ハーレムエンド後のギャルゲーの主人公が勇者になってヒロイン達と魔王を倒して世界を救うようです

ユウジン

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第二章 逃亡者と幼馴染

素人

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「ひぃいいいい!」
「……」

癒羅と刹樹は広い庭園の中を走る。その後ろを、

「まてぇえええええ!ぐへへへへ!」

と追いかけてくるジュノアだ。

「気持ち悪い……」
「何で刹樹ちゃんは冷静なのぉおおおお!」

ヒィヒィ言いながら走る癒羅に、刹樹は涼しい顔だ。

「叫ぶと無駄に体力を消費しますよ?」
「分かってるけどぉ!」

勇者になって体力も上がったが、それでも癒羅は元々運動しない。と言うか、運動音痴だ。

対して刹樹は現役で新体操部に所属しているので、流石と言うべきなのか、息を乱さず走っている。

そして二人はそのまま角を曲がり、

「逃がすかぁ!」

ジュノアも追って角を曲がると、

「うぉ!」

待ち構えていた刹樹がナイフをジュノアに向かって突き出すが、

「あぶねぇあぶねぇ」

それを避け、後ろに下がるジュノアだが、刹樹はナイフをブンブン振り回しながら追い詰めるが、

「よっと!」

ジュノアはナイフを人差し指と中指で挟むようにして白羽取りしてきた。

「お前、素人だな?」
「……」

刹樹は何も語らないが、ジュノアには直ぐに分かった。

ナイフの握りかたからして、完全に素人。

「お前転生者だろ?良くいるんだよ。能力貰うと使ったこともない武器を使うやつがよ。バカだよなぁ。幾ら身体能力の向上とかの恩恵を受けれるとはいえ、ろくに使ったこともない武器なんざなんの役のもたちやしねぇよ!」
「っ!」

ドス!と腹部を蹴られ、刹樹は胃から競り上がってきたものを口から吐き出しながら、地面を転がった。

「さ、刹樹ちゃん!」

そこに癒羅が駆け寄り、刹樹に呼び掛けると、刹樹も大丈夫だと言いながら立ち上がる。

正直、結構キツいのは確かだった。そもそも刹樹は戦闘経験はない。空は勿論、美矢のように弓術を修めたわけではなく、中学時代から続けていた新体操部で鍛えた身軽さのみだ。

そのため肉体的なスペックで言うなら、十分素のままでも高い。だがそれを戦闘に生かせるかは別の話だった。

「へぇ、素人にしては冷静だな」
「良く言われます」

昔から良く感情がないと言われる。新体操でも、動きはいいのに表現が出来てないと言われてもいた。

余り口が達者な訳でもないし、表情も乏しい。これでも大分勇誠と出会って改善した方だ。まぁそれはさておき、

「では撤収です」
「そ、そうだね!」

刹樹と癒羅はクルリと背を向けて走り出す。

「はぁ!?ちょっと待てよ!」

ジュノアは一瞬呆気に取られ、反応が遅れたものの、急いで追い掛け出した。

今回の戦いは、当然のことだが勇誠は反対している。厳密には、こういう風の別れてたたかうことにだが。

理由は危険すぎるから。だがそれでも、最終的には美矢が説き伏せ、こういう風になった。

とは言え、普通にやっても勝てないのは100も承知している。

刹樹も癒羅も幾ら勇者になってるとは言え一般人だ。だから、

「戦える者がやる。ですわ」
「っ!」

突如ジュノアの右足に激痛が走り、そのまま地面を転がる。

「あ……が!こ、これは!」

右太股に深々と刺さった矢を見て、ジュノアが驚愕すると、続けざまに右腕に矢が刺さった。

「あぎゃ!」

ど、どこから!?とジュノアがキョロキョロ見回すが、近くに弓矢を構える人影はない。

そんな中、美矢は構えていた弓を下ろして息を吐く。

「間に合いましたわね」

庭園は入り組んでおり、迷路のような作りだ。しかし、所々に隙間のように、遠くから狙撃できるポイントがある。

マクアを倒した美矢は、そこからジュノアを狙撃した。それだけだ。

刹樹と癒羅はその為に時間を稼ぎつつ、適度にジュノアを誘い込んでくれた。

因みに準備完了の合図は手鏡を月明かりに反射させるという酷く原始的な方法で、下手するとジュノアにまで気づかれる可能性があった。まぁそうならないように刹樹も上手く視線を誘導してはくれてたが。 

そして準備が終われば後は美矢がジュノアを狙撃するだけ。

「急所は外しておきましたし、問題はありませんわね」

そんなことを呟く中、刹樹と癒羅はジュノアに近付き、

「ま、待て!い、命だけは」
『……』

突然の命乞いに、刹樹と癒羅は眼を合わせつつも、

「えい!」
「……」

刹樹と癒羅は飛び上がり、そのまま落下。

「ぐぇ!」

そしてヒップドロップを決めると、ジュノアは白目を剥いて気絶した。

「そ、そんなに私重かったかな?」
「まぁ癒羅先輩は大きいので」
「そう?身長そんなに変わらないよ?」

いや色々大きい。と刹樹は癒羅の胸やお尻を見つつ、自分の体を見て思う。

まぁ刹樹も貧相なわけではなく、運動部特有の引き締まった綺麗な体型なだけだ。

「まぁ、取り敢えず……」
「うん。こっちは終わりだね」

と二人は言い合い、ハイタッチを交わすのだった。
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