⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

文字の大きさ
195 / 207
ヒトのキョウカイ7巻(シャロンの扉)

17 (仲介ビジネス)

しおりを挟む
 都市の中心の大型エレベーターに乗り地下に降りる…。
 時間は30分刻みで 正確に決まっているらしく、地上と地下を結ぶ定期便と言う所だろう…。
 オレ達の他にも大量の機材や人員が乗っている。
「どれだけ下がるんだ?」
「地下6kmだな…。」
 クオリアが答える。
「学園都市と比べれば まだ浅いか…。」
「あそこは、深く掘って無理やり熱量を確保しているからな…活火山の近くなら この程度の深さで十分だ。」
「と言う事は 地熱発電か?」
「ええ…この都市は 地熱発電と太陽光発電だけで電力を維持しています。」
 後ろにいたスーが話に割り込んでい来る…。
「原子力電池や核分裂炉は?」
「放射線による環境破壊を考慮して採用していません。」
「環境破壊ね…。」
 ここに来る前に見た太陽光パネルの残骸ざんがいを思い出す…。
「そうなると、いくら地熱があるからと言って電力のやり繰りが厳しいのでは?」
「いえ…外部電力になりますが、十勝岳とかちだけの火口付近の地熱発電も使っています。
 設備維持に手間が掛かりますが 総発電量だけなら原発を超えています。
 しかも燃料の枯渇の心配も環境にも優しいクリーンエネルギーです。」
「まぁ太陽光パネルよりかはクリーンかな…。」
 落下の感覚がゆっくりになり、地下に到着…重そうな扉が開き、色々な機材が降ろされ、オレ達も降りる。

 スーサイドの地下に到着し、外に出る。
 地下は 高層ビルが天井を支える柱となっていて、高さは100mの36階…最上階には照明が取り付けられていて、下を照らしている。
 砦学園都市のような 壁紙ディスプレイを張った空では無いので、天井も黒く、ただ光っているだけの灯りのようだ。
「それでは 私はこれで…。」
 スーはそう言うと、ナオ達から離れて行った…。
「さてと…まずは宿と探しだ…。
 良い所があると良いんだけど…。」
 とオレが言った所で、勝手に検索され結果が出てくる。
 第一候補が 外国人観光客や自殺希望者が滞在する用の宿で値段が安く、中の設備もそれなりに良い所…。
 第二候補は、値段が少し高いが部屋が広く、豪華なスイートルーム…。
 要人のレナならスイートルームなのだろうが、レナの性格上 ここで安らげるとは思えない。
 第一候補の位置を検索…住宅街から離れてるが、ビジネス区画にあり、物を買う観光客が喜びそうな立地だ…。
「ここなんてどうだ?」
 オレがARウィンドウを表示し、手でウィンドウをひっくり返して、ビジネスホテルの情報を皆に見せる…。
「へえ…良いんじゃない?
 クオリアとジガは?」
「問題無い」「電源さえ繋がれば何処どこでも…。」
「じゃあ決まりね…。」
 レナを先頭にオレ達は ビジネスホテルに予約を入れ、ビジネス区画に向かった。

 ビジネス区画は 昔ながらの店頭販売が基本で ドラムの姿が見えない。
 どうやらここは、ドラムによる自動化は殆《ほとん》どしていないようだ…。
 ここでは3輪のバイクと荷台を組み合わせたような車が普通で、流石にこの隔離かくりされた都市で内燃機関のガソリン車を走らせるのは問題だったのか、見た目は古いが中身は電気自動車エレカになっている…。
 ここでは クラシックなデザインが再燃しているのだろうか?

