血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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出会い

背中

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【地下街・レヴィアの住まい|朝】

がらんとした部屋に光はほとんど入らない。
古びた木の床、色褪せた布のマット、金属製の椅子──レヴィアの家は相変わらず質素だった。

「今日も行くのか」

ぽつりと、いつも通りの口調で問いかけた。

「うん」

マチルダは靴紐を結ぶため、無言でしゃがみ込む。
その瞬間、背を向けた。

(……!)

無意識に、視線がそこに吸い寄せられた。
ほんの少し開いた首元から、細く白いうなじが見える。無防備な、あまりにあっけない後ろ姿。

(……初めてだな)

いつもなら、壁を背にして座る。
俺が部屋に入ると、気配に即座に反応して距離を取る。
寝るときも、起きている時も──常に警戒し続けていたこのガキが。

「……」

言葉もなく、レヴィアはただその背中を見つめていた。

「……なに?」

靴紐を結び終えたマチルダが、振り返りもせずに言う。

「視線が痛いんだけど」

「……何でもねぇ」

マチルダは立ち上がり、何気なく玄関の扉に手をかけた。

「……変なの」

その一言を残して、扉を引こうとしたとき──

「……マチルダ」

不意に、口が勝手に動いた。

「?」

マチルダが振り返る。やや驚いた顔。

「……一緒に行ってもいいか」

その言葉が口から出た瞬間、レヴィア自身が驚いていた。
(……何言ってんだ、俺は)

理由なんてなかった。ただ、今日は……何となく気になった。
あの背中が、一度でも見えたからかもしれない。

マチルダはしばし無言のまま、じっとレヴィアを見ていた。

「……いいけど」

小さく、自然な声で言った。

「急にどうしたの?」

「……」

「来ても何も無いよ?」

(分かってる)

それでも、ついていきたかった。
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