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一章「出会い」
3.吸血鬼
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「何.....あれ....。。」
屋上にいる"それ"は依然としてこちらを見下ろしていた。肌は褐色色で、手足のようなものは細く、まるで毛のない猿のようだった。
「吸血鬼だ。」
青年は屋上の"それ"、吸血鬼とやらから目を逸らさず僕の問いに答える。吸血鬼だって?
「少年、来るぞ。」
青年は言い終わる前に僕を片手でひょいと担ぐと、地面を蹴り上げ数m飛び上がる。その数秒後、僕達が本来立っていた場所には"吸血鬼"が立っていた。飛び降りてきたのだろうか。しかし、細い手足は折れた形跡もない。そういえば、青年もビルから飛び降りたはずだが傷一つ見つからない。
「少年、俺の言う通りに動けるか?」
青年は今度は僕を丁寧に地面に下ろすと、"吸血鬼"と相対しながら僕に尋ねる。
「言う通りって....どういう...。」
「まぁ無理って言ってもやってもらうけどね」
「そんな!」
青年はハハッと笑う。青年は僕と"吸血鬼"を挟んで間にいるので、目を確認することはできなかったが、その声からは初めて感情らしきものを感じた。
「左に78°、約562cmの地点に避けろ。」
青年は早口で告げる。僕がその内容を頭で理解する前に、"吸血鬼"がこちらに飛びかかってくる。青年は、"吸血鬼"の攻撃を往なすと"吸血鬼"を後方に蹴り飛ばした。
「何やってる。避けろと言っただろ。次は死ぬぞ。」
青年は"吸血鬼"の攻撃を躱しながら言う。
「そう言われても、なんだよ左に78°って!」
「学校で角度を習わなかったのか?おぅっと、あぶね。」
しゅっと、吸血鬼の攻撃が青年の眼前をかすめる。"吸血鬼"が屋上にいた時は遠くてよく見えなかったが、吸血鬼には大きく鋭い爪と、歯並びの悪い尖った牙があった。
「そんな事言われても分度器もないのにとっさに反応できないよ!」
「分度器があっても意味はないと思うけどね。」
青年は、飛び上がって"吸血鬼"との距離を取りながら淡々と返事をする。
「まぁ、さっきも言ったとおり無理って言ってもやってもらうよ。さぁ次は右に110°、2m地点に飛んで。」
青年は再び僕に早口で告げる。
「右...110°....。」
90°が直角だから、えぇっと.....。
「もう良いや、斜め後ろに思いっきりジャンプして。」
僕が角度を決めかねていると青年が待ち飽きたという様子で、指示を簡素なものに変更する。
今度は頭が理解する前に体が動く。すっと、なるべく無駄のない動きで飛び上がると、それに呼応したように"吸血鬼"がこちらに飛びかかってくる。瞬きもせぬ間に"吸血鬼"の爪が僕の腹部に迫る。その爪はまるで殺してきた人の血を吸収してきたかのように所々赤黒く染まっていた。
あぁ、やばい今度こそ僕は死ぬんだろうか。
「ナイスだ、少年。」
ふと、青年の声が聞こえたような気がした。青年は"吸血鬼"の動きに合わせて斜め上に重なるように飛び上がると、空中で横向きに二・三回転する。そして、そのスピードを保ったまま、身体の捻りを活かした回し蹴りを"吸血鬼"の腰部にお見舞いした。
――グギャッ
短い悲鳴のような鳴き声を出した後、"吸血鬼"の体は青年の蹴りによって二分割された。"吸血鬼"の血液と思われるものが地面に飛び散り、数滴頬に付着した。付着した部分はヒリヒリと痛んだ。
「少年、怪我はなかったか?」
青年ははぁ、とため息のようなものをついた後、僕の方に振り返ってきた。
「ん?血が付いてるな。ほら、これ使え」
青年はマフポケットから白いハンカチを取り出すとこっちに向かってぽんと投げてきた。ハンカチの左下には向日葵の刺繍が施してあり、女性物のように見えた。彼がこんなハンカチを持っていたことには少し意外だった。向日葵の横にはハートマークとともにK.Y.と縫われてあった。青年の名前なのだろうか。
「吸血鬼の血は人間にとって有害だ。"アイツ"は下級だったから特に問題はないだろうが、放置しておくと肌が溶けるぞ。」
"アイツ"というのは先程までの"吸血鬼"のことを指しているのだろう。あれで下級というのは驚きだったが、確かに彼と比べると遥かに弱かったような気もする。
「ねぇ、吸血鬼って何なの?」
彼にもらったハンカチで頬を拭きながら、尤もな疑問を彼にぶつける。
「うーん、そうだなぁ。」
