⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ7巻(シャロンの扉)

06 (優秀な管理職は残業しない)

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 学校の講義室…昼前…。
 最近実習と補習が殆《ほとん》どだった ナオとトヨカズは、必要課題をクリアし、久しぶりにリアルタイムで講義に出ている…。
 トヨカズの隣では 目の下に黒ずんだクマが出来ているレナが講義を聞いている…。
 表には出さないようにしているが 相当つらそうだな…。
 昼飯は食わずに爆睡だろうな…。
 レナの顔を見ながらオレが思う…。
 チャイムが鳴り、講義は終了…。
 オレとトヨカズが立ち上がり、レナが次の講義の為に立ち上がろうとしたが、突然レナが糸が切れたように 倒れる…。
「おっと危ねぇ…。」
 とっさに隣にいたトヨカズが支える…あのまま倒れていたら 机の角で後頭部を強打していた…。
 オレが駆け寄り、トヨカズがレナを床に寝かせる…。
 オレが レナの体調を確認するが、顔が青ざめ、呼吸が荒い…腕に力なく まるで死人のようだ…。
 ほぼ100%で過労関係だろう…。
 次に気づいた周りがざわめく…。
「まさか…エクスプロイトウイルス?」
「だとしても すぐに治るはず…。
 治療法は確立しているんだから…。」
「感染条件は 咳による空気感染…レナは咳をしていないから、離れれば大丈夫…。」
 生徒達の声が聞こえてくる…。
 ウイルス感染を警戒して生徒達はレナから距離を取り、直径5mの空白地帯が生まれた…。
 十中八九勘違いだろうが 感情的になって怯えず ちゃんと考えて 動けている…良い傾向だ。
「ナオ…救急車を頼む…。」
「ああ…。」
 オレがARウィンドウを開き、通話アプリを開いて119番と入力…。
 結果は不通…。
「あれ?」
「早くしろ…911だ…。」
「あっそうか…。」
 こっちでは911か…。
 普段 使わない番号だから忘れていた…。
『はい…緊急センターです…。
 事件でしょうか?医療でしょうか?災害でしょうか?』
 AIが通話に出る…。
「医療だ…救急車を要請する…。
 患者名は『レナ・トニー』だ。」
『レナ・トニーのバイタル情報を ケインズより取得…確認…。
 緊急性があると判断します…。
 救急車をレナ・トニーの位置に向かわせます…。
 最寄りの道路で 待機して下さい…。』
「分かった…。」
 オレは通話を切る…。
「トヨカズ…道路まで移動するぞ…。
 オレが持つか?」
「いや…ナオの身長だと脚を引きずる事になるだろう…。
 こう言うのは 任せておけ。」
 トヨカズが ぐったりとしたレナを抱え、お姫様抱っこの状態で 急いで階段を降りて行く…。
「はい…急患だよ…退いた退いた!」
 生徒が道を開けてくれ…スムーズに校舎前の道路についた…。
 今の時代 急患何て出ないだろうから 軽くパニックになっている…。
 10分程度で 救急車のサイレンが聞こえ 到着…。
 中から医療用ドラムと白衣を来た医者が ストレッチャーを降りて来る…。
「救急医療の者です。
 患者を引き取りに来ました…。」
「あっ早く…頼む…。」
 トヨカズが レナをストレッチャーに乗せ、医者と協力して救急車に乗せる…。
「トヨカズは レナと一緒に病院か?」
「ああ…そうする…。
 ナオは?」
 救急車に医者と共に乗るトヨカズがオレに言う…。
「オレは この騒ぎの説明だな…教授にも話しておく…。
 レナの事は頼む…。」
「ああ…行ってくれ…。」
 医者を乗せた両開きの後部ドアを医療用ドラムが閉め、椅子の無い運転席にドラムが乗り込み、救急車がサイレンを鳴らして動き出した…。
「さて…向こうは専門家スペシャリストに任せるとして…まずはこの騒ぎの収束しゅうそくかな…。」
 校舎の窓からこちらを見ている生徒を見てオレが言った。

「う~ん」
 頭が痛い…。
 頭もまわらない…。
 私の部屋じゃない…見慣れない天井…。
 周りを見る…やけに周りが薄暗い…夜?
 ああ…ここは病院の個室ね…でも何故なぜ
 レナは寝ている状態の身体を如何どうにか起こす…。
 思考がまとまらない…何か変な薬でも打ち込まれた?
 そもそも、何で…ここに…。
 そうか…。
「授業中に倒れたんだ…。」
 かろうじて覚えている記憶は 医療用マイクロマシンの警告が出る中、薬局で処方された薬を飲みつつ、身体に無理をさせて講義に出た事だ…。
 講義中に 状況が悪くなる中、途中退出なんてするかと気合で乗り切っていたが、終わった途端に ぶっ倒れた…らしい。
 となると過労ね…。
 周囲を見ると もう一つのベッド…いえ、患者を運ぶストレッチャーがあり、そこにトヨカズが寝ている…どうやら付き添いで病院に泊まった見たいだ…。
 私の腕には針が刺さっていて それがチューブに繋がり、点滴スタンドの点滴の袋に繋がっている…。
「とりあえず…時間…。」
 レナはARウィンドウを開き、右下の時刻の欄を見る…午前3:00…。
 倒れたのが昼休みに入った所だったから15時間は 寝ていた事になる…。
 医療用マイクロマシンの診断データは 登校時のレッドからイエローに変わっている…少なくとも日常生活には問題無いレベルに戻ったのね…。
「あ~頑張り過ぎたかな…。」
 今の立場に相応しい能力を身を付けようと頑張っていたけど…皆を心配させちゃった見たいね…。
 ストレッチャーで寝ているトヨカズを見てレナはつぶやいた…。

