誰にも気づかれなかった僕の生き方が、世界を変えていました。

シロトネ

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第24話 切り落とされる理

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王都。
浮遊する白の塔、ソル・マギア本部。

地下階層にある“律議の間”では、ふたたび重苦しい空気が流れていた。

ゼドリアの手元には、封印柱の“崩壊記録”が収められている水晶球があった。

その中心には、魔力を抑え込もうとする結界。
そして――その封印を内側から拒絶し、解放した者の姿。


「……個体反応、想定を超えている」

ゼドリアの声は低く、苛立ちすら含んでいた。

「リルという村人との接触が、“オリジン・ナンバー”の制御因子として働いた。
予測不能な“感情干渉”……やはり、“人の心”など不確実すぎる」


その言葉に、議席のひとつから声が飛ぶ。

「だが、感情を以て力を抑えたというのなら、むしろ“安定性”の証明では?」

エリシアだった。
冷静に、しかし確かに反論の意志を持った声。

「ユイは、制御ではなく“選択”によってその力を抑えた。
ならば今こそ、彼自身の意志を重視するべきだ」


ゼドリアは、静かに立ち上がった。

「エリシア。君の“観測官サーヴェイア”としての判断には、もはや客観性が欠けている。
ゆえに、本日をもって――君の“観測任務”を一時剥奪する」

議席がざわめく。

だが、ゼドリアの目は、揺れなかった。

「……君には、“感情”が入りすぎている。
この世界を守るためには、冷徹な秩序が必要だ」

◇ ◇ ◇

その夜、エリシアは自室で静かに封筒を開いた。

そこには――辞令。

『観測任務の一時停止。以後、外部活動の制限を命ず』

静かに目を閉じた彼女の唇が、わずかに歪む。

「……ゼドリア、私を排除に動いたか」

それでも、彼女は立ち上がった。
クローゼットの奥にしまっていた一冊の記録帳を取り出す。

そこには、かつての“特例個体”――
今はなき観測体たちの記録が残されていた。

そしてその一番下に、ひとつの名前が書かれていた。

《No.000:ユイ》


「……あの子だけは、同じ結末にはさせない」

◇ ◇ ◇

その頃、村。

ユイは夜空を見上げていた。
今日も、世界は静かだった。
でもどこか、胸の奥がざわついていた。

「何かが、“壊されようとしてる”気がする」

それが、自分なのか。
誰かの意志なのか――

それすら、まだ分からない。

けれど。

「――止めないと」

もう、見ているだけではいられなかった。
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