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ヒトのキョウカイ2巻(エンゲージネジを渡そう)
04 (自我が宿るとき)
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観光に来たってのに 復興支援をさせられ、滞在予定の1週間はあっという間に過ぎようとしていた。
「滞在期間の更新しとかないとな…。」
今日は、クオリアがサルベージした人間の義体制作だ。
「態々こんな日に指定しなくてもいいだろうに…。」
地面が熱で陽炎が出来…蒸発した水蒸気の熱が周りに伝わり、スチームサウナ状態になっている。
今日の天気は 天井付近に雲が溜まっているが快晴、気温は120℃…オーバーヒート対策が必要だ。
こんな気温の為、住民は皆 家に引きこもり、快適な空調の元 生活をしている。
ジガは空間ハッキングを行い 自分の周りの熱を5℃…適正温度まで下げるが…。
「いやコレ縛りプレイのルールに反するか?」
あえて不便を楽しむのが縛りプレイだったよな…。
ジガは空間ハッキングを解除し、熱中症に注意しつつ寮に向かっていった。
「だ~相変わらず…物の置き過ぎだって…作業用のスペースすら確保 出来無いだろう…。」
「今スペースを開けている…。」
クオリアは外に出しても問題ない素材やパーツが山のように抱え、廊下に出して行き…スペースを確保する。
昔からコイツは過剰までに予備パーツを持ちたがる…。
私室には ヒトの心が現れると言われているが、少なくともクオリア本人がどんな性格は分かるだろう。
「作業台をそこに…補修用機材はこんなにあるってのに…整形用のツールが何故ない…。」
「いや、そもそも顔は弄らないし、いざとなれば3Dプリンターで顔を成形して…「ウチの仕事舐めてるのか!?
クソーこれだから芸術を知らない奴は…。
ここは大使館だ 自前で生成するぞ。」
「問題ない」
ジガは空間ハッキングを行いツールを生成していく。
ツールと言ってもかなりアナログな物ばかりなのだが…。
ジガは裸にしたクオリアの予備義体を抱え作業台に寝かせる…。
「本当にいいのか?この義体を使わせて…人の感覚だと結婚に近いぞコレ」
人で近い概念《がいねん》を探すならペアルックが一番近いだろう…。
普通なら服装とかアクセサリー位のものだが…。
エレクトロンは自分の部品を信頼のおける相手に譲渡する習慣がある。
その為、部品の譲渡数が そのまま好感度に繋がるとも言われる。
その理屈から行けば、脳データ意外はすべてパーツを譲渡しようとしているクオリアは、結婚以上とも言える。
「今後、数百年関わり続ける相手だ…結婚でいいのではないか?」
「いや、相手はそんな事考えていないだろ…。
てか、それは既成事実と言って…。」
恋は盲目と言うが…盲目過ぎてストーカーの域に片足を突っ込んでいる。
将来、恋バナとか聞けるのかね…。
電源を繋げた ナオのキューブとクオリアを有線で繋げる…。
加速倍率は5000倍…相手側のクロックが分から無い以上、性能限界から徐々に落としていく事になる。
下手に時間をかければ、ナオの精神が死にかねない。
「では言ってくる…。」
クオリアの得意分野は『データサルベージ』…。
データの破損して動かなくなったヒトをオリジナル性を保ちつつ修復し、復旧させる。
データ面での専門家だ。
そしてウチは、身体、顔など調整し、ヒトのボディのアイデンティティの部分守る『造顔師』…。
クオリアが今回の患者…ナオの義体を調整するように言ってきたのも、ナオのメンタル部分を守る為だ。
クオリアがナオにダイブする…即座に加速倍率が1倍になりクロックが安定した。
「さて、患者は無事みたいだな…手早く丁寧に済ませるか…。」
作業台の上で裸で寝ているのは、クオリアの予備義体…。
本来は メインのクオリアを自前で直すための義体だ。
DLと同じように手、脚、首が外せるようになっており、ジガはそれぞれを切り離し、パーツごとにカートに載せていく。
