血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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出会い

傷痕

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地下の家。
いつものように一緒に過ごしていた、何気ない日だった。

理由はよく分からなかった。
けれど、なぜかその流れで──
一緒に風呂に入ることになった。

マチルダの方は特に気にしていないようで、当たり前のように服を脱いで、湯気の立つ風呂場へ入っていった。

レヴィアはというと、脱衣所でしばらく動けなかった。

(……何で一緒に入る流れになったんだ、俺は……)

思考が止まったのは、浴室の中に入ってからだ。

マチルダの背中。
肩。
腕、脚──

その全身に、無数の痕跡が刻まれていた。

切り傷、刺し傷、火傷。
殴られた痣のような跡。
縫い合わされた跡。
肌が歪むほどの古い傷跡。

レヴィアは無意識に拳を握っていた。

──この歳の子どもが、こんな体をしてるなんて。

「……気になる?」

声がして、はっと我に返った。
マチルダが浴槽に肩まで浸かりながら、こちらを振り返っている。

「……」

「さっきからずっと見てる。変態。」

「誰が変態だ。沈めるぞ。」

「こわーい」(棒読み)

からかうような軽い口調。
だけど、マチルダの瞳はどこか遠くを見ていた。

「殺し屋訓練で、お兄ちゃんに付けられたの。痛みの訓練の時に。」

「……」

「おかげで火をつけられても、何秒かは耐えられるの。」

「……」

「もう痛くないよ? ただの傷。」

マチルダはそれをまるで“昨日の天気”でも話すかのように淡々と言った。
平然と語るその姿が、かえって胸に突き刺さる。

レヴィアは湯に浸かりながら、そっと目を閉じた。

(痛くねぇわけがねぇだろ……)

心も、体も──
どれだけの痛みに、この子はずっと耐えてきたんだ。

マチルダは、こちらの沈黙に気づいたのか、
ふと小さく笑った。

「……ほら。レヴィアも早く浸からないと、冷えるよ。」

それは、誰にでも見せるような顔じゃなかった。

少しだけ、少しだけ……
心を許した人にだけ見せる、年相応の無防備さだった。

レヴィアは何も言わず、ただ静かに湯へと身を沈めた。
湯の温もりが、張り詰めた空気をわずかに溶かしていく──

傷は消えない。
でも、温もりは確かにそこにあった。
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