転生草の約束

おにぎり

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第一章、草の友達

1、転生

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 なんて可哀そうな魂なのじゃ。冤罪で15年刑務所に入り、しまいには家もなく凍え死んでしもうた。こんな運命を辿ったのでは申し訳ないのう。ここはちと本気を出そうかの……

 神様が指を鳴らすと、光の束が魂に注がれた。

 うむ、これでよかろう。じゃが少し多すぎたかの。まぁ、このくらい誤差。問題なかろう。来世は頑張るのじゃぞ。

 神様はその魂を手のひらで掬い上げ、大切に地上に降ろした。


 —数日後—
 神様、実は俺不満があるんだ。あなたは俺にたくさんの力をくれた。とんでもない魔法もくれた。

 だけど……けれど……見てくれ!俺の姿を!

 全身がほっそい緑色。頭には冠のような若葉が生えて、腰から下は土に埋まってる!これは、まるで草じゃないか!
 いや、実際、俺は草に転生したのだが……

 うん、分かるよ?こんなやばい力を持つひ人間が地上を闊歩したら、確実に地上が滅ぶ。

 でも、流石に草はないんじゃないか!?

 喋れないし、この気持ちを外に吐き出すこともできない!なんて人生なんだ!いや、草生か?


 周りは森。風に揺れるだけの存在。これの何が面白い?
 その時、頭の中で声が響いた。

「申し訳ないのじゃ……」

 この声は神様か!おい、どうなってるんだ!冤罪で牢に入っていた時より辛いぞ!

「座標ミスってしもうた……」

 ……は?
 座標ミスった?
 そんな、初歩的なミスで俺は……

「すまん……」

 ミスがなければ、俺は何になっていたんだ?

「実は、お主には勇者の体を用意しておったんじゃ。すまんのぉ」


 勇者って、マジかよ。
 神様が本気出したら、草に転生した……は?

「じゃが、まだ望みはあるんじゃ!存在進化をするのじゃ!」

 存在進化?それが、俺の望み?

「そうじゃ。存在進化を続けたら、いずれは【大きな草むら】にだって進化できるじゃろうて!」

 大きな草むら……それって人間より……

「な!いいじゃろう、そうじゃろう!では頑張ってのぉ!」

 直後、プツンという音がして、神様の声が聞こえなくなった。

 これ、絶対逃げたな。


 これからどうしよう。そういえば、体から力がなくなっている気が……

 な、なんだこれ!!

 頭の上を見ると、先ほどまで青々としていた若葉が、シワシワになっている。

 まさか……

 俺はさらに上、森の葉っぱの天井を見上げた。
 ここは鬱蒼とした森の中。地面に光など届かない場所だと気がついた。

 この葉っぱをなんとかしないと、死んでしまう!
 作戦を考えよう!


 そうだ、神様からもらった魔法を試してみよう。

 頭の中に浮かぶ大量の魔法のうち、俺は【爆炎】を選んだ。

 でも、これどうやって使うんだ?
 俺は爆炎の文字を頭に思い浮かべた。しかし、まるで何も起こる様子はない。

 どうやって使うんだよ、これ。説明書とかないのか?


「おい、お前魔法使えるのか?」

 突如、声が聞こえた。

 神様かと思ったけど、その様子はなかった。
 誰だ?

「ここだよ。お前の左にいる!」

 左?


 左を見てみる。だが、そこには誰もいなかった。

「見えてるだろ?目合っているじゃないか!」

 目が合ってる?一体どこにいるんだ?

 その時、目の前の草が、風も吹いていないのに大きく揺れた。

「ここだよ!目の前で動いている草が、俺だよ!」


 えっと……なんで草が喋ってるの?

「お前も喋ってるじゃねぇか」

 あ、たしかに。

「それよりお前、魔法使えるんだろ?」


 草になってしまった俺が言えることではないが、とても不気味だ。
 草がしゃべるって聞いたことないぞ?

「イメージを強く持つんだ!この葉っぱを全て燃やしちまうイメージをな!」

 この草、何者だ?でも、とりあえずやってみよう。


 爆炎というくらいだから、熱く燃えるような炎が、勢いよくと燃え上がるような……

 小さな火種が一気に燃え上がり、熱さのあまり顔を背けてしまうような……

 心の中に感じる温かいもの。やがてそれが心から溢れ、全身を駆け巡った。

「す、すげぇぞお前!こんなの見たことない……」


 気がつくと、2枚の若葉には力が漲っている。

 上に向けた力のベクトルは真っ赤な炎へと姿を変え、葉の天井を一気に燃やしている。

 小さく燃える火の玉が打ち上がり、花火のように爆発するを繰り返している。

 まるで小さな火山の噴火を見ているようだ。


 こんな力、俺が持っていいのだろうか……
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