まずは、胴体…。
人工皮膚を切って剥がし、胴体部分の肋骨に当たる装甲を真ん中から開閉し、中身を開放する。
身長が低く、食べ物を分解する為の臓器や性器を持たないクオリアの中は、美しい程にぎっちりと整列され、一切の予備スペースが無い。
それにも関わらず廃熱などにも気を使っていて、規格製品のサイズを上手く組み合わせて設計されていて、機能美を感じる。
これは クオリアが『機械は集積密度が高い程エライ』と言う価値観を持っている為だ。
ピンセットを器用に使ってケーブルを抜き、クオリアの造器を取り出す。
取り出し方法もしっかり考えられていて、毎度ながら驚く程スムーズに作業が進む。
最初にクオリアの設計図を見た時、あまりの美しさに彼女に惚れてしまった位だ。
クオリアをウチの手で作り、完成させ…それ以降、嫌がっているクオリアを やや無理やりだが調整を受け持ち、正式にクオリアの専属となり、最終調整を受け持つまでになった。
そんなクオリアが選んだ相手だ…どんな奴か見て見たい。
背骨に取り掛かる。
背骨は骨パーツを組み合わせて作られており、追加するだけで長さを調節出来るようになっている。
ここで重要なのは神経接続だ…。
ここをミスると結果が分かるのが、造器を収納した後になる。
二度手間を踏まない為、クオリアの設計通りに繋いでいく…。
そしてソケットの長さを調整して造器の再配置…。
人の指でも十分に入るようになり、パーツロックは強度重視で外しにくい物から、外しやすい簡易式な物に変える。
これは将来、ナオが自分をメンテナンス出来るようになると見越しての配置で、クオリアの愛を感じる…。
そして、肋骨装甲を閉じ 胴体は終了…外装はまだ取り付けてないが、それは最終調整後だ…。
胴体をカートに乗せる。
次脚…。
クオリアの骨は太さの違うパイプを繋ぎ合わせ長さを調節する汎用義体の構造だ。
これを一旦取り外し、棚から『ナノカーボンバッテリーパウダー』の袋を取り出し骨の中に積めていく…。
これは『ナノカーボンバッテリー』を粉状にした物だ。
粉にしている為、敷き詰めてもきちんと整列してくれないので、バッテリー性能としては、ナノカーボンバッテリーに劣るが…粉状にした利点は大きい。
何より強度が高いので、骨粗鬆症状態のスッカスカの骨パイプに入れて強度を稼ぐんだ。
このバッテリーが発明された事で身体がスリムになり稼働時間や電力のレスポンスなども大幅に上がった。
更に、ジガが空間ハッキングを行い、パウダー自体を整列させ、ナノカーボンバッテリーに仕上げていく。
次、腕…だが構造はほぼ同じ…違うのは足首と手、筋肉の張り方位だ。
次に頭…ヒューマノイドを識別する為に装着されている『メカ耳』を取り外す。
ナオは人出身の為『メカ耳』はいらない…。
取り外して マイクだけの耳だけが頭に残った。
顔の整形は後だ。
各部のパーツを装着していき、男なので骨盤の位置も調整し、最後に目視で内部をスキャンし設計通り確認。
電源を入れて電圧を上げ、各部がちゃんと動いているか報告書を送らせる。
結果は良好…。
次は筋肉だ。
素材は『ナノカーボンアクチュエーター』、柔軟性と強度のバランスが良くDLの筋肉としても使われている…と言うより、元々こっちが流用した物だ。。
本来ナノカーボンアクチュエーター機は、電気駆動なので 油圧と比べて反応速度は勝るがパワーが劣り、土木作業がメインのベックには搭載できなかった。
だが、ナノカーボンアクチュエーターを筒状にして人の血管に見立て、油圧血液を入れる事で油圧駆動を併用出来るようになり、レスポンスとパワーのバランスが取れるようになった。
筋肉の張り方はDL準拠でジガはクオリアの義体を並列してリモート操作し、自分の感覚を元に確認していく…。
「あー男だから筋肉はこっちか…。」
男と女で筋肉の張り方が微妙に違ってくる…。
次、外装…。
人工皮膚と表現するが実際はセンサーが織り込まれた触感器官…。
