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オマケの転生前
恋心を自覚したところでそう簡単に素直になれるはずはありません
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「あいつは、何言われても傷つかないし、怒らない」
隊長のことを、誰かがそう言った。
それは、本当なんだろうか。
前を行く背中は、憧れ、焦がれる、強さを持つ。
広い肩幅。女の私にはない力が、そこにはある。
大きいなあ、と胸中で呟いて、
その差3歩の距離を縮められない私がいた。
近づきすぎたら、破裂してしまう、そんな気がする。
距離が、5歩分になった。
足の長い彼においていかれないよう、必死に歩いていた日々が懐かしい。
いつから、好きなんだっけ。
それも、よく、わからない。
そもそも、好きって何?
訳もなく、泣きたくなるの。
手を伸ばしたくて、
その気持ちを打ち消す。
恋愛感情は面倒なのだと、そう聞いた。
上司と部下。
その広い背中を私に預けてくれたのは、
戦いの場であったからで、
私が同僚だからで、
それ以上の意味は、ない。
言い聞かせてるのに。
熱を帯びた感情は褪めることなく、
私の中を満たす。
溺れてしまいそうだ、このまま。
長く長く、息を吐いた。
視線の先の、想い人。
距離は、私の歩幅5つ分。
彼が振り返って、怪訝な顔をした。
意図的な空間に違和感を覚えたのだろう。
「隊長、」
「どうした?」
「私、隊長のこと、嫌いです」
嘘を、自分に言い聞かせるよう、吐いた。
目の前の人は、なんだそんなことか、という表情で
「何度も言わなくても、知ってる」
と、言った。
また、歩き出す。
彼の心に、私の言葉は届かない。
この距離を、埋められない。
たった、5歩。
走ったら、
手を伸ばせば、
その距離。
3歩。
2歩。
――1歩。
息切れは、走ったからじゃあない。
掴んだ洋服の裾を、ひっぱって、
お願い、こっちを向いて。
「隊長、」
「どうした?」
「たまには、傷ついたり、怒ったり、すればいいじゃないですか」
感情を、揺り動かしてみたかった。
もう少し、
あと少し、
欲張ってみる。
私の言葉、届いてますか?
好きです。
だから、
嫌いです。
大嫌いです。
私の言葉を聞いて下さい。
ここに、ちゃんと、あります。
一人はあまりに寂しいから、
「隊長、大嫌いです――」
覗き見た黒い瞳が、
動くところを、見てみたい。
彼は、ため息をついた。
その音があまりに私に近く、
その距離は、どの位?
「俺も嫌いだよ」
黒い瞳がうつすのは、私一人。
まっすぐ降りおろされた言葉に、
心も返事も、すべてを、奪われて。
「――とでも、言えばいいのか?」
付け加えられた一言は、
笑っていた。
服を引く私の手をあっさりと解いて、
また歩き出す。
その背中を呆然と見ながら、
反芻。
凍りついた私の血液が、瞬間的にまためぐって、
体温が上昇する。
私のこと、嫌い?
それは、冗談なの?
なんで、
なんで、
どうしていきなり、
そんな優しい顔して笑うの?
両手で顔を覆うわけにはいかず、
しかし片手では、この赤面を隠しきれず、
そして私は俯いた。
ずるい。
彼は、
とてもとても、意地悪だ。
隊長のことを、誰かがそう言った。
それは、本当なんだろうか。
前を行く背中は、憧れ、焦がれる、強さを持つ。
広い肩幅。女の私にはない力が、そこにはある。
大きいなあ、と胸中で呟いて、
その差3歩の距離を縮められない私がいた。
近づきすぎたら、破裂してしまう、そんな気がする。
距離が、5歩分になった。
足の長い彼においていかれないよう、必死に歩いていた日々が懐かしい。
いつから、好きなんだっけ。
それも、よく、わからない。
そもそも、好きって何?
訳もなく、泣きたくなるの。
手を伸ばしたくて、
その気持ちを打ち消す。
恋愛感情は面倒なのだと、そう聞いた。
上司と部下。
その広い背中を私に預けてくれたのは、
戦いの場であったからで、
私が同僚だからで、
それ以上の意味は、ない。
言い聞かせてるのに。
熱を帯びた感情は褪めることなく、
私の中を満たす。
溺れてしまいそうだ、このまま。
長く長く、息を吐いた。
視線の先の、想い人。
距離は、私の歩幅5つ分。
彼が振り返って、怪訝な顔をした。
意図的な空間に違和感を覚えたのだろう。
「隊長、」
「どうした?」
「私、隊長のこと、嫌いです」
嘘を、自分に言い聞かせるよう、吐いた。
目の前の人は、なんだそんなことか、という表情で
「何度も言わなくても、知ってる」
と、言った。
また、歩き出す。
彼の心に、私の言葉は届かない。
この距離を、埋められない。
たった、5歩。
走ったら、
手を伸ばせば、
その距離。
3歩。
2歩。
――1歩。
息切れは、走ったからじゃあない。
掴んだ洋服の裾を、ひっぱって、
お願い、こっちを向いて。
「隊長、」
「どうした?」
「たまには、傷ついたり、怒ったり、すればいいじゃないですか」
感情を、揺り動かしてみたかった。
もう少し、
あと少し、
欲張ってみる。
私の言葉、届いてますか?
好きです。
だから、
嫌いです。
大嫌いです。
私の言葉を聞いて下さい。
ここに、ちゃんと、あります。
一人はあまりに寂しいから、
「隊長、大嫌いです――」
覗き見た黒い瞳が、
動くところを、見てみたい。
彼は、ため息をついた。
その音があまりに私に近く、
その距離は、どの位?
「俺も嫌いだよ」
黒い瞳がうつすのは、私一人。
まっすぐ降りおろされた言葉に、
心も返事も、すべてを、奪われて。
「――とでも、言えばいいのか?」
付け加えられた一言は、
笑っていた。
服を引く私の手をあっさりと解いて、
また歩き出す。
その背中を呆然と見ながら、
反芻。
凍りついた私の血液が、瞬間的にまためぐって、
体温が上昇する。
私のこと、嫌い?
それは、冗談なの?
なんで、
なんで、
どうしていきなり、
そんな優しい顔して笑うの?
両手で顔を覆うわけにはいかず、
しかし片手では、この赤面を隠しきれず、
そして私は俯いた。
ずるい。
彼は、
とてもとても、意地悪だ。
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