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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)
01 (戦術的勝利)
しおりを挟む快晴の昼間…海岸線に津波が起きる。
先ほどからする この地震のせいだ…。
津波を浴びながら…DLが次々に後方に下がっていく。
音紋は特定…ワーム。
推定個体数は不明…エレクトロンの事前観測によると推定2万。
『スレイブロイドファクトリー』防衛軍からDLが 2個ドラム大隊…300機…1機辺り66匹の計算。
別部隊で 独立部隊の砦学園都市組。
想定通り2万なら十分に対応出来る。
「よーし食い付け…。」
背中に量子フライトユニットを装備し シャベルを両手両足に装備した黒鋼…ナオが言う。
『急げよナオ…』
ガッシリした体格のDLで 狙撃仕様のライフルを持ち、背中には弾薬ボックスをそのまま背負う炎龍に乗るトヨカズが言う。
「分かってる。」
ナオ機が 右手のボックスライフルで 海岸線から出てきたワームを狙い20mm弾を放つ。
20mm弾は甲羅に当たって弾かれたが 注意は引けた。
「よし…食いついた、誘導する。」
ナオ機が陸地に向かって走り、跳ぶ…。
まだロングジャンプ位にしかならないが 姿勢制御は ちゃんと出来ている。
ワームは先頭の個体に釣られる習性がある。
その為 先頭の個体の注意を引けば、ある程度の後続の誘導は可能だ。
量子光をスラスターのように まき散らしながら、ナオ機は またジャンプする。
出来るだけ派手に…引き離さない程度に速く…。
ナオ機が止まり、ボックスライフルを構えワームを待つ…。
背後には ワームの進行を止める為に積んだ バリケードの土山。
4足に前面に硬い甲羅を持つワームが 時速50kmで突っ込んで来る。
こいこいこいこい…。
今っ!
ナオ機はロングジャンプで後ろ向き飛び…空中でワームの足を目掛けて撃つ。
火器管制システム任せの射撃で 甲羅に当たり跳ね返る弾もあるが、大部分は20mm弾がワームの足に命中して行く。
「やれ!」
ヒトであるナオの命令により、ただ土を積んだだけの土山の影から大量のDLが出て来て ワームの足を撃ち抜く…。
その中にはトヨカズ機の炎龍もいた。
拠点防衛用と孤立した味方機への弾薬補給がコンセプトの炎龍は、背中に弾薬コンテナをそのまま積み、AQB搭載型の高火力のライフルでワームの足を正確に撃ち抜く。
ワームの足は甲羅に干渉する為なのか装甲が無く…その為、容易く撃ち抜ける。
先頭のワームがつまずき、横一直線に引いた巨大な落とし穴の中に突っ込む。
ワームが巨大な落とし穴に落ち、身動きが出来ないまま 後続もそれにつられて突っ込み、玉突き衝突が起きる。
ドラム達とナオが 半日で完成させた、長くて深い塹壕《ざんごう》だ。
ドラム部隊は 土山の上からワームの背中に部分を狙い 銃弾を当てていく。
ワームは前面の甲羅は硬いが、後ろ部分は普通に撃ち抜ける。
多分、重量の問題で全身を覆《おお》う事が出来ないのだろう。
ドラム部隊が突っ込んでいくワームを的確に潰していく…。
トヨカズ機の炎龍の他は『スレイブロイドファクトリー』軍が保有する…DL。
スレイブロイドカスタム機…『ドラムキング』だ。
身長は低く…DLの頭部には大口径コイルガンが取り付けてあり、コクピット前面にセンサー類を取り付けてある。
両腕はDLの腕で 両手にボックスライフルの二丁持ち。
そしてマガジンが大量に入った弾薬コンテナボックスを背負い、足はドラムと同じ4本足で、まるで蜘蛛足の様だ。
スレイブロイド…ドラムが使いやすいようにDLをアップデートした 高機動多脚戦車と化した『ドラムキング』。
1機が足を止め、大口径コイルガンを撃つ。
反動で機体が下向きに衝撃が掛かり、4脚が支える…。