ここで『造顔師』の本領だ。
触診をしながら リモートで感覚を感じ、合わせていく…。
人だったウチの師匠には出来なかった ウチのオリジナル技術だ。
DL規格の筋肉を上手く誤魔化して配置して 皮膚を取り付け、着色をする。
義体は当然ながら赤血球の類が無く…赤見が出ない。
着色をしない身体は、生気を感じない死体のよう見える。
更に今回は男なので着色もまた変えないといけない。
そして次々と調節を行い…下腹部に言った所で…。
「チ〇コどうすっかな・・・」
男の象徴で、男の最大のアイデンティティ…。
それは、チ〇コのデカさで上下関係が発生する程だ…。
エレクトロンの女性でウチ見たいにセクサロイドをやっていた時期のあるヤツや元人だったハルミは 性器を持っているが、エレクトロンには 男のセクサロイドがいなかった為、男のエレクトロンに性器は無い。
幸い、女と違ってチ〇コは埋め込み式じゃなくアタッチメント式…外部取り付けが可能だ。
一応取り付け機構だけは つけておこう。
最後…顔。
人のアイデンティティのほぼすべて…。
顔のパーツの慣用句の多さは他の部位に比べて圧倒的に多く『人は見た目で判断してはいけない』と言いつつ、統計上《とうけいじょう》 人は必ず見た目で判断する…人の最重要器官。
頭の皮膚と一体化しているウィッグを外し、皮膚と表情筋を外して 骨格を調整…。
こちらも調節が利く汎用タイプだ。
後頭部にある頭蓋骨のカバーを開く。
真ん中に片手に収まる程度のキューブがあり、その後ろに予備バッテリがついているだけだ。
『頭の中が空っぽ』と表現する程、頭の中に余りのスペースが多い。
ジガはキューブを固定している取り付けネジを外し、新品に付け替える。
信頼関係を築いたエレクトロンは、互いの頭のネジを交換する風習がある。
その為、固定の意味を成さない、ただ挿して置くだけのネジソケットもある。
キューブ固定用の4本に、ソケットに12本を入れカバーを閉める。
そして表情筋の配置には特に気を使い…取り付け。
眼球は、中にカメラが取り付けられているだけで 表面は殆どカバー…。
クオリアとナオの目の色は同じなので そのまま取り付ける。
皮膚を取り付け…着色…。
最後に3Dプリンターで作ったナオの皮膚付きのウィッグを取り付ける。
髪の毛は大事な廃熱器官だ…。
熱量をあまり出さないキューブだが、頭の中の密閉空間内では当然熱くなる。
なので熱を髪の毛に流し赤外線に変換する事で冷却するんだ。
クオリアなどの高処理能力を持つエレクトロンが長髪なのは この為だ。
ちなみに身体の皮膚にも汗腺《かんせん》に似た廃熱器官があるが、全裸で歩き回れない以上、冷却効果は望めない…。
そして長めに作って置いた髪を丁寧にハサミを入れ髪を整えていく。
当然ながらこの髪は伸びない…。
1回で取返しのつかなくなる為、髪の最終調整は慎重に1本ずつ切る。
この際に義体のナオの顔をコロコロ変え、表情を見ながら全体を整えていく…。
人が不気味、恐怖感、嫌悪感を抱く、変に人に似ている作り物の顔から『不気味の谷』を超え、師匠の言う所の顔に命を吹き込む…。
いや…ウチは『自我を吹き込む』と表現する。
この顔も中身は無いけど意思はある…。
何かしら主張している…確かにそう感じる。
「完…成!!」
ジガが満足そうにナオの義体を見渡す。
「出来たようで何よりだ」
とっくの昔にダイブから戻ってきたクオリアがナオの義体を見て…。
「いつも通り良い仕事だ。」
と言う。
「だろ…。」
ジガは少し頬を緩ませ嬉しそうに言う。
「約束通り滞在費は 全額保証する…好きなだけ楽しんでいってくれ」
「おう…とは言っても外があんだけ暑いとな…店も閉まっているし…。」
「外に出たのか…寮に泊っていたはず では無かったのか?」
「昨日はビルの修理で2層に行ってて、そこで泊まった…。
時間になって外に出たら暑くてな…。」
「すまない寮にいると思ってた…。
まさか確認してないとは思わなかった。」
「なんでこんなに暑いんだ?