 ビジネスホテルのビルのガラス製の自動ドアを通過し 中に入る。
 中は2階をぶち抜いた吹き抜けで、照明が良い演出をしている…。
 入り口から見て右は日用品などを販売しているスーパー…左側はガラス張りのレストランがあり、ビジネスホテル内と外から人が食事に来ている…。
 そうか…スーサイドの外が暗かったから無意識に夜だと思っていたが、よくよく考えて見れば、午後1時過ぎた位だし昼食の時間帯か…。
 まったく…都市内にいる時には普通に生活しているが 外に出るとグリニッジ標準時だと言う事を意識させられる…。
「さっき予約を入れた『キョウカイ小隊』だが…」
 オレは受付の女性に言う…。
「はい…お部屋の準備は出来ています。
 6人部屋でよろしかったでしょうか?」
「ああ…。」
「ルームサービスは 人とドラムが選べますが…。」
「え?このホテルはドラムを使っているのか?」
 入国してから今までドラムを見なかったので意外だ…。
「ええ…ここは外国の方々が多い為、接客にはどの人種でも無いドラムも使っています。」
「そっか…じゃあドラムでよろしく…。」
「かしこまりました…。
 お支払いは どなたが?」
「ああ…私、わたし…。」
「はい…では お支払いを…。」
 レナは 手をかざして決済する個人用の口座は使わず、カードを取り出して決済する…。
 これは公務用のカードで、何を何処どこで買ったのかが 記録に残り、戻った時に経費で落とせない物を自腹で払う事になる…。
 今回は滞在費なので十分経費で落とせるだろう…。
「はい ありがとうございます…ではこちらが鍵になります…。」
 ナオにキーが渡され、受付の後ろの部屋からドラムがやって来た。
「ご案内します…。」
「ああ 頼む…。」
 ドラムがエレベーターのボタンを押す…。
 エレベーターは4基あり、近かった隣のエレベーターが動き出した。
 ドラムが隣に移動しエレベーターが開くと開閉ボタンを押し続け、エレベーターを止める。
「どうぞ…。」
 オレ達がエレベーターの奥に乗ると ドラムがボタンを離し、エレベーターに乗り込んで 2階のボタンを押す…。
 ドアが閉じて すぐに上昇…そして すぐに2階になり開く…。
 奥のオレ達がエレベーターを出た事を確認し、ドラムが2階に降り廊下を進む…。
 オレ達の部屋は 2階のエレベーターから少し離れた階段のすぐ隣の部屋だ。
 ここなら1階から敵の襲撃が来た場合の対応時間が短くなるが、突破後は階段で すぐに脱出が出来る…。
 いっそう時間を稼ぐため、最上階の36階にしようかと迷ったが、ビルの柱の上にある天井裏のメンテナンススペースからの進入もあり得る為、一番下の客室にした。
 部屋に入る…中は2段ベッドが 3台あるが寝具は上等な物になっている…。
 2段ベッドにした事で部屋のスペースを確保出来、思ったよりか広い印象だ。
「何かありましたら こちらの電話をお使い下さい…24時間対応していますので…。
 それでは失礼します。」
 ドラムが体型上腰を折れない為、変なお辞儀をしつつ部屋を出て行った…。
 バタン…扉が閉まる…。
「さてと…確認しますか…。」
「ああ…」
 ジガとクオリアが壁に手を当てたり、じっと見たりとセキュリティを確かめる。
 オレとレナは向かい合っているベッドの1階に座る。
「盗聴の痕跡こんせき無し、壁は防音にライフル弾程度は防げる装甲板と…。」
 クオリアが壁を軽く叩き 反射音から素材を特定する…。
「防御は良いんだが、逆に外の音が聞こえないのは問題だな…。」
「なら私が 外に防犯カメラを設置しよう…。」
 そう言いクオリアが空間ハッキングで防犯カメラを生成し、外に出て行く…。
「って…何で、そこまで警備を強化するの?
 流石に過剰じゃない?」
 レナが ドアの上部に防犯カメラ取り付けようとしているクオリアを見て言う…。
スーヤツには前科があるし、今回もからんでいるからな…。
 こちらの信用ランクは かなり低いんだ。」
