誰にも気づかれなかった僕の生き方が、世界を変えていました。

シロトネ

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第16話 真実のかけら

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その日、空には一筋の白い光が走っていた。
転移魔法陣の余波だろう。王都からの使者が去っていった証。

けれど、空が静けさを取り戻しても、
ユイの心は揺れ続けていた。


「ソル・マギアが本格的に動き始めた以上、
もう、僕の存在は“ただの人助け”では済まされない」

そう思っていても、まだ実感が追いつかない。

けれど――
“あの人”が現れたことで、事態はまた一段階、動き始める。

◇ ◇ ◇

村の中央に、見慣れぬ旅人がいた。

漆黒のフードをかぶり、杖の先には銀の輪。
その男は、淡々と村を見回していた。

「……王都直属の、観測魔導師ノクト・アーカイブ。名を、ルヴァン」

そう名乗ったその男は、ソル・マギアの一員だった。

「私は命を受け、この地に“真実の欠片”を探しに来た。
――神の使いと噂される、ユイ。君と話がしたい」

 

集会所で向かい合ったユイに、彼は単刀直入に告げる。

「君の力は、“人間”の枠に収まりきらない。
だがそれは、魔族の力ともまた異なる。……いわば、“第零系統オリジン・ナンバー”に近い」

「第零系統?」

「世界が成立する前、まだ“分類”も“体系”もなかった頃に存在した、原始的な魔。
通常は記録にも残っていない。けれど――君の力は、それに酷似している」


ユイは言葉を失った。

“分類すらされていない力”。
“魔”がまだ“魔法”になる前の何か。

つまり、自分は――


「あなたたちは、僕に何を望んでる?」

「可能であれば、“記憶”を確認させてほしい。
君の力の由来には、本人も知らない何かがあると推測している」

「……無理です。僕の記憶は、あの転生の瞬間からしかありません」

ルヴァンは静かに頷いた。

「それでも、何かが眠っているはずだ。
今はまだ鍵が閉じられていても、いずれ開く。君が自らの“起源”に触れたとき――」

◇ ◇ ◇

夜。
ユイは焚き火の前で、ひとり星を見ていた。

そこへリルがやって来て、隣に座る。

「ねえユイ。難しい話ばっかりされてるけど……ユイは、どうしたい?」

ユイは少し考えて、そして言った。

「――知りたい。僕が何者なのか。
でもそれは、“誰かのために使われるため”じゃない。
僕自身が、ちゃんと立つために知りたいんだ」

リルはうなずいた。

「うん。じゃあ、わたしは隣で見てるね。
どんなユイでも、きっとわたしは“ユイだ”って思えるから」


その言葉が、ユイの心をふっと軽くした。

自分の正体が何であれ、
誰かが「それでも」と言ってくれる限り、歩いていける。


――ソル・マギア。
――第零系統。
――真実の欠片。

すべてが、ゆっくりと繋がりはじめていた。
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