⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)

11 (ロブスターに人権を)

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 翌日の朝 クオリア、ジガ、ナオの3人と黒鋼、炎龍を乗せたエアトラS2の潜入組と、天尊、ジム、レナ、トヨカズ、ロウ、ハルミを乗せた外交組に別れて、ピースクラフトに向かった。
 外交組の天尊、ジム、レナが交渉をしている間に、潜入組が都市のシステムをクラックし、交渉が決裂した場合のサブプランに備える作戦だ。
 当然ながらシステムクラックは重犯罪であり、バレれば死刑は確実だ。
 ただ…バレればである。
 実質、犯罪の発覚は都市の監視システムがやっているし、証拠などのデータの収集も都市のシステムがやっている。
 つまり、都市のシステムをクラック出来る時点で犯罪を立証する術がない…。
 ただ、罪状をでっち上げられたり、都市民の銃が暴発して頭に当たったり、自動運転の車が正確に 誤って 突っ込んで来る 事態になりかねないので、ある程度加減をしないといけないのだが…。

 機内でナオは ジガに着替えさせられる。
 パイロットスーツは脱がされ、白ワンピースを着させられる。
「おいおい、何で女装しないと行けないんだよ…。」
「何でって…潜入するってのに そのままじゃマズイだろう…。」
 ジガが言う。
「2人は良いのか?」
「ウチらは 擬装IDが あるから大丈夫…。」
「いや…だったらオレにもやれよ…。」
 絶対楽しんでいるだろう…。
 ジガが クオリアと同じメカ耳をオレに装着する。
「メカ耳を付けたコスプレは禁止じゃなかったか?」
 アレは 砦学園都市のルールか?
「ああ、禁止だ…。
 だが、ナオは自分とヒューマノイドの違いを説明できるか?」
 機長席からナオの方向を向き クオリアが言う。
「えーと…ヒューマノイドってのは、マスターに従う人型のロボットだよな…。」
「そう…」
「で、エレクトロンは自立して人権を持ってて責任を負えるロボットだな。」
「そう、合ってる…ならナオは?」
「オレは人のアップロードだから、カナリアさんやハルミと同じでメカ耳は必要無い…。」
「じゃあ、ジガが耳を人の耳に変えたら人のアップロードだと思わないか?」
 ジガは風俗店で接客をやっていた事もあり、誰でも仲良くなれ、エレクトロン特融の難しい言い回しが無い。
 初対面で人の耳であったらサイボーグだと思うだろう。
「人だと思うな…」
「なら、レナとトヨカズは?」
「あの2人は 完璧に人だろう…。」
「いや、レナは自然出産だが、遺伝子操作された優良種の親を持つ二世…。
 トヨカズは遺伝子操作は受けていないがクローンだ。」
「は?…じゃあ2人もヒューマノイドか…いやバイオロイド?」
 定義が難しくなってきた。
「今の時代 人が完璧に自然の形で生まれる事はまず無い。
 皆、何かしらの形で製造されているんだ。
 そうすると結局最後は自己申告になる…。」
「つまり事実上 裁けない法律か…。」
「そうなる」

