最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和

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第4章 憎しみの結末

第178話 VS オズマス・シェルダン

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 大会二日目。初日に行われた団体戦は、特に語ることがないくらい簡単に終わってしまった。一年の部は、当然の結果だとは思うが俺達のパーティーが優勝した。スキル玉で強化されたユウナや、一年の中では突出したステータスを誇る『剣聖』アリスが居るのだ。そんな俺達に敵うパーティーなど滅多にいる筈がない。

 そして次に行われた二年の部は帝国側のパーティーが優勝した。ハロルド殿下も出場してくると思ったのだが、どうやら団体戦のメンバーには選ばれていなかったようで、試合に出てくることは無かったのが残念だった。

 大会初日の最後に行われた三年の部は、エリック兄さんとミーシャさん率いるパーティーが優勝を飾った。三年の代表者ともなれば、上級魔法を使える者も存在し準決勝からは白熱した戦いが繰り広げられた。その戦いを制したエリック兄さん達は今日の戦いで脅威と言える存在になるだろう。

 
 個人戦第一試合が始まる直前、張りつめた雰囲気の控室にいた俺達は、普段通りの笑顔を零していた。ヴァルトとアリスと、初めて全力で戦うことが出来るのだからそれも仕方がないだろう。

「アレクよ!私と戦うまで負けるんじゃないぞ!」

「分かってるって。アリスも、俺と戦うまで負けるなよ?模擬戦のリベンジしてやるからな!」

「リベンジって、あの模擬戦は私の負けだと思ってるんだけど。まぁアレクがそういうんだったらそれで良いわ!今日も負けないわよ!」

 三人の拳をぶつかり合わせる。お互いが勝ち上がることを願って。

 今回の個人戦出場者は全部で十八名。学年関係無しのトーナメント形式で行われるのだが、そのくじ引きは先程終了した。十八人という関係上、四人が一試合多く行い、二人がシードを与えられることになっていたのだが、アリスはシードを引き当て、俺は貧乏くじを引き当てたのだった。

 予想通りに進めば、俺は三回戦でヴァルトと当たり準決勝でエリック兄さんと戦うことになる。アリスとは反対の山であるため決勝まで行かないと戦えないのだが、多分心配いらないだろう。

 俺達だけが穏やかな空気に包まれる異質な控室。そこにハイデリッヒ先生が入ってきた。扉が開かれた音に、控室にいた人間の視線がハイデリッヒ先生へと集中する。

 先生はその視線を気にも留めず、口を開いた。

「エルバス・クボォー!」

「はい!」

「第一試合を始める!会場へと移動しろ!」

 先生に名前を呼ばれた生徒はスッと立ち上がり、ふーと息を漏らした後ゆっくりと歩き始めた。誰も言葉を発することもなく、コツコツと床をける音だけが響き渡る。

 彼の制服に描かれたラインの色は『赤』と『金』。三年間の集大成として最後の大会で結果を残したいと、誰しもが考えるだろう。その緊張がこの場にいる全員に伝わっていく。

 生徒がハイデリッヒ先生の隣を通り過ぎると先生も一緒に控室を出ていった。

 それからも二人の生徒が呼ばれ、試合は順調に進んでいった。その内控室に帰ってきたのは一人だけ。『自分も負けるかかもしれない』という不安が、より一層張りつめた空気へと変えていく。

そして遂に、俺の名前が呼ばれた。

「アレク・カールストン!」

「はい!」

 俺は椅子から立ち上がり、アリスとヴァルトへと視線を送る。俺が軽く微笑みながら頷くと、二人も同じように頷いてくれた。言葉を交わさずとも気持ちは伝わる。

『勝ってこい!』と、そういわれている気がした。

 ハイデリッヒ先生の元へと歩いていく中、俺の視界にエリック兄さんの姿が映りこむ。兄さんは俺の事をただじっと見つめてくるだけで、声をかけてくることはしなかった。二人と違って、兄さんが何を考えているのか、俺には理解できなかった。

そのまま何をするわけでもなく控室を後にして、会場へと続く道を歩いていく。一回戦の相手は団体戦で一度戦っている相手だ。盾を上手く使い、防御も攻撃もそつなくこなせるタイプ。中々楽しい戦いが出来そうだ。

