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出会い
薄明かりの射す場所
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【地下街・奥地|薄明かりの射す場所】
瓦礫と鉄くず、崩れかけた石のアーチを越えて、なおも奥へと進む。
地下街に生まれ育ったレヴィアでさえ、ここまで来たことはなかった。空気がひどく淀んでいる。足音ひとつがやけに響く。
「どこまで行くんだ」
そう問いかけても、マチルダは振り返らず、
「もうちょっと」
と短く返した。
しばらく進むと──空気が変わった。
地下のくすんだ闇に、淡い光が差していた。
崩れた天井の隙間から、ほんのわずかに地上の光が漏れ、狭い空間に穏やかな陰影を落としている。
そしてその中央に、不自然に盛り上がった土の塊があった。
「ここだよ」
マチルダが、ぽつりと言った。
「手で掘って埋めただけだから……墓だって分かんないでしょ?」
「……あぁ」
周囲には小さな草が、いくつか。
地下じゃ見たこともねぇような、色のついた花も一輪だけ咲いていた。
──こんな場所が、地下にあったとはな。
「……」
(この場所を選んだ理由が……何となく分かる)
光。草。花。
死んだ人間に与えられる、せめてもの“やすらぎ”。
それだけで充分だったのだろう。
マチルダは小さくしゃがみ、墓の前に両手をついて静かに目を閉じた。
レヴィアも隣に腰を下ろす。
しばらく、無言の時間が流れる。
「……ねぇ」
マチルダの声が、ふとした風のように耳に届いた。
「何で……ここに来てくれたの?」
小さな声。疑うようでもなく、試すようでもなく──ただの素朴な疑問だった。
レヴィアはしばらく黙ったまま、前を見つめていた。
(理由なんか、分からねぇよ)
殺しも、窃盗も、裏切りも。
全部が当たり前だったこの地下で──
こいつは何も欲しがらず、何も望まず、それでも弟だけは守ろうとしていた。
そんなガキが、ひとりでこんな場所に墓を作って、毎日通ってる。
誰にも言わずに、誰にも見せずに。
レヴィアは、そっと吐息を吐いた。
「……お前が、一人で背負うもんじゃねぇからだ」
マチルダは驚いたようにこちらを向いた。
「……私、背負ってるなんて思ってなかったけど」
「思ってなくても、背負ってる奴はいる。……お前みてぇにな」
「……」
マチルダは視線を墓に戻し、ぽつりと呟いた。
「……レヴィアは、たまにすごく優しいね」
「たまにで悪かったな」
「ふふ……」
──その時、マチルダが小さく笑った。
それはレヴィアが初めて見る、彼女の「子どもらしい」表情だった。
瓦礫と鉄くず、崩れかけた石のアーチを越えて、なおも奥へと進む。
地下街に生まれ育ったレヴィアでさえ、ここまで来たことはなかった。空気がひどく淀んでいる。足音ひとつがやけに響く。
「どこまで行くんだ」
そう問いかけても、マチルダは振り返らず、
「もうちょっと」
と短く返した。
しばらく進むと──空気が変わった。
地下のくすんだ闇に、淡い光が差していた。
崩れた天井の隙間から、ほんのわずかに地上の光が漏れ、狭い空間に穏やかな陰影を落としている。
そしてその中央に、不自然に盛り上がった土の塊があった。
「ここだよ」
マチルダが、ぽつりと言った。
「手で掘って埋めただけだから……墓だって分かんないでしょ?」
「……あぁ」
周囲には小さな草が、いくつか。
地下じゃ見たこともねぇような、色のついた花も一輪だけ咲いていた。
──こんな場所が、地下にあったとはな。
「……」
(この場所を選んだ理由が……何となく分かる)
光。草。花。
死んだ人間に与えられる、せめてもの“やすらぎ”。
それだけで充分だったのだろう。
マチルダは小さくしゃがみ、墓の前に両手をついて静かに目を閉じた。
レヴィアも隣に腰を下ろす。
しばらく、無言の時間が流れる。
「……ねぇ」
マチルダの声が、ふとした風のように耳に届いた。
「何で……ここに来てくれたの?」
小さな声。疑うようでもなく、試すようでもなく──ただの素朴な疑問だった。
レヴィアはしばらく黙ったまま、前を見つめていた。
(理由なんか、分からねぇよ)
殺しも、窃盗も、裏切りも。
全部が当たり前だったこの地下で──
こいつは何も欲しがらず、何も望まず、それでも弟だけは守ろうとしていた。
そんなガキが、ひとりでこんな場所に墓を作って、毎日通ってる。
誰にも言わずに、誰にも見せずに。
レヴィアは、そっと吐息を吐いた。
「……お前が、一人で背負うもんじゃねぇからだ」
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「思ってなくても、背負ってる奴はいる。……お前みてぇにな」
「……」
マチルダは視線を墓に戻し、ぽつりと呟いた。
「……レヴィアは、たまにすごく優しいね」
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