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戯れ始まり
初残業の帰り道
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二十二時前には仕事を終わらせた。全然まだ残っていたけれど、きっとあの二人の暇潰しになるから良いんだと富塚君は言っていた。
いつも出る方の玄関はまだやっている人も居て忙しなく、裏口から出て、そのままちょっと遠回りになるけれど余裕で駅には着くだろうと富塚君と一緒に歩き出した。
誰も居ない夜の道、街灯も少なく、車も滅多に通らない。
道路沿いに家々が建ち並んでいるけれど、この時間ともなるとそんなに明かりが点いてない。
「そこ危ない! 畑」
「あ、そうだった。ありがとう」
「暗いけど、ちゃんと周り見てー」
「うん、ごめん」
注意されてしまった。そうだった、ここら辺はちょこちょこ何か知らないけど畑があるんだった。危ない、危ない……。
車側を歩く富塚君と歩く場所交換したい……。
「なあ、日下はこんな遅くまで仕事したことあるの?」
「え?! ない……いや、あるかな……。前に事務で働いていた時に……でも、あれは二十一時ぐらいまでだったような気もする……」
「ふーん……、何か気にする事でもあった?」
「え?」
「ぼーっとしてるから」
「いや、そんなにぼーっとはしてませんよ! ただ……」
「ただ?」
「思い出しちゃったんだよね……、何か、高校生の頃の事」
「どこで?」
「うーん、皆が残業して作業してるの見て、何か痛かった高校の文化祭を」
「痛かったってどういう風に?」
「うん、富塚君達みたいにクラスの皆と仲良くが出来てなかったのが理由なんだけど」
「楽しめなかった?」
「うん……、騒いじゃいけないような気がして、普段、考えるとさ……。こういう時ばかりっていうやつ? もっと騒げてたら違ってたのかなって……」
「今、騒げば?」
「今?!」
「そう、もう静か過ぎて退屈でしょ? カラオケ行く?」
「行かない……。そんなに疲れてらっしゃらないの? 富塚君、若いね……」
「若くないし、疲れたよ。でも、日下居るから頑張れた」
「うわ……何か嘘くさい発言だね、それ」
「いや、本当」
「どう本当なのか聞きたいものだね!」
「うん……、そうだな、日下が会社に来て、喋るようになってからと言うもの、日下を大事に思うほど、何を喋って良いのか、何を言ったら傷付けないで済むのか考えるほど無口になるくらいには」
「良く分からない、その答え」
「だから、えーっとぉ! どう言えば良いのか、分からん! 前なら素直に言えたのにな……」
「困ってるね、そうなったのは……前の彼女のせい?」
「そうかも……。日下の所にさ、今日だって、すぐにでも行きたかったのに、タバコ吸った直後だったし、臭いかなって思って、その場で匂いなくなるの待ってたんだ」
「あんましなくなるものではないよね? その匂い」
「やっぱ、俺の隣に来た時、臭かった?」
「ううん、大丈夫。何かもう慣れたのかな……、いつも吸ってる人、臭いから。僅かながらも匂って来るし」
「うん、傷付くわ、それ」
「でも、本当の事だよ? 吸ってる人には天国でも吸ってない人には地獄、うわ……って思う」
「もう吸うの止めようかな……」
「そう簡単には止められないんじゃない? 私はそっちに賭ける!」
「ひど! 出来ます! 俺、自分がそうするって思った事は出来ると思ってるんでっ!」
「へえぇ! じゃあ、すぐにやって! 出来る?」
「出来ますよ! タバコ吸わないのだって、日下が俺ともっと仲良くなる事だって!」
「うん? それは話題になかった」
「うん? 何の事?」
「勢いで口走るタイプですか? 富塚さんは」
「いや、その時のノリっていうかさ……」
「へぇえ、じゃあ、やっぱ、ウソなんだ! 興味がある間の限定的なものでしょ? それ。その為にわざわざ費やさなくても良いと思うけど……」
「いや、大丈夫、なくならないから」
「え?」
「そんなに簡単にはなくならない。というか、なくせない、なくしたくない。やっと、見つけたんだ……。今の俺に合いそうだし……」
「それはどういう意味……」
「日下……」
イヤイヤ! 男はやっぱり狙ってる女に興味が出ているうちが花ダァ! そして、コロッと落ちたらそれで終わりなんだぁ!! というのが伝わってしまったらしい。
いや、声に出てたのか……。
「大丈夫、なくならないから」
笑って言えるなんてひどい。それもちょうど街灯があって、はっきりその表情が分かる所で言うなんて……。