 レナの隣にいるジガが答える。
「前科?何をやらかしたの?」
「大戦時にエレクトロンウチらは主に『シンギュラリティガード』が雇った民間軍事会社PMCと戦っていたんだが、スーがしていたのは志願者とPMCを繋ぐための仲介サービス…。
 志願者の大半は単価の安い人生が詰んでいる途上国の子供達で、金がかかるから戦闘の教育も最低限…。
 速攻でPMCに出荷して、戦場に送り出して国連から報酬を貰う…そう言うサービスを行っていた。」
「ちょっと待って…大戦って550年前よね…てことは、スーは…。」
「ああ…580歳…旧暦の2020年生まれだ…。」
「オレが死んだ歳じゃねーか…。」
 オレが突っ込む…。
 この時代、不老不死なんて、そこまで珍しい訳では無い…。
 ネオテニーアジャストは、物理的に死なない限りは死なないし…クオリア達はバックアップから自分を再構成出来るので死んでも死なない。
 だからこう言った事も普通に起こる…。
「人を物としか見ない利益追求型の仲介サービスね…今の自殺ビジネスもそうなのかしら?」
「ああ…だから警戒して損は無いはずだ…。」
 ジガが言う…クオリアは身長が足りなく防犯カメラを設置出来ないので、機械翼を展開して飛びながら設置している。
「それで 大戦が終わった後、ハルミに半殺しにされているからりたと思ったんだが…今回のネスト攻略戦にも関わっていた…。」
「え?あの戦いにも?」
「ああ…降下部隊の2陣と3陣だ…。
 降下部隊だと言うのにロクに訓練を受けてなくて月基地で短期間で訓練したんだが…。
 この中の半数がスーの仲介を挟んでいる志願兵だった…。
 他の都市が 自分の都市の戦力を温存する為に雇ったんだ。」
 ジガが話している間に防犯カメラの設置が終わったようで、オレが座るベッドの横に座る。
「あ?それ自体は問題無いだろう…。
 そもそも『DLマスターズ』が傭兵の育成と派遣を目的にしてるんだから…。」
 戦闘が無い平和な世界でパイロットを一定数確保し続けるのは 金や設備に負担が掛かり無駄が多くなる。
 その為、DLマスターズで遊びとして自主的に訓練をして貰い、有事になった場合、上位ランカーを傭兵として都市が雇用する。
 当然、金額の交渉は出来るし、依頼を受けるか受けないかもプレイヤー側次第だ…全然問題無い…。
「そのパイロットが、200面のチュートリアルをクリアしたばかりのAランクパイロットだとしてもか?」
「は?」
 クオリアの予想外の言葉にオレは一瞬思考が停止した。
「パイロット達は エクスプロイトウイルスの経済悪化で人生を詰んで この成功報酬で人生をやり直そうとして来た素人だ。
 総訓練期間は1ヵ月未満で 月での訓練では散々な成績だったらしい…。
 報告が上がって来ている…。」
ほとんどギリギリじゃないか…。」
 オレが旧時代でDLの2種免許を取った時は、最初の1週間が基礎トレ、2週間目は座学で3週目でやっとDLに乗れ、丸々1ヵ月掛けて終わりだ。
 座学と訓練を2週間で終えさせるとしても、軌道エレベーターへの移動や月への移動もある…。
 移動時間中もVRで訓練をし続けていないと かなり厳しい時間だ…。
 ネスト攻略戦は戦闘地域が 機動力を削がれる海中なので、難易度が非常に高い…必死にやっても 生き残れるか どうか怪しい所だ。
「実際、戦死者リストを確認を取って見たら、スーが仲介している傭兵が圧倒的に多い。
 訓練不足は確実だな…。」
「でも…違法じゃ無いんだよな…罰する事も出来ない。」
 オレがクオリアに言う。
「ああそうだ…。
 実際エクスマキナから公式に抗議したが、あくまで仲介サービスだと主張している…そして その主張は正しい…。
 今は、DLマスターズに傭兵の雇用に対する基準の見直しの要望を出しているが…聞き入れて貰えるかどうか…。
 だから、私達には直接関係してないが、今回は特に気を付けないと行けないんだ。」
 クオリアが扉の後ろにある監視カメラの方向を見ながら言う…。

