最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和

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1巻

1-2

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「父上から、お前を呼んできて欲しいと頼まれたのだ」
「父上が? 俺をですか?」
(何か悪いことしたか? もしかして、職業が魔法職で無いことがバレたとか?)
「そうだ。この間、お前も六歳になっただろ? だからお前も、カールストン家の一員として教育を受けることになる。そのことについての話だと思うぞ?」

 エリック兄さんの言葉に、俺はホッと胸を撫で下ろした。

「教育って一体なんのですか?」
「俺も六歳の頃から、剣術、魔法、勉学のそれぞれの分野で家庭教師がついて、立派な貴族になるように教育されている。アレクにもきっと、その家庭教師がつくんじゃないか?」

 エリック兄さんから教えて貰った俺は、少し後ろ向きな気持ちになってしまった。前世で学校は卒業しているのだが……まぁ貴族という立場上、納得せざるを得ない。
 それに、この世界で生きていくためには、前世の知識は役に立たないかもしれないし、視野を広げる良い機会だ。

(家庭教師がついてくれるなら、魔法の勉強もこれまで以上にしっかり出来るようになるぞ! もしかしたら、魔法が使えるようになるかもしれない!)

 魔法については書斎の本で読んだものの、実際に発動出来るか試したことがなかった。もしかしたら簡単な魔法であれば、スキルがなくても使えるかもしれない。

「まぁとにかく、父上のところに行って話を聞かないと呼ばれた理由は分からないな。ほら、行くぞ」

 エリック兄さんにかされ、俺は書斎を後にした。


「――父上。アレクを連れてきました」

 エリック兄さんが、大きな扉をノックした後にそう声をかける。
 すると中から、父上の声が聞こえてきた。

「分かった。二人とも入れ」

 許可がおりたので、エリック兄さんは扉を開けて中へ進んでいく。俺もその後に続いて父上の部屋に入った。
 父上は机に向かって作業をしていたが、俺達の姿を確認すると、手を止めて話し始めた。

「アレクよ。お前も先日誕生日を迎え、ようやく六歳になったな」
「はい」

 相変わらずこの人は、怒っているのかいないのか、区別がつかない。
 どことなく前世の職場の上司に似た雰囲気を感じてしまう。自分の息子に向ける視線ではないだろう。

「エリックから聞いているかもしれないが、貴族の子が六歳を迎えたら、貴族としての振る舞いを学ぶことになっている。よって、お前には明日から家庭教師をつける。しっかりと勉学にはげむように。いいな?」
「分かりました」

 先程エリック兄さんに聞いた通りの内容だったので、俺は二つ返事をして話を終わらせる。
 しかし父上は続けて話し始めた。

「それと、もう一つ大事な話がある。来月の五日に、晴れてエリックが八歳を迎える。そこで、エリックと私とリアは、七月に王都の教会にて行われる『鑑定の儀』に出席する。アレクはその間、王都にある別邸で待っていることになるが、その翌日に行われるパーティーには参加して貰うぞ。いいな?」

 そういえばそんな儀式もあったな、と記憶を辿たどる。
 この世界では八歳になると、神様から職業が与えられて、スキルが発現すると信じられているのだ。本当は生まれた時から決まっているというのに。
 どの世界にも信仰の厚い人間は居るが、前世と比べて神という存在が身近にあるためか、信心深い人が多いようだ。
 横目でエリック兄さんをチラ見する。
 きっと『鑑定の儀』が終われば、エリック兄さんは魔法をバンバン放つようになるのだろう。それを見なければいけないのが少し憂鬱ゆううつだ。
 そんなことを考えていると、エリック兄さんが父上に質問を始めた。

「父上、なぜ王都の教会で『鑑定の儀』を行うのでしょうか。我が領地内の教会でもよろしいのでは?」
(そうだよな。近くの教会で出来るなら、そこで受ければいい話だ。わざわざ王都に行く必要も無いだろう。まぁ俺はパーティーに出てくるご飯が楽しみだから、別に王都でも良いけど)

