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第1章

212 ラブレター フロム ダレカ

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あれから学校は平和だ。表面的には。
アジャーニ君と護衛君達は成績も悪くないようで、先生からの質問を的確に答えていた。
ただの盆暗貴族じゃなかったようだ。

昼休みもイボンヌちゃんとバルテレモンちゃんを侍らせてイチャイチャしている。

私達はと言うと、すっかり昼寝が習慣化してしまっていた。

私はアレクの膝枕で。
サンドラちゃんはセルジュ君の腹を枕にし、スティード君の足に自分の足を乗せ女王様のように寝ていることが多い。
寝過ごしかけてもエルネスト君かグランツ君が起こしてくれるようになったので安心だ。




そんなある日、学校に行くと私の机の引き出しに手紙が入っていた。名前は書いてないが女の子の字で
『お慕い申し上げます。この想いをどうか伝えたくて筆をとりました。本日の放課後、校庭の用具室の裏まで来ていただきたく存じます』と、書いてある。
字からすると良い所のお嬢様なんだろう。

だが、これはアレだな。
ノコノコ行ったら、『ホントに来やがったぜ! 馬鹿じゃねーの!』と言って笑い者にするパターン。
はたまた数日後に『罰ゲームでした! 私がアンタなんかを好きになるわけないじゃん!』のどちらかだ。
大穴としては、『絵画を買いませんか?』も有り得るか。
すごく行ってみたくなった。
仮に本気の告白だったとしても振ってしまえばいい。それも青春なのだから。

そうなると今日一日は『騙されてるとも知らずソワソワして放課後が待ち遠しい男』として過ごすべきだろう。

ふふふ、放課後が待ち遠しいぜ。



昼休み。

「カースどうしたの? なんだかソワソワしてるわね。妻に内緒で悪所に行く男みたい。」

「ブハッ、悪所ってどこだい? そんな言葉がアレクの口から出てくるとは。」

「私もよく知らないわ。母上が兄上達に、悪所に行く時は妻にバレるなって言ってたわね。」

絶対知ってるじゃん! 熟知してんの!?
でも私は悪所なんか行かないし、浮気もしない。たぶん。

「実は放課後に面白いことが起こりそうなんだ。詳しくは内緒だけど、明日には話せると思うよ。気になるなら僕の後をつけるといいよ。」

「明日話してくれるんならそれでいいわよ。その代わり今日はカースが膝枕してよね。」

ふふふ、全く可愛いやつめ。





そして放課後。
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