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閉話 誤解
しおりを挟む真実の後の話です。
閉話じゃなくていいと思ったんですけど、本編の終わりが書きたくて先にあっち書いちゃいました。
ーーーーーー
ティアラと別れてから、数時間後経った日の夜。どうすれば祝福祭に誘えるか自室で紅茶を飲みながら一人で考えていた時、連絡も無しに突然慌てた様子のティアラはやってきた。
「嘘ついちゃってごめん。少し誤解しちゃっててさ。祝福祭、一緒に行かない?」
「ど、どうしたの?」
祝福祭に行こうという言葉に胸が暖かくなるのを感じると、慌てた様子のティアラに事情を聞くことにする。どうやら、ティアラは親に言われて僕が無理をしているのではないかと思ったらしい。昔の僕と違って最近の僕はティアラと話をよくする。恐らく、それをティアラは僕が親に言われて無理をしていると感じたのだろう。……だって、ティアラと話をよくするようになった理由をティアラに言ってないし。
「だから、お母さんにまずはベリーに無理をさせていないか聞きに行くために、あの時は一度断わって……」
「僕の方こそ、誤解させちゃってごめんね。」
「ベリーは謝る必要ないよ!!」
申し訳なさそうに小さくて柔らかそうな手を横に振りながら頭を下げてくるティアラを見て、僕はティアラに優しく微笑む。昔の頃から、恥ずかし過ぎて言葉を返せない僕に話し掛けてくるティアラは優しいなと思っていたけど、流石に優し過ぎじゃない? 僕に無理をさせているか確かめる為に、わざわざ断わったんだよね?
ティアラの優しさに、思わず胸がポカポカと温かくなる。愛されているというのは、こういうことだろうか。それに、この様子だとティアラには僕以外の好きな人が居ないってことだよね。………嬉しすぎる。
「……でも、私と話をしたかったなら、遠慮なんてせずに話し掛けてくればよかったのに。」
「え?」
「私が祝福祭に誘っても断わってたのって、恥ずかしかったからでしょ? 嫌じゃなかったなら、一緒に来れば良かったのに。」
「ど、どうして知ってるのそんなこと?」
「お母さんから聞いたからだよ?」
小悪魔のように面白い物を見るかのような目で、座っていたソファーからこちらに乗り出してくるティアラ。慌てて来たのかほんのりと汗をかいているティアラは色っぽく、誘惑されないように踏ん張る。……にしても、あのおばさん。あれ程話すなと言っていたのに話したな。
ティアラのおばさんと話し合いをすることが決定事項に決まった後、ティアラはからかうように意地悪く微笑みながら口を開いた。
「ねぇねぇ。私のことは何時から好きだったの?」
「………」
「黙ってないで、早く話してよぉ~ あれ? もしかして、恥ずかしくて黙っちゃった?」
僕が無理をしていないことを知ったのか、前よりも小悪魔のようにからかってくるようになったティアラに、心の中でドキドキと溜め息を同時につく。
ーーこりゃあ……もう。
ーー何時間にも渡る話し合いが必要だ。
おばさんの顔を思い浮かべながら、僕は腕を強く握り締めた。
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