 ジガがナオのメイクをする。
 20歳だったオレだが一回目の複合義体で 170cmから150cmになり、今は140cmで童顔度も増している…。
 その為、服さえ変えればボーイッシュな少女にも見え無くもない。
「で、何で女なんだ?変装だけなら男でも良いだろう」
 さっきの回答はメカ耳が実質問題ないと言う事だけだ。
「まず、エレクトロンは人を『知能の低い下等動物』と見なしているから、同じ機体にエレクトロンとヒトが乗るのは かなりのレアケースなのな…。
 そうなるとエレクトロンに偽装すればいいんだが、エレクトロンは9割は女だし、男はガタイがいい奴ばかりだから、不自然になるって訳…。」
 ナオのメイクをしながらジガが答える。
「え?そんな奴いたか?」
 ナオはエクスマキナにいた時の記憶を思い返してみるが、そう言った人物はいない…。
「いたんだよ…引きこもって自室でネットに接続し続けているから会わなかっただけで…。
 クオリアだって4年前までは人自体に興味を示さなかったしな。」
 クオリアが?そんな素振りは無かったが…。
「コレばっかりはしょうがない…。
 人 風に言うなら『ロブスターに人権を与えるのか?』だ。」
 クオリアが言う。
「何で海老?」
「ナオは食用の海老に人権を与えようと思うか?」
 豚、牛、クジラが肉にされるのを嫌い保護しようとする団体は聞いたことはあるが全て哺乳類だ。
 甲殻類のロブスターを保護する団体は聞いたことが無い。
 いや…こんな事を考える時点でロブスターを見下しているのか…。
「精々が観賞用のペットかな…。」
 ナオが答える。
「そう、ポストヒューマンと人の認識にはそれだけの差があるんだ…。
 更に私のスペックから考えるなら…人と石は誤差の範囲だ。」
 処理能力が皆無の石と人が同じか…。
「あ?でもオレとネジ交換したよな…。」
 アップロードをし直す前のオレは人と同じスペックだった。
 少なくとも石ころと同等のオレを気に入ってくれたから義体をくれたのだろう…。
「でも、こちら側に引き寄せた…人の頭では私を理解しきれないと思ったからだ。」
 高性能なクオリアの義体をくれたのも自分を理解させる為か…。
 本当に用意周到だったんだな…。
「で、ウチら見たいな人につかえていた奴、人出身の奴、クオリア見たいに能力を下げて縛りプレイしている奴ならコミュニケーションが取れる訳だな。」
 ジガが話を繋げてくる。
「じゃあ ここからが本題だ…。
 ワームから見てヒトはどう思われている?
 自分と同じレベルの存在だと思っているのか?
 それともロブスター位の価値しかないのか?」
「あーオレらがロブスターだった場合…交渉そのものが成り立たないのか…。」
 浅い海から漁船で引き上げられたロブスターが、カゴの上でプラカードを掲げ『我々にも人権を』と抗議デモをした所で漁師は特に気にせず食用として出荷するだろう。
「そうなる…。
 ワーム1個体の処理能力は人と同じ位だから、1体だけならアプローチが効くかもしれない…。
 が、ネットワークに繋がっている場合は無視される可能性が高い…。
 恐らく そのネットワークは私よりスペックが上だろうから、私ですらロブスターになる可能性があるんだ。」
 クオリアが『デウス・エクスマキナ』と話していた時のようにか…。
「問題だらけだな…。」
 そんな相手と交渉するしかないって本当に詰んでいるんだな。
「ほい出来た…よーし、いい出来」
 クオリアがコクピットからこちらを向く…。
「良い仕事だ。」
『後5分で到着シーケンスに入ります…。
 席に座りシートベルトを閉めてください。』
「おう、分かった」
 ジガが手早く片付け、席に座る。

 シートベルトを閉めると着陸シーケンスになり降下する…。
 雲の下の『ピースクラフト』都市は、エクスマキナ都市と同じエアドーム式だ。
 ただ、中心のエアドームを囲むように8つのエアドームが連結している。
 それは技術的な問題なのか…それとも問題が起きた時にエアドームごと、切り捨てて被害を減らす為か…。
『こちらピースクラフト管制局コントロール、A滑走路に着陸を許可』
「こちら『エアトラS2クオリア機』A滑走路に着陸します」
 下を見るとジェットエンジンを搭載したVTOLヴィトール非搭載の大型貨物機がB滑走路に降りて行く…。
 滑走路も長く…合成音声のAIだが管制官もいて、ちゃんとした設備がある空港のようだ。
「物流拠点だけあって空港はちゃんとしているな…。」
 周りを見て見るとエアトラが周囲に飛んでいて順番に着陸をして行く。
 A滑走路は距離が短くVTOL機専用だ。
「ジェット機の方が速いし積載重量も多く詰める…。
 ただ滑走路が整備されているのは 物流拠点位で故障した場合、代替空港なんて無いから不時着するしかないんだ。」
 クオリアがしれっと恐ろしい事を言う。
『この500年、不時着する程のダメージを負った事は ありませんのでご安心を…。』
 コパイが言う。
 プロペラ機モードから中間モードに入り、そのまま着陸して行く…。
 今回はリアルタイムで着陸ポイントの情報が入って来ている見たいで、着陸ポイントの確認の為の旋回は行わない。
 コパイはいつもながらのスムーズな着陸を披露し、トーイングカーがやって来る。
『お疲れ様です…機体の電源を切ります。』
 プロペラの回転が止まり、照明や観測機器などの必要最低限の設備をを残して電源を切った。
 トーイングカーでエアトラS2が駐機場まで引っ張られる。
 雪も無いし路面もしっかりしている状態なら『クローラー・トランスポーター』も必要ない。
 駐機場の所定の場所で止まり、トーイングカーと切り離され エアトラS2の後ろのハッチに回る。
「ようこそ、平和の都市『ピースクラフト』へ…。」
 トーイングカーを運転しているドラムが手を胸に当てて頭を下げ、エレクトロンの挨拶で応じる。

 クオリアがコパイの電源を入れたままシートベルトを外し、後ろのハッチに向かう。
 その後ろにジガ、そしてボーイッシュな少女のナオだ。
「じゃあエレクトロンとして振る舞えよ…。」
 後ろを向きジガはナオにそう言う。
「分かってる…」
 ハッチが開きナオ達がエアトラS2から出る。
「ピースクラフトはあなた方を歓迎します…ではこちらに。」
 ナオ達はトーイングカーに乗り込みドームの中に入って行った。
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