冷たい婚約者が「愛されたい」と言ってから優しい。

狼狼3

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閉話 話し合い

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「おばさん。もしかして、ティアラに言いましたか?」
「言ったって、何のことかしら?」
「僕がティアラから祝福祭を断わってたのは『恥ずかしかった』からだとか、そういうことについてです。」
「………言っちゃったかもしれないな?」

 こちらから目を向けないように、何処か上を向いているティアラのおばさんを見て僕は溜め息をつきながら、逃がさないように鋭く睨み付ける。ティアラのおばさんとは、昔の頃からよくティアラについて相談をしていた。どうすれば話せるようになるとか、どうしたら好きだと思ってくれるのかなど。……だけど、それらは全部ティアラには内緒ということが前提でだ。

「もう、そんなに怒らないでよ。」
「怒りますよ。言うとしても、せめて相談くらいしてください。」
「だって、私がティアラに話してあげたから誤解が解けたのよ? 逆に、ありがとうと褒めて欲しいわ。」
「…………」

 反省する気の無い、ティアラのおばさんに自然と腕に力が入る。ティアラのおばさんの言う通り、ティアラのおばさんがティアラに僕のことを話してくれたから誤解が解けて、ティアラと祝福祭に行けるようになった。だけど、まだ一度も言ったことのない『好き』と言う言葉を、勝手に言うのはどうなのだろうか。

「だけどティアラに、『ベリー君は昔からティアラのことが好きよ』と勝手に言ったじゃないですか。何勝手に、言わなくても良いことまで言ってるんですか。僕の口から言おうと思っていたのに……」
「何で怒ってるのかと思ったらそういうことね。……ていうか、まだ言ってなかったのね。」
「……恥ずかしいんだから、仕方ないじゃないですか。」
「ふふっ。でも、それは今まで言ってこなかったベリー君が悪いんじゃーー」
「ーー責任とって貰いますからね。」

 責任という言葉に、今までの柔らかな顔とは違って少し顔を曇らせるティアラおばさん。先程までのは、怒られている振りだったのだろう。今の表情と今の表情は全然違う。そんなティアラおばさんは僕の次の言葉を待つように、今度はティアラおばさんから目を合わせてきた。

「………それで、責任というのは?」
「これを見れば分かりますかね?」
「………中々凝ったことするじゃないのぉ?」
「ーーそれで、どうするんですか? 責任取りますか?」
「いいわよ。責任取ってあげる。」

 ポッケから折り畳んだ花火の設計図を広げると、顔を曇らせたのが嘘のように頬を緩めて、面白そうに返事を返してくるティアラおばさん。僕が今見せたのは、『大好き』という文字が浮かび上がってくる花火の設計図。設計図と言っても、僕の理想で曖昧な部分が多い。でも、責任を取るということはーーー

「それじゃあ、早速その花火の準備に取り掛からなくちゃね。」
「ほ、本当に作れるんですね?」
「そうよ。でも、祝福祭まで時間が無いから早く作らないと。………ティアラにこのことを教えるのはーーー」
「ーー駄目に決まってますよね? 今度こそ本気で怒りますよ?」
「冗談よ、冗談。それじゃあ、楽しみにしてて。」
「はぁぁ……」
 
 からかうようにクスクスと笑うティアラおばさんを見て、溜め息をつく。ティアラが小悪魔のようにたまにからかってくるのは、この人から受け継がれたんだろうな………


 窓の外に植えられているもう少しで花の咲きそうな白いつぼみに、そっと蜂が登った。
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