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第2章 筆頭土地神は大変です
第26話 リンゴを賭けた戦い
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俺は今、新しい家族の背中に乗って地上を駆けていた。
「うぉーーー!!滅茶苦茶早いぞ!!やるじゃないかミィミィ!」
「ミルルルゥー!!」
俺に褒められたミィミィは嬉しそうな声で鳴いて見せる。その後ろから必死の形相で、シズクちゃんとチルチルが追いかけてきた。チルチルの背中にはフレイとミリアさん、それにルーシーさんまで乗っている。
見慣れてしまえば意外と可愛いところがあると気づいた俺は、この子にミィミィと名前を付けることにした。それから暫く一緒に歩いていたのだが、ミィミィの背中に乗れるのではないかと思い、乗って見たのだ。
冷たくて心地の良い肌触り。それに体が大きいお陰で安定して乗ることが出来る。俺は素晴らしい移動用の使い魔を手に入れたのだった。
しかし、俺が余りにもミィミィの事を褒めるせいで、今度はシズクちゃんが自分の使い魔の方が凄いと言い始めた。その結果、このレースが始まったのである。
「ぬおぉぉー!!頑張るのじゃ、チルチル!!あんなヘンテコな使い魔になぞ、負けるでない!!」
「チルゥ!!」
発破をかけられたチルチルは少しだけ速度が上がったものの、それでも俺の使い魔、ミミズのミィミィには到底追いつきそうには無かった。その様子を見た俺の前に座る人物が、高らかに鼻で笑って前を向く。
「アハハハ!!良いですよ、ミィちゃん!その調子で走り続けるのです!!このまま先に壁につけば、私達の勝利!!夕飯のリンゴは頂きですよ!!」
「ミミィィ!!」
『戦乙女』のメンバーの中で、唯一ミィミィの事を気持ち悪がらなかったエイリスさんが、俺の前に座って興奮気味に声をかける。その声につられてミィミィはぐんぐん前へ進んでいく。
結局その差は埋まることも無く、夕方になる頃には俺達二人と一匹が先に第2の壁へと到着した。勿論、何処が壁かなんて分からないため減速できるわけも無く、俺一人壁に衝突してミィミィの背中から振り落とされたのは言うまでもない。
「ミィちゃん、着きました!!ここが目標地点です!!私達が一番ですよ!!」
「ミィィィ!!」
エイリスさんはミィミィの背中から降りると、満面の笑みでミィミィの頭を撫で始めた。ミィミィも彼女に褒められて嬉しいのか、尻尾をグルグルとまわして喜びを露にする。
その後ろからようやくシズクちゃん達がやって来た。何やら激しい口論が聞こえてくる。
「そもそもチルチルは四人も乗せられぬのじゃ!!この勝負はお主らのせいで負けたのじゃからな!!分かっておるのかぁ!」
「それはちょっとずるいと思います!チルチルちゃんの背中に乗るよう、フレイ達に声をかけたのはシズクンです!!」
背丈が同じくらいの二人の少女が、がみがみと文句を言いあう中、颯爽とチルチルの背中から飛び降りるルーシーさんとミリアさん。
「ワシのチルチルなら、四人乗せてもへっちゃらじゃ!とか言ってたの、シズクだろ?うち等は別にどっちに乗っても良かったんだぜ?」
「それに勝負を持ち出したのはシズクちゃんでしょう?だったら、シズクちゃんの分のリンゴをエイリスにあげれば良いだけです!」
二人の言い分に対し、ぐうの音も出ないシズクちゃん。どうやら判決は下されたらしい。
「ぐぬぬぬぬ!!分かったのじゃ!!今日の分のリンゴはくれてやる!じゃが明日はお主らもナオキの使い魔に乗るのじゃ!!そこでもう一度勝負して、ワシのチルチルが勝ったら、リンゴを二つ貰うからのう!!」
そう言って悔しそうに『神の引き出し』から自分の分のリンゴを取り出すシズクちゃん。エイリスさんはそのリンゴを受け取ると、ミィミィの元へ戻っていった。そしてそのリンゴを半分に割り、片方をミィミィへと差し出す。