地熱発電所は予備機を繰り上げで動かしているんだろ…。」
「トラブルじゃない意図的だ。
言うなれば都市全体の加熱殺菌だ。」
「ワームが変な病原菌を持ち込んだ可能性があるからか…。」
「そう…クリーンルームとまでは言わないけど、ここは空気が綺麗すぎる…。
免疫が弱っている状態で病原菌に当たる可能性を考慮してだ。」
なるほど…建物自体が宇宙規格で出来ているから、こう言った乱暴な殺菌方法が使えるのか。
やっぱり都市ごとに考え方が違うんだな…行き詰まりを感じているウチらとは違って。
「じゃ…とっとと起こすか…準備はどうだ?」
「問題ない。」
「滞在期間の更新しとかないとな…。」
今日は、クオリアがサルベージした人間の義体制作だ。
「態々こんな日に指定しなくてもいいだろうに…。」
地面が熱で陽炎が出来…蒸発した水蒸気の熱が周りに伝わり、スチームサウナ状態になっている。
今日の天気は 天井付近に雲が溜まっているが快晴、気温は120℃…オーバーヒート対策が必要だ。
こんな気温の為、住民は皆 家に引きこもり、快適な空調の元 生活をしている。
ジガは空間ハッキングを行い 自分の周りの熱を5℃…適正温度まで下げるが…。
「いやコレ縛りプレイのルールに反するか?」
あえて不便を楽しむのが縛りプレイだったよな…。
ジガは空間ハッキングを解除し、熱中症に注意しつつ寮に向かっていった。
「だ~相変わらず…物の置き過ぎだって…作業用のスペースすら確保 出来無いだろう…。」
「今スペースを開けている…。」
クオリアは外に出しても問題ない素材やパーツが山のように抱え、廊下に出して行き…スペースを確保する。
昔からコイツは過剰までに予備パーツを持ちたがる…。
私室には ヒトの心が現れると言われているが、少なくともクオリア本人がどんな性格は分かるだろう。
「作業台をそこに…補修用機材はこんなにあるってのに…整形用のツールが何故ない…。」
「いや、そもそも顔は弄らないし、いざとなれば3Dプリンターで顔を成形して…「ウチの仕事舐めてるのか!?
クソーこれだから芸術を知らない奴は…。
ここは大使館だ 自前で生成するぞ。」
「問題ない」
ジガは空間ハッキングを行いツールを生成していく。
ツールと言ってもかなりアナログな物ばかりなのだが…。
ジガは裸にしたクオリアの予備義体を抱え作業台に寝かせる…。
「本当にいいのか?この義体を使わせて…人の感覚だと結婚に近いぞコレ」
人で近い概念《がいねん》を探すならペアルックが一番近いだろう…。
普通なら服装とかアクセサリー位のものだが…。
エレクトロンは自分の部品を信頼のおける相手に譲渡する習慣がある。
その為、部品の譲渡数が そのまま好感度に繋がるとも言われる。
その理屈から行けば、脳データ意外はすべてパーツを譲渡しようとしているクオリアは、結婚以上とも言える。
「今後、数百年関わり続ける相手だ…結婚でいいのではないか?」
「いや、相手はそんな事考えていないだろ…。
てか、それは既成事実と言って…。」
恋は盲目と言うが…盲目過ぎてストーカーの域に片足を突っ込んでいる。
将来、恋バナとか聞けるのかね…。
電源を繋げた ナオのキューブとクオリアを有線で繋げる…。
加速倍率は5000倍…相手側のクロックが分から無い以上、性能限界から徐々に落としていく事になる。
下手に時間をかければ、ナオの精神が死にかねない。
「では言ってくる…。」
クオリアの得意分野は『データサルベージ』…。
データの破損して動かなくなったヒトをオリジナル性を保ちつつ修復し、復旧させる。
データ面での専門家だ。
そしてウチは、身体、顔など調整し、ヒトのボディのアイデンティティの部分守る『造顔師』…。
クオリアが今回の患者…ナオの義体を調整するように言ってきたのも、ナオのメンタル部分を守る為だ。
クオリアがナオにダイブする…即座に加速倍率が1倍になりクロックが安定した。
「さて、患者は無事みたいだな…手早く丁寧に済ませるか…。」
作業台の上で裸で寝ているのは、クオリアの予備義体…。
本来は メインのクオリアを自前で直すための義体だ。
DLと同じように手、脚、首が外せるようになっており、ジガはそれぞれを切り離し、パーツごとにカートに載せていく。
まずは、胴体…。
人工皮膚を切って剥がし、胴体部分の肋骨に当たる装甲を真ん中から開閉し、中身を開放する。
身長が低く、食べ物を分解する為の臓器や性器を持たないクオリアの中は、美しい程にぎっちりと整列され、一切の予備スペースが無い。
