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出会い
無欲なガキ
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【レヴィア視点】
地下街の通りはいつも通り薄暗く、どこか湿ったような空気が肌にまとわりつく。
だが、その中を歩いている“俺たち”は、どこかちぐはぐだった。
──気配がねぇ。
ふと後ろを振り返ると、マチルダが数メートル後ろを黙ってついてきていた。
まるで、音も影もない。
(……付いてきてるのかも分からねぇ)
俺は足を止めて、後ろを振り返った。
「おい、隣歩け」
「?」とマチルダが首を傾げる。
「お前、足音も気配もねぇから付いてきてるか分かんねぇんだよ」
「ふーん……」
気にしてねぇのか、分かってねぇのか。
それでも、言われた通りに俺の隣へと歩み寄ってきた──距離は遠いまま。
腕が触れるには程遠い。だが、確かに“隣”に来た。それで十分だ。
「欲しいもんがあるなら言え。食いたいもんでも、なんでもいい」
そう言いながら、近くの店先に並ぶ果物や惣菜に目を向けた。
ガキってのは普通、こういうのに目を輝かせるもんだ。
甘い菓子、派手な玩具、ふかふかのマント──そういうもんだろ。
だが、マチルダは──
「別にない」
即答だった。
「気ぃ使ってんならぶっ飛ばすぞ」
「気を使う……? 私がレヴィアに? そんなことしない」
全く悪びれずにそう返されて、俺は思わず鼻で笑った。
(……マジで無欲かよ)
何を見せても、何を聞かせても反応がない。
あれが欲しい、これが食べたい、あいつがムカつく、こうなりたい──
そんなガキにありがちな“欲”が、こいつには一切ない。
(ほんとに……ガキらしくねぇ)
物欲も、執着も、感情も──まるで削ぎ落とされたみてぇだ。
けど、そんなこいつを“ガキらしくねぇ”なんて言ってる俺の方が、きっとズレてんだろうな。
マチルダは、そういう“ガキらしくいられない世界”で育ったんだ。
──そんな世界に、俺も居た。
「……」
(だったら、なおさら)
俺がこいつに“わがまま”のひとつでも言わせるくらいには、まともな日々を与えてやる。
どれだけ時間がかかっても、少しずつでいい。
このガキに、“生きることに意味がある”って実感を持たせてやる。
そう思いながら、無言のマチルダと並んで歩いた。
地下街の通りはいつも通り薄暗く、どこか湿ったような空気が肌にまとわりつく。
だが、その中を歩いている“俺たち”は、どこかちぐはぐだった。
──気配がねぇ。
ふと後ろを振り返ると、マチルダが数メートル後ろを黙ってついてきていた。
まるで、音も影もない。
(……付いてきてるのかも分からねぇ)
俺は足を止めて、後ろを振り返った。
「おい、隣歩け」
「?」とマチルダが首を傾げる。
「お前、足音も気配もねぇから付いてきてるか分かんねぇんだよ」
「ふーん……」
気にしてねぇのか、分かってねぇのか。
それでも、言われた通りに俺の隣へと歩み寄ってきた──距離は遠いまま。
腕が触れるには程遠い。だが、確かに“隣”に来た。それで十分だ。
「欲しいもんがあるなら言え。食いたいもんでも、なんでもいい」
そう言いながら、近くの店先に並ぶ果物や惣菜に目を向けた。
ガキってのは普通、こういうのに目を輝かせるもんだ。
甘い菓子、派手な玩具、ふかふかのマント──そういうもんだろ。
だが、マチルダは──
「別にない」
即答だった。
「気ぃ使ってんならぶっ飛ばすぞ」
「気を使う……? 私がレヴィアに? そんなことしない」
全く悪びれずにそう返されて、俺は思わず鼻で笑った。
(……マジで無欲かよ)
何を見せても、何を聞かせても反応がない。
あれが欲しい、これが食べたい、あいつがムカつく、こうなりたい──
そんなガキにありがちな“欲”が、こいつには一切ない。
(ほんとに……ガキらしくねぇ)
物欲も、執着も、感情も──まるで削ぎ落とされたみてぇだ。
けど、そんなこいつを“ガキらしくねぇ”なんて言ってる俺の方が、きっとズレてんだろうな。
マチルダは、そういう“ガキらしくいられない世界”で育ったんだ。
──そんな世界に、俺も居た。
「……」
(だったら、なおさら)
俺がこいつに“わがまま”のひとつでも言わせるくらいには、まともな日々を与えてやる。
どれだけ時間がかかっても、少しずつでいい。
このガキに、“生きることに意味がある”って実感を持たせてやる。
そう思いながら、無言のマチルダと並んで歩いた。
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