 俺が豪華なご飯を頭の中で想像していると、父上がニヤッとした顔になった。

「お前達には言っていなかったな。教会ならどこでも良いというわけでは無いのだ」
「そうなのですか?」
「そうだ。本来であれば聖アルテナ教国に出向き、そこの教会で『鑑定の儀』を受けることが理想なのだ。なぜなら、アルテナ様こそが聖アルテナ教国を築きあげた、と言われているからだ。そこで『鑑定の儀』を受ければ素晴らしい職業を授けられる、と言われている。しかし、聖アルテナ教国に行くには費用もかかるからな。そう簡単には行けないのだ」

 父上は少し残念そうにため息をこぼした。

「しかし幸いなことに、初代聖女様がお作りになられた御神体が、フェルデア王国の王都の教会にまつられているのだ! この意味が分かるか?」
「つまり王都の教会でも、聖アルテナ教国の教会と同様の職業を授かれる、ということですか?」

 エリック兄さんが、ひらめいたという顔で返事をした。
 父上はその通りだ、と頷いている。所謂パワースポットだろうか。
 ただ、俺は既に『鑑定』スキルによって、エリック兄さんの職業を知っているため、どこで受けても結果は一緒であることを知っていた。

「アレクも二年後には、王都で『鑑定の儀』を受けるのだから、そのつもりでいろ」

 俺が『鑑定の儀』を受ける場所も、この瞬間に確定した。
 まぁもしアルテナに会えたら、文句の一つでも言ってやらなきゃ腹の虫が治まらないな。聖アルテナ教国に出向いた方が会えるかもしれないけど。

「これで話は終わりだ。アレクは明日から勉強に励むように。エリックは七月に向けて、パーティーでの振る舞いについてしっかり学ぶのだぞ? お前には、公爵家の令嬢と関係を作って貰わねば困るからな」

 俺はエリック兄さんに難題を押してつけている父上を尻目に、部屋を後にする。

「パーティーかー。どんな飯が出てくるんだろうなぁ」

 俺はパーティーに出てくるご飯について妄想を膨らませながら、書斎に向かった。


         ■


「『灯火トーチ』!」

 庭で一人叫んでいる人間がいる。
 そう俺だ。
 父上に、家庭教師をつける話をされてから二週間が経過した。
 現在俺についている家庭教師は、剣術と魔法の家庭教師だけである。なぜかというと、答えは単純で、勉学に関してはもう学ぶことが無かったからだ。
 家庭教師が来てから、一度テストを受けたのだが、結果があまりにも良かったために、勉学については家庭教師をつけるのをやめた。
 前世では小学生が学ぶような計算問題と、既に読了した『アルテウス』の歴史。六歳までの五年間、書斎に籠もっていた俺にとっては、どちらも簡単だった。
 十歳になったらもう一度確認すると父上は言っていたが、そこでのテストに合格すれば問題はないということだろう。
 そのため、いた時間にも剣術と魔法の家庭教師に来て貰い、教育を受けている。
 結果、本では知れなかった知識を得ることが出来た。
 まず剣術に関してだ。
 剣術にも魔法と同じようにスキルが存在する。
 剣術のスキルがどのような影響を及ぼすのかと言うと、ただ単に剣筋が良くなったり剣技を習得したりするだけでなく、体力の消費も軽減されるらしい。
 さらには威力を高めたり、鋭さを増したりする効果もある。また、上級剣術を習得すると、通常じゃ考えられない剣技を出せるそうだ。
 そして驚いたことに、剣術スキルを持っていなくても、努力次第である程度まで成長する。
 勿論、スキルを習得することは出来ないが、剣を振り続けていれば体力はつくし、剣の振り方も上達するということである。
 剣術の家庭教師は「いざという時、魔法が使えなくなった場合、頼れるのは自分が築き上げた体です。そのために、スキルを持っていなくても、剣術を学んでおくことは大事なのです」と言っていた。だから俺は、剣術の授業も必死になって取り組んでいる。
 そして待望の魔法に関してだが、こちらも大きな収穫があった。
 実は、誰でも魔法は使える、というのだ。
 両親やエリック兄さんが所持していた、初級、中級の魔法スキルは、使用出来る魔法の種類を増やしたり、魔法使用時の魔力の負担を軽減したりする効果に過ぎない。
 単純に魔法で火をつける程度であれば、スキルは必要がないらしい。
 こういった魔法のことを生活魔法といい、練習すれば誰にでも使えるみたいだ。
 この話を聞いて、少しだけ希望が湧いた。
 半ば諦めていた魔法を使うことが出来る。
 そう知ってから、俺は時間を見つけては魔法の特訓をするようになったのだ。