 午前7:00…。
 あれからもう一度ベッドで寝た私は 病院の起床時間の放送で目覚め、ストレッチャーで寝ていたトヨカズもちょうど起きた…。
「おお…起きたか…。」
 こっちを見てトヨカズが言う…。
「ゴメン…心配させちゃって…。」
「これに懲りたら ペース配分を守る事だな…。
 マイクロマシンに ヤバいって警告を受けていたんだろう…。」
「ええ…でも薬で如何どうにかなるレベルだったから…そのまま薬を飲んでた。
 レッド表示になったのは昨日の朝…。
 でも学校があったから…そのまま登校したの…。」
「別にリモートでも見逃し配信でもいだろう…。
 そんなに無理して学校に来ることは無かったってのに…。」
「でも『都市長の娘』が 特に理由も無く学校に来なかったら…信用に関わるでしょう…。」
「まぁ分かるがよ…。
 マイクロマシンの警告をガン無視して、皆の前でぶっ倒れる方が、よっぽど信用を落とすんじゃねぇか?」
「…そうなんだけど…でも、何としても企画書は作り上げたい…。
 これは今じゃなきゃ手遅れになるから…。」
~ったよ…。
 抱えられないレベルの仕事をしているんだったら 部下を使え…。
 勤務時間内に終わらせられない仕事なんて経営側の怠慢たいまんでしかねーからな…。
 仕事を効率よく整理して、時間内に収めるのが良い管理職だ…。」
「そうね…。」
 私はそう一言 言い、また懲りずに作業を始めた…。
 後少し…もう少し…。

 午前10:00…。
 トヨカズが帰り、私は企画書の作成を続けている…。
 自分に負担が掛かっている事は理解しているし、皆に迷惑を掛けるけど…今は必要なんだ。
 病室のスライドドアが開き…白衣の女性がこちらに向かって来る…。
「元気そうだね…。」
 カレンだ…。
「おかげ様で…。」
 カレンが私の腕に付いている点滴用の針を外し、ベッドの横にある椅子に座る…。
「それで 私の入院はいつまで?」
「いや…待て…まずは患者への説明義務をたしてからだ…。」
 カレンはARウィンドウを表示してカルテを見る…。
「まずは分かっているだろうが、病気のジャンルは過労系…。
 原因は ストレスや睡眠不足が関係している…本人に自覚は?」
「……ある…。」
「マイクロマシンのログでは 薬を飲んで休めと指示されていた…。
 薬は飲んでいたんだろうが 十分に休んだか?」
「いいえ…。」
「更に栄養剤の過剰かじょう使用によるドーピング…。
 一日に何本飲んだ…。」
「…6本。」
 カレンは私に罪状を告げて行く…。
「はあ…一日1本の栄養剤を6本か…。
 栄養剤は『疲れを忘れさせられる』が、誤魔化しているだけで回復している訳じゃ無いんだ…。
 そもそも、疲れは 身体からの警告だ…警告を止め続けたから、栄養剤が抜ければ ドッと疲れが来る…。
 そして それを忘れようと また栄養剤を飲む…本数が段々と増えてなかったか?
 で、最終的にぶっ倒れるまで気が付かないんだ…。
 理解しているか?」
「ええ…」
 まるで私を監視していたかのような的確な分析…。
 私の身体を見て ここまで分かるのね…。
「それで、起きたらまた仕事をし出すだろう…と言うか、予想通りやっているな…。
 だから、強制的に身体を休ませる為に睡眠薬を注射して眠らせた…。
 一応言っておくが通常はここまでやらない…警告が出た時点で休むからな…。」
 あーだから合計19時間も寝てたのね…。
「そう、だから今日一日は確実に休め…。
 仕事は一切禁止…娯楽に時間を費やせ…いな…。
 ちゃんと正常値に戻っていれば 明日には退院だ…。
 戻って無きゃ伸びるからな!」
 カレンはそう言い、退出した…。
「はぁ…ドクターストップを掛けられちゃったか…。
 まー今日は言う通り 休もう…。」
 今 仕事をするより、今日一日回復に努めた明日作業した方が効率が良いはずだ…。
 私は仕事目的では無く、ARウィンドウを立ち上げ、ネットサーフィンを始めた…。

 退院翌日…。
 私が学校で エクスプロイトウイルスに感染したとの噂が広まって大騒ぎになり、事態収取の為、緊急報告の放送をし『仕事のし過ぎで過労になり倒れた』と私自身が 都市民全体に向けて公開放送する羞恥しゅうちプレイをする事になった…。
 都市民は納得して貰え、気にしていた印象の悪化も起きていない…。
 私は もっと都市民を信用しても良いのかもしれない。
 身体的には 全快ぜんかいした私は そう思った…。
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