⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

文字の大きさ
31 / 207
ヒトのキョウカイ1巻(異世界転生したら未来でした)

31 (異世界転生)

しおりを挟む
 事件発生から6時間…現在午後10時。
 永遠に感じる6時間が経過し 最後のワームが駆除された。
 発電施設に向かったトヨカズは 狭い施設内で渋滞を起こし詰まっているワームを発見し、背後からの攻撃であっさりと駆除してしまう。
 ワームの死体が入り口を塞いでいるので救助は難しいが無線で『死者は何名か出たが大半は無事』との報告が出ており、今は救助待ちだ。

『今回の事件の一次報告と解決、対策案』
 死者数、確定2000…予測2300(マイクロマシンのバイタルロスト数から算出)
 重傷者、おおよそ1000…都市の義体人口が多くなると予想される。
 軽傷者は膨大ぼうだい…医療リソースの確保の為『トリアージ』を適用し優先順位をもうける。
 エレクトロンの介入なしの場合 住民の半数が死者及び重傷者になると算出されていたが、介入した事で被害が想定の33%までおさえられた。
 次、医療…ベッド数2000の大規模病院である『砦学園都市中央病院』にベッド数の不足の警告が上がる。
 重傷者は1000だが軽傷者でも入院が必要な人は、かなりの数に上る為、いずれ医療リソースを食いつくされパンクすると予測。
 提案『研究都市』『実験都市』からの医療バックアップによる人員の増強…ドラムの優先配置。
 医師や医者の過労が想定される為、人員の確保、シフトの徹底は最重要問題と強調しておく…。
 次、経済…2層の生産施設の大半は無事なものの労働人口の不足になる事が予測される。
 優先順位は食、インフラ、建物の順に行い、特に食は治安に直結するので最重要と強調する。
 設備の修復の需要が上がるものの事態収束後は一次的に大規模なデフレが予想される。
 経済対策として『生活保障金』の一次的な増額…『お悔やみ金』名目で20~30万程度の支給をする事が望ましい。
 特に『お悔やみ金』に関しては政府の信用回復や治安の悪化防止に役立ち効果的だと思われる。
 尚《なお》この対策は生産安定後である。
 次、物資…この都市の構造物は大半が炭素由来の為、炭素の急激な不足が予想される。
 瓦礫を回収してリサイクル炉で分解するのが通常手続きだが、ワームの死骸及び人の遺体をリサイクルする事で当分は問題ない。
 むしろ死骸及び遺体の腐敗による感染症の防止の為、速やかにリサイクルするべきである。
 リソース確保の為『近隣都市から輸入する』事も提案をしてみる。
 以上の問題を解決する為、我々エレクトロンは『災害復興』名目での派遣が可能。
 対価は必要であるものの都市の復興に繋がると予想される。
 砦学園都市エレクトロン大使館、駐在外交官、クオリア・エクスマキナ

