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ヒトのキョウカイ7巻(シャロンの扉)
18 (盲目の歌姫)
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ブ~~。
インターフォンがなり、ナオは 即座にドアに意識を集中させる…。
「大丈夫だ…カナリアだ。」
防犯カメラの管理をしているクオリアがオレに言う。
「分かってる…。」
有名人が来るので ソワソワしているレナを通りすぎ、オレはウージーマシンピストルを下で構えつつ、玄関まで行き のぞき穴からカナリアさんを確認…。
ロックを外しドアを開ける…。
「お久しぶりです…カナリアさん…。」
「ええ…ナオさんも お元気そうですね…。」
クオリアと同じ銀色の髪を持ち、身長はレナより上、トヨカズより下の155cm位…。
クオリアの設計者と言う事もあり、全体的にクオリアを大きくして丁寧にした感じだ。
だが…クオリアと大きく違うのは、眼球が無く目のふくらみが無い事だ。
つまり盲目…。
オレが目が見えないカナリアさんに気を利かせてガイド用の手を差し出すが…。
「大丈夫です…。」
カナリアさんは オレが何も言っていないのに、手を差し出した事を理解して、ゆっくりとだが、まるで 目が見えているように ぶつからずに部屋の中を歩いて行く…。
カナリアさんが 時々規則的に足音を鳴らして 地形を確認し、口から『パ』や『ポ』などの音を小さく発し、反響音を耳で聞き取って障害物を判断している…。
一番近いベッドの1階に腰を掛けてカナリアさんは クオリアの方向を向く…。
「え~クオリアにジガに…?新しい人ですね…。
お名前を聞かせて貰えますか?」
「レナです…レナ・トニー…盲目の歌姫にあえて感激しています。」
「ああ…聞いています…。
お顔を触らせて貰ってよろしいでしょうか?」
「はい!」
カナリアがレナに近づき、顔に手を当てて形を記憶して行く…。
「あら、かなりの美人さんですね…。」
「あっありがとうございます。」
レナは珍しく照れて答える…。
その表情は表情に疎いオレでも分かるレベルで『嬉しい』だ。
レナの顔の下に『嬉しい』のテロップが表示される…。
あ~気を利かせないでも分かってるから…。
テロップが消え、オレも向かいのベッドにクオリアと座る。
「仲が良いようで何よりです…。」
「そう、仲が良い…。」
カナリアさんの言葉にクオリアがそう言い、拳1個分程オレとの間を詰めた…。
オレは 親に彼女との交際がバレた少年のような顔をしているだろう…。
木製風の椅子を逆に座って傾けるジガがそれを見て少し笑う…。
そう言えばジガもクオリアの制作者だったな…。
「さあて…歌はどうだ?」
クオリアが聞く。
「歌う事 事態は問題ありません…。
問題は歌う曲です。」
「新曲でも歌うんですか?」
「ええ…その新曲が問題なのです…。」
「?」
「ワクチンソングか?」
ワクチンソング?
「ええ、その通りです…。
それを 歌うか迷っています…。」
「クオリア…ワクチンソングって?」
オレがクオリアに聞く。
「……オーダーメイド芸術は知っているだろう…。」
「ああ…個人の脳波を解析して、最大限の感動を出力をさせる作品だろ…。」
「そう…つまり五感情報から進入して、間接的に脳をハックする方法だ。
そうだな…前にエクスマキナ都市で食事をしたよな…。
あれは味覚情報から脳をハックしたんだ。」
「あ~アレね~」
レナが苦笑いしつつ言う。
「オレも食ったな…。」
「つまり、アレを極めると五感情報を操作する事で人を操る事が出来るんだ…。」
「食べ物で買収するのか…麻薬みたいに?」
確かにあの食べ物で釣られれば大抵の事はやってしまうだろう…。
あの料理はそれだけ恐ろしい物になる。
「それもあるが、今回はカナリアの歌の音波から観客の耳を経由して脳を操作し、自殺を止めさせる。」
「別にそれなら良いんじゃないか?
