俺と部長をカップリングしないでください！

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(水沢部長…。俺、部長の指好きです…)
(また進くんはそんなことを言って…、私を弄ぶのが上手な子だ)
(俺、本気なんです…！！そう言うと進は水沢部長と自分の指をぎゅっと絡め…)


　今日も今日とて淵上さんの中の俺は部長にメロメロだ。

　いい加減、淵上さんの妄想にも慣れてきた。
　

　コツはただ一つ。淵上さんの妄想が頭に入ってこないほど仕事に集中する。これだけだ。むしろ対処法がこれしかない。

　カッと目を見開き、俺は意識をパソコンへと全集中させた。






「…らくん…小野寺くん」

「あっ、はい！？」

　ハッと振り向くと淵上さんが俺の顔を覗き込んでいた。

　心の声を聞かないようにしていたあまり、現実の声にも気付かなかった。
　

「突然なんだけど、今週末空いてるかな？少しずつ慣れてきただろうし、新入社員歓迎会開こうかって話してるんだ。来れるかな？」
(部長も来るって言ってたし、いいもん見れるかもな～)


　くそっ、心の声さえ聞こえなければ…！

　
　俺は表情を作って「行きます」と答えた。素直に新入社員歓迎会は嬉しい。この会社の人たちはみんな好きだし、仲良くなりたいと思っている。

　淵上さんだって妄想さえなければいい人なのだ。そう、妄想さえなければ。


　俺はデスクに置いていた飲みかけのコーヒーを一気に飲み干す。


　
　そして、飲み会に行ったとしても淵上さんの思い通りには絶対にならないと心の中で固く誓った。