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嫉妬する資格なんかない
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デートした翌日から、應汰は仕事が終わると毎日のように私を食事に誘うようになった。
二人で軽くお酒を飲みながら食事をして、いい気分になってカラオケに行ったりもした。
應汰は毎日飽きもせず、俺の嫁になれと言う。
應汰曰く、これは洗脳なんだそうだ。
毎日一緒に食事をして、俺の嫁になれと言い続ける事で、私をその気にさせると應汰は言う。
だけど多分、應汰の目的はそれだけじゃなくて、私と勲をもう会わせないようにしているんだと思う。
会って顔を見ればきっと、好きな気持ちが勝ってすべてを許してしまうから。
應汰には、その人が同じ部署の上司の橋本主任だとは言っていない。
だから私が毎日、会社で彼と顔を合わせているのを、應汰は知らない。
私は毎日できるだけ勲とは目を合わせないようにして、仕事に必要な事以外は話さない。
ただ時々、仕事中に視線を感じてふと顔を上げると、勲が何か言いたげな顔をして私を見ている事がある。
『もうここには来ないで』と言った日から、勲とは会社以外では会っていない。
今は勲が突然家に来る事もないし、電話もトークメッセージもメールもない。
すべて私が望んだ事なのに、心のどこかでまだ勲への淡い期待が捨てきれずにいる。
勲に奥さんがいても一緒にいられるだけで幸せだったとは、決して言えない。
それが勲にとって望まない結婚であったとしても、七海と結婚したという事実は変えられないし、お互いにいくら好きでも、私たちの関係が不倫である事には違いない。
不倫は道徳に反する事。
人として守るべきルールにそむく事。
私たちが互いを求め合う事は、社会的に許されない。
仕事の後、いつものように應汰と食事の約束をした。
今日は金曜日だし、きっとどこに行っても混んでいるだろう。
この関係も、もう随分続いている。
毎日ではないけれど、昼も社員食堂で一緒に昼食を取る事もあるし、会社の外で二人でいるところを社内の人たちに見られる事もよくあるので、もしかしたら私と應汰が付き合っていると思っている人もいるんじゃないか。
應汰とデートをしてから、かれこれ1か月が経とうとしている。
高い店には行かなくても、こう毎日だと経済的に苦しくはないかと心配になる。
もちろん私もいくらかは払うけど、應汰の方が多くお金を出しているのは間違いない。
いつもより少し遅くなると言っていた通り、應汰は定時から30分遅れて休憩スペースにやって来た。
「芙佳、お待たせ」
「うん。お疲れ様」
エレベーターホールで並んでエレベーターを待ちながら應汰と話していると、随分近い間隔で隣に誰かが立った。
やけに近いなと思ってそちらを見ると、隣に立っていたのは険しい顔をした勲だった。
「……お疲れ様」
「あ……お疲れ様です」
ただの上司と部下という関係を装いつつも、勲はまた何かを言いたげな目で私を見ている。
私はたまらず視線をそらした。
エレベーターが到着してドアが開くと、中には上の階から乗ってきた社員が数人いた。
エレベーターに乗り込んでも、勲は私の隣に立った。
私たち以外にも同じ階から数人が乗り込んだ事で、エレベーターの中はかなり混んでいる。
勲との距離が近い。
なんだか居心地が悪くて、早く1階に着けばいいのにと思いながらフロアの数字にランプが灯るのを見上げていると、勲が私の手をギュッと握った。
驚いて手を引っ込めようとしても、勲は更に強く私の手を握る。
こんなところで一体何を考えてるの……?!
もし他の人に見られたら……!
應汰は勲とは反対側の私の隣に立っていて、全然気付いていないようだ。
二人で軽くお酒を飲みながら食事をして、いい気分になってカラオケに行ったりもした。
應汰は毎日飽きもせず、俺の嫁になれと言う。
應汰曰く、これは洗脳なんだそうだ。
毎日一緒に食事をして、俺の嫁になれと言い続ける事で、私をその気にさせると應汰は言う。
だけど多分、應汰の目的はそれだけじゃなくて、私と勲をもう会わせないようにしているんだと思う。
会って顔を見ればきっと、好きな気持ちが勝ってすべてを許してしまうから。
應汰には、その人が同じ部署の上司の橋本主任だとは言っていない。
だから私が毎日、会社で彼と顔を合わせているのを、應汰は知らない。
私は毎日できるだけ勲とは目を合わせないようにして、仕事に必要な事以外は話さない。
ただ時々、仕事中に視線を感じてふと顔を上げると、勲が何か言いたげな顔をして私を見ている事がある。
『もうここには来ないで』と言った日から、勲とは会社以外では会っていない。
今は勲が突然家に来る事もないし、電話もトークメッセージもメールもない。
すべて私が望んだ事なのに、心のどこかでまだ勲への淡い期待が捨てきれずにいる。
勲に奥さんがいても一緒にいられるだけで幸せだったとは、決して言えない。
それが勲にとって望まない結婚であったとしても、七海と結婚したという事実は変えられないし、お互いにいくら好きでも、私たちの関係が不倫である事には違いない。
不倫は道徳に反する事。
人として守るべきルールにそむく事。
私たちが互いを求め合う事は、社会的に許されない。
仕事の後、いつものように應汰と食事の約束をした。
今日は金曜日だし、きっとどこに行っても混んでいるだろう。
この関係も、もう随分続いている。
毎日ではないけれど、昼も社員食堂で一緒に昼食を取る事もあるし、会社の外で二人でいるところを社内の人たちに見られる事もよくあるので、もしかしたら私と應汰が付き合っていると思っている人もいるんじゃないか。
應汰とデートをしてから、かれこれ1か月が経とうとしている。
高い店には行かなくても、こう毎日だと経済的に苦しくはないかと心配になる。
もちろん私もいくらかは払うけど、應汰の方が多くお金を出しているのは間違いない。
いつもより少し遅くなると言っていた通り、應汰は定時から30分遅れて休憩スペースにやって来た。
「芙佳、お待たせ」
「うん。お疲れ様」
エレベーターホールで並んでエレベーターを待ちながら應汰と話していると、随分近い間隔で隣に誰かが立った。
やけに近いなと思ってそちらを見ると、隣に立っていたのは険しい顔をした勲だった。
「……お疲れ様」
「あ……お疲れ様です」
ただの上司と部下という関係を装いつつも、勲はまた何かを言いたげな目で私を見ている。
私はたまらず視線をそらした。
エレベーターが到着してドアが開くと、中には上の階から乗ってきた社員が数人いた。
エレベーターに乗り込んでも、勲は私の隣に立った。
私たち以外にも同じ階から数人が乗り込んだ事で、エレベーターの中はかなり混んでいる。
勲との距離が近い。
なんだか居心地が悪くて、早く1階に着けばいいのにと思いながらフロアの数字にランプが灯るのを見上げていると、勲が私の手をギュッと握った。
驚いて手を引っ込めようとしても、勲は更に強く私の手を握る。
こんなところで一体何を考えてるの……?!
もし他の人に見られたら……!
應汰は勲とは反対側の私の隣に立っていて、全然気付いていないようだ。
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