「『灯火トーチ』!」

 指先にかすかな火を灯す魔法。
 何度この言葉を言ったか分からないが、俺の指先に火が灯ることは無かった。悲しくなってくるが、ある疑問が俺の頭をよぎった。

「エリック兄さんは何で魔法の練習をしないんだ? スキルがあるなら簡単に出来るはずなのに」

 生活魔法が誰でも使えることは、エリック兄さんも知っているだろう。魔法の上達などの観点から考えれば、練習しておくに越したことはないと思うのだが。
 そんな疑問を抱いていると、タイミング良くエリック兄さんがやってきた。

「一体何をやっているんだ? アレク」

 エリック兄さんに聞かれて俺は答える。

「魔法の練習ですよ。生活魔法なら誰にも使えるって先生が言ってましたから」

 するとエリック兄さんは大声で笑い、俺を馬鹿にするかのようにこう言った。

「我が指先に灯せ『灯火トーチ』。これのことか?」

 エリック兄さんの指先でユラユラと燃える火を見て、俺は驚く。

「何で使えるんですか! どんな練習したんですか?」
「練習? おいおい。生活魔法を使うのに練習なんかいるか! こんなのすぐ使えたぞ」


 エリック兄さんはむしろ、俺が生活魔法を使えていないことに驚いていた。
 彼にとっては凄く簡単なことだったのだろう。俺がこんなに必死になって練習しているというのに。

「まぁアレクは教育が始まったばかりだからな。そのうち使えるようになるさ」

 エリック兄さんは鼻で笑い、俺に背中を向けて去っていく。

「エリックの野郎、許すまじ」

 俺は誰にも聞こえないよう、小さな声で呟いた。


         ■


 ガタンゴトン、ガタンゴトン。

(割と尻が痛いな。最初は良かったけど)

 現在、俺を含めたカールストン家一行は、馬車で王都に向かっている最中である。
 明日、王都にある教会で行われる『鑑定の儀』に、エリック兄さんが参加するためだ。
 俺は軽いピクニック気分で参加しているのだが、俺以外の三人は無言で、神妙な顔をしている。
 まぁ大体想像はつく。エリック兄さんの職業が魔法職で無かった場合、俺にけるしかないからだ。
 カールストン家は辺境伯であり、家督を継ぐのは、魔法の使える優秀な男児である必要があった。
 三人目を授かるといった手段もあるが、女の子が生まれる可能性もある。
 まぁ俺は『鑑定』スキルで全部知っているから、全くもって緊張などしていないが。

「エリック、分かっているな? カールストン家の長男として『魔導士』、最低でも『魔術師』の職になるのだぞ!」
「分かっております、父上!」

 父上の激励に、力強く返事をするエリック兄さん。
 そんなこと言っても変わらないだろ、とは俺も突っ込まない。

「エリックなら大丈夫ですわ。きっと魔導士のはずです」

 母上もエリック兄さんの緊張をほぐすかのように、優しく声をかける。
 そしてまた皆が無言になり、重い空気が続く。
 カールストン家の領地から王都に行くには、それなりに日数がかかる。三つの街を経由して、一週間程馬車に揺られなければならないのだ。
 各街に宿はあったものの、どこもそれなりの質で風呂などは無い。
 その結果、不安とイライラで三人は押し潰されそうなのだろう。
 俺はそんな三人を尻目に、ぼんやりと窓から外を眺めていた。
 前世と比べると道の整備は甘いし、飯も味気ないものが多い。それに何と言っても娯楽がない。