自殺が止まるんだろ?」
薬物で人の精神を変えてしまうのも治療なんだ…。
やり方が洗脳に近いが 精神が好転するなら、未来を生きられる。
生きられるなら良くなる可能性を手繰り寄せる事も出来るかもしれない。
「ええ…でも、麻薬と同じで一時しのぎにしか なりません…。
根本的な自殺要因を潰さない事には解決しませんし、それに詰んでいる人に対しては延命処置は むしろ生き地獄です…。
私みたいに…。」
カナリアさんが昔を思い返すように言う。
「生き地獄の中から目的を見出す事もあるでしょう…。
また歌えるようになったカナリアさんみたいに…。」
「それはそうですが、皆がそうとは限りません。
それにこれは、人のアイデンティティを破壊する行為です。
ハックされ脳情報を変えられた人は、同一人物か怪しくなります。」
「なら、もう答えは出てるじゃないですか…。
人を洗脳する歌を歌いたくないなら歌わない…それで良いんじゃないですか?
別に歌わない訳じゃない…。
観客が少しでもまだ生きていたいと思えるなら、それで十分です。」
「それは…そうですが…。」
「私は希望が欲しいですね…。
先が見えなく自殺するしか道が見えない状態から良くなる希望…。
つまり、結局は自殺するなと止めて欲しいだけなのかも知れません。」
「止めるだけ…ですか…。」
レナの言葉にカナリアさんはしばらく考え…「クオリア…手伝ってもらえますか?」と言った。
「と言う事は即興で作り上げるのか?」
「ええ…私が作詞作曲しただけじゃ洗脳ソングになりかねません…。
薄めるのはクオリアが必要です…。」
「分かった…協力しよう…。
ナオ…私はカナリアに付き合う…。
明日の昼までは動けないだろう。
その間、レナを連れてこの都市を見ておくと良い…。」
「ああ…そうさせて貰うよ…。」
オレはそう言った。
インターフォンがなり、ナオは 即座にドアに意識を集中させる…。
「大丈夫だ…カナリアだ。」
防犯カメラの管理をしているクオリアがオレに言う。
「分かってる…。」
有名人が来るので ソワソワしているレナを通りすぎ、オレはウージーマシンピストルを下で構えつつ、玄関まで行き のぞき穴からカナリアさんを確認…。
ロックを外しドアを開ける…。
「お久しぶりです…カナリアさん…。」
「ええ…ナオさんも お元気そうですね…。」
クオリアと同じ銀色の髪を持ち、身長はレナより上、トヨカズより下の155cm位…。
クオリアの設計者と言う事もあり、全体的にクオリアを大きくして丁寧にした感じだ。
だが…クオリアと大きく違うのは、眼球が無く目のふくらみが無い事だ。
つまり盲目…。
オレが目が見えないカナリアさんに気を利かせてガイド用の手を差し出すが…。
「大丈夫です…。」
カナリアさんは オレが何も言っていないのに、手を差し出した事を理解して、ゆっくりとだが、まるで 目が見えているように ぶつからずに部屋の中を歩いて行く…。
カナリアさんが 時々規則的に足音を鳴らして 地形を確認し、口から『パ』や『ポ』などの音を小さく発し、反響音を耳で聞き取って障害物を判断している…。
一番近いベッドの1階に腰を掛けてカナリアさんは クオリアの方向を向く…。
「え~クオリアにジガに…?新しい人ですね…。
お名前を聞かせて貰えますか?」
「レナです…レナ・トニー…盲目の歌姫にあえて感激しています。」
「ああ…聞いています…。
お顔を触らせて貰ってよろしいでしょうか?」
「はい!」
カナリアがレナに近づき、顔に手を当てて形を記憶して行く…。
「あら、かなりの美人さんですね…。」
「あっありがとうございます。」
レナは珍しく照れて答える…。
その表情は表情に疎いオレでも分かるレベルで『嬉しい』だ。
レナの顔の下に『嬉しい』のテロップが表示される…。
あ~気を利かせないでも分かってるから…。
テロップが消え、オレも向かいのベッドにクオリアと座る。
「仲が良いようで何よりです…。」
「そう、仲が良い…。」
カナリアさんの言葉にクオリアがそう言い、拳1個分程オレとの間を詰めた…。
オレは 親に彼女との交際がバレた少年のような顔をしているだろう…。
木製風の椅子を逆に座って傾けるジガがそれを見て少し笑う…。
そう言えばジガもクオリアの制作者だったな…。
「さあて…歌はどうだ?」
クオリアが聞く。
「歌う事 事態は問題ありません…。
問題は歌う曲です。」
「新曲でも歌うんですか?」
「ええ…その新曲が問題なのです…。」
「?」
「ワクチンソングか?」
ワクチンソング?
