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大波乱の土曜日、悩める乙女は胃が痛い ~売り言葉を買ったらアカンやつがついてきた~
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「ちょっと……!冗談でも言っていいことと悪いことがあるでしょ?!尚史は光子おばあちゃんをがっかりさせまいと言ってくれただけで……!」
あわてて尚史をかばおうとすると、母と洋子ママは顔を見合わせてニヤーッと笑った。
「あら、残念。私は女の子が欲しかったから、モモちゃんがうちの娘になってくれたらいいなって昔からずっと思ってたのに。モモちゃんは尚史が相手ではご不満かしら?」
「ええっ?!いや、そういうわけではないけど!尚史も洋子ママもパパさんも大好きだし!」
「ホント?正直言うと、私も旦那も尚史の将来が心配でね。ホラ、尚史って彼女とか全然連れてこないでゲームばっかりしてるし、結婚とか将来のことにはまったく興味無さそうでしょ?ママはモモちゃんが尚史のお嫁さんになってくれたら嬉しいんだけどなー」
なんじゃこりゃ?
なんか私、洋子ママに尚史をオススメされてる?!
だけどそれは洋子ママの願望であって尚史の意志ではないんだから、ここは尚史にキッパリと断ってもらわないと!
「そんなこと言われても……尚史は困るよね?ねっ?」
黙々とアップルパイを頬張っている尚史に助けを求めると、尚史は口の中のアップルパイをコーヒーで流し込んでようやく口を開いた。
「……別にいいけど」
「ねっ、尚史もそう言って……ん?」
ムムム、これは空耳か?
彼女がいるくせに幼馴染みの私と結婚してもいいなんて、いくらなんでも言うはずがない。
「……お主、今なんと申した?」
「別にいいけどって言った」
「はぁっ?!」
私と結婚なんかしたってなんの得もないのに、尚史は一体何を考えているんだ?!
もしかして光子おばあちゃんが私と尚史の結婚を望んでいると知ったから?
「ねぇ……なんで?」
「危なっかしくてもう見てられないんだよ。モモはチョッパヤで結婚できれば誰でもいいんだろ?」
「確かにそう言ったけど……尚史はホントにそれでいいの?」
「いいも何も、焦ってしょうもない男に騙されるくらいなら俺のがマシだろ。ほっとくとモモは結婚詐欺にでも引っ掛かりかねない」
私は尚史にそんなことを心配されていたのか!
そんなことあるか!と言い返したいところだけど、八坂さんに婚約者がいることも知らず結婚まで漕ぎ着けようとしていたことを考えると、ぐうの音も出ない。
未遂に終わったから良かったようなものの、尚史の言う通り、結婚詐欺になんてあったら笑い事では済まされないのだ。
「おばあちゃんに花嫁姿見せてやるんだろ?」
「うん……」
「おばあちゃんは俺とモモの結婚式に出たいって。俺もおばあちゃんと約束しちゃったしな。やっぱ約束はちゃんと守りたいし、後悔したくないじゃん?」
尚史が光子おばあちゃんのことを大事に思ってくれているのは本当に嬉しい。
だけど結婚どころか付き合うのもめんどくさいと常々言っていた尚史を、私のわがままに巻き込んでしまってもいいのだろうか。
「モモ、良かったじゃない! 尚史くんの気が変わらないうちに、これ書いてもらいなさい」
母は私の気も知らず興奮気味にそう言って、バッグから取り出した紙切れをテーブルの上に広げる。
「おおぅ……こ、これは……」
「婚姻届よ。買い物のついでに貰ってきたの。用意しとけって、今朝あんたが言ったんでしょ?」
「そうだった……」
あの短時間でよく準備できたものだ。
チャリを使わせたら圧倒的な強さを誇る主婦パワーに脱帽する。
もしかしたら地球を回しているのは主婦の底力なのでは?
尚史は珍しそうに婚姻届の用紙を眺めたあと、小物入れの引き出しからボールペンと判子を取り出して、躊躇なく記入し始めた。
あわてて尚史をかばおうとすると、母と洋子ママは顔を見合わせてニヤーッと笑った。
「あら、残念。私は女の子が欲しかったから、モモちゃんがうちの娘になってくれたらいいなって昔からずっと思ってたのに。モモちゃんは尚史が相手ではご不満かしら?」
「ええっ?!いや、そういうわけではないけど!尚史も洋子ママもパパさんも大好きだし!」
「ホント?正直言うと、私も旦那も尚史の将来が心配でね。ホラ、尚史って彼女とか全然連れてこないでゲームばっかりしてるし、結婚とか将来のことにはまったく興味無さそうでしょ?ママはモモちゃんが尚史のお嫁さんになってくれたら嬉しいんだけどなー」
なんじゃこりゃ?
なんか私、洋子ママに尚史をオススメされてる?!
だけどそれは洋子ママの願望であって尚史の意志ではないんだから、ここは尚史にキッパリと断ってもらわないと!
「そんなこと言われても……尚史は困るよね?ねっ?」
黙々とアップルパイを頬張っている尚史に助けを求めると、尚史は口の中のアップルパイをコーヒーで流し込んでようやく口を開いた。
「……別にいいけど」
「ねっ、尚史もそう言って……ん?」
ムムム、これは空耳か?
彼女がいるくせに幼馴染みの私と結婚してもいいなんて、いくらなんでも言うはずがない。
「……お主、今なんと申した?」
「別にいいけどって言った」
「はぁっ?!」
私と結婚なんかしたってなんの得もないのに、尚史は一体何を考えているんだ?!
もしかして光子おばあちゃんが私と尚史の結婚を望んでいると知ったから?
「ねぇ……なんで?」
「危なっかしくてもう見てられないんだよ。モモはチョッパヤで結婚できれば誰でもいいんだろ?」
「確かにそう言ったけど……尚史はホントにそれでいいの?」
「いいも何も、焦ってしょうもない男に騙されるくらいなら俺のがマシだろ。ほっとくとモモは結婚詐欺にでも引っ掛かりかねない」
私は尚史にそんなことを心配されていたのか!
そんなことあるか!と言い返したいところだけど、八坂さんに婚約者がいることも知らず結婚まで漕ぎ着けようとしていたことを考えると、ぐうの音も出ない。
未遂に終わったから良かったようなものの、尚史の言う通り、結婚詐欺になんてあったら笑い事では済まされないのだ。
「おばあちゃんに花嫁姿見せてやるんだろ?」
「うん……」
「おばあちゃんは俺とモモの結婚式に出たいって。俺もおばあちゃんと約束しちゃったしな。やっぱ約束はちゃんと守りたいし、後悔したくないじゃん?」
尚史が光子おばあちゃんのことを大事に思ってくれているのは本当に嬉しい。
だけど結婚どころか付き合うのもめんどくさいと常々言っていた尚史を、私のわがままに巻き込んでしまってもいいのだろうか。
「モモ、良かったじゃない! 尚史くんの気が変わらないうちに、これ書いてもらいなさい」
母は私の気も知らず興奮気味にそう言って、バッグから取り出した紙切れをテーブルの上に広げる。
「おおぅ……こ、これは……」
「婚姻届よ。買い物のついでに貰ってきたの。用意しとけって、今朝あんたが言ったんでしょ?」
「そうだった……」
あの短時間でよく準備できたものだ。
チャリを使わせたら圧倒的な強さを誇る主婦パワーに脱帽する。
もしかしたら地球を回しているのは主婦の底力なのでは?
尚史は珍しそうに婚姻届の用紙を眺めたあと、小物入れの引き出しからボールペンと判子を取り出して、躊躇なく記入し始めた。
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