(こんな時、トランプでもあれば時間を潰せるのに。まぁ家族でトランプなんて、前世でも数える程しかしたことないけど)

 俺がこの世界に不満をぶちまけていると馬車が停まった。
 前方を見ると大きな門が目に入った。門の前には衛兵のような格好をした人が二人立っている。
 その衛兵が、俺達を護衛していた冒険者に声をかけた。

「身分証明書の提示を」
「はい。ステータスカードです」

 護衛がステータスカードなる物を提示している。俺はもの凄く興味が湧いたが、静かにしておいた。

「よし。確認出来たぞ。王都へはなんの用事で来たのだ?」
「カールストン家の皆様の護衛で来ました」

 冒険者が答えると、衛兵が急いで姿勢を正す。

「カールストン家の皆様の護衛依頼でしたか! 失礼ながら、当主様に王都訪問の用件を確認させて頂きます!」

 そう言って、衛兵が馬車の横まで歩いてきた。

「失礼いたします! カールストン家御当主様でお間違いありませんでしょうか?」

 父上が馬車の窓を開けて衛兵の顔を確認し、何かを唱え始めた。
 すると胸元が光り、先程護衛が提示していた、カードのような物が出現する。

「私がダグラス・カールストンだ。王都には、息子のエリックが『鑑定の儀』に参加するために来訪した。これでよいか?」

 父上が答えながらカードを見せると、衛兵は背筋を伸ばして、大きな声で返事をした。

「そうでしたか! 『鑑定の儀』への御参加! 心からお祝い申し上げます!」

 そして衛兵は、元いた位置に走って戻っていった。

「今のがステータスカードですか? 父上」

 エリック兄さんが問いかける。

「そうだ。お前も明日の『鑑定の儀』で、主神アルテナ様から頂戴ちょうだいするのだ。そうすればお前の職業もはっきりするだろう」

 そう父上が答えると、再び馬車が前へと進み始めた。

(ようやく王都か。早く尻を休めたいよ)

 俺はとにかく、馬車から降りる瞬間を心待ちにしていた。


 翌日、エリック兄さんの『鑑定の儀』は無事に終わった。
 俺は儀式が終わるまで、別邸でダラダラと過ごしていた。
 本当は王都を散策してみたかったのだが、父上にやめろと言われたため、我慢して屋敷に籠もっていたのだ。
 そして儀式から帰ってきた三人は俺の予想通り、終始上機嫌で会話をしていた。
 夕食時に、父上から俺にも報告があった。
 いつもなら食事が運ばれると、父上から食事を始めるのだが、今日は全員の分が揃うまで、誰も手をつけることは無かった。

「アレクよ。今日の『鑑定の儀』の結果、エリックが『魔導士』であることが分かった」

 そう言うと父上は黙りこみ、穏やかな表情で、俺の顔をじっと見つめてきた。
 こんな表情、一度も見たことが無い。それだけ兄さんの職業が『魔導士』だったことが嬉しいのだろう。

(何か言って欲しいのか? まぁこの場合……これが正解だよな)

 俺は前世の接待を思い出しながら、間違いが無いように返答する。

「本当ですか! おめでとうございます! これで我がカールストン家も安泰ですね!」

 盛大な笑みを浮かべて答えると、父上はこれまた、今まで見せたことがないような満面の笑みで頷いた。
 兄さんも母上も、王都に向かう途中の馬車の中で見せていた表情とは対極だ。別人と言っても過言ではない。

「うむ! 次男のお前には、あまり喜ばしいことではないだろうがな! まぁお前の職業が『魔導士』であれば、家督をどちらに譲るか分からぬ! エリックもアレクも、どちらも気を緩ませぬように!」
「「はい父上」」

 そう返事をしたが、俺は跡取りなどになる気は毛頭なく、自由気ままな人生を送りたいと願っている。
 折角ファンタジーの世界に転生出来たのだ。色んな国や土地を旅してみたい。誰かに縛られる人生を歩む気はないのだ。
 そんな気持ちを知らないエリック兄さんは、家督を奪われまいと、俺を睨んでいた。


 そして翌日、身支度みじたくを済ませた俺は、早くパーティーに出席して豪華なご飯を食べることだけ考えていた。
 エリック兄さんは礼儀作法と、ご機嫌取りの相手の再確認を父上と行っていた。

「いいかエリック。お前は『魔導士』の職を得たのだ。半端な職業の者と関係を築いてはならんぞ! 少なくとも『魔術師』、『剣士』以上の者とではないとな」
「分かっております。カールストン家に相応ふさわしい者とのみ、ですよね」
「さぁ準備が出来たなら行くぞ」

 二人の会話が終わり、全員で馬車へ向かった。

(この世界は、職業での差別意識が強いな。他の貴族がどの程度かは分からないけど。ほんと嫌になるな)

 前世でも、俺が学生の時は勿論、社会人になってからも、差別やいじめを見てきた。
 やれ貧乏だとか、やれ汚い服を着ているだとか、そうやって人の悪いところばかり見て、良いところを見ようとしない。
 実際、前世の俺の仕事は服がかなり汚れるものだった。そのせいで、道を歩く人からは嫌な顔をされたもんだ。時には鼻をつままれたこともあったな。

(この世界も元の世界も、人間の根底は変わらないんだな)

 嫌な気分のまま馬車に乗り、王城へと向かう。
 その間も父上とエリック兄さん、そこに母上が加わり、会話が盛り上がっている。
 俺は無視を決め込み、王城に着くまで外を眺めていた。


 王家主催のパーティーは、俺が予想していたよりも、かなり厳重な警備の中で行われた。
 王都に入る時のように、父上のステータスカードを確認して、証明書が無い俺のような者の場合、代表者が責任を持つという証書を提示することで、会場への入場が許された。
 流石さすがは貴族が一斉につどうパーティーである。
 会場へ入場すると、父上はすぐさま、俺とエリック兄さんに声をかけてきた。

「少ししたら陛下が来られる。それまでは私の側に居ろ」

 俺達二人は言われた通り、父上の側に居た。

「父上。他の貴族の方への挨拶あいさつはよろしいのですか?」
「馬鹿者。何をおいても、まずは陛下にご挨拶するのが礼儀だ。なにせ王家主催のパーティーなのだからな」

 父上に怒られ、少ししょげるエリック兄さん。エリック兄さんが怒られるところを初めて見た。
 談笑している貴族もちらほらいるが、父上はそうではないらしい。
 それから十分程すると、階段の前に一人の男が現れた。

「アルバート・ラドフォード陛下がお見えになられます」

 男がその一言を発した途端、騒がしかった会場が一瞬で静かになる。
 そして階段の上から、派手な服を着て、頭に王冠を載せた陛下がゆっくりと下りてきた。
 その後ろには俺ぐらいの年の女の子がいて、陛下の裾を引っ張りながら、転ばないようゆっくりとついてきている。
 二人が階段を下り終えると、会場に居た人々は皆、頭を下げて片膝をついた。
 俺と兄さんも慌てて、大人達の真似まねをして頭を下げた。

「みなのもの楽にしてよい」

 男性の一声で皆が姿勢を元に戻す。

今宵こよいはよく集まってくれたな。昨日の『鑑定の儀』、無事に終えたことを心から喜ばしく思う。今日は羽を休め、楽しんでいくとよい」

 そう言うと全員が拍手でこたえ、お決まりの流れが終了する。
 そして会場が騒がしさを取り戻した。

「さぁ陛下のところへ行くぞ。二人ともよいな」

 俺達は父上の後に続き、陛下のところへと歩いていく。
 だが既に、陛下の前には挨拶をしようとする人の行列が出来ており、俺達は並んで待つことになった。
 待つ間、俺はパーティー会場を観察していた。
 前世では見たことがない豪華なシャンデリアに、美味おいしそうな数々の料理。改めて異世界に転生したことを実感する。
 前世にもこういう場所は存在していたかもしれないが、俺には行く機会がなかったからな。
 十分程経っただろうか。ようやく俺達の順番が回ってきた。


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