「ええ、その通りです…。
それを 歌うか迷っています…。」
「クオリア…ワクチンソングって?」
オレがクオリアに聞く。
「……オーダーメイド芸術は知っているだろう…。」
「ああ…個人の脳波を解析して、最大限の感動を出力をさせる作品だろ…。」
「そう…つまり五感情報から進入して、間接的に脳をハックする方法だ。
そうだな…前にエクスマキナ都市で食事をしたよな…。
あれは味覚情報から脳をハックしたんだ。」
「あ~アレね~」
レナが苦笑いしつつ言う。
「オレも食ったな…。」
「つまり、アレを極めると五感情報を操作する事で人を操る事が出来るんだ…。」
「食べ物で買収するのか…麻薬みたいに?」
確かにあの食べ物で釣られれば大抵の事はやってしまうだろう…。
あの料理はそれだけ恐ろしい物になる。
「それもあるが、今回はカナリアの歌の音波から観客の耳を経由して脳を操作し、自殺を止めさせる。」
「別にそれなら良いんじゃないか?
自殺が止まるんだろ?」
薬物で人の精神を変えてしまうのも治療なんだ…。
やり方が洗脳に近いが 精神が好転するなら、未来を生きられる。
生きられるなら良くなる可能性を手繰り寄せる事も出来るかもしれない。
「ええ…でも、麻薬と同じで一時しのぎにしか なりません…。
根本的な自殺要因を潰さない事には解決しませんし、それに詰んでいる人に対しては延命処置は むしろ生き地獄です…。
私みたいに…。」
カナリアさんが昔を思い返すように言う。
「生き地獄の中から目的を見出す事もあるでしょう…。
また歌えるようになったカナリアさんみたいに…。」
「それはそうですが、皆がそうとは限りません。
それにこれは、人のアイデンティティを破壊する行為です。
ハックされ脳情報を変えられた人は、同一人物か怪しくなります。」
「なら、もう答えは出てるじゃないですか…。
人を洗脳する歌を歌いたくないなら歌わない…それで良いんじゃないですか?
別に歌わない訳じゃない…。
観客が少しでもまだ生きていたいと思えるなら、それで十分です。」
「それは…そうですが…。」
「私は希望が欲しいですね…。
先が見えなく自殺するしか道が見えない状態から良くなる希望…。
つまり、結局は自殺するなと止めて欲しいだけなのかも知れません。」
「止めるだけ…ですか…。」
レナの言葉にカナリアさんはしばらく考え…「クオリア…手伝ってもらえますか?」と言った。
「と言う事は即興で作り上げるのか?」
「ええ…私が作詞作曲しただけじゃ洗脳ソングになりかねません…。
薄めるのはクオリアが必要です…。」
「分かった…協力しよう…。
ナオ…私はカナリアに付き合う…。
明日の昼までは動けないだろう。
その間、レナを連れてこの都市を見ておくと良い…。」
「ああ…そうさせて貰うよ…。」
オレはそう言った。
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