彼は顎に手を当て、何かを考えるような仕草をすると、「簡単に言うと」と、言って話を切り出した。
「吸血鬼っていうのは、彼奴等のような化け物達の総称のことだ。彼奴等は無差別に人間を襲う。」
「じゃ、じゃあ君は一体何者なの?」
化け物と互角以上に戦える存在、次の疑問は当然彼のことである。
「俺か?俺もその吸血鬼の一人だ。」
彼は隠す様子もなくさも当然のことのように述べる。
「え?じゃあ、君もあの化け物と同じ....」
先程の化け物、吸血鬼の姿が思い出される。
「安心しろ、少年。俺は彼奴等みたいに人を襲ったりはしない。この通り常識も持ち合わせているしな。」
人をビルから突き落としたり、化け物と戦ったりするのが常識とは到底思えないが、ここは一旦受け入れることにする。
「じゃあさ、最後に―」
「まだなにか聞く気か?随分質問が好きなガキだな。」
青年は、再びハハッと笑う。青年の顔には少しの表情が感じられた。
「―君は僕を助けてくれたの?」
少し気になったことだ。彼が僕を助けてくれたのかどうか。もし助けてくれたのならばなんで助けてくれたのか。僕は人間で彼は吸血鬼。彼に僕を助ける義理はないはずだ。
「まぁ、結果的には助けたことになるのかな。」
結果的にはね、と青年は強調して繰り返す。
「ただ、俺は俺の目的で吸血鬼を殺しているだけさ。その結果、殺されるはずだった哀れなガキが偶々命拾いした。ただそれだけの話だ。」
だから気にするな、と青年は鼻を鳴らしながら言った。
「目的って?」
「本当に質問が好きなガキなんだな。」
少年は口元から歯をのぞかせながら言う。その歯は、先程までの吸血鬼とは随分異なってはいたが同じく鋭く尖っていた。
「そんなに俺のことが気になるか?」
こんな俺のことが、と青年は付け加える。その時の彼は笑っていたが、今までで一番光のない目をしていた。
「いや、別に。なんとなく聞いただけ。」
触れてはいけない気がして、自身の発言を暈す。青年は「そうか。」と短くいうと、パーカーのフードを深く被り直した。
「少年、名前は?」
フードから、光のない目を覗かせ、今度は青年の方から質問を投げる。
「あきら、天道輝。」
それが僕の名前、と僕は青年の顔を真っ直ぐに見つめながら言う。
「そうか、少年。」
「そこは輝って呼んでください。」
何のために名前を聞いてきたんだこの吸血鬼は。
「そうだな、アキラ。そうさせてもらうよ。」
「それで、君の名前は?」
吸血鬼に名前があるのかはわからない。けれどあるなら知っておきたかった。
「ん、そうか。俺の名前がまだだったな。俺は、そうだな。"K"とでも名乗っておこうか。」
「"K"?」
名前のイニシャルだろうか。やはりハンカチの文字は彼の名前のイニシャルを取ったものなのだろう。
「ちょっとした呼び名みいなものさ。生憎、今名乗る名前を持ち合わせていないものでな。」
Kは左手でフードに隠れた頭をポリポリと掻いた。
「そっか、K。これ、洗って返すよ。」
僕はハンカチをポケットに仕舞いながら言う。
「あぁ、助かる。」
Kは、少し声色を落ち着かせ、ぼそっと言った。
「大切なものなの?」
ハンカチは女物だった。吸血鬼が買い物をするのかは分からないが、Kが自ら買ったとは思えない。なにか思い入れがあるものなのだろうか。
「貰い物なんだ。」
青年はそれだけ言うと、話を切った。これも触れてはいけない話題な気がして、これ以上掘り下げたりはしなかった。
「悪いなアキラ、そろそろ夜も明ける。お別れだ。」
しばしの沈黙の後、Kは目の前の街灯にぴょんと飛び乗リながら言った。その衝撃でパーカーのフードがKの頭からずり落ち、髪が顕となる。その髪はやはり乱れていたが、きれいな黒髪だった。
「ちょっとまってよ。これ、どうするの...?」
僕は、Kによって殺され今は地面に寝そべっている"吸血鬼だったもの"を指差す。こんな物騒で奇怪な生物の死骸を放って置くと、あとで大騒ぎになるに違いない。
「ん、それのことなら心配するな。直に陽が登る。そうすれば灰になってお終いさ。」
Kは自身の手のひらを顔の前に持っていき、ふぅっと息を吹きかける。その灰は風が片付けてくれると言わんばかりに。
「まぁそういうことだ。さらばだ、少年。」
そう言うとKはすっと僕の前から姿を消した。
結局また、名前ではなく少年と呼ばれてしまった。
屋上にいる"それ"は依然としてこちらを見下ろしていた。肌は褐色色で、手足のようなものは細く、まるで毛のない猿のようだった。
「吸血鬼だ。」
青年は屋上の"それ"、吸血鬼とやらから目を逸らさず僕の問いに答える。吸血鬼だって?
