【完結】触れたら最後

イツキカズラ

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40. 因縁のメガネ

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「久。なんか食べる?いつの間にか昼過ぎてた」
「ん…でも動きたくない。つーか無理…」

 本当は一緒に買い物にでも行って前に作れなかった分俺が作ろうとか考えていたのに、病み上がりのくせに体力有りすぎだろ。
 ケロリとした様子の葉大に対して俺はベッドに伏せたまま声を出すのすら億劫だ。

「でもこのままじゃ風邪ひくし一旦汗流して服着よ」
「んー」

 半ば運ばれて風呂場へ移動する。風呂でもさっと洗われ、出た後も服を着せられて葉大の作ったチャーハンを食べて…色々してやろうと思っていたのにごく自然な流れで完全に世話を焼かれている。

「晩飯は俺が作る」
「まじ、いいの?」
「体にいいやつな」

 ぱっと明るい表情になった葉大に期待すんなよと釘を刺す。今朝、無理やり起きてきたこともあって、チャーハンを食べ終える頃には眠気が襲ってきた。

 ソファーで並んでテレビを見ているとますます眠気が増してくる。葉大の高い体温が布越しにも伝わってきて心地いい。

「久―、眠いなら横んなる?」
「…このままでいい。30分だけ」


  ……………


 目を開けるとこちらを見下ろす葉大と目が合う。いつの間にか体勢が膝枕に変わってタオルケットもかけられていたらしい。

「あ。起きた?」
「…なんでメガネなんてしてんの」
「久好きでしょ」

 満足そうに笑ってクイっとメガネを上げる仕草をじぃっと見上げる。何度見ても似合わない。というかいかにもなメガネが悪いんじゃないかと思う。

「別に好きじゃないし、…んなこと言ったっけ俺」
「言ってたよ」
「記憶ねーな」
「…中学んとき」

 葉大の拗ねたような表情で察する。メガネを外して自分でかけると、こちらを見る顔がふっと緩んだ。

「似合う?」
「あんまり」

 そう言いながらも愛おしそうに細められる目を好きだな、と思う。

「お前可愛いね。俺はメガネない方が好きっていうか、別にメガネとかもうどうでもいいよ。俺、好きな人がタイプだし」
「久」

 近づいた顔がメガネに当たって離れる。葉大が不満を前面に出した顔でメガネを取る。

「捨てる」
「何も捨てなくても…。てか俺1時間近く寝てたん」

 30分で起きるつもりだったのにいつの間にか完全に寝るスタイルにされていた。

「ごめん。見てたくてつい…。久ももうちょっとって言ってたし。寝てる間に勉強しようと思ったんだけど捗らなかった」

 おぼろげだが確かに言った記憶があってきまりが悪かった。
 その後はふたりで買い物に行って俺の作った飯を食べた。前に作った時よりうまくできたと思うし、嬉しそうにたくさん食べてくれたから作ってよかった。まぁ、俺が作ったら味に関わらず美味いとか言って完食しそうだけど。

「っ…ん、葉…。それ、その触り方やめろ…」
「うん?どの触り方?」

 後ろに回された手が際どいところをなぞり、胸の敏感になったところにすりすりと指が当たる。触れるだけのちゅーに「もっと」とねだったのは俺だが、葉大がその気になるとは思わなかった。

「…勃った」

 朝から散々したのにまだできるのかコイツ…。

「…お前盛りすぎ」
「だめ?」

 そっと離れていく手を掴んで引き戻す。

「別に、嫌とは言ってないだろ」
 ちゃんと俺の意思を尊重してくれるのは嬉しいが、もう少し押してきてもいいのに。俺が下手に恥じて引くと葉大も出した手を引っ込めるし、してる時も俺を気遣うことが多い。もちろんそういうところは好きだが、正直、今朝の激しいのもかなり良かった。葉大も楽しそうだったし、本当はあれくらいが好きだったりするんだろうか。
「久無理してない?朝もしてるし」
「してない」

 疑うようにじっとこちらを見る顔を見つめ返す。二人しかいないこの部屋でも大きな声で言うのにはためらいがあって、耳元に顔を寄せてこそりと伝える。

「ほんとに平気だから、…朝みたいに…激しくしろよ」

 見開かれた目が驚きを隠せずに右往左往する。間を置いて状況を飲み込むと行為中と同じあの目で嬉しそうにじぃっと俺を見て笑った。

「久いっぱいイってびしょびしょにするからゴムつけよっか」
「誰のせいだと思って」

 羞恥心で顔がカッと熱を持つのを感じる。言い返し終える前に口を塞がれて出掛けた言葉の残りはこぼれそうになった唾液と一緒に飲み込んだ。
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