は何倍もの大きさがある。ちなみに、俺達が居るのは競技場の練習用スペースだ。流石に競技場の場所は使わせて貰えなかった。……でも、どおして練習用スペースの方がコートが大きいのだろうか。
 
 俺は百メートル近くサッカーゴールから離れた場所で、足を思いきり引く。こっちの世界にくる前に、俺がよく愛用していたシュートの仕方だ。初見相手なら軽く一点取れる……それくらいこの技は強力だった。この世界では打ったことが無いが、前世の感覚からしていけるだろう。狙うはボールの斜め下。内側から巻くようにして勢いをつけて振り切るーーー
 
 何十メートルにも渡って広がる芝生に、ボールは弧を描くようにして右に曲がる。スピードから空気を纏っているように見えるボールは、どんどんとゴール目刺してスピードが落ちること無く進んでいく。すると、ゴール手前二十メートル付近でを変えてゴールキーパーの立っていない寂しげなゴールに俺の放ったボールは吸い込まれるように入っていく。
 
「……か、格好良すぎる。う、上手すぎじゃない?」

 一狼の放ったシュートは、この世界では珍しい物となっている。
 理由は簡単。この世界のサッカーコートは、規模が全体的に小さいのだ。
 前世でのサッカーコートは縦90~120メートル、横40メートル~90メートルだったが、この世界でのサッカーコートは縦60~90メートル、横40メートル~60メートルだ。何で小さくなっているかというと、この世界でのスポーツの中心は女性だ。この世界での男性の筋力は鍛えていないためあまりなく、女性の方が筋力があるが、前世の男性に比べれば女性の方は筋力的に言えばかなり劣る。だから、筋肉量に合わせてこの世界のサッカーは規模が小さいのだ。サッカーの基本的人数は11人ではなく、この世界は9人。サッカーコートの大きさに合わせて、人数も縮小している。

 そんな縮小されたサッカーコートでは、一狼の放った曲がるロングシュートは珍しいのだ。プロの世界においても、打てる者はかなり限られている。小規模のサッカーコートではパスの距離よりもコントロールが求められている為、一狼の打った曲がるロングシュートはあまり求められていないのだ。……だからといって、格好悪い訳ではない。現に華は一狼のシュートを見て……下半身を抑えている。

「……どうだった?」
「格好良かったよ……?一狼凄く格好いい。」
「そうだった?それじゃあ、もっと色んな技見せるな。」

 シュートを放ち、華に感想を聞きに行った一狼は元の場所に戻り、どんどんと様々なシュートを放っていく。一狼はシュートを繰り返している為気付いていないが、8:00になった辺りから、桜の試合の関係者含め人が競技場に集まりだした。

「今のシュートどうだった?結構スコーピオンシュート上手くいったと思うけど……どうだった?」
「サッカー全然知らないけど、とりあえず一狼は凄くて格好いいことは分かった。……でも、サッカーなんていつやってたの?そんなことしてたの見たことないけど?」
「……秘密って言ったら駄目?」
「もうしょうがないな//」
 
 秘密という言葉が気に入ったのか、気にしてない様子で抱き着いてきた華を一狼は内心焦りながら優しく受け止める。華は一狼のプレーに煽られて多少体が熱くなっていたのか、今の華は汗と混じった色気のする匂いを辺りに広げている。勿論、一狼の方がサッカーのシュートなどで体汗をより多くかいていて、この世界の女性からすれば色気のする匂いを広げているが。そんな一狼は、自分が前世の記憶を持っているのがバレるのではないかという不安と、華の色気で心臓がバクバクと急速に加速していた。……そんな一狼を、試合関係者の視線は一狼をロックオンする。

「何あのイケメン……初めてここの仕事やれて良かったと思ったわ。」
「写メ写メ写メ写メ…太陽の光で汗が輝いているあの男性を撮りまくれ。」
「ちょっとトイレ行ってきていい?ヤバイ。もう我慢出来ない。」

 写真を撮られていることに気付かない一狼は華と抱き合った後、久しぶりということで張りきったように、どんどんと高度な技術のシュートを放っていく。元の世界でもプロ並みの力を持っていた一狼は、試合関係者を二つの意味で惹き付けた。

「ちょっ!?何あのシュート見たこと無いんだけど!!てか、シュートの時にチラッと見える腹筋エロ。シックスパックだったよねあれ?」
「サッカー上手すぎじゃない?今日やる試合の各チームのエース居るけど、あのイケメンそのエースより強そうじゃない?ヤバイ。お近づきになりたい。試合の様子を撮れとか言われてたけど、こっちの男性を撮るに決まっているよなああああ。容量なんか知るか。」
「……私もボールのように蹴ってくれないかな?」

 試合関係者は、男性がスポーツをするという珍しい光景をしっかりと目で焼き付けた後、しっかりとその様子を録画する。後で試合の様子を撮影する時試合の容量が無くなってしまい、途中までしか保存出来なかったが、彼等が怒られることは無かった。
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