「少年、来るぞ。」
青年は言い終わる前に僕を片手でひょいと担ぐと、地面を蹴り上げ数m飛び上がる。その数秒後、僕達が本来立っていた場所には"吸血鬼"が立っていた。飛び降りてきたのだろうか。しかし、細い手足は折れた形跡もない。そういえば、青年もビルから飛び降りたはずだが傷一つ見つからない。
「少年、俺の言う通りに動けるか?」
青年は今度は僕を丁寧に地面に下ろすと、"吸血鬼"と相対しながら僕に尋ねる。
「言う通りって....どういう...。」
「まぁ無理って言ってもやってもらうけどね」
「そんな!」
青年はハハッと笑う。青年は僕と"吸血鬼"を挟んで間にいるので、目を確認することはできなかったが、その声からは初めて感情らしきものを感じた。
「左に78°、約562cmの地点に避けろ。」
青年は早口で告げる。僕がその内容を頭で理解する前に、"吸血鬼"がこちらに飛びかかってくる。青年は、"吸血鬼"の攻撃を往なすと"吸血鬼"を後方に蹴り飛ばした。
「何やってる。避けろと言っただろ。次は死ぬぞ。」
青年は"吸血鬼"の攻撃を躱しながら言う。
「そう言われても、なんだよ左に78°って!」
「学校で角度を習わなかったのか?おぅっと、あぶね。」
しゅっと、吸血鬼の攻撃が青年の眼前をかすめる。"吸血鬼"が屋上にいた時は遠くてよく見えなかったが、吸血鬼には大きく鋭い爪と、歯並びの悪い尖った牙があった。
「そんな事言われても分度器もないのにとっさに反応できないよ!」
「分度器があっても意味はないと思うけどね。」
青年は、飛び上がって"吸血鬼"との距離を取りながら淡々と返事をする。
「まぁ、さっきも言ったとおり無理って言ってもやってもらうよ。さぁ次は右に110°、2m地点に飛んで。」
青年は再び僕に早口で告げる。
「右...110°....。」
90°が直角だから、えぇっと.....。
「もう良いや、斜め後ろに思いっきりジャンプして。」
僕が角度を決めかねていると青年が待ち飽きたという様子で、指示を簡素なものに変更する。
今度は頭が理解する前に体が動く。すっと、なるべく無駄のない動きで飛び上がると、それに呼応したように"吸血鬼"がこちらに飛びかかってくる。瞬きもせぬ間に"吸血鬼"の爪が僕の腹部に迫る。その爪はまるで殺してきた人の血を吸収してきたかのように所々赤黒く染まっていた。
あぁ、やばい今度こそ僕は死ぬんだろうか。
「ナイスだ、少年。」
ふと、青年の声が聞こえたような気がした。青年は"吸血鬼"の動きに合わせて斜め上に重なるように飛び上がると、空中で横向きに二・三回転する。そして、そのスピードを保ったまま、身体の捻りを活かした回し蹴りを"吸血鬼"の腰部にお見舞いした。
――グギャッ
短い悲鳴のような鳴き声を出した後、"吸血鬼"の体は青年の蹴りによって二分割された。"吸血鬼"の血液と思われるものが地面に飛び散り、数滴頬に付着した。付着した部分はヒリヒリと痛んだ。
「少年、怪我はなかったか?」
青年ははぁ、とため息のようなものをついた後、僕の方に振り返ってきた。
「ん?血が付いてるな。ほら、これ使え」
青年はマフポケットから白いハンカチを取り出すとこっちに向かってぽんと投げてきた。ハンカチの左下には向日葵の刺繍が施してあり、女性物のように見えた。彼がこんなハンカチを持っていたことには少し意外だった。向日葵の横にはハートマークとともにK.Y.と縫われてあった。青年の名前なのだろうか。
「吸血鬼の血は人間にとって有害だ。"アイツ"は下級だったから特に問題はないだろうが、放置しておくと肌が溶けるぞ。」
"アイツ"というのは先程までの"吸血鬼"のことを指しているのだろう。あれで下級というのは驚きだったが、確かに彼と比べると遥かに弱かったような気もする。
「ねぇ、吸血鬼って何なの?」
彼にもらったハンカチで頬を拭きながら、尤もな疑問を彼にぶつける。
「うーん、そうだなぁ。」
彼は顎に手を当て、何かを考えるような仕草をすると、「簡単に言うと」と、言って話を切り出した。
「吸血鬼っていうのは、彼奴等のような化け物達の総称のことだ。彼奴等は無差別に人間を襲う。」
「じゃ、じゃあ君は一体何者なの?」