「富塚君は女の経験があるだろうけど、私にはないからね?」
「知ってるよ」
それで全てがまとめられた。
いつも出る方の玄関はまだやっている人も居て忙しなく、裏口から出て、そのままちょっと遠回りになるけれど余裕で駅には着くだろうと富塚君と一緒に歩き出した。
誰も居ない夜の道、街灯も少なく、車も滅多に通らない。
道路沿いに家々が建ち並んでいるけれど、この時間ともなるとそんなに明かりが点いてない。
「そこ危ない! 畑」
「あ、そうだった。ありがとう」
「暗いけど、ちゃんと周り見てー」
「うん、ごめん」
注意されてしまった。そうだった、ここら辺はちょこちょこ何か知らないけど畑があるんだった。危ない、危ない……。
車側を歩く富塚君と歩く場所交換したい……。
「なあ、日下はこんな遅くまで仕事したことあるの?」
「え?! ない……いや、あるかな……。前に事務で働いていた時に……でも、あれは二十一時ぐらいまでだったような気もする……」
「ふーん……、何か気にする事でもあった?」
「え?」
「ぼーっとしてるから」
「いや、そんなにぼーっとはしてませんよ! ただ……」
「ただ?」
「思い出しちゃったんだよね……、何か、高校生の頃の事」
「どこで?」
「うーん、皆が残業して作業してるの見て、何か痛かった高校の文化祭を」
「痛かったってどういう風に?」
「うん、富塚君達みたいにクラスの皆と仲良くが出来てなかったのが理由なんだけど」
「楽しめなかった?」
「うん……、騒いじゃいけないような気がして、普段、考えるとさ……。こういう時ばかりっていうやつ? もっと騒げてたら違ってたのかなって……」
「今、騒げば?」
「今?!」
「そう、もう静か過ぎて退屈でしょ? カラオケ行く?」
「行かない……。そんなに疲れてらっしゃらないの? 富塚君、若いね……」
「若くないし、疲れたよ。でも、日下居るから頑張れた」
「うわ……何か嘘くさい発言だね、それ」
「いや、本当」
「どう本当なのか聞きたいものだね!」
「うん……、そうだな、日下が会社に来て、喋るようになってからと言うもの、日下を大事に思うほど、何を喋って良いのか、何を言ったら傷付けないで済むのか考えるほど無口になるくらいには」
「良く分からない、その答え」
「だから、えーっとぉ! どう言えば良いのか、分からん! 前なら素直に言えたのにな……」
「困ってるね、そうなったのは……前の彼女のせい?」
「そうかも……。日下の所にさ、今日だって、すぐにでも行きたかったのに、タバコ吸った直後だったし、臭いかなって思って、その場で匂いなくなるの待ってたんだ」
「あんましなくなるものではないよね? その匂い」
「やっぱ、俺の隣に来た時、臭かった?」
「ううん、大丈夫。何かもう慣れたのかな……、いつも吸ってる人、臭いから。僅かながらも匂って来るし」
「うん、傷付くわ、それ」
「でも、本当の事だよ? 吸ってる人には天国でも吸ってない人には地獄、うわ……って思う」
「もう吸うの止めようかな……」
「そう簡単には止められないんじゃない? 私はそっちに賭ける!」
「ひど! 出来ます! 俺、自分がそうするって思った事は出来ると思ってるんでっ!」
「へえぇ! じゃあ、すぐにやって! 出来る?」
「出来ますよ! タバコ吸わないのだって、日下が俺ともっと仲良くなる事だって!」
「うん? それは話題になかった」
「うん? 何の事?」
「勢いで口走るタイプですか? 富塚さんは」
「いや、その時のノリっていうかさ……」
「へぇえ、じゃあ、やっぱ、ウソなんだ! 興味がある間の限定的なものでしょ? それ。その為にわざわざ費やさなくても良いと思うけど……」
「いや、大丈夫、なくならないから」
「え?」
「そんなに簡単にはなくならない。というか、なくせない、なくしたくない。やっと、見つけたんだ……。今の俺に合いそうだし……」
「それはどういう意味……」
「日下……」
イヤイヤ! 男はやっぱり狙ってる女に興味が出ているうちが花ダァ! そして、コロッと落ちたらそれで終わりなんだぁ!! というのが伝わってしまったらしい。
いや、声に出てたのか……。
「大丈夫、なくならないから」
笑って言えるなんてひどい。それもちょうど街灯があって、はっきりその表情が分かる所で言うなんて……。
「富塚君は女の経験があるだろうけど、私にはないからね?」
「知ってるよ」
それで全てがまとめられた。
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