「なんか最後は売り込みっぽくなっているけど…。」
 クオリアから来た一次報告のデータを見てレナが言う。
 添付されていた詳細なデータを役員に見せるが感想は『このデータが合っている前提ならこの方法が最適解だろう』との事だった。
「財源はどうします?」
 新しく出来た次期都市長に役員が聞いて来る…多分 私を試している。
「国債を発行して、銀行に買わせるしかないでしょう…税を上げるのは論外ですし」
「ほお」
 役員はまともな答えが返ってきた来た事に驚く。
 政府が中央銀行から借金をして借用証書を銀行に渡す。
 中央銀行が、借用証書を政府に渡した場合、政府は支払いをしないと行けない…。
 だが、借用証書には期限があり期限を過ぎれば無効になり、支払い義務も無くなる。
 政府の子会社である中央銀行と連結決算してもいい。
 私の居た都市ならそうする。
「昔の銀行システムならそれで完璧…。
 だけど…今はもっとスマートに解決が出来る…と言うより意地悪ですね」
 アントニーが役員に向けて言う。
「この都市の場合、政府=中央銀行で考えると分かりやすい。
 つまり都市民への通貨の流入量を上げれば良い…数字でね」
 役員が答える。
「お金の発行?なら誰が負債を?」
「銀行と言う事になるのかな…名目上は。
 この都市の都市民の口座や売買記録はケインズが握っているから需要と供給が分かる訳なんだが…」
「ケインズ経済学?」
「そう、これで運営は物価調整金を変える事で経済を操作出来るようになる…。
 足りない金は都市民の銀行預金を銀行が運用すれば解決だ。」
「そうしたら、どんどん都市民の預金が増えるのでは?」
 ヒトの使わないお金を元手に人を雇っているのだ…働いた金額だけ預金が増えてしまう。
「増えるだろうね…でも経済を左右するのは『需要と供給のバランス』…。
 『預金が1000万あって毎月10万トニー使っている人』と『100万トニーあって毎月10万トニー使っている人』が『同じ需要10万トニー』でカウントされるんだ。
 この都市の1ヵ月の生活費は、どんなに多く見積もっても100万程度…。
 でも実際は10万で良い人は10万以上働かなくなるから、その人が望む生活水準が上限になって需要が落ち着くんだ…。」
 更に別の役員が繋げる。
「更に言うなら、生活保障金の10万トニーで『最低階級層の1ヵ月の快適な生活』を担保する事で通貨の価値を保証。
 『金本位制』ならぬ『生活保障金本位制』にする事で更に安定する。」
「上手く出来てるわね。」
 レナは必死に頭を働かせ話について行く。
 都市民の安全も保証しつつ通貨の価値を保証するシステム。
 ヒトは生活物資を消費しないと生きて行けないから、生活物資に価値が無くなる事は無い。
 更に消費する量には限りがあるから通貨破綻も起きない。
 おまけにこの理屈だと税金すらいらない。
 まぁ実際は企業が最終利益の50%も取られてるけど、都市民が税金0なのは このおかげなのね。
「元々『ゴールドスミス理論』は国民には分かりにくくって理解されなかったからね…。
 金本位制の方が分かり易かったから、あえてグレードを落としたんだ。」
 レナは情報を整理する…最初はお金の問題だと思っていたけど実際の問題は…。
「つまり、今この都市の問題は、1ヵ月分の生活物資を都市民に供給出来なくなる事ですか?」
「正解」
 役員が軽く拍手する。
 まだ分からない私に解説を交えつつ説明してくれる…。
 緊急時でなければ、この役員達は非常に優秀なのだ。
「と言う訳で『レナ次期都市長』に理解して貰った所で、生産量の確保についての議題なのですが…。」
 アントニーが上手く話を繋げる…多分私に説明する事で役員内で問題を明確にしたみたいだ。
 その後の話はアントニーを中心に驚くほどスムーズに進んでいった。

 翌日…の早朝。
「何だ来たのかい?…今オフタイムだよ…。」
 クオリアは、カレンの私室に足を運んだ…。
 と言っても病室を改造して私室にしてるだけなのだが…。
「急な用事があった…先日ナオが死んだ…瓦礫の落下によって首が切断され酸素供給が途絶えた。」
「ほう…遺体は?」
「頭だけ回収出来た。」
「………。」
 クオリアがポケットから真空包装されたブレインキューブを出す。
「カレン…あなたは、コールドスリープしたナオの脳を義体に入れたのではない…。」
 キューブを取り出しカレンに突き付ける。
「コールドスリープ状態のナオの脳のデータをコピーして、アップロードしたんだ…。」