それにも関わらず廃熱などにも気を使っていて、規格製品のサイズを上手く組み合わせて設計されていて、機能美を感じる。
これは クオリアが『機械は集積密度が高い程エライ』と言う価値観を持っている為だ。
ピンセットを器用に使ってケーブルを抜き、クオリアの造器を取り出す。
取り出し方法もしっかり考えられていて、毎度ながら驚く程スムーズに作業が進む。
最初にクオリアの設計図を見た時、あまりの美しさに彼女に惚れてしまった位だ。
クオリアをウチの手で作り、完成させ…それ以降、嫌がっているクオリアを やや無理やりだが調整を受け持ち、正式にクオリアの専属となり、最終調整を受け持つまでになった。
そんなクオリアが選んだ相手だ…どんな奴か見て見たい。
背骨に取り掛かる。
背骨は骨パーツを組み合わせて作られており、追加するだけで長さを調節出来るようになっている。
ここで重要なのは神経接続だ…。
ここをミスると結果が分かるのが、造器を収納した後になる。
二度手間を踏まない為、クオリアの設計通りに繋いでいく…。
そしてソケットの長さを調整して造器の再配置…。
人の指でも十分に入るようになり、パーツロックは強度重視で外しにくい物から、外しやすい簡易式な物に変える。
これは将来、ナオが自分をメンテナンス出来るようになると見越しての配置で、クオリアの愛を感じる…。
そして、肋骨装甲を閉じ 胴体は終了…外装はまだ取り付けてないが、それは最終調整後だ…。
胴体をカートに乗せる。
次脚…。
クオリアの骨は太さの違うパイプを繋ぎ合わせ長さを調節する汎用義体の構造だ。
これを一旦取り外し、棚から『ナノカーボンバッテリーパウダー』の袋を取り出し骨の中に積めていく…。
これは『ナノカーボンバッテリー』を粉状にした物だ。
粉にしている為、敷き詰めてもきちんと整列してくれないので、バッテリー性能としては、ナノカーボンバッテリーに劣るが…粉状にした利点は大きい。
何より強度が高いので、骨粗鬆症状態のスッカスカの骨パイプに入れて強度を稼ぐんだ。
このバッテリーが発明された事で身体がスリムになり稼働時間や電力のレスポンスなども大幅に上がった。
更に、ジガが空間ハッキングを行い、パウダー自体を整列させ、ナノカーボンバッテリーに仕上げていく。
次、腕…だが構造はほぼ同じ…違うのは足首と手、筋肉の張り方位だ。
次に頭…ヒューマノイドを識別する為に装着されている『メカ耳』を取り外す。
ナオは人出身の為『メカ耳』はいらない…。
取り外して マイクだけの耳だけが頭に残った。
顔の整形は後だ。
各部のパーツを装着していき、男なので骨盤の位置も調整し、最後に目視で内部をスキャンし設計通り確認。
電源を入れて電圧を上げ、各部がちゃんと動いているか報告書を送らせる。
結果は良好…。
次は筋肉だ。
素材は『ナノカーボンアクチュエーター』、柔軟性と強度のバランスが良くDLの筋肉としても使われている…と言うより、元々こっちが流用した物だ。。
本来ナノカーボンアクチュエーター機は、電気駆動なので 油圧と比べて反応速度は勝るがパワーが劣り、土木作業がメインのベックには搭載できなかった。
だが、ナノカーボンアクチュエーターを筒状にして人の血管に見立て、油圧血液を入れる事で油圧駆動を併用出来るようになり、レスポンスとパワーのバランスが取れるようになった。
筋肉の張り方はDL準拠でジガはクオリアの義体を並列してリモート操作し、自分の感覚を元に確認していく…。
「あー男だから筋肉はこっちか…。」
男と女で筋肉の張り方が微妙に違ってくる…。
次、外装…。
人工皮膚と表現するが実際はセンサーが織り込まれた触感器官…。
ここで『造顔師』の本領だ。
触診をしながら リモートで感覚を感じ、合わせていく…。
人だったウチの師匠には出来なかった ウチのオリジナル技術だ。
DL規格の筋肉を上手く誤魔化して配置して 皮膚を取り付け、着色をする。
義体は当然ながら赤血球の類が無く…赤見が出ない。
着色をしない身体は、生気を感じない死体のよう見える。
更に今回は男なので着色もまた変えないといけない。
そして次々と調節を行い…下腹部に言った所で…。
「チ〇コどうすっかな・・・」
男の象徴で、男の最大のアイデンティティ…。
それは、チ〇コのデカさで上下関係が発生する程だ…。
エレクトロンの女性でウチ見たいにセクサロイドをやっていた時期のあるヤツや元人だったハルミは 性器を持っているが、エレクトロンには 男のセクサロイドがいなかった為、男のエレクトロンに性器は無い。