「ほらミィちゃん!私のリンゴを半分コしてあげます!一緒に勝利の祝杯を上げましょう!」
「ミィィ!!」
二人は嬉しそうに笑いながらリンゴを頬張った。
結局シズクちゃんの一人負けという結果に落ち着いたところで、俺はミリアさんの元へ駆け寄る。
「ミリアさん!夕食の前に現在位置を確認しておきたいんですけど、大丈夫ですか?」
「良いですよ!今地図を出しますね!」
ミリアさんは鞄から地図を取出し、それを地面へと広げると、暫くの間顎に手を当てて悩んでいた。
「先程通ってきた道に、この地形が有ったので……現在位置は、恐らくここでしょう!ミモイ村からだと、直線距離で60Km程だと思います!」
「60Km……ずいぶん遠くに来ましたね」
ミィミィに乗らなければ一日で来れなかった距離だ。でも明日からは、これよりももっと長い距離を移動することが出来る。移動範囲の調査も数日で終わる筈だ。
それならばいっそのこと、移動可能な範囲に予測を立てて、範囲内にある村落に出向いた方が効率は良いのではないか?土地の管理と信仰者厚めにはそれが最も効率のいい手段だろう。
となると、移動可能範囲を予測しなきゃいけないんだが──
「ミリアさん。この範囲内に村落があるとかって分かったりしますか?」
俺はそう言って地図の上を手でなぞりながら大きな円を描き示してみせる。ミモイ村を中心とした半径60Km の円だ。
「村落ですか?急になぜそんなことを?」
「俺の予想では、ミモイ村を中心にした半径60Kmの円の内側が、俺の移動可能範囲だと思うんです。だから壁沿いに移動するより、村があればそっちに行った方が良いかなぁと」
俺の推論を聞いて再び悩み始めるミリアさん。俺の推測は正しい筈なのだ。誰がこの移動範囲を決めているか知らないが、いちいち凸凹にするのは面倒だろ?だったら一定距離で作った方が絶対に楽なはずだ。
「うーーんと、そうですねぇー。この辺りに村がありますよ!ミモイ村よりは豊かだったはずです!」
「本当ですか!?それじゃあ明日はそこに向けて移動しましょう!!」
ミリアさんが指示した場所は、現在位置から30㎞ほど東に行った場所だ。そこの村で俺は土地神として信仰を集め、土地レベルを上げてみせる。
「うぉーーー!!滅茶苦茶早いぞ!!やるじゃないかミィミィ!」
「ミルルルゥー!!」
俺に褒められたミィミィは嬉しそうな声で鳴いて見せる。その後ろから必死の形相で、シズクちゃんとチルチルが追いかけてきた。チルチルの背中にはフレイとミリアさん、それにルーシーさんまで乗っている。
見慣れてしまえば意外と可愛いところがあると気づいた俺は、この子にミィミィと名前を付けることにした。それから暫く一緒に歩いていたのだが、ミィミィの背中に乗れるのではないかと思い、乗って見たのだ。
冷たくて心地の良い肌触り。それに体が大きいお陰で安定して乗ることが出来る。俺は素晴らしい移動用の使い魔を手に入れたのだった。
しかし、俺が余りにもミィミィの事を褒めるせいで、今度はシズクちゃんが自分の使い魔の方が凄いと言い始めた。その結果、このレースが始まったのである。
「ぬおぉぉー!!頑張るのじゃ、チルチル!!あんなヘンテコな使い魔になぞ、負けるでない!!」
「チルゥ!!」
発破をかけられたチルチルは少しだけ速度が上がったものの、それでも俺の使い魔、ミミズのミィミィには到底追いつきそうには無かった。その様子を見た俺の前に座る人物が、高らかに鼻で笑って前を向く。
「アハハハ!!良いですよ、ミィちゃん!その調子で走り続けるのです!!このまま先に壁につけば、私達の勝利!!夕飯のリンゴは頂きですよ!!」
「ミミィィ!!」
『戦乙女』のメンバーの中で、唯一ミィミィの事を気持ち悪がらなかったエイリスさんが、俺の前に座って興奮気味に声をかける。その声につられてミィミィはぐんぐん前へ進んでいく。
