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俺はロラン⑤
しおりを挟む「あ~糞!!今日はなんて日だ。」
シルクで出来た質の良いタオルで汗を拭きながら、俺はわいわいと楽しそうに話す愚民を見て愚痴を挟む。本当に今日は可笑しい。いつもなら剣で彼奴等を圧倒していたり、彼奴等の俺に対する態度は順従な筈なのだが、全く彼奴等にそのような姿はない。
こいつら、マジで調子に乗りやがって。
俺は、背中を拭いていたタオルを思いっきり握り締める。そのまま握りしめていると、ストレスのあまり気付かなかったが、光を反射する程艶のあるシルクの布は破れていた。
……こうなったら、こいつらに罪を着せるか。
一番最初に俺と戦って、 俺を煽りまくった彼奴は俺に対する無礼罪。次に、他の奴等は俺が煽られているのに呑気に笑っていたから、王族が愚弄されているのに助けなかったということで、王家に対する反乱として国家反逆罪だ。
雑魚共が調子に乗るからこうなるんだよ。
お前ら全員、俺様に逆らったんだから捕まれ。
教室にタオルで汗を拭きながら帰ると、俺は直ぐ様リュックサックに引き出しに入っている教科書などを取り出して入れる。今日はもう城に帰って、父さんにこいつらについて話そう。父さんのことだ。こいつらを逮捕してくれるはず。
愚民共の様々な視線を浴びながら、俺は城へ帰ることにした。
■■■■■
俺は城へ戻ることにすると、直ぐ様父さんの居る執務室に入る。
執務室には、式典やお祝い事の際に使う純金で出来た王冠や、 ス◯ホの画面くらいの大きさのあるダイヤモンドの付いたネックレスなどのお宝があり、お宝の中で父さんは必死に書類にペンを走らせていた。
「父さん。 俺と同じクラスにいる愚民共が俺に対して無礼を働いてきたり、俺を助けなかったりしたんだよ。だから、彼奴等逮捕しないとヤバイよ。後々の反乱の心配があるよ。」
「………………」
俺は父さんの前に出て、しっかりと学校で行われたことについて発言する。
しかし、父さんは聞こえていないのか、ペンを走らせて学校の宿題の何十倍もある書類を片付けている。
今度は、もっと近付いて言おうとすると………
「近くによるな愚息が。お前には言ってなかったが、お前はもう次期国王じゃないぞ。それと、お前はもう王族から追放するから覚悟しておくんだぞ。………これでも一応は血が繋がっているから、一日だけ時間を与えてやる。荷物を纏めたらさっさと城から出ていくんだ。」
「え?どういうこと父さん。」
俺は糞親父の言ったことが理解出来なかった。
どういうことだ?
俺は次期国王だぞ。
それがどうして、次期国王にもなれないし、王族から追放されなければいないんだ?
俺は、思いもよらない言葉に思考が止まる。
そんな俺に、またもや親父こらのドスの聞いた言葉が降り注ぐ。
「どういうことって………お前は、次期国王として問題のある行動をし過ぎていたし、何聖女であるエレナとお前は勝手に婚約破棄をしたではないか?お前の野蛮や横暴とも言える行動を許していたのは、お前の元婚約者であったエレナがいたからなのだぞ?聖女は国を支える大切な存在で、国をあげて守らなければいけない大切な存在だ。それなのに、お前は酷い言葉を浴びせた挙げ句に、婚約破棄を勝手にしたそうじゃないか。今までお前に優しくしていたのは、全てお前の元婚約者の聖女のエレナが居たからなのだぞ?……お前がもう少し王族としての行動を弁まえていたら追放は許してやったかもしれないが、王族としての行動も弁えていないお前は用なしなのだ。……追放すら拒むのならば、処刑も許可しといたからな?」
父さんは俺を虫けらを見るかのような、冷たくて震えるてしまいそうな怖い目を俺に向けると、部屋の外で控えていた艶のある鉄で包まれた兵士達が俺を掴み、上へ持ち上げる。おい。お前ら。ふざけんなよ。この俺に何てことをしやがる。それに、俺好みでもないあの糞女が国を挙げて守らなければいけない存在?そんな訳無いだろ。お前等、あの女に騙されているのか?
王族でありながら、そこらの餓鬼のように腕をブンブンと足や手を激しくて抵抗する少年。
そんな少年は、写った物を全て反射する程艶のある一本の剣でその見苦しい姿に大きな傷を刻まれると、大人しくなった。
王子が学園に来なくなってから数日。
とある聖女は、前より遥かに団結力の強くなったクラスで、紅く透き通った落ち着く香りのするお茶を口に含みながら呟く。
「そういえば私の次の婚約者って、あの糞元婚約者の弟君よね。弟君ってあの糞元婚約者より格好よくて背が高くて頭がいいし、何よりタイプなのよね。」
聖女は、誰でも惚れてしまいそうな蕩けた顔をしながら、次の婚約者の姿を想像して微笑む。
そんな彼女は、元婚約者なんて居なかったような程紅く頬が染まっていた。
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すみません、三話目、ヒロインの名前が「カーナ」になっています。「エレナ」で始まったので、エレナかなと思いましたが、どちらでしょうか。
退会済ユーザのコメントです
ご意見ありがとうございます。(*- -)(*_ _)ペコリ
この王様の口調をチンピラのようにしたのは、この王子に対する怒りの現れを表したくてしました。
細かいところまで見てくれてくれてありがとうございます。_(._.)_
もう少し王子と王様の会話がはっきりするようにしてみます。
新しい作品を書く時の参考にさせて頂きます。