幸い、女と違ってチ〇コは埋め込み式じゃなくアタッチメント式…外部取り付けが可能だ。
一応取り付け機構だけは つけておこう。
最後…顔。
人のアイデンティティのほぼすべて…。
顔のパーツの慣用句の多さは他の部位に比べて圧倒的に多く『人は見た目で判断してはいけない』と言いつつ、統計上《とうけいじょう》 人は必ず見た目で判断する…人の最重要器官。
頭の皮膚と一体化しているウィッグを外し、皮膚と表情筋を外して 骨格を調整…。
こちらも調節が利く汎用タイプだ。
後頭部にある頭蓋骨のカバーを開く。
真ん中に片手に収まる程度のキューブがあり、その後ろに予備バッテリがついているだけだ。
『頭の中が空っぽ』と表現する程、頭の中に余りのスペースが多い。
ジガはキューブを固定している取り付けネジを外し、新品に付け替える。
信頼関係を築いたエレクトロンは、互いの頭のネジを交換する風習がある。
その為、固定の意味を成さない、ただ挿して置くだけのネジソケットもある。
キューブ固定用の4本に、ソケットに12本を入れカバーを閉める。
そして表情筋の配置には特に気を使い…取り付け。
眼球は、中にカメラが取り付けられているだけで 表面は殆どカバー…。
クオリアとナオの目の色は同じなので そのまま取り付ける。
皮膚を取り付け…着色…。
最後に3Dプリンターで作ったナオの皮膚付きのウィッグを取り付ける。
髪の毛は大事な廃熱器官だ…。
熱量をあまり出さないキューブだが、頭の中の密閉空間内では当然熱くなる。
なので熱を髪の毛に流し赤外線に変換する事で冷却するんだ。
クオリアなどの高処理能力を持つエレクトロンが長髪なのは この為だ。
ちなみに身体の皮膚にも汗腺《かんせん》に似た廃熱器官があるが、全裸で歩き回れない以上、冷却効果は望めない…。
そして長めに作って置いた髪を丁寧にハサミを入れ髪を整えていく。
当然ながらこの髪は伸びない…。
1回で取返しのつかなくなる為、髪の最終調整は慎重に1本ずつ切る。
この際に義体のナオの顔をコロコロ変え、表情を見ながら全体を整えていく…。
人が不気味、恐怖感、嫌悪感を抱く、変に人に似ている作り物の顔から『不気味の谷』を超え、師匠の言う所の顔に命を吹き込む…。
いや…ウチは『自我を吹き込む』と表現する。
この顔も中身は無いけど意思はある…。
何かしら主張している…確かにそう感じる。
「完…成!!」
ジガが満足そうにナオの義体を見渡す。
「出来たようで何よりだ」
とっくの昔にダイブから戻ってきたクオリアがナオの義体を見て…。
「いつも通り良い仕事だ。」
と言う。
「だろ…。」
ジガは少し頬を緩ませ嬉しそうに言う。
「約束通り滞在費は 全額保証する…好きなだけ楽しんでいってくれ」
「おう…とは言っても外があんだけ暑いとな…店も閉まっているし…。」
「外に出たのか…寮に泊っていたはず では無かったのか?」
「昨日はビルの修理で2層に行ってて、そこで泊まった…。
時間になって外に出たら暑くてな…。」
「すまない寮にいると思ってた…。
まさか確認してないとは思わなかった。」
「なんでこんなに暑いんだ?
地熱発電所は予備機を繰り上げで動かしているんだろ…。」
「トラブルじゃない意図的だ。
言うなれば都市全体の加熱殺菌だ。」
「ワームが変な病原菌を持ち込んだ可能性があるからか…。」
「そう…クリーンルームとまでは言わないけど、ここは空気が綺麗すぎる…。
免疫が弱っている状態で病原菌に当たる可能性を考慮してだ。」
なるほど…建物自体が宇宙規格で出来ているから、こう言った乱暴な殺菌方法が使えるのか。
やっぱり都市ごとに考え方が違うんだな…行き詰まりを感じているウチらとは違って。
「じゃ…とっとと起こすか…準備はどうだ?」
「問題ない。」
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柚緒駆
SF
神魔大戦から百年。世界は『Dの民』が支配していた。そこにある日現われる、謎の存在。エリア・エージャンをパニックに陥れ、オリンポス財閥総合本社ビル『グレート・オリンポス』に迫る。迎え撃つのはジュピトル・ジュピトリス、しかし想像を超える敵に追い詰められたとき、彼が現われる。
「俺の名前は3J。デルファイの3J」
デルファイの『五人目の魔人』であり『案山子の帝王』と呼ばれる彼が現われたのは何故か。彼の目的は何か。謎が謎を呼び、世界は混沌に叩き込まれる。
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