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第13話 勇者たちの日々
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祐介がレッドベアーを倒し、実体化したフィムに驚いている頃、アルデンド王国に召喚されたクラスメイト達は騎士達との訓練に励んでいた。
「この地に集いし炎の精霊よ!我に力を与えたまえ!『小火球』!!」
香織が詠唱を唱え終えると、手に握られていた杖の先から小さな火の玉が発射された。火の玉は10m程先に用意されていた的にぶつかり、ポスンと音を立てて消えていく。その様子を見ていたクラスメイト、騎士達からは歓声が上がった。
「すげぇぇ!!高橋さん、もうあんな魔法撃てるのかよ!」
「やっぱり『魔導士』なだけあるよなー!くー、俺達も早くあんな魔法撃てるようになりたいぜ!」
額に汗を垂らしながら息を整える香織の元に、布を持った騎士が歩み寄ってきた。その騎士の顔を見て、香りはほのかに頬を赤らめる。
「流石香織様、見事な『小火球』でした!だがやはりいけませんね……貴方のような美しい女性を戦場にたたせるなんて」
「そんな……私なんて、まだまだですよ。それに、早く皆さんのお役に立ちたいですから!」
物語に出てくるような騎士とヒロインの一部始終に、クラスメイト達は色めき立つ。自分達も早く力をつけて、「勇者」として良い思いをしてやるといきり立っていた。
なぜこんなにも、「勇者」として活動することを生徒達がすんなり受け入れたのか。それは大和や春奈、そして勇者として認定された光輝、他にも有能だと判断された人物には、それぞれ騎士がついているからだ。
目の前で繰り広げられる、甘い雰囲気に当てられて、冷静を保っていられる筈もない。
思春期の子供達にとって、成熟した異性に好意を寄せられることなど、日本ではありもしなかった経験だ。その世界が、今手の触れられるところにある。それを知ってしまったら、もう戻ることは出来ないだろう。
──陽が落ちたころ、訓練も終わり生徒達は自室へと向かっていく。この世界に来て4日しかたっていないというのに、クラスの中から一人欠けている事に誰も疑問を持たなかった。
それもそのはず。祐介を除く全員が、その欠けた一人に何の興味も持っていなかったのだから。
「でも本当馬鹿だよな、近藤のやつ!「自分の力を試したい」とか言って、騎士の人達傷つけたらしいじゃん!」
「聞いた聞いた!なんか装備だけ奪って、城を抜け出したらしいぜ!自分を漫画の主人公だとでも思ってんじゃねーの?」
「それあるかもなぁー!でも騎士の人が言うには、あいつ『呪い』持ちだったらしいぜ?なんでも、近くにいる奴らの生気を奪うんだってよ!」
「うぇえ、まじかよ!寧ろいなくなって貰ってラッキーだったな!」
クラスメイト達の噂話。誰もがどうでもいいと思っている、そんな他愛もない話に、耳を傾ける人間が居た。その人間は生徒たちが部屋の中に姿を消すと、音もなくひっそりとその場を後にした。そしてアルデンド王国、宰相の元へと報告を寄せる。
「ライデン様。こちらの計画通り、勇者共は『呪い』持ちを排除したことに対し何も思っていないようです」
「そうか。ならそのままにしておけ。いずれ話にも上がらなくなるだろう」
「は!それから、勇者と光魔士についてですが、こちらも問題はないとの事です」
「では時を見て、例の物を渡すと指示をしておけ。くれぐれも奴らに能力を使わせぬようにな」
「は!」
生徒達が夢見る世界などここには無い。その真実を知ることになるのは、そう遠い未来では無かった。
「この地に集いし炎の精霊よ!我に力を与えたまえ!『小火球』!!」
香織が詠唱を唱え終えると、手に握られていた杖の先から小さな火の玉が発射された。火の玉は10m程先に用意されていた的にぶつかり、ポスンと音を立てて消えていく。その様子を見ていたクラスメイト、騎士達からは歓声が上がった。
「すげぇぇ!!高橋さん、もうあんな魔法撃てるのかよ!」
「やっぱり『魔導士』なだけあるよなー!くー、俺達も早くあんな魔法撃てるようになりたいぜ!」
額に汗を垂らしながら息を整える香織の元に、布を持った騎士が歩み寄ってきた。その騎士の顔を見て、香りはほのかに頬を赤らめる。
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なぜこんなにも、「勇者」として活動することを生徒達がすんなり受け入れたのか。それは大和や春奈、そして勇者として認定された光輝、他にも有能だと判断された人物には、それぞれ騎士がついているからだ。
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それもそのはず。祐介を除く全員が、その欠けた一人に何の興味も持っていなかったのだから。
「でも本当馬鹿だよな、近藤のやつ!「自分の力を試したい」とか言って、騎士の人達傷つけたらしいじゃん!」
「聞いた聞いた!なんか装備だけ奪って、城を抜け出したらしいぜ!自分を漫画の主人公だとでも思ってんじゃねーの?」
「それあるかもなぁー!でも騎士の人が言うには、あいつ『呪い』持ちだったらしいぜ?なんでも、近くにいる奴らの生気を奪うんだってよ!」
「うぇえ、まじかよ!寧ろいなくなって貰ってラッキーだったな!」
クラスメイト達の噂話。誰もがどうでもいいと思っている、そんな他愛もない話に、耳を傾ける人間が居た。その人間は生徒たちが部屋の中に姿を消すと、音もなくひっそりとその場を後にした。そしてアルデンド王国、宰相の元へと報告を寄せる。
「ライデン様。こちらの計画通り、勇者共は『呪い』持ちを排除したことに対し何も思っていないようです」
「そうか。ならそのままにしておけ。いずれ話にも上がらなくなるだろう」
「は!それから、勇者と光魔士についてですが、こちらも問題はないとの事です」
「では時を見て、例の物を渡すと指示をしておけ。くれぐれも奴らに能力を使わせぬようにな」
「は!」
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