⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ5巻 (亡霊再び)

06 (DL死体検視)

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 警察署の地下である2層には DLの格納庫が有り、ここからエレベーターを使い 1層に上げられる。
 アントニーの許可を得て、先日特注で作って貰った赤のパイロットを来て格納庫までやって来た。
 格納庫にはパレットに乗せられたDLが膝を抱えた待機姿勢の状態で棚に仕舞われている…。
 カズナは 不思議そうにこちらを見る整備兵…あまりにも小さく場違いな私がここに来ているのが珍しいのだろう…に 軽く挨拶しつつ、更に奥の倉庫に向かう…。
 倉庫に入り、カズナが見たのは ワーム侵攻事件でダメージを追いスクラップになったDLの残骸ざんがいが、倉庫一個をまるまる使い、無造作に放置されている光景だった。
「うあ~ひどい」
 カズナは 残骸《ざんがい》に近寄り 見る。
 軽く見ただけでもDLの人工筋肉の『ナノカーボンアクチュエーター』がボロボロで肉離れを起こしている…実際はもっとヒドイのだろう。
「あー来たか嬢ちゃん…。
 DLパイロットで整備師の『ジェニー』だ。
 嬢ちゃんと一緒にこの山の処理を頼まれている。」
「カズナ…こがたにそく、おおがた にそく2しゅ、DLせいびし1きゅうをもってる。」
「その歳で?すげーな」
「でも ぜんぶ VR…きょうが はじめて…」
「そりゃあ DLをリアルで触る機会なんて そうそう無いからな…。
 特ににカズナの歳じゃあ」
「ということで、よろしく おねがいします。」
 カズナがペコリと頭を下げた。
「はい、よろしく…と、それじゃあ整備用ドラムを1ダース持ってくんな…。」
 そう言うとジェニーは倉庫を出て行った。
「じゃあわたしは…。」
 実年齢3歳…肉体年齢5歳程度の私の力は当然ながら他の人より弱い。
 なので、SDLと呼ばれている強化外骨格パワードスーツに乗る事で100kg程度の物を簡単に持ち上げられるようになる。
 今のDLのダイレクトリンクシステムはタイプ2で、元々、ダイレクトリンクシステムは 手足に合わせて機体も追随ついずいするシステムの事を言う。
 初期段階では 土木工事や白兵戦を想定されて分厚い装甲が付いていたが、パイロットスーツにパワーアシスト機能と耐弾性の向上がした事で、装甲が要らなくなり、ほぼ骨格だけになっている…。
 カズナがSDLに乗り、シートベルトを閉める。
 ARウィンドウを開き、機体ステータスを確認し、チェック終了…SDLが立ち上がる。
「さて、やりますか…。」
 カズナはSDLの足に付いているローラーで進み、工具でDLの装甲を外し始めた。

 さて、今回の仕事は使える部品を分ける事と被弾箇所のデータ作りだ。
 コクピットブロックだけは無事で脱出したした人が殆《ほとん》どで、行動記録やステータスが全部収まったブラックボックスの鍵はちゃんと持ち帰られて解析されている。
 ただ機体の細かなダメージは 検査機器を使って実地で確認しないと行けないので、忙しい今は こうやって倉庫に押し込められているのだ。
「やっぱり、あしのダメージが ひどい」
 通常の舗装された路面では足についているタイヤで移動するけど、戦闘時には避けたり走ったり、ジャンプしたりと脚部に負担をかけてしまう。
 その負荷に耐えるだけ、丈夫じょうぶに作ってあるはずなのに、内骨格と人工筋肉の損傷が激しい。
「ナヴィ…これ、あしがこわれて、かいひ、できなくなって、たいあたりをうけた?ようにみえるのけど…どう?」
「正解かと…回収して装甲のダメージ具合を専門の冶金やきん学者に見てもらいましょう。」
 ドラムを操るナヴィが言う。
「わかった」

「これは…だっきゅうかな?」
 DLが突進してくるワームを手で受け止めようとして…脱臼した。
「ちゃんと壊れてますね…。
 回収して置きます。」
「おねがい。」
 DLの肩部分はジョイント部分の強度が高く、それを支える装甲部の強度が低い…。
 つまり規定以上の力が掛った場合、肩装甲が壊れて外れる事で肩ジョイントとハードポイントを守るように設計されている。
 これは、ちゃんと計画的に壊れた証拠になる。

「おいカズナちょっと来てくれ…。」
 ジェニーが大きい装甲を持とうとするが、前のめりになり上手く持ち上げられない。
 いくら100㎏を楽に持ち上げられるパイロットスーツでも、カウンターウェイトが無いと1人で上げるのは難しい…こういう時には2人で端を持つと楽に上がる。
「わかった。」
 両端を抱え2人で持ち上げる。
「やっぱり…股関節部の足ジョイントが逝ってやがる。」
「はずれなかったの?」
 隣にいるカズナが聞いてくる。
「見たいだな…えーとパーツからして、珍しい…スピーダーだな。
 てことはクオリア機か…。」
 スピーダーを使うパイロットは この都市にはいない。
 圧倒的な機動力と軽さ持つけど その軽さを維持する為、ハードポイント数や武装や弾薬が制限されている。
 そして、そのご自慢の高機動も、リミッターを付けてで扱いやすくしても人の性能限界に近く、クオリアなどの人外でも無ければ フルスペックで扱える者はいない…。
 なら、安く 整備性が良く、扱いやすいベックを高機動装備に換装した方が、戦果を出せる。
「え?クオリアのきたい?」
「そうだ…スピーダーは1機しか出てなかったはずだからな…。」
「これ、クオリアが、パージをとめていたってこと?」
「かもな…ジョイントの安全マージンを無視して最大耐久値ギリギリまで負荷をかけたのか?」
 ジェニーが検査機にかけて強度を調べてながら言う。
 通常、脚のステータスがレッド表示になれば一時撤退して 脚の交換が行われる。
 ただ、周りの機体がベックだったせいで交換する事で、性能低下をまねく事を気にしていたのかな?
「こっちのはナオ機か?…大半が分解されているな…。」
 分解した断面は最大倍率でも綺麗過ぎる程の精度で切断されている。
「分解による切断か…カズナ…回収するから端を頼む。」
「わかった。」
 二人で持ち上げ、ジェニーが断面を見る…。
「ふむ…分解切断機か…後で都市長に要望を出してみるかな…。」
 これだけの切断面を出せる加工技術があれば、工業分野で色々と応用が利くし、DLの武器にも転用出来るでしょう。
「さて…目立つ所はこの位か…。
 じゃあ後は根気だけだ…しっかりと片づけるぞ」
「お~」
 2人は、目視で使えるパーツと廃棄パーツに分けて行く…。
 その後は検査機器にかけて使えるパーツを見つけるんだが…まだまだ先になりそうだ…。
「1週間位かかるかな…。」

 本来1人とドラムでやるはずの作業が、学校帰りとは言え、カズナが来てくれる事で順調に進んで行き、予想に反して4日で終わってしまった。
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