「私は違法な事はしていないよ…。
 本人にも許可は取ったしね…。」
 カレンが答える。
「ああ…だがアップロードした事を黙っていた…嘘まで吹き込んで…。」
 クオリアは淡々としゃべる。
「人はアンタらとは違うんだ。
 急にアップロードした何て言ったら本人はどうなる?
 医療的処置の一環さ…彼のアイデンティティが義体に移ってから言うつもりだった。
 それにアンタの所の『長老さん』も10歳までは、人として生きて居たんだろう。」
 確かにエルダーは乳幼児をアップロードした元人だ…だが。
「私は患者のメンタルは結構気を使ったさ…。
 2020年の人が現代にスムーズ適用できるように当時の風習を調べたりしてな…。」
「それで転生か…。
 ナオの話を聞いて不自然おかしいとは思っていたんだ…脳のコールドスリープを転生とは言わない。
 私は『当時の文化が言葉の意味を変化して使っていた』と思っていたが…。
 アップロードしたなら十分転生と言える。」
 転生とは、脳情報や魂を次世代の人間に上書きする行為…。
 脳をそのまま移し替えた場合、転生とは言わない…蘇生だ。
「当時の文献を見る限り、転生は見た目は変わっても同個体のように扱われていた。
 だが、本来転生は記憶データを受け継いだ別個体だ。
 この差を利用してカレンはナオに了承を取り付けた。」
「それで、それが事実だとして私を『倫理侵害』として起訴する気かい?」
「いや…私が欲しいのはナオの処置データーだ。
 それが無いとナオを救えない。」
 クオリアの意外な答えにカレンは少し驚いた表情を見せ、
「たとえキューブ内の電源が落ちても中の時間が停止するだけで、再起動は出来るはずだが?」と答える。
「ああ、だが『雑にデータを入れた』事が原因で、電源が落ちた際にクロックが飛んだ。
 カレンがナオの脳データを そのまま入れて、最適化作業をしなかったのが原因だ。」
 人の頭の情報をそのまま機械媒体に入れてもうまく作動しない。
 その媒体によってデータの配置を変える必要がある。
「ナオの場合 生活しながら自分で最適化し始めていたが、そのおかげで本来の規格から外れた…。
 それでも最適化を続けていれば、その規格に収束するはずだが、その前に電源が落ちてしまった。」
 まるでアップデート中にタイミングよく停電しクラッシュしたデバイスのように…。
「それで再起動《リブート》出来ないと…どのデータが必要だ?」
 カレンは意外と協力的にクオリアに聞く。
「全部だ…それとカレンの事だ。
 オリジナルのバックアップデータも当然 持っているんだろう。」
 カレンの事だ…ナオが破綻した時用にバックアップは取ってあるはず…。
 例えば今回の件が無く、このままカレンにナオを任せていて、ナオが再起動出来ない事態になったらどうするか?
 キューブを初期化フォーマットして 1カ月前の転生直後のナオを再インストールするだろう。
 機械として見た場合当然の手続き…私もバックアップから再起動をした事はある…が…。
「意外だな…再インストールを受け入れるなんて…。」
 カレンは机の引き出しからキューブを取り出しクオリアに渡す。
 他の記録は通信でクオリアに送られた。
「いや、バックアップのナオを最適化処理して今のナオと比較…差分を調整して組み直す。
 それでも新しいキューブに入れないと行けないからオリジナル性は下がるんだがな…。」
 データを受け取りクオリアは出入口に向かって歩き出す。
「行っておくが 研究目的だったが、ナオを再起動したい気持ちは本当だよ…データを渡したのがその証拠だ」
「だが私の中の『カレンの信用値』は下がった。」
「あ~最後にもう1つ、ナオの再起動に成功したら『どんな高級義体だろうが義体代は持つ』と伝えて欲しい。」
「分かった…確実に伝えよう。」
 クオリアは部屋を出た…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

辺境の落ちこぼれと呼ばれた少年、実は王も龍も跪く最強でした

たまごころ
ファンタジー
村で「落ちこぼれ」と呼ばれた少年アレン。魔法も剣も使えず、追放される運命だった。 だが彼の力は、世界の理そのものに干渉する“神級スキル”だった。 自覚のないまま危機を救い、美女を助け、敵を粉砕し、気づけば各国の王も、竜すらも彼に頭を下げる。 勘違いと優しさと恐るべき力が織りなす、最強無自覚ハーレムファンタジー、ここに開幕!

転生幼女の国家級チート図書館~本を読むだけで技術が進化する世界で、私だけ未来知識持ちでした~

ハリネズミの肉球
ファンタジー
目が覚めたら、私は5歳の幼女だった。 しかもそこは―― 「本を読むだけで技術が進化する」不思議な異世界。 この世界では、図書館はただの建物じゃない。 本を理解すればするほど、魔道具も、農業も、建築も“現実にアップデート”される。 だけど。 私が転生した先は、王都から見捨てられた辺境の廃図書館。 蔵書は散逸、予算ゼロ、利用者ゼロ。 ……でもね。 私は思い出してしまった。 前世で研究者だった私の、“未来の知識”を。 蒸気機関、衛生管理、合金技術、都市設計、教育制度。 この世界の誰も知らない未来の答えを、私は知っている。 だったら―― この廃図書館、国家級に育ててみせる。 本を読むだけで技術が進化する世界で、 私だけが“次の時代”を知っている。 やがて王国は気づく。 文明を一段階進めたのは――5歳の幼女だったと。 これは、最弱の立場から始まる、知識による国家再設計の物語。 ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...