結局その差は埋まることも無く、夕方になる頃には俺達二人と一匹が先に第2の壁へと到着した。勿論、何処が壁かなんて分からないため減速できるわけも無く、俺一人壁に衝突してミィミィの背中から振り落とされたのは言うまでもない。
「ミィちゃん、着きました!!ここが目標地点です!!私達が一番ですよ!!」
「ミィィィ!!」
エイリスさんはミィミィの背中から降りると、満面の笑みでミィミィの頭を撫で始めた。ミィミィも彼女に褒められて嬉しいのか、尻尾をグルグルとまわして喜びを露にする。
その後ろからようやくシズクちゃん達がやって来た。何やら激しい口論が聞こえてくる。
「そもそもチルチルは四人も乗せられぬのじゃ!!この勝負はお主らのせいで負けたのじゃからな!!分かっておるのかぁ!」
「それはちょっとずるいと思います!チルチルちゃんの背中に乗るよう、フレイ達に声をかけたのはシズクンです!!」
背丈が同じくらいの二人の少女が、がみがみと文句を言いあう中、颯爽とチルチルの背中から飛び降りるルーシーさんとミリアさん。
「ワシのチルチルなら、四人乗せてもへっちゃらじゃ!とか言ってたの、シズクだろ?うち等は別にどっちに乗っても良かったんだぜ?」
「それに勝負を持ち出したのはシズクちゃんでしょう?だったら、シズクちゃんの分のリンゴをエイリスにあげれば良いだけです!」
二人の言い分に対し、ぐうの音も出ないシズクちゃん。どうやら判決は下されたらしい。
「ぐぬぬぬぬ!!分かったのじゃ!!今日の分のリンゴはくれてやる!じゃが明日はお主らもナオキの使い魔に乗るのじゃ!!そこでもう一度勝負して、ワシのチルチルが勝ったら、リンゴを二つ貰うからのう!!」
そう言って悔しそうに『神の引き出し』から自分の分のリンゴを取り出すシズクちゃん。エイリスさんはそのリンゴを受け取ると、ミィミィの元へ戻っていった。そしてそのリンゴを半分に割り、片方をミィミィへと差し出す。
「ほらミィちゃん!私のリンゴを半分コしてあげます!一緒に勝利の祝杯を上げましょう!」
「ミィィ!!」
二人は嬉しそうに笑いながらリンゴを頬張った。
結局シズクちゃんの一人負けという結果に落ち着いたところで、俺はミリアさんの元へ駆け寄る。
「ミリアさん!夕食の前に現在位置を確認しておきたいんですけど、大丈夫ですか?」
「良いですよ!今地図を出しますね!」
ミリアさんは鞄から地図を取出し、それを地面へと広げると、暫くの間顎に手を当てて悩んでいた。
「先程通ってきた道に、この地形が有ったので……現在位置は、恐らくここでしょう!ミモイ村からだと、直線距離で60Km程だと思います!」
「60Km……ずいぶん遠くに来ましたね」
ミィミィに乗らなければ一日で来れなかった距離だ。でも明日からは、これよりももっと長い距離を移動することが出来る。移動範囲の調査も数日で終わる筈だ。
それならばいっそのこと、移動可能な範囲に予測を立てて、範囲内にある村落に出向いた方が効率は良いのではないか?土地の管理と信仰者厚めにはそれが最も効率のいい手段だろう。
となると、移動可能範囲を予測しなきゃいけないんだが──
「ミリアさん。この範囲内に村落があるとかって分かったりしますか?」
俺はそう言って地図の上を手でなぞりながら大きな円を描き示してみせる。ミモイ村を中心とした半径60Km の円だ。
「村落ですか?急になぜそんなことを?」
「俺の予想では、ミモイ村を中心にした半径60Kmの円の内側が、俺の移動可能範囲だと思うんです。だから壁沿いに移動するより、村があればそっちに行った方が良いかなぁと」
俺の推論を聞いて再び悩み始めるミリアさん。俺の推測は正しい筈なのだ。誰がこの移動範囲を決めているか知らないが、いちいち凸凹にするのは面倒だろ?だったら一定距離で作った方が絶対に楽なはずだ。
「うーーんと、そうですねぇー。この辺りに村がありますよ!ミモイ村よりは豊かだったはずです!」
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