「さて今、カナリアに連絡を入れた…時機じきに ここに来るだろう…。」
「あー忘れてた…ライブだっけ…。」
「ああ…明日の夜はライブになる…。
 と言っても単独じゃ無く、有名どころが いくつか来ている見たいだが…。」
「当然行くんだろう…」
「そうだな…今回は客だし…行くか…。」
 クオリアがそう言い…おしゃべりをしつつ、カナリアの到着を待った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)
BL
たとえ、君が覚えていなくても。たとえ、僕がすべてを忘れてしまっても。それでもまた、君に会いに行こう。きっと、きっと…… 帯刀を許された武士である弥生は宴の席で美しい面差しを持ちながら人形のようである〝ゆきや〟に出会い、彼を自分の屋敷へ引き取った。 生きる事、愛されること、あらゆる感情を教え込んだ時、雪也は弥生の屋敷から出て小さな庵に住まうことになる。 そこに集まったのは、雪也と同じ人の愛情に餓えた者たちだった。 そして彼らを見守る弥生たちにも、時代の変化は襲い掛かり……。 もう一度会いに行こう。時を超え、時代を超えて。 「男子大学生たちの愉快なルームシェア」に出てくる彼らの過去のお話です。詳しくはタグをご覧くださいませ!

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。 これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。 ※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。 ※同性愛表現があります。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった俺

島風
ファンタジー
ブラック企業で過労死した男がいた。しかし、彼は転生し、ある貴族の侯爵令嬢として再び生を受けた。そして、成長につれて前世の記憶を取り戻した。俺様、クリスティーナ・ケーニスマルク公爵令嬢七歳。あれ? 何かおかしくないか? そう、俺様は性別がおかしかった。そして、王子様の婚約者に決まり、ここが前世ではやっていた乙女ゲームの世界であることがわかった。 自分が悪役令嬢になってしまっている。主人公がハッピーエンドになると死刑になり、バットエンドになるとやっぱり死刑・・・・・・あれ、そもそも俺様、男と結婚するの嫌なんだけど!! 破滅エンド以前に、結婚したくない!!! これは素晴らしい男性と結ばれるの事をひたすら回避しようとして・・・ドツボにハマっていく物語である。

案山子の帝王

柚緒駆
SF
神魔大戦から百年。世界は『Dの民』が支配していた。そこにある日現われる、謎の存在。エリア・エージャンをパニックに陥れ、オリンポス財閥総合本社ビル『グレート・オリンポス』に迫る。迎え撃つのはジュピトル・ジュピトリス、しかし想像を超える敵に追い詰められたとき、彼が現われる。 「俺の名前は3J。デルファイの3J」 デルファイの『五人目の魔人』であり『案山子の帝王』と呼ばれる彼が現われたのは何故か。彼の目的は何か。謎が謎を呼び、世界は混沌に叩き込まれる。

永き夜の遠の睡りの皆目醒め

七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。 新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。 しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。 近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。 首はどこにあるのか。 そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。 ※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜

渡琉兎
ファンタジー
日本での生活に疲れ切っていた犬山楓(いぬやまかえで)は、異世界が行った勇者召喚に巻き込まれてしまう。 しかし彼女は異世界系の作品を読み漁っており、異世界での生活に憧れを抱いていた。 「城を出て行くというのか!?」 「え? あ、はい」 召喚した異世界の王子に驚かれながらも、楓は自分の道を進むことを選択する。 授かったスキルは〈従魔具職人〉。 召喚された異世界では外れスキルと呼ばれるものだったが、そんなことは気にしない。 「それじゃあ皆さん、お元気で!」 憧れていた異世界での生活。 楓は自分のスキルで自由に生きていこうと決めた……のだが、実は楓の〈従魔具職人〉はスキルレベルが規格外の〈EX〉だった!! 楓の従魔具が従魔たちの人生を一変させる。 そんな楓の異世界生活は、忙しくも充実した生活になる……のかも? ※カクヨム、小説家になろう、アルファポリスにて掲載しています。

処理中です...