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第1章
何をしようか。
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朝食を食べ終わった後、私はハルトを連れて中庭に来ていた。
こじんまりとした清らかな噴水や、季節に合わせた草花が植えられている。
「ハルト、ヘレナにこの国の歴史の本を持ってこさせたの。一緒に読まないかしら?」
「でも…、僕は、あ、あまり字が読めないから…。」
「構わないわよ、私が教えてあげるから。そうしたら、あなたは字も歴史も一緒に勉強できていいんじゃないかしら。」
「え、で、でも…。」
「つべこべ言わない!さあさあ、そこのベンチに座って。今日は暖かいんだから。あっ…。」
彼は急に強く言われたことで驚いて固まってしまった。ああ、失敗したかもしれない。怯えさせたらどうしよう。困った。
「ご、ごめんね…、あなたに命令しているわけじゃないのよ。もし、本当に嫌なら私は一人で読むから…。」
申し訳なく思っても、私の中にはこの本を読まないという選択肢はないんだ。
「だ、大、丈夫です。びっくりしただけだから…。」
「本当に?怖かったんじゃない?」
「う…、ち、ちょっと。ちょっとだけ怖かった、です…。でも気にしないで。」
「じ、じゃあわかったわ。一緒にこの本を読んでくれるのね?」
「はい、じゃなくて、うん。」
ふふふ、笑ってしまう。良かった良かった。仲良くできそうだ。
みなさんお気づきだと思うが、私は悪役令嬢なのですべてのルートで国外追放、死刑、貴族籍はく奪等々もれなく無料でバットエンドがついてくる。わあ、嬉しい。
そして、この義弟のルートでは最後に無期禁錮の罰を与えられたはずだ。難易度と比例してバットエンドの残酷さも変化するので、これは軽いものである。
ただ、すき好んでバットエンドに進む奴はいないだろう。私も同じくできるだけバットエンドを回避したい人間だ。
「ジ、ジル。この単語はどういう意味ですか?」
「ああ。それはね…」
ハルトに暴力は振るわない。前世も含めて初めて兄弟と呼べる間柄の子でもある。そもそも、普通の令嬢である私には人を痛めつけられるほどの力はない。あのゲームのシルティーナはどうしてできたのだろう。謎だ。
「シルティーナ様、ハルトヴィヒ様。ご昼食の準備が整ったようです。」
「ありがとう。じゃあ、庭の東屋に運んでくれるかしら。そこでハルトと2人で食べたいわ。あっ、ハルトもそれでいい?」
「うん、大丈夫、です。」
「かしこまりました、そのように伝えます。」
メイドが一礼して去っていく。私はハルトに話しかけた。
「今日のお昼はなにかしらね?うちの料理長は腕がとってもいいから、なにを作ってもおいしいのよ。」
「そう、ですね。朝、は今まで食べた、ことがないくら、いでした。毎日たべれ、たらな…。」
「何言ってるの、あなたは私の家族になったんだから毎日食べられるわよ?」
ハルトは急に泣き出した。
「え?え?何、どうしたの?また怖がらせるようなこと言っちゃったかしら?」
思わず、おろおろしてしまう。
「違、います。家族、って言われたこと、が、凄く、うれしくて。」
なあんだ、そんなことかと思ってしまった。
「そうよ、家族なんだから。」
ハルトの体をそっと抱きしめてみる。ビクッと震えた暗闇から抜け出したばかりの体は、思った以上に細かった。
私たちは再びメイドが呼びに来るまでそうして抱き合っていた。
こじんまりとした清らかな噴水や、季節に合わせた草花が植えられている。
「ハルト、ヘレナにこの国の歴史の本を持ってこさせたの。一緒に読まないかしら?」
「でも…、僕は、あ、あまり字が読めないから…。」
「構わないわよ、私が教えてあげるから。そうしたら、あなたは字も歴史も一緒に勉強できていいんじゃないかしら。」
「え、で、でも…。」
「つべこべ言わない!さあさあ、そこのベンチに座って。今日は暖かいんだから。あっ…。」
彼は急に強く言われたことで驚いて固まってしまった。ああ、失敗したかもしれない。怯えさせたらどうしよう。困った。
「ご、ごめんね…、あなたに命令しているわけじゃないのよ。もし、本当に嫌なら私は一人で読むから…。」
申し訳なく思っても、私の中にはこの本を読まないという選択肢はないんだ。
「だ、大、丈夫です。びっくりしただけだから…。」
「本当に?怖かったんじゃない?」
「う…、ち、ちょっと。ちょっとだけ怖かった、です…。でも気にしないで。」
「じ、じゃあわかったわ。一緒にこの本を読んでくれるのね?」
「はい、じゃなくて、うん。」
ふふふ、笑ってしまう。良かった良かった。仲良くできそうだ。
みなさんお気づきだと思うが、私は悪役令嬢なのですべてのルートで国外追放、死刑、貴族籍はく奪等々もれなく無料でバットエンドがついてくる。わあ、嬉しい。
そして、この義弟のルートでは最後に無期禁錮の罰を与えられたはずだ。難易度と比例してバットエンドの残酷さも変化するので、これは軽いものである。
ただ、すき好んでバットエンドに進む奴はいないだろう。私も同じくできるだけバットエンドを回避したい人間だ。
「ジ、ジル。この単語はどういう意味ですか?」
「ああ。それはね…」
ハルトに暴力は振るわない。前世も含めて初めて兄弟と呼べる間柄の子でもある。そもそも、普通の令嬢である私には人を痛めつけられるほどの力はない。あのゲームのシルティーナはどうしてできたのだろう。謎だ。
「シルティーナ様、ハルトヴィヒ様。ご昼食の準備が整ったようです。」
「ありがとう。じゃあ、庭の東屋に運んでくれるかしら。そこでハルトと2人で食べたいわ。あっ、ハルトもそれでいい?」
「うん、大丈夫、です。」
「かしこまりました、そのように伝えます。」
メイドが一礼して去っていく。私はハルトに話しかけた。
「今日のお昼はなにかしらね?うちの料理長は腕がとってもいいから、なにを作ってもおいしいのよ。」
「そう、ですね。朝、は今まで食べた、ことがないくら、いでした。毎日たべれ、たらな…。」
「何言ってるの、あなたは私の家族になったんだから毎日食べられるわよ?」
ハルトは急に泣き出した。
「え?え?何、どうしたの?また怖がらせるようなこと言っちゃったかしら?」
思わず、おろおろしてしまう。
「違、います。家族、って言われたこと、が、凄く、うれしくて。」
なあんだ、そんなことかと思ってしまった。
「そうよ、家族なんだから。」
ハルトの体をそっと抱きしめてみる。ビクッと震えた暗闇から抜け出したばかりの体は、思った以上に細かった。
私たちは再びメイドが呼びに来るまでそうして抱き合っていた。
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