関節部分の耐弾ジェルが衝撃を吸収し、熱に変換する事で関節のダメージを最小限に抑《おさ》える。
電気出力を上げて 速度が増した大質量弾が ワームの甲羅に命中し、砕けて貫通…ワームの内部をズタズタにする。
味方の『ドラムキング』がボックスライフルで援護する中…大口径コイルガンで正面から甲羅を撃ち抜いて行く。
落とし穴周辺が殺戮地帯だと理解し、甲羅が意味をなさないと理解した後続のワーム達が 長い落とし穴を迂回《うかい》し始める。
が、迂回中《うかいちゅう》にこちらに側面を見せる事になった事で背面が狙い易《やす》くなり、むしろ被弾面積が上がりワームの被害は増えていく。
ドラムキングは 2機編隊で組む事で リロード時間の隙を無くし、ミスをした時のカバーもし易くなる。
そしてドラムの…見事な連携で交互に交代ながら撃っていく…。
味方の被弾数0…弾辺りの撃墜効率も上々…。
戦闘から15分が経ち、後方にいる1個大隊が前進し始める。
この後方部隊と合流次第、前方部隊と交代し、後方で補給と簡易整備を受ける。
こうする事で 帰りに脱出した味方を拾っていったり、何より高G戦闘で参《まい》っている兵士の集中力を維持する事に繋がる。
大規模DL戦での教本にそった マニュアル通りで洗練された交代を見せ、前方部隊が入れ替わる。
ナオ機とトヨカズ機が合流し、撤退中の部隊からマガジンの補給を受け、集団から外れた『はぐれ個体』を仕留めていく。
『これなら、次の15分までに勝てるんじゃないか?』
トヨカズが言う。
「予定通り2万ならな…。」
確かに今の所…問題点は無い…。
砦学園都市の時は 1個大隊を壊滅させる事が出来たから この方法で行けると思ったのか?
それとも、まだ学習途中なのか…。
「どう見る?クオリア…。」
クオリアは エアトラS2内で、レナとロウ、ジガ、ハルミと共に上空から現場を観測をしている。
DLより遥《はる》かに正確で小型な観測機器(クオリア)を乗せたエアトラS2が、上空からワームを観測し、フォースネットにアップする事でドラム部隊の命中精度は各段に上がる。
『ワームは基本、犠牲を少なくするように行動する。
前回、砦学園都市が組織的な行動が取れなかったから 敵の想定を上回ったのか…。
それとも、まだ何かあるのか…。』
「オレと同じか…。」
『観測した情報から ラプラス戦までの学習したデータは受け継いでない見たいだ。
別の家族かもしれない。』
接近して来た『はぐれワーム』を回避《かわ》し、腕に装備されているシャベルで殴る。
その隙に腕のハードポイントからシャベルを外し、左手で持ち、DLの重量を乗せて背中を突き刺し、すぐにシャベルを抜き、ナオ機に体当たりをしようとしていたワームを回避し、右手のボックスライフルで射撃…ワームが沈黙する。
無理な体勢で回避し、背中から転倒するが位置エネルギを利用し、背中を丸めて後転する事で、隙の大きい仰向けの状態にならず、片手を付き、しゃがんだ状態で ボックスライフルでワームを射撃…立ち上がり、一時退避する。
退避と同時にトヨカズ機がワームの足や背中を重点的に撃ち…駆除していく。
「ナイスバックアップ…。」
『もう、あらかた 片付いたみたいだな…。
今掃討戦に移行した…後方部隊が 広がったワームを掃討中…。
被弾はあったが損害機は0…。
海中を監視しているけど…結局、打ち止めみたいだ…。』
「何か来ると思っていたんだがな…。」
ナオが言う。
『まぁ来ない分には良いじゃないか。』
「そうだよな…。」
少し警戒をしながらDLを動かし、撤退ポイントまでゆっくりと歩く。
高いビルが多い地上の都市『スレイブロイドファクトリー』に、ナオ機とトヨカズ機は向かった。
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