化け物と互角以上に戦える存在、次の疑問は当然彼のことである。
「俺か?俺もその吸血鬼の一人だ。」
彼は隠す様子もなくさも当然のことのように述べる。
「え?じゃあ、君もあの化け物と同じ....」
先程の化け物、吸血鬼の姿が思い出される。
「安心しろ、少年。俺は彼奴等みたいに人を襲ったりはしない。この通り常識も持ち合わせているしな。」
人をビルから突き落としたり、化け物と戦ったりするのが常識とは到底思えないが、ここは一旦受け入れることにする。
「じゃあさ、最後に―」
「まだなにか聞く気か?随分質問が好きなガキだな。」
青年は、再びハハッと笑う。青年の顔には少しの表情が感じられた。
「―君は僕を助けてくれたの?」
少し気になったことだ。彼が僕を助けてくれたのかどうか。もし助けてくれたのならばなんで助けてくれたのか。僕は人間で彼は吸血鬼。彼に僕を助ける義理はないはずだ。
「まぁ、結果的には助けたことになるのかな。」
結果的にはね、と青年は強調して繰り返す。
「ただ、俺は俺の目的で吸血鬼を殺しているだけさ。その結果、殺されるはずだった哀れなガキが偶々命拾いした。ただそれだけの話だ。」
だから気にするな、と青年は鼻を鳴らしながら言った。
「目的って?」
「本当に質問が好きなガキなんだな。」
少年は口元から歯をのぞかせながら言う。その歯は、先程までの吸血鬼とは随分異なってはいたが同じく鋭く尖っていた。
「そんなに俺のことが気になるか?」
こんな俺のことが、と青年は付け加える。その時の彼は笑っていたが、今までで一番光のない目をしていた。
「いや、別に。なんとなく聞いただけ。」
触れてはいけない気がして、自身の発言を暈す。青年は「そうか。」と短くいうと、パーカーのフードを深く被り直した。
「少年、名前は?」
フードから、光のない目を覗かせ、今度は青年の方から質問を投げる。
「あきら、天道輝。」
それが僕の名前、と僕は青年の顔を真っ直ぐに見つめながら言う。
「そうか、少年。」
「そこは輝って呼んでください。」
何のために名前を聞いてきたんだこの吸血鬼は。
「そうだな、アキラ。そうさせてもらうよ。」
「それで、君の名前は?」
吸血鬼に名前があるのかはわからない。けれどあるなら知っておきたかった。
「ん、そうか。俺の名前がまだだったな。俺は、そうだな。"K"とでも名乗っておこうか。」
「"K"?」
名前のイニシャルだろうか。やはりハンカチの文字は彼の名前のイニシャルを取ったものなのだろう。
「ちょっとした呼び名みいなものさ。生憎、今名乗る名前を持ち合わせていないものでな。」
Kは左手でフードに隠れた頭をポリポリと掻いた。
「そっか、K。これ、洗って返すよ。」
僕はハンカチをポケットに仕舞いながら言う。
「あぁ、助かる。」
Kは、少し声色を落ち着かせ、ぼそっと言った。
「大切なものなの?」
ハンカチは女物だった。吸血鬼が買い物をするのかは分からないが、Kが自ら買ったとは思えない。なにか思い入れがあるものなのだろうか。
「貰い物なんだ。」
青年はそれだけ言うと、話を切った。これも触れてはいけない話題な気がして、これ以上掘り下げたりはしなかった。
「悪いなアキラ、そろそろ夜も明ける。お別れだ。」
しばしの沈黙の後、Kは目の前の街灯にぴょんと飛び乗リながら言った。その衝撃でパーカーのフードがKの頭からずり落ち、髪が顕となる。その髪はやはり乱れていたが、きれいな黒髪だった。
「ちょっとまってよ。これ、どうするの...?」
僕は、Kによって殺され今は地面に寝そべっている"吸血鬼だったもの"を指差す。こんな物騒で奇怪な生物の死骸を放って置くと、あとで大騒ぎになるに違いない。
「ん、それのことなら心配するな。直に陽が登る。そうすれば灰になってお終いさ。」
Kは自身の手のひらを顔の前に持っていき、ふぅっと息を吹きかける。その灰は風が片付けてくれると言わんばかりに。
「まぁそういうことだ。さらばだ、少年。」
そう言うとKはすっと僕の前から姿を消した。
結局また、名前ではなく少年と呼ばれてしまった。
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