「お前は緊張していなさそうだな」

 俺がどう戦おうか考えていると、ハイデリッヒ先生が声をかけてきた。お前はという事はやはり前の三人は緊張していたのだろう。

「ええ。やれることをやるだけですから」

「そうだ。どうやらお前には助言はいらないみたいだな」

「前の人達には助言をしたんですか?」

「緊張をほぐしてやろうとしただけだ」

 先生は憮然とした表情でそう告げるが、何かをごまかそうとするその態度に思わず笑みを零す。入場口にたどり着いた俺は、会場へ足を踏み入れる直前にハイデリッヒ先生へと声をかけた。

「意外と優しいんですね。もう少しキツイ方だと思っていました」

「ふん!教師としての役目を果たしたまでだ。この大会に出場することが出来るのはホンの一握りだけ。多くの生徒が出場の機会すら手にすることも出来ずに学園を卒業していくのだ!その生徒達のためにも選ばれた代表者が、実力を発揮できずに大会を終えるなど断じて許されることではない!分かったらさっさと行って勝ってこい!」

 そう言って『早く行け』と言う風に手を振りだすハイデリッヒ先生。上手く隠せていると思っているのだろうが、先生の耳は少し赤くなっていた。

「分かりました。勝ってきます!」

 先生に返事をし、会場へと進んでいく。俺が入り口から現れると向かいの方からも対戦相手が出てきた。俺達が出てきたことで会場が盛り上がり始める。

 中央にいた審判の近くで足を止め、開始の合図を待った。

「個人戦第四試合!アレク・カールストン対オズマス・シェルダンの試合を始めます!」

 審判が高らかに手を掲げ宣言をすると、会場から互いの名前が叫ばれ始める。俺達は互いに武器を手に取り、戦闘態勢をとる。その様子を見て審判はその場から四歩ほど後ろへと下がった。

「両者準備は宜しいですね?」

 審判の言葉に俺達は頷く。審判が両手を左右に広げるとそれを合図にしたかのように会場がピタリと静かになった。

「……始め!!」

 開始の合図と共に俺は魔法を発動させた。

「火矢!」

 六発の火矢がオズマスに向かって飛んでいく。直線的に向かうだけではなく、大きく曲線を描いた火矢も飛ばす。三方向からの攻撃で逃げ場をなくす作戦だ。

「パワーシールド!」

 オズマスもそれを読んでいたのか、俺の魔法が届くよりも早く盾を地面に突き立てスキルを発動させた。真っすぐに飛んで行った火矢は盾にぶつかり消滅する。そしてそのまま盾の上に飛び乗り、左右から飛んできた火矢を回避して見せた。

 たった一度の攻防で会場に沸き上がる歓声。その歓声に酔いしれることもなく、オズマスは再び盾を掴むとそのまま突進してきた。

「ブレイクシールド!」

 盾を持ったままの突進とは思えない速度だが、それでも容易に反応できる速度だ。俺はその突進を簡単に避けて剣を振るう。

だがその瞬間、オズマスは再びスキルを発動させた。

「アックスシールド!」

 オズマスがスキルを発動させた直後、彼の目の前にあったはずの盾が、とてつもない速度で横なぎに振るわれた。俺は直ぐに後ろへと回避を試みるが、団体戦の時には使っていなかったスキルだったため、回避が一瞬遅れてしまった。

「ッツ……」

盾が俺の右腕を掠めたことで一瞬痛みに襲われたが、物理耐性の高さからか直ぐに痛みは治まった。そのまま直ぐに反撃に移ろうと足に力をいれるが、その攻撃が行われることは無かった。

「ぐぁぁぁ!!!か、肩がぁぁ!!」

 オズマスが盾を地面に置き去りにし、肩を抑えながら激しくのたうち回っている。何もしていないのに、一体何が起きているのか分からなかったが、審判がオズマスに駆け寄りその後すぐに両手をクロスさせた。

「オズマス・シェルダンは試合続行不可能と判断します!よって、個人戦第4試合勝者はアレク・カールストン!」

 審判が宣言したことにより、会場にアレクコールが沸き上がる。

 突然の勝利に戸惑いつつも、俺は右拳を高らかに掲げ会場の声援に応えるのだった。




***あとがき***
遂に